【16時~17時ころ】
意見聴取会の出席者や報道陣は、準備を行いながら開始予定である16時15分を待つ。中継機材のチェックを行うため、記者席に座りパソコン画面に目を落としていると、後方出入り口付近から、物凄い声が。驚いて顔を上げると、3~4人の男性が何かを訴えながら入ってきた。会場の目は男性たちに釘付けになり、報道陣は一斉にカメラを向ける。すぐに一人の男性は職員ともみ合いになった。しかし、もみ合いになりながらも何かを必死に訴えている。
「市民の傍聴を認めろ」
「利益相反の疑いがある委員を辞めさせろ」
原発に反対している市民が会場に乗り込んできたのだと理解できた。カメラを会場後方の入り口付近に向けると、さらに何人かの市民が入ってきていた。女性や山本太郎氏の姿もあった。ほどなくして、職員は男性を押さえ込むことをあきらめる。記者席前方の議場に座っている委員や保安院職員たちは、市民の訴えに対し、うつむいたり、資料をめくったり、男性たちを見たりと、各々の動きをして見せた。何人かの委員や職員は、ぽつぽつと訴えに対し答えているようだったが、市民たちは納得せず抗議は続いた。
すぐ後ろに大声で訴えている初老の男性がいたため、カメラを向ける。彼は別室モニターで傍聴していたようで、カメラアングルの改善を求めていた。しかし、その言い方と論点の違いから、緊迫した会場は少し笑いに包まれた。続けて男性は、「プレスの責任だ!」と述べ、メディアの報道姿勢について批判した。その瞬間、スーツを着た男性が初老の男性の左腕を素早く掴み、力づくで会場から引っぱり出そうとした。初老の男性は出されまいと抵抗し、それに気がついた複数の市民が、「職員の方は暴力を止めてください」と口々に訴えたため、スーツを着た男性は手を離した。スーツの男性は右手にハンディカムを持っていた。
意見聴取会の開催が困難になったため、職員から対応を協議するためそのまま待つように指示が出る。議場に座っている保安院の黒木慎一審議官と市村知也課長は、しばしば携帯電話で通話を行っていた。市民たちは委員たちに発言を求めるが、それに応じることはなかった。市民の何人かに話を聞くと、会場に入っている人には、直接乗り込んできた人と別室で傍聴していた人がいると話してくれた。また、福島からきたという人もいた。私の近くでは、市民の1人が電力会社社員に、「関西電力の社員ですか」と問いかけ、社員は「答えられません」と言っていた。
【17時~18時ころ】
後藤政志委員は意見聴取会について、「議論というのは、課題について色々な広がりを持つ、枠組みをして限定してはならない」、「皆さんに聞く権利がある」と述べると、市民から拍手がおこった。17時を過ぎたころから、市民たちは後日傍聴が出来る形での開催を求め、流会を求めるようになった。
18時が近づいたころ、対応を協議していると言い続ける保安院の対応に対し、市民たちはいらだちはじめた。黒木審議官が委員の退室を指示した。机上の資料も持たずに退室していく職員と委員たちを見ながら、後藤委員はマイクを取り、「公開するか、場所を移すかという議論をしていたのではないか」、「なぜそうする(退室する)のか」と訴えた。会場には後藤・井野委員と電力会社社員、報道関係者、市民が残された。
再び騒然とした会場で、市民男性が「プレスじゃない人が写真を取っている」とその男性を指して声を上げると、写真をとっていた男性は、顔の前で手をひらひらとさせ、いま出ていくといったポーズを見せて、退室した。この出来事に市民女性は「公安も予約して登録したの?」と皮肉めいた冗談を言った。
[18時09分]
【18時ころ】
保安院の吉澤雅隆原子力安全広報課長が現れ、議論が出来ない状況であると述べ、全員に退室を求めた。しかし、市民たちは応じなかった。吉澤課長は市民の言葉を聞き、話し合うが、どうにもならなかった。そこへ、もう一人別の職員と思しき、眼鏡をかけた男性が、電力会社社員とJNES職員、後藤・井野委員に再び退室を求める。この男性に言葉を聞くような姿勢はなく、ただ退室を求め、去っていった。会場はブーイングの嵐になった。後藤委員は手にしたファイルで机を一度叩き、激しい口調で、「時間がかかるのはわかる。しかし、対応をしているときに、委員だけ密室に行く、そんなやり方はない。みんなの前でやればいい」と述べた。
私たちIWJのカメラは、退室していく関係者たちを追った。廊下には警備の人間が10人弱並んでいた。エレベーターホールまでいくと、職員が手際よく関係者をエレベーターに載せていた。エレベーターには到着階の表示がなく、どこへ行ったかわからなくなった。他のエレベーターは停止しているか、警備員によって封鎖されていた。一人の警備員に、関係者の行き先をそれとなく聞こうとするが、断られた。さらに、会場以外は撮影禁止のためカメラを止めるよう言われた。私たちは追跡を断念し、会場へ戻った。
会場へ戻ると、委員がいなくなり、あいた席に市民が座り、井野委員が発言をしていた。井野委員は講堂に移して行えば、問題なかったと述べた。そして、このような事態になったことに対し、「保安院がまいた種だと思う、今後どうするのか注目したい」と述べた。次に後藤委員が、今日の会議で大飯3・4号機は安全だというプレス発表が出ることに愕然としていると述べた。突然、その発言を遮るように、眼鏡をかけた男性職員が再び退室を求め、去った。その後、後藤委員は会議が評価の対象にしているものが限られていると述べた。原子力安全基盤機構元検査員で井野委員の同行人は、ストレステストは複合的な事象を想定していないと述べた。山本太郎氏が質問を行い、委員の席に座った市民も意見を述べた。
一通り発言が終わり、市民は井野・後藤委員以外の聴取会関係者がいなくなったこの場をどうするか議論を始めた。警察に排除される可能性を危惧し、移動する話が出たが、待つことをを決めた。メディアに対し、帰らないで撮り続けてくれと述べた。職員が来るのを待つ市民たちは、意見を交換し、報道関係者も委員たちの見解を聞いた。山本太郎氏も記者の質問に答えた。
