多くの国民が懸念を表明し、9割もの憲法学者が「違憲」であると述べているにも関わらず、安倍政権は「戦争法案」こと安全保障関連法案の成立に突き進んでいる。この動きに強く反発し、毎週金曜日、国会前で抗議の声を上げているのが、大学生有志による「SEALDs（シールズ）」だ。

　このSEALDsに刺激され、中高年も立ち上がった。8月8日（土）、60代～70代からなる「OLDs（オールズ）」が巣鴨駅前で集会を開催。FacebookなどSNSで参加者を募り、この日は3人がマイクを握ってスピーチをした。

　この日の集会には、OLDsに触発された40～50代の「MIDDLEs（ミドルズ）」も合流。巣鴨駅前には、100人もの人々が集まり、「安保反対」「安倍政権にNo！」といったプラカードを掲げた。

• 日時 2015年8月8日（土）17:00〜
• 場所 巣鴨駅北口（東京都豊島区）
• 主催 OLDs／MIDDLEs (Facebook)

「彼らはすごくいい」 SEALDsを称えるOLDsの声

　OLDsとして参加した75歳の男性は、次のように語る。

　「Facebookでこの集会のことを知り、OLDsの世代として、少しでも何かしたいと思い参加しました。国会で安倍総理が言っていることはチンプンカンプン。聞かれたことに正面から答えず、ますます迷走しているように感じます。法案自体は、もう壊れてしまっていると思うんです。 （SEALDsの活動は）すごくいいですね。私は60年安保の世代なんですが、彼らは、普段の言葉で『反対』ということを表現していますよね。統制されているわけじゃないし、そういう点が非常に素晴らしいと思います」

　この日の集会には、MIDDLEsとして、詩人の秋元里文氏が参加し、マイクを握った。MIDDLEsの声明文を読み、参加を決めたという。秋元氏はスピーチの中で、詩人の山之口貘による「喪のある景色」という詩を読み上げた。

喪のある景色
うしろを振りむくと
親である
親のうしろがその親である
その親のそのまたうしろがまたその親の親であるというように
親の親の親ばっかりが
むかしの奧へとつづいている
まえを見ると まえは子である
子のまえはその子である
その子のそのまたまえはそのまた子の子であるというように
子の子の子の子の子ばっかりが 空の彼方へ消えているように
未来の涯へとつづいている
こんな景色のなかに
神のバトンが落ちている
血に染まった地球が落ちている

　秋元氏はスピーチ後、IWJのインタビューに答えて、この詩を読んだ理由について、次のように語った。

　「今日、ここに立とうと思ったのは、自分たちの次の世代とか、もっと先の世代に、この国だったり地球だったりを渡していかなきゃいけないという気持ちがあるからです。本当にこのままだったら、未来は真っ暗だって思うので、そういう気持ちを込めて、『その子のそのまたまえはそのまた子の子である』と、未来に続いているっていうところを伝えたくて、この詩を選びました」

　OLDsとMIDDLEsは、今後も集会の開催を継続していくという。8月30日には、国会前で10万人、全国で100万人規模のデモが予定されている。全国のOLDs世代、MIDDLEs世代がこの動きに呼応し、デモに参加すれば、「反安保」「反安倍」の動きは、より一層加速することになる。