【東京湾地震】川崎の工場火災現場、そして東京湾M5.2震源地のすぐぞばに原子炉施設が存在した!肝心の情報を一切報じなかった大手メディア! 聞き取り取材で浮き彫りとなった「安全神話」の正体! 2015.8.24

記事公開日:2015.9.12取材地: テキスト動画
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( 取材:須原拓磨・ぎぎまき、記事:ぎぎまき・佐々木隼也)

 東京都内をドンという縦揺れが襲った。2015年9月12日の早朝5時49分頃、東京湾を震源とするマグニチュード5.2の地震が発生。関東全域で震度3〜4の揺れに見舞われ、東京都調布市では震度5を記録した。震源地は北緯35.6度、東経139.8度。ここは羽田空港から数百メートル南下した場所だ。そして、すぐ近くには東芝の原子炉施設がある。

 この東芝の原子炉施設に隣接する「日鉄住金鋼管」の川崎製造所では、8月下旬に大規模な火災も発生していた。火災と地震に見舞われたこの原子炉施設の安全性は担保されているのか。火災直後の現地取材や、東芝への電話取材をまとめた記事を再掲する。(9月12日更新)

 羽田空港からわずか1キロメートルで発生した川崎の大規模火災。付近は黒煙に包まれ、首都高が一時通行止めになるなど、あたり一帯の緊迫する様子を、メディアは大々的に報じた。しかし、本来なら絶対に報じなくてはならない重要な情報を、メディアは一斉に無視した。火災現場のすぐ近く、隣接する東芝の工場敷地内には、なんと原子炉施設が存在したのだ!

 2015年8月24日午前、神奈川県川崎市にある「日鉄住金鋼管」の川崎製造所で火災が発生。隣接する「花王」の工場にも延焼し、一帯は黒煙に包まれた。

▲黒煙を上げ燃え盛る製造所( @comdoc5964氏提供)

 火は夕方に消し止められたが、同日未明には相模原市の米軍基地で爆発事故が起き、同月には中国の天津市(12日)、山東省(22日)の工場で大規模な爆発が発生するなど、相次ぐ不穏な事故に人々の不安は高まっている。

▲火災現場となった製造所

 注目すべきは、火災現場となった製造所が、東芝の原子力技術研究所と隣接していることだ。

 東芝の原子力技術研究所には、「日本で唯一の民間実験炉」である小型の実験用原子炉がある。同研究所は東芝の浜川崎工場の広大な敷地のなかに存在するが、工場の警備担当者は「研究所が敷地のどこにあるかは答えられない」とIWJ記者に語った。

▲東芝の浜川崎工場ゲート。広大な敷地が広がる

 川崎市の危機管理室によると、同原子炉は国の新基準との関係で、2014年12月より運転を停止しているという。しかし、施設内には大量の放射性廃棄物が存在する。

 危機管理室の担当者はIWJの電話取材に対し、「毎年、原子力施設安全対策会議で東芝より『保有する廃棄物の量はドラム缶何本分』といった形で報告がある」と語った。しかし、「量と場所を公表する事は危険との判断から、詳細は教えられない」という。

 東芝の広報担当者は、IWJの電話取材に対し、「量は公開できないが、こちらに保管されているのは原子炉からの使用済燃料などではなく、分析に使ったウランと、ウランを触った手袋のみ。核分裂の生成物を含まない(中性子照射を伴わない)ものだ。炉で使っているウランは低出力のため、繰り返し使っており廃棄物として出ていない」と答えた。

 先述の川崎市危機管理室によると、火災発生後、午後12時に東芝から「原子炉に異常なし」との一報が入り、続いて13時40分には、「研究所を含めた浜川崎工場の敷地全域で異常なし」との報告を受けたという。

 大規模火災現場のすぐ近くに放射性廃棄物や原子炉が存在し、川崎市も常にその動向に注視していたという事実がありながら、メディアは一切触れていない。真っ先にその現況を伝えるべき施設の情報を、一斉に無視したのだ。

 しかも火災現場となった製造所付近では、隣接する東燃ゼネラル石油の工場でも、昨年3月に火災事故が発生している。この時も、隣接する東芝の原子炉施設の存在は報じられていない。

 昨年、今年と2度にわたって、原子炉施設のすぐ近くで火災が起きているという状況のなか、原子炉施設の火災や万が一の事故時の対応、対策はきちんと講じられ、近隣に共有されているのか。

 IWJは現場に急行し、生々しい火災の跡と煙の匂いの残る付近一帯で、聞き取り取材を行った。

記事目次

原子炉施設の存在 付近で働く男性「正直不安ある」

 東芝の浜川崎工場で働く男性は、付近で2度の火災事故が起きていることに聞くと、「小さい火災は結構ある」と話した。

(…会員ページにつづく)

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  1. 若大将 より:

    岩上さん、いつも貴重な記事をありがとうございます。

    さて、岩上さんが水曜朝、朝、FM群馬でコーナーをお持ちと知り、

    群馬県民ではないけど聴くようになりました。

    今朝、語られた川崎火災の本当の危険性、あんな密集地に東芝の原子炉・核施設が存在していたとは!

    鹿児島の川内原発が危険だと同時に、首都圏も同等以上に相当危険ですね。

    ドイツだったら何十万人規模のデモが起こり、推進派の議員と政党は全滅になりますね(フクシマ以降既に全滅ですが)

    FM群馬の岩上さんのトーク、記事同様楽しみにしております。

    PS,その後お体は如何ですか?適度な運動(散歩とか)でストレス解消、野菜やフルーツほか食のバランスなど留意され、

    ご自愛心からお祈りしています!

  2. 清沢満之 より:

    【「東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命」の全記事一覧】
    http://diamond.jp/category/s-tokyokaimetsu

  3. あのねあのね より:

     この映像を観て記事を読んだら、急に国分寺の日立の中央研究所について思いだした。私の恩師は日立で原子力関連の研究をしていて被爆し体調が悪くなったそうだ。同僚の方々も複数の人がやはり体調を悪化させたと云う。そのことを会社側に言ったのだが、無視されたそうだ。
     国分寺の日立中央研究所についても是非取材していただきたい。もちろんだが、日立中央研究所の説明を聴いてああそうですかでは取材にはならない。

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