それから30分~40分たった19時過ぎに、先ほどの眼鏡をかけた職員が、経済産業省本館17階で、傍聴者を一切入れないで聴取会を行うと伝えた。会場はまた騒然となり、それに憤る市民が詰め寄り、傍聴を強く求めた。報道関係者もそれを撮ろうと密集したため、20人ほどの団子状態になった。その中心で、二度ほど職員が後ろに倒れそうになるが、市民男性はそれを助けた。市民男性は、「わざと倒れようとしている」と言った。3分ほどして、他の職員たちが入ってきて、眼鏡をかけた職員を会場外へ引っ張り出した。
私たちは報道関係者は移動を求められ、廊下へ出た。エレベーターはやはり一つしか使えないようにされていた。1階エレベーターホールに降りると、入り口付近に20名前後の制服を来た警察官が整列しているのが見えた。そして、コートとスーツを着た男性たち10名弱がエレベーターの前に立ちはだかり、再び上に戻ることが出来ないようにしていた。私たちはあわてており、次の会場を記憶できていなかったため、職員に尋ねてから本館へ向かった。
会場移動後、傍聴禁止のうえで会議を開始
会場移動後の20時から、傍聴禁止のうえで意見聴取会が開始された。井野博満委員、後藤政志委員は傍聴禁止に反対、元の会場に残り欠席した。開始から15分ほどたった頃、枝野経産大臣が会場にあらわれた。大臣は、専門家の意見を聞く場で騒ぎが起きたことに対し、「申し訳なく思う」と委員に謝罪した。
今回は大飯発電所3・4号機、伊方発電所3号機、美浜発電所3号機および敦賀発電所2号機、ストレステストの審査の進め方について意見聴取が予定されていた。しかし、22時になり、進行役の岡本委員から会議終了が告げられた。議事は半分ほどしか進まずに聴取会は終了した。
聴取会終了後、報道陣による黒木審議官へのぶらさがり取材が行われた。その中で黒木審議官は、聴取会では技術的な意見を専門家から聞いているため、原発再稼動は最終的に「3大臣が判断すること」と述べた。また、IWJ阿部が「(会場の外で行われている)抗議活動が聞こえていると思うが、感じることはあるか、伝えたいことはあるか」と質問。黒木審議官は「(原発事故は)安全規制をやっている人間として衝撃を受けた」と述べ、「二度と起こさないためのシンプルな方法は全て止めることだが、社会の中では安全であれば必要であろう」と現状について述べた。そして、原発を止めるかどうかは「政策の問題」とし、保安院として安全対策に「真摯に取り組む」と述べた。
会議終了後、経産省前での木野さんによるまとめ
全文文字起こし
【意見聴取会】
市村「今日は4つの議題を用意しておりましたが、既にもともとの閉会時刻を過ぎていますので、時間の状況を見ながらできるところまで進めたいと考えています。資料の確認等は省かせていただきます。議事進行はこれまでどおり岡本先生にお願いしたいと思います。それでは、岡本先生、よろしくお願いします」
岡本「進行役として以降の進行を務めさせていただきたいと思います。今も既に話がありましたように、本日4つの議題がございます、議題1「関西電力株式会社大飯発電所3.4号2機に関する一次評価について」に入りたいと思います。まずは保安院から資料の説明をお願いいたします」
<ここから特別公開中>
浦野「それでは、お手元の資料ST 第7-1-2に基づきまして、審査書(素案)の説明をさせていただきたいと思います。もともとの資料ST 第7-1-1におきまして、岡本委員より御質問いただいている緊急時の指揮命令系統と人員について、時系列に沿って提示していただけるとありがたいというコメントなどもございます。こういったことも少し織り込んで説明をさせていただきたいと思います。
次のページには井野委員から出ている質問1、質問2という中で、審査の判断基準を幾つ示すのか、評価結果をどういう尺度で見ていくのか、審査基準はどういう形で示されるのか、審査の基準を示されない限り、これ以上評価を進め結論を出すことはできないと考えるか、ということもございます。これは我々が審査書(素案)をまとめるに当たり、もとより考えていたところを中に織り込んでございますので、こういった点も少し触れて説明させていただきたいと思ってございます。
それでは、資料ST 第7-1-2に基づきまして説明させていただきます、1枚目開いていただき、目次をまずごらんください。『1.はじめに』『2.大飯発電所の概要』は6-8ページとなります。6ページは『1.はじめに』ということで、ストレステストを実施するに至るまでの経緯、これを受けて10月28日に関西電力から大飯発電所3号機について総合評価の報告がなされ、また、11月17日には4号機について報告がなされてきたことの概要を示してございます。『2.大飯発電所の概要』は8ページをごらんください。これを概要としてお示ししてございますが、109ページをお開きいただきますと、図面関係としましても少しわかりやすいように敷地図、110ページには断面図関係もお付けしてございますので、ごらんいただきながら大飯発電所の概要を確認していただきたいと思っております。
10ページには大飯発電所の緊急安全対策等の実施ということで、こちらも示してございます。文字的にはたくさん書いてありますが、図面関係では112ページに概要をわかりやすくするために付けてあり、11ページは『3.保安院による審査の方針』でございます。ここには審査の基本的考え方、審査の方法、透明性の確保、審査の時点、審査の体制、本審査書の構成といったものをお示ししてございます。
13ページは『4.品質保証体制に関する評価』ということで、第4章におきましては関西電力がストレステストに関する作業を実施するに当たり、品質保証をするための取組みが適切になされているかどうかを確認したものでございます。保安院の評価については14ページの4.2にお示しした関西電力においてはこのストレステストに係る評価及び報告に当たり、JEAGに基づきます品質保証規定を適用して構築した品質マネジメントシステムに基づき、総合評価係る実施計画を業務文書として策定し、当該計画には調達先作業を含めた評価の実施体制や個々の作業の検証手法、調達先管理の方法等が定められていることを確認しています。一番下の矢印に示しているところで、関西電力が実施した解析業務については、具体的な評価方法を示した業務文書を策定し、それに基づき評価を行っていることや、自社の解析実施状況調査結果により、一連のプロセスを検証した結果を示しているということでございます。複数の部署が関与して行う評価もございましたが、15ページに至るところに記載しているとおり、こちらにつきましても検証を行ってございます。
