戦争に加担してしまった宗教者の過去に、学ぶのか蓋をするのか――仏教、神道、キリスト教の信者300人が全国から集結「殺してはならぬ、殺させてはならぬ」 2015.7.24

記事公開日:2015.7.29取材地: テキスト動画
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(取材:沼沢純矢・ぎぎまき、記事:ぎぎまき)

※7月29日テキストを追加しました!

 「天皇の大御心と阿弥陀様の思いを同一とすることで、100万といわれる門徒を戦争へと駆り立てた」――。

 2015年7月15日、衆院特別委員会で可決された安全保障関連法案。安倍政権の強行採決を「クーデター」とする見方も多く、法案に反対する世論の勢いは増すばかりだ。

 24日、安保法案をはじめ、TPP、沖縄米軍基地、社会保障など12のイシューに反対する「安倍政権NO」の大行動が行なわれ、約7万人が国会周辺に集結したこの日、仏教やキリスト教など宗教を超えた僧侶、門徒、信者ら約300名も参議院議員会館前で抗議を行なった。

▲築地本願寺(東京・築地)

 宗教者らは抗議に先立ち、築地・東本願寺で集会を開き、日本を再び「殺し、殺させる」国にすることを可能にする「戦争法案」に反対する声を上げた。

 集会の呼びかけ人の一人であり、浄土真宗大谷派の雨森真一氏の祖父は、昭和15年頃、改教のために台湾へ渡ったという。現地の台湾人に「日本のために命を捧げるよう」皇民化教育を行うためだったと、雨森氏はIWJのインタビューに答えた。

 「実際は全く別のものである、天皇の大御心と阿弥陀の思いを同一のものとすることで、浄土真宗は、東本願寺系の100万と言われる門徒を戦争へと駆り立てました。

 私の父方の祖父は、台湾に改教に行っています。改教というのは『日本のために君らは死ぬんだよ』という教育です。母方は兵士として戦死、父方では改教という形で、言ってみれば、加害と被害の二人を抱えています。実際は、母方も加害ですけれど。

 その中で、たまたま生まれた私が何を引き継いでいくのか。戦争を推進していった歴史に学ぶのか、蓋をするのか、私自身が考えなければいけない。そういう思いでやっています」

■ハイライト

大日本帝国憲法の下、全く無力だった

 この日、築地の東本願寺には仏教の僧侶や門徒以外にも、神道の神主、キリスト教の神父など、宗教や党派を超えた宗教者が一堂に会した。

 東京・中野から駆けつけたという81歳の神父も、雨森氏同様、戦争に参加してしまった過去のキリスト教の反省に言及し、「今のうちに声をあげなければ」と訴えた。

 「大学に入った時に安保60年で、アメリカの手先となり、同盟的にやることに反対してきました。キリスト教としても戦争は絶対に反対です。憲法9条がある日本で、それをなくすことは許されないので、僧侶や門徒たちと一緒に反対しようと参加しました。

 キリスト教は前の戦争に全く無力でした。声を出さず、戦争に参加した。その時にあったのは帝国憲法で、天皇に従わなければいけなかった。命令に反したら弾圧された。かつては、キリスト教も迫害されたから黙ってしまったのでしょうね。

 (今の時代も)これから、どうなるか分かりません。今のうちに声をあげなければと思っています」

 新潟から参加した35歳の真宗大谷派の男性も「いてもたってもいられなかった」と、参加した理由を話した。

 「兵戈無用 (ひょうがむよう)、『殺してはならぬ、殺させてはならぬ』というのは、教典の中に出てくる言葉です。この教典を信仰する者として、これを課題にしなければいけないと思っています。

 門徒の中には、この法案に賛成する方もいると思いますが、その方は、この経典の教えを、心の中だけの問題だととらえ、戦争法案と信仰は直接関係ないと思っているかもしれませんね」

 男性は、門徒として法案に賛成するのは矛盾していると感じながらも、他人に考えを強要してはいけないという考え方も示した。続けて、若者や母親など、幅広い層にまで反対運動が浸透している状況を報道などで見て「感動した」と話す。

 「心強いばかりです。本人たちはそんな気はなくても、私から見れば、仏様の願いに無意識の中で答えているように見えますね。言葉ではうまく言えませんが、感動しています」

何が何でもこの道しかないという安倍政治は「狂気じみている」

▲聖護院門跡門主の宮城泰年氏

 「宗教者9条の輪」の一人であり、聖護院門跡門主の宮城泰年氏がマイクを取った。戦争体験者である宮城氏は、幼少期、米兵を殺す訓練をさせられた過去を持つ。竹槍で訓練するお粗末さに疑問を持った宮城氏がある日、「こんなんで勝てるんやろか」とつぶやくと、教官は宮城氏をリンチしたという。

 「その時はとにかく、その道しかなかった。この『戦争法案』もまさに、この道しかないということをやろうとしている」

 宮城氏は法案を巡る安倍総理らの国会答弁を見て「狂気じみている」と非難した。

 「狂気じみた、人を愚弄したような支離滅裂の国会答弁を見ていると、『何が何でもこの道しかない』という恐れを感じます。私たちにとってみれば、それは、あの時代の再来を思わせます。

 宗教者は主義主張、政界の動き、財界の動きを超越して、自由にものが言える世界。その声をも制限されるような憲法ができてしまった時、どうなるのかを考えなければいけません」

 宮城氏は、この先、自民党が目指す明文改憲が待ち受けているとし、「自民党の憲法改正草案を今からしっかりと読み、憲法を改正させてはならない」と強く訴え、戦争法案に反対するという一点で宗教者が団結しなければと呼びかけた。

強行採決すれば支持率は10%下がるのが相場

 「戦後史を語る時に、いつも『戦後』という枕詞を使ってきた。戦後70年で、『戦後』という言葉が終わりかねない」

 国会周辺での大規模な行動を連日主催している「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の高田健氏は、この日、宗教者を前に基調報告を行なった。高田氏は、衆議院で安保法案を強行採決した安倍政権を批判しつつも、強行採決に追い込んだのは法案に反対する世論の成果だという見方を示した。

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