ポツダム宣言の受諾からちょうど70年目の夜。安保法案の廃案を求める学生たちの抗議活動が全国規模で展開されている中、京都駅前ではSEALDs KANSAIによる街頭スピーチが行われ、1000人以上(主催者発表)の市民が詰めかけ、声をあげた。
※8月21日テキストを追加しました!
ポツダム宣言の受諾からちょうど70年目の夜。安保法案の廃案を求める学生たちの抗議活動が全国規模で展開されている中、京都駅前ではSEALDs KANSAIによる街頭スピーチが行われ、1000人以上(主催者発表)の市民が詰めかけ、声をあげた。
記事目次
■ハイライト
「僕らは言葉を捨ててはいけない」――。
「戦争は、ある日突然はじまるわけではない。権力者を縛る法や在民主権が侵されることで、国家は戦争へと向かっていきます。日本はすでに戦争への一歩を踏み出しているのではないでしょうか」
このように語るSEALDs KANSAIの塩田さん(神戸大学大学院)は、今こそ「言葉の力」が求められていると訴える。
「民主主義において重要なことは対話です。でも安倍政権はロボットのように同じことしかしゃべりません。僕らは言葉を捨てない。彼らのようにはならない。知性の名のもとに、民主主義の誇りをかけて、何度でも彼らの嘘を暴き、何度でも彼らの間違いを指摘していく」
「海外でのNGO活動とSEALDsの動きはセットだ」――。
立命館大の法学者・君島東彦教授は、本来あるべき「積極的平和主義」とはどういうものか、市民に語りかけた。
「平和主義というのは確かに日本列島に引きこもることではありません。例えば、アフガニスタンやパキスタンで活動している中村哲さんのペシャワール会。あるいはアフガンやイラク、パレスチナで活動している日本国際ボランティアセンターの人たち。彼らの活動と、国内のSEALDsの動きはセットです。戦争をさせないということは、同時に、世界の紛争地で平和を作る努力をするということですよ。これを積極的平和主義と言うんです」
「福島の子どもたちの不安を少しでも除去しなくちゃいけない。だから私は声を上げます」
SEALDs KANSAIのうたほさんは福島出身だ。安保法案や川内原発の再稼働について「私は怒っています」と、明確に反対を表明する。
「与党はこの夏、何重にも民主主義を否定してみせてくれました。それぞれに1年かけていいような11もの法案を、2つに束ねて議会に送る。私たちの自由を大きく制限することになりかねない法案を大きな括りにして、国民が気づかないように紛れ込ませてきた。この法案で私たちの命は危険にさらされると思います。
8月11日には川内原発が再稼働されました。何を思って安倍さんは原発が『安全』だと言い張ったのでしょう。私にはまったく理解できないし、その発言を、私は絶対に忘れません。」
そして「私たちは冷静に受けとめなければなりません。自分で思考し、何かを選び、判断しなくてはなりません。様々な手段を使って、私たちを黙らそうとする圧力に、自分の言葉を紡ぎつづけることで抵抗しましょう。民主主義の国に生きる努力を続けていきましょう」と訴えた。
「『命(ぬち)どぅ宝』という言葉を皆さんと共有したい」
よしのさんは沖縄出身の立場から、命の大切さと安保法案への懸念を訴えた。
「『命(ぬち)どぅ宝』という言葉は、命こそ宝、命を粗末にしてはいけないという、沖縄で長い間伝えられてきた言葉です。70年目の敗戦で日本政府は時間稼ぎのために琉球諸島を戦場にすることを決めました。日本という国体を守るために、大切な命が奪われていった。そして戦後は米軍基地を沖縄に押しつけた。レイプ事件、交通事故、飛行機墜落事件で多くの命が傷つけられた。
安全とか平和のためにとって、押しつぶされてきた犠牲を、私は忘れたくない。アメリカにこれ以上軍事力で協力する必要はありません。日本は今ある日本国憲法を自信をもって世界に適応させていくべきだと思います」
「政権は実は怯えている。戦争は嫌だと普通の人が、普通の言葉で抗議することを」
原発難民として福島から京都へやってきた元宇宙飛行士の秋山豊寛氏も、安保法案に反対する一人である。秋山氏は「戦争の難民と同じことが福島で起こった。それを放置してきたのは殺人と同じ。自衛隊を危険に晒すようなことも、ある意味では殺人じゃないか」と厳しい疑問を投げかける。
そして「この70年、私たちは外国の領土で人殺しをしないと誓ってきた。空襲で死んだ人たち、そしてアジアの人々。そのたくさんの死への贖いとして、憲法9条を実現し、今まで生きてきたんです。その核心が今崩されようとしている。そのことに若い人たちが敏感に反応している。学生さんたちが、今、憲法を生き始めている」と、若い世代の抗議活動の広がりに賛同の意を表明した。
(…会員ページにつづく)