15ページ2つ目の矢印ですが、調達先に依頼する解析業務につきましては、関西電力におきます一般仕様書といった規定書類に基づきまして、解析業務計画が調達先によって作成され、作業フローや検証方法が明確化されていること。それが関西電力に提出されていることを確認しています。関西電力側ではチェックシートを用いて、調達先より解析業務が適切に行われているか否かチェックしており、それを結果として記録していることを確認しています。事業者報告書については、評価に影響を与える数値等の誤りがないかなどを調査するため、目的、調査体制、調査手順等を明確化しました。調査実施計画を定めていることを確認してございます。同調査計画に基づきまして、調査部署の担当者及び役職者などがダブルチェックを行うといったこと、独立の品質保証グループがその調査実施プロセスの適切性を確認することとして、報告書に係る品質保証グループの確認を記録していることを確認しています。
誠に恐縮でございますが、また1ページの目次に戻っていただき、ここまでが実際に我々が指示したところに至るまでの前提になるところでございますが、『5.地震に関する評価』『6.津波に関する評価』『7.地震と津波の重畳に関する評価』『8.全交流電源喪失に関する評価』『9.最終ヒートシンク喪失に関する評価』でそれぞれの評価を示してございます。10章では地震・津波及び地震・津波の重畳時における原子炉及び使用済燃料ピットの冷却時間の評価、11章としましてはシビアアクシデント・マネジメントの評価、12章として総合的評価に関する保安院としての見解という構成で作成させていただいています。16ページでは地震に関する評価として、この章では関西電力により設計上の想定を超える地震動が発電所に来襲した場合に、燃料の重大な損傷に至ることなく、どの程度の地震動まで耐えられることができるかという評価を確認したものです。この内容については、これまで種々さまざまに委員の方々に御議論いただいており、我々4からも論点整理をお示しして御確認いただいています。一つ一つ説明いたしますと大量な内容になりますので、説明は割愛させていただきます。この中で順次開いていただきますと、これまで御審議いただいた内容が御確認いただけるかと思います。
29 ページ、その結果として『5.2 クリフエッジの特定について』です。これについては関西電力の方で耐震裕度についての外部電源喪失シナリオ等について、同様の1.8 倍のSsをクリフエッジとしているということ。これは図5-1ということで114ページをお開きください。ここではイベントツリーの耐震裕度及びクリフエッジ評価ということで、こちらでお示ししているとおり、あるところの1.8 倍のSsを評価してございます。元に戻っていただきまして、30ページは当院の評価として、我々が確認したことなどをお示ししています。以降につきましては、ポイントとなるところ及び新しくなった情報的なところを、かいつまんで説明させていただきます。33ページは防護措置の成立性としまして、緊急安全対策など事象の進展に応じて必要となる防護措置に関して、我々としては関西電力が示す資料ですとか、前回御説明させていただきました現地調査といったことを行うことにより、確認させていただきました。その下には、それぞれこれまで現地調査などで確認した状況をお示ししたものになっています。35ページは少しポイント的なところで整理させていただきたいと思いますけが、一番下のところ、防護措置に係る体制や役割分担、要員配置ということで、岡本委員からも御質問があった点と少し重なるところでございますが、これにつきましては直流電源が喪失するまでに代替の交流電源を確保することなど、必要な作業が抽出されている。こういったことについて、前回の意見聴取会でも必要な作業、それに要する要員といったことを記載していますが、お示しして説明させていただきました。この際に、36ページは166名の要員を招集するまでの計画としましてお示ししてございますが、図5-2や図5-3は115ページをお開きください。こういったことの要員の確保につきましては115 ページで要員が確保されること。順番が逆になりますが、116ページではそれぞれの作業に要する要員を、もう一度改めてここに掲載しています。また36ページにお戻りいただきたいのでございますが、こういった対応については、発電所の対策本部長(発電所長)の下に課長クラスを班長とする体制が構築されることで、それぞれ防護措置として必要な作業が割り振られていることを確認しています。こちらは図5-4ということで117ページをお開きください。こちらに体制図をお示ししています。夜間・休日においては副所長クラスの方がおり指揮をとります。半日程度、12時間程度もすれば所長または副所長が参集するということで、この体制がきちんとなされていることの説明がなされています。
536ページに戻っていただきまして、発電所外からの招集要員の確保につきましては、発電所までの移動ルートや移動手段の確保について、実現性のある評価を行っていること。23年8月24日には常駐者を更に14名増員する。今後も引き続き発電所の常駐者を段階的に増強し、体制の強化を図る予定であることを確認してございます。これについてはお手元の資料ST 第7-1-4、1枚めくっていただき本日、岡本委員からの質問に対する回答ということで、関西電力の方から回答書も用意されています。こちらに記載がありますので、必要があればまた説明を加えさせていただきたいと思います。報告書の36ページにお戻りいただきたいと思います。次の矢印は事故時の指揮所の成立性についての確認です。前回の意見聴取会において、西川委員より指揮所について御質問を受けたところですが、十分かつ適切な説明に至らないということもあり、御質問の趣旨の観点から指揮所の成立性についても確認していて、そういったことについての内容を記載しています。指揮所につきましては、ヨウ素除去のフィルターが装着されました空調設備を有する緊急対策所、これは1号機タービン建屋の横の第1事務所地下1階、こちらは138ページをお開きください。字が小さくて誠に恐縮ですが、こちらで発電所の敷地全体のレイアウトを示してございます。この中でやや右側のところに第1事務所があり、ここが指揮所となります」
