「仕事も生きがいも奪われた」――シリア渡航計画で旅券没収、渡航制限された報道カメラマン杉本祐一氏が国を提訴、外務省の措置は「拙速、杜撰、官邸の焦りの表れ」と弁護士が指摘 2015.7.30

記事公開日:2015.8.4取材地: テキスト動画
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(IWJ・青木浩文)

※8月4日テキストを追加しました!

 2015年7月30日(木)14時より、司法記者クラブで外務省から旅券返納命令を受けたカメラマンの杉本祐一氏が「パスポート没収の取り消しを求める裁判」について記者会見を行った。

 シリアへの渡航計画を理由に、外務省から旅券返納命令を受け、シリアとイラクへの渡航を制限された新潟市のフリーカメラマン杉本祐一さん(58)が2015年7月30日、国の措置は憲法違反などとして、旅券返納命令と渡航制限の取り消しを求める訴えを東京地裁に起こした。

 杉本さんは、新潟に拠点を置き、1994年以降、主に戦地、イラク、アフガニスタン、パレスチナ、旧ユーゴスラビア等を中心に取材活動を行い、写真展の開催、雑誌への寄稿、自主制作の映画の発表を行うなど、幅広く活動してきたジャーナリストだ。

■ハイライト

 今年2月、杉本さんはシリアへの渡航を計画していたところ、外務省から渡航の自粛を求められたが、応じなかったため、パスポートを返納させられた。外務省が、旅券法19条1項4号の「旅券の名義人の生命、身体又は財産の保護のために渡航を中止させる必要があると認められる場合」にあたると判断したためだった。また、4月に新しい旅券が発給されたが、シリアとイラクには渡航できないことが明記された制限付きの旅券だった。

 杉本さん側は、これらの処分が原告の報道・取材、海外渡航の自由を制限するものであること、旅券法の条文解釈に問題があること、そして、旅券の返納、渡航先の制限という不利益処分を行なったにもかかわらず、外務省が法律で定められた意見陳述の手続きを行なっていないという、手続き面でも重大な瑕疵があるとして訴えている。

「僕にとって、仕事も奪われた。生きがいも奪われた」

 外務省が取った今回の措置について、杉本さんは自身の置かれた状況をこう訴えた。

(…会員ページにつづく)

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