枝野「途中ですが、改めまして委員の先生方におわび申し上げたくやってまいりました。前回にもそういったことがあったと報告を受けておりますが、特に本日は大変委員の皆様方には御迷惑をおかけをして、不快な思いをさせたこと、経産大臣として心よりおわび申し上げます。本当に申し訳ございません。言うまでもなく、この会は保安院の行っているストレステストに対するチェックを専門家の皆さんに科学的、専門的な見地から御意見を承り、それを委員の皆さん同士で場合によっては御議論いただくことが、安全性について委員の皆さん以外の方、国民の皆さんにもいろいろな形で安全なのか安全でないのか理解していく上で必要な、まさに専門的な議論をたたかわせていただく場だということで皆様方にお願いをしておりますが、残念ながらそういった趣旨を御理解をいただけない中で、今日のような事態になったことは大変残念でありますし、申し訳なく思っております。ただ、是非専門家の皆さんに専門的な知見から、厳しく保安院が行っているチェックがこれで本当に大丈夫なのかどうかということを、国民の皆さんに知っていただける形で御議論いただくことは大変重要なことだと思っておりますので、大変御不快な念を持たせまして申し訳ありませんが、引き続きよろしくお願いしたいと思います。また、今回はリアルタイムで見ていただくことが困難かと思っておりましたが、民間の映像配信業者の皆さんの御協力といいますか、御尽力によって、これもリアルタイムでネットでは中継をしていただいていると報告を受けました。また引き続き専門的な見地から厳しくチェックをしていただきますようお願い申し上げ、重ねておわび申し上げまして、割込みましたが、大臣としてのおわびとさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます」
浦野「それでは、続けさせていただきます。36ページの緊急時指揮所の成立性でございます。2行目のところからですが、地下1階にあるということでございます。当該建物は耐震性は建築基準法の1.5倍の強度であるということ、このため、地震によるクリフエッジに対しては機能しない。また、建物の設置標高が9.3メートルということで、後述にありますクリフエッジの津波高さに対して、津波来襲時に浸水してしまい、機能が使用できないということで、この代替施設は11.3メートルにございます第2事務所の6階、もう一度138ページをお開きいただきたいと思いますが、こちらの第2事務所の6階にあるということです。36ページに戻っていただきますと、この事務所は津波による影響はないということですが、建物自体が建築基準法に基づき設計されているものということで、地震によるクリフエッジに対して使用が期待できない。このため、関西電力においては、地震と津波両方のクリフエッジに対して機能する緊急時の対策所を確保することとしまして、平成28年度中を目途に、新たに免震構造を有する免震棟を設置することとしております。この免震棟を設置するまでの間については1、2号機または3、4号機の中央制御室の空きスペースに緊急時対策所を設置すること。同場所には通信機器等が備えられており、発電所内外と通信連絡を行うといったことから、指揮所機能を確保できる用意があることを確認してございます。更に代替措置としましては、指揮及び情報連絡の拠点として発電所構内の屋外に災害対応用の屋外テントを設置して、そこで発電所外との連絡用の緊急時の衛星通信システムや発電所構内外連絡用の衛星携帯電話、トランシーバ、仮設電源を備える用意があることを確認してございます。39ページ、地震に対する当院の評価、5章のまとめをお示ししています。当院としましては関西電力が実施した設計上の想定を超える地震動が発電所に来襲した場合の評価については、保安院の指示に従って適切に評価されていると考えます。40ページ中ほど下、したがって、想定を超える地震に対するクリフエッジは、運転中の原子炉についてはSsの1.80倍、使用済燃料ピットについてはSsの2倍ということにおいて評価している関西電力の評価は妥当と考えています。41ページは津波に関する評価でございます。6章においては関西電力に設計上の想定を超える津波が発電所に来襲した場合に、燃料の重大な損傷に至ることなく、どの程度の津波高さまで耐えられることができるかという評価が、適切に行われたかどうかを確認してございます。42ページ、矢印で示した4目でございますが、設計津波高さについて再掲させていただいています。このところでは耐震バックチェックにおいて、Ssの策定に考慮した活断層を踏まえて波源を変更したことにより、津波設計高さを2.85メートルとしていることを示しています。
(20:08)
設計津波高さの算定につきましては43ページをお開きください。括弧3『許容津波高さの算出について』も論点整理などでお示ししてございますが、44ページでクリフエッジの特定というものを中ほどにお示ししてございます。緊急安全対策として実施した扉や貫通部のシール施工等を考慮しまして、11.4メートルを考慮しているということでございます。これについては当該設備の機能に影響を与えないこととして図2-2、110ページをお開きください。こちらの断面図をごらんいただきながら状況を御確認いただきたいと思います。44ページに戻っていただき、以降、これらにつきましてはこれまで論点整理ということでお示ししてきた内容ですので、少し説明を割愛させていただきます。
48ページ、クリフエッジの特定といたしまして、補機冷却水の喪失の収束シナリオを特定した上で、収束に用いられる全ての影響緩和機能の許容津波高さを評価し、収束シナリオの許容津波高さを特定しているということで、許容津波高さは11.4メートルとしている。120ページ図6-2にイベントツリーで評価を示しています。48ページに戻っていただき、2)としまして当院の評価をお示ししています。
51ページ、これらについての防護措置の成立性といたしまして、緊急安全対策等、事象の進展に応じて必要となる防護措置に関して、関西電力が示す資料や現地調査によって確認した内容について、以下のとおりということでお示ししています。これらについては前回の意見聴取会において、現地調査の結果等を踏まえてこういったことをお示ししています。52ページ、使用済燃料ピットに関する評価ということで、同様に事故収束後シナリオを想定したシナリオというもののイベントツリーを、表6-3ですとか表6-4、123ページでございますが、こちらでお示ししています。
52ページにお戻りいただきまして、これについての当院の評価を下の方にお示ししてございます。6章の当院としての評価につきまして、55ページに6.4 という形でお示ししています。当院としましては、関西電力が実施した設計上の想定を超える津波が発電所に来襲した場合の評価について、保安院の指示に沿って適切に実施したと考えています。この想定を超える津波に対するクリフエッジについては、運転中の原子炉につきましては設計津波高さの約4倍の津波高さ11.4メートル、使用済燃料ピットについては設計津波高さの約5倍の津波高さ14.4メートル と関西電力が評価していることは、妥当なものと当院としては評価しています。
56ページには第7章といたしまして、地震と津波の重畳に関する評価を示してございます。この章につきましては設計上の想定を超える地震と津波が発電所に来襲した場合に、燃料の重大な損傷に至ることなく、どの程度の地震動及び津波高さまで耐えられることができるのかの評価を適切に行えたかどうかを確認しています。これにつきまして57ページにおきまして、クリフエッジを特定ということをお示ししています。炉心の燃料に関する評価につきましては括弧1で示しているところ、下から第2パラグラフに当たりますが、表7-1としまして125 ページをごらんいただきたいと思います。ここに一覧で炉心のもののクリフエッジを示してございます。125ページの下には、同様に使用済燃料ピットについてのクリフエッジの評価を添付してございます。
58ページに戻っていただきまして、これで炉心に対する評価、使用済燃料ピットの燃料に対する評価という状況をお示ししたところ、59ページで今ごらんいただきました表7-2を参照するという形にしてございます。これにおきまして丸1が地震による起因事象をベースとした評価としまして、地震の起因事象についてイベントツリーを示した。この成功パスのシナリオについては図7-2ということで127 ページをお開きください。これがそのパスをお示ししている状況になってございます。
59ページにお戻りいただきまして『7.3 緊急安全対策の効果』をお示ししています。第7章におけます当院のまとめにつきましては、61ページで7.4 としてお示ししてございます。ここでは、当院としましては地震と津波の重畳現象を独立のものとして安全側の評価を実施していること、設備などが単体で有する評価において、5章の地震に関する評価ですとか、6章の津波に関する評価において妥当性を確認した評価を用いることは妥当だと考えてございまして、また、これらの組み合わせにより大飯発電所3号機、4号機はシステム全体として有する裕度の評価に当たりましては、5章、6章において確認したそれぞれの起因事象の選定結果、収束シナリオの評価結果を踏まえて、地震と津波が重畳した場合のクリフエッジを特定するのは妥当だと考えています。ですので想定を超える津波に対するクリフエッジ、運転中の原子炉については、Ss の1.8倍以上の地震動、または設計津波高さの約4倍の津波高さ11.4メートル、使用済燃料ピットにつきましては基準地震動の2倍以上の地震動、または設計津波高さの約5倍の津波高さ14.4メートル と関西電力が評価していることは、妥当と評価しています。
63ページ、第8章としまして全交流電源喪失に関する評価として、関西電力により全交流電源喪失事象が発生した場合の事象の進展が特定され、燃料の重大な損傷に至ることなく原子炉及び使用済燃料ピットの冷却を継続できる時間の評価が、適切に行われたかどうかを確認したものです。これについて8.1としましては、全交流電源喪失の事象進展と冷却時間についてお示ししています。括弧1で外部電源喪失から全交流電源喪失までの事象進展、括弧2としまして全交流電源喪失時の事象進展をお示ししています。括弧1の原子炉の冷却については、イベントツリーを図8-1、129ページをお開きください。こちらでお示ししています。
64 ページに戻っていただいて、こちらが原子炉の冷却の場合。65ページ、使用済燃料ピットの冷却につきましては図8-2ということで、130ページに図を添付してございます。
65ページに戻っていただきまして括弧3としまして、全交流電源喪失時の原子炉及び使用済燃料ピット冷却継続時間の評価としまして、ここでは括弧1として評価条件、66ページの原子炉の冷却についてお示しした上で、67 ページに当院の評価を示してございます。67 ページの下段には、3)として使用済燃料ピットの冷却について。68ページには当院の評価という形で説明を加えています。4)として1次冷却材ポンプのシール部からの漏えいの取扱いということで、御審議いただきました内容をここでお示ししている状況にしています。
71ページ、8.2としましてクリフエッジの特定を示しています。括弧1では原子炉運転中の冷却時間の継続の確認。これについては表にあるとおりです。括弧2は原子炉停止中の冷却継続時間の確認として、表にあるとおりのことを確認しています。8.3 では緊急安全対策の効果を示してございます。
72 ページでは、当院の8章におけるまとめということでお示ししていますが、当院としては原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続時間については、原子炉運転中及び原子炉停止中の条件の下で適切に評価されたと考えることとして、原子炉運転中の全交流電源喪失した場合に原子炉の冷却継続時間16日、原子炉停止中の使用済燃料ピットの冷却継続時間は約10日としていること。緊急安全対策の実施によって、原子炉の冷却継続時間が約5時間から16日間に、使用済燃料ピットの冷却継続時間が約12時間から約10日に延長できるとする関西電力の評価は、妥当なものとすることと考えてございます。
73ページには第9章としまして、最終ヒートシンク喪失に関する評価でございます。この章では最終ヒートシンク喪失事象が発生した場合の事象の進展が特定され、燃料の重大な損傷に至ることなく、原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続できる時間の評価が適切に行われたかどうかを確認するものでございます。当院としましては冷却継続できる時間について、原子炉運転中の場合と停止中の場合について区分して行う。また、ここでも同様に最終ヒートシンク喪失時に懸念されます1次冷却材ポンプのシール部からの影響についても、考慮を行ってございます。9.1では最終ヒートシンク喪失時の事象進展と冷却継続時間について、この中で括弧1としまして最終ヒートシンク喪失時の事象進展、1)は原子炉冷却について、74ページをごらんいただきますと、この場合は図9-1としまして133ページにイベントツリーを示しています。
134 ページには、使用済燃料ピットの冷却におけますイベントツリーの状態を示してございます。74ページ、一番下のところでございます。最終ヒートシンク喪失時の原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続時間の評価ということで、原子炉運転中のものについて75ページをお開きいただきますと評価条件、原子炉の冷却について、水源ですとかガソリンを燃料として消防ポンプにより行う冷却の状態、これについてお示ししています。当院としましては水源の保有水量に着目して確認している結果としまして16日間算定していることについては問題ないと考えています。一番下の3)については、使用済燃料ピットの冷却についてという状態。これについては76ページにおいて、こちらについても水源の枯渇の状態ですとか、消防ポンプによる物の冷却を考慮して、保安院の評価を加えております。
77ページに9.2 としましてクリフエッジの特定をお示ししてございます。括弧1としては、原子炉の運転中の原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続時間の確認結果をお示ししています。この表にあるとおり図9-3、135ページに運転中の原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続時間という評価の図をお示ししています。同様に136ページには、原子炉停止中の使用済燃料ピットの冷却継続時間をこのように評価しているというものをお示ししています。
78ページにお戻りください。9.3としましては緊急安全対策等の効果を評価してございます。9.4で当院の評価といたしまして、まとめを示しています。当院は関西電力で実施しました最終ヒートシンク喪失が発生した場合の事象進展の特定ですとか、原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続の評価については、適切に実施されていると考えています。最終ヒートシンク喪失が発生した場合に、原子炉冷却継続時間につきましては約16日間、使用済燃料ピットの冷却継続時間は約10日間であるとして、緊急安全対策による原子炉の冷却継続時間は6日から16日間に、原子炉停止中の使用済燃料ピットの冷却継続時間は約12時間から約10日間に延長できるとする関西電力の評価は、妥当なものと考えてございます。
80ページ、10章としまして地震、津波及び地震・津波の重畳時におけます原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続時間の評価を行っています。本章では、この重畳時におけます原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続時間の確認を行ったということで、これは8章、9章における全交流電源喪失や、最終ヒートシンク喪失に関する評価に地震・津波を重ね合わせた事象について評価したものです。これについては前回の意見聴取会でも説明させていただいていますので、図を追う形でさせていただければと思います。
図10-1、137ページをお開きください。地震・津波及び地震・津波の重畳時におけます原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続時間の時間評価の結果につきまして、更にこれを実施するために必要な措置を評価してございます。これについては139ページに全交流電源喪失におけます緊急時の安全対策の成立性ということで、必要な作業に対してそれぞれ許容時間に対してどのぐらいの形で行うのか。これは前回説明させていただいたものを表形式で説明いたしております。
140ページ、地震・津波の原子炉の冷却継続時間の評価といたしまして、前回御説明しました交流電源の基本シナリオに対しまして重畳が発生した場合、まず140ページが原子炉運転中、141ページが原子炉運転中における使用済燃料ピットの冷却継続時間の評価、142ページは地震・津波の重畳時の使用済燃料ピットの冷却継続時間の評価。これは原子炉停止中の状態というものをお示ししています。
86ページをお開きください。特記事項としまして86ページには関西電力が原子炉及び使用済燃料ピットの冷却を継続している間に、外部からヘリコプターによるガソリン供給等の支援が期待できるとあり、これについての実現可能性について確認してございます。関西電力が契約しております航空会社について、大飯発電所からの距離は104キロメートルであります八尾空港を拠点とするということ。そのほかに全国で4か所の飛行場にヘリコプターを所有しているということで、過去20年間の八尾空港との気象記録による飛行不可能の評価ということ、それについて評価を行ったところ、八尾空港を含む5か所の空港ですべてが連続して飛行できなかった最大日数は、20年間で1回の3日間ということを確認してございますし、発電所近傍での20年間の記録ということについても、20年間での評価を行ってございます。こうした確認結果からしますと、関西電力がこういう空輸を期待していることについての評価は、問題ないと評価してございます。
次のページをお開きください。 87ページには当院の評価のまとめを示しています。これまでの評価を踏まえまして、具体的に申しますとここにお示ししているとおりでございますが、88ページにまいりまして、原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続時間の評価につきましては、緊急安全対策前の原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続時間である約5時間及び12 時間から延長されているということ。緊急安全対策の効果があると考えてございますし、原子炉及び使用済燃料ピットの冷却継続時間の時間評価の評価手法や条件等につきましては、妥当だということを確認してございます。更に先ほど申し上げましたように、ヘリコプターの活用といったことについての実現可能性が高いというふうに、国としては妥当だと評価してございます。89ページには第11章としまして、その他のシビアアクシデント・マネジメントの評価をお示ししています。これはこれまで関西電力が大飯発電所3号機及び4号機に行われましたシビアアクシデント・マネジメントといったものに加えまして、今般整備しました緊急安全対策等が適切に織り込まれた形になっているかどうか、確認したものでございます。90ページには防護措置の整備状況を示していますが、第2パラグラフでございます。23年4月及び23年6月にとりまとめた緊急安全対策や、シビアアクシデントについての対応といったことについても、この中に安全機能別にまとめられたもので示しており、具体的には143ページをお開きください。これは安全機能別のシビアアクシデント・マネジメント設備を左側にお示ししています。これに対しまして緊急安全対策の整備状況として、右側の欄に今回のものを整理して関係づけを示してございます。
このシビアアクシデント・マネジメントにつきます当院のまとめですが、97ページをお開きください。関西電力においては、これまでのシビアアクシデント・マネジメントに加えて、緊急安全対策についても初期事象と安全機能との対応を考慮して関連するイベントツリーの中に取り入れ、炉心損傷防止及び大量の放射性物質の放出抑制の観点から、その評価をしたとしており、当院は緊急安全対策のうち、緊急時の電源確保及び最終的な除熱機能の確保については、外部電源喪失を初期事象とするイベントツリーにおいて、全交流電源喪失に至った場合の給電手段及び冷却手段として分岐に反映されていることから、炉心損傷防止の観点から有効であることを確認した。空冷式非常用発電装置については、直流電源への給電以外にも交流電源の供給も可能であることから、電動補助給水ポンプ等の冷却設備の作動が期待できるため、冷却機能の強化が図られていることを確認してございます。以上のことから当院としまして、シビアアクシデント・マネジメントについては多重防護の観点といったことなども考慮して検討されており、有効なものであると考えてございます。
99ページを開きください。12章でございますけれども、総合的評価に関する保安院としての見解、全体のまとめとしてのものをお示ししています。前章までにおきましては、関西電力の評価が科学的合理的な過程や手法に基づいてなされているかどうかに着目し、当院の確認結果を示してきたものでございます。これらの確認に加えまして、当院がそれらの評価結果のどの部分について特に着目して、当該原子力発電所の安全性をどう評価したかを示すことが、安全性に関して国民・住民の理解をいただくための材料の提供につながると考え、本章においては大飯発電所3号機及び4号機について、福島第一原子力発電所を襲ったような地震・津波が来襲しても、同原子力発電所事故のような状況にならないことを技術的に確認するとの考え方に立ちまして、当院が重要と考えて着目した点と、それらに対する評価を改めて示し、関西電力の評価結果に対する当院の見解をまとめたものです。3つ挙げてございまして、1つ目でございますが、地震と津波への耐性評価についての考え方でございます。前章までに確認した評価を前提としまして、福島第一原子力発電所を襲ったような地震や津波が来襲しても、臨時的な措置を含めまして、あらかじめ準備された設備等により、燃料損傷に至ることを防止する対策が講じられているかどうか、またそのシナリオ分析が適切になされているかどうかに着目しています。福島第一原子力発電所においては、Ssを上回る地震動が来襲するとともに、設計上の想定を約9.5メートル 超え、最大遡上高15メートルに至る津波が来襲したということで、多くの安全機能が失われたことを踏まえまして、大飯発電所3号機及び4号機につきましては、以下のとおり炉心や使用済燃料ピットの冷却を継続して、燃料の損傷を防止するための対策が講じられていることを確認しています。例が挙げられていますが、津波対策として11.4メートルの高さまで浸水対策が施工された。建屋内に設置されたタービン動補助給水系による原子炉の冷却が可能であることなどの確認をしてございます。
100ページ、また、これらの対策の実施可能性、地震により空冷式非常用発電装置及びその配置場所等が損傷しないかなど、こういったことについても着目して、現地調査も実施いたしました。その結果、大飯発電所3号機及び4号機においては、以下に示すようなさまざまな措置が講じられているということで、対策を実施する上で特段の問題がないことを確認いたしました。例えば、空冷式非常用発電装置等の設置場所である原子炉建屋背面道路の支持性等に問題がないこと。次の所では、必要な電源盤や蓄電池が津波による影響を受けない位置にあること。タービン動補助給水ポンプは、建屋内の浸水対策が11.4メートルの高さまで施工されており、稼働に問題が無いこと。主蒸気逃がし弁開操作等は手動により現場で開操作可能であることなど、ここに挙げてある例は省略いたしますが、こういった点を確認いたしております。括弧2といたしまして、サイト外から支援がない場合の維持期間についての考え方でございます。交流電源喪失と最終ヒートシンク喪失が発生した場合に、サイト外からのガソリン等の物資の補給がない状況、つまりあらかじめ所内に用意された資機材によって、燃料損傷に至らない状態を一定期間維持できるかどうか、更に、一定期間経過後に、確実にサイト外からのガソリン等の物資の補給を期待できるかどうかについて、確認いたしました。この場合の『一定期間』として、『サイト外からのガソリン等の物資の補給が確実に期待できる期間』として、関西電力が評価した期間が妥当かどうかに着目いたしました。その結果、大飯発電所3号機及び4号機においては、地震と津波により耐震性の低い燃料タンクや水源タンク等が利用できないという前提でも、サイト内の備蓄資材だけで燃料損傷に至らない状態を、約7日間維持できることを確認してございます。この際の各措置の実施可能性についても、さきに説明したとおり問題ないことを確認してございます。また、あらかじめ契約してあるヘリコプター等により、7日間以内にサイト外からのガソリン等の供給が可能とする関西電力の評価が妥当であることを確認しています。
3点目は安全性向上に向けた取組みについての考え方でございます。これまでに関西電力が整備したアクシデントマネジメント対策や緊急安全対策等により、多重防護の観点からプラントの安全性が向上してきているかどうか、また、更に恒設の安全設備を設置するなど、中長期的にプラントの安全性をより一層向上させる取組みが行われているかどうかについて着目しています。その結果、大飯発電所3号機及び4号機においては、福島原子力発電所事故以前から整備してきた約30項目にわたるシビアアクシデント・マネジメント対策に加え、福島原子力発電所事故を受けて、直ちに電源車及び可搬型消防ポンプ配備や、建屋水密化等の緊急安全対策等を実施するといったことなどにより、報告書提出後もサイト外からの支援がない状況で燃料の冷却継続時間を延長すべくガソリン備蓄量の増強など、より確実な保管庫への変更、可搬型消防ポンプ等を保管するトンネルの崩落対策の実施等、安全性をより一層向上させる取組が行われたことを確認しています。
更に今後におきましても大容量の移動式ポンプの配備や、もともと発電所に装備されている非常用ディーゼル発電機及び福島原子力発電所事故後に配備した空冷式非常用発電装置に加え、恒設の非常用発電機の設置を検討するなど、引き続き安全向上対策を図る方向であることを確認しております。
以上より、当院としては大飯発電所3号機及び4号機において、福島第一原子力発電所を襲ったような地震・津波が来襲しても、同原発事故のような状況に至らせないための対策が講じられているとともに、更に一層の安全性向上に向けた改善に取り組んでいると評価いたします。当院としては、引き続き絶え間なく関西電力において、これらの努力が継続されることを求めるということとして、とりまとめの見解を示しています。以上、資料ST第7-1-2の説明を終わります」
長江「続きまして、資料ST 第7-1-3をお開きください。めくっていただいたところに渡邉委員から御質問を示してございます。全交流電源喪失のときの燃料の重大な損傷に至る事象の過程にイベントツリーを使っているわけですが、その構成について考え方を説明してほしいということです。次のページで図に示してございますので、そちらの方で御説明したいと思います。ステーションブラックアウト、全交流電源喪失のときのイベントツリーです」
山口「少しよろしいですか。私は時間がなく、今の評価書について意見を一言申し上げたいと思います。意見と質問ですが、特に随伴事象(*)ということですが、ストレステストがもともとどういう意義なのかという議論があったと思うんですが、私が思うには今、選定された重要な事象のシナリオについて、安全裕度をちゃんと見るということだと思います。そういう意味で福島の事故を踏まえて地震、津波、SBO(*)、ヒートシンク(*)といった辺りが挙げられており、それに対してストレステストのもう一つの面として、イベントツリーが使われているんですが、PSA(*)は何をやるかというと、炉心損傷につながるシナリオを見ていく。それによってアクシデント・マネジメント策などを立てていく。一方、ストレステストはどうかというと、いろいろやった対策がどれぐらい機能してサクセスパスに導いていけるか、復活させていけるか。そこを見る。それが重要なんだと思います。そういう意味で、この評価としてはそういう観点でなされていると評価します。一方、そういうときにどういう事象を重ね合わせるかという意味で、最初に随伴事象と申し上げたんですが、考えているものを何でもむやみに重ね合わせるのではなく、合理的に意味のある重ね合わせをしっかりやらなければいけないと思い、地震と津波の重ね合わせというのは重要なことで、それは当然随伴事象で、例えば耐震指針に書かれています斜面崩壊とか、そのほかあとは以前にPSAではクレーンの話とか、幾つか地震随伴事象を議論したことがあります。今回、評価するに当たって、そういう観点でストレステストを活用していくことについて、その随伴事象に対する考え方、地震と津波はこれで評価されているんですが、それ以外の例えば今の斜面とかクレーンとか、そういったものに対してどういう考え方で整理していくか、そこをお聞きしたいと思います」
(*) 随伴現象説(ずいはんげんしょうせつ、Epiphenomenalism)とは、心の哲学において、物質と意識の間の因果関係について述べた形而上学的な立場のひとつで、『意識やクオリアは物質の物理的状態に付随しているだけの現象にすぎず、物質にたいして何の因果的作用ももたらさない』というもの。
物質と意識を別の存在であると捉える二元論の立場を取りつつ、意識の世界で起こる反応には、必ずそれに対応する物質的反応が存在するという考え方である。(この世で起こる物質的反応の全てにおいて、その場所に何らか意識が生じているかどうかという、逆の意味は有していない。)随伴現象説と対立する立場に相互作用説がある。
(*) SBO 原子力施設における全電源喪失をステーションブラックアウト(Station Blackout、SBO)という。
(*) ヒートシンク (heat sink) 、発熱する機械・電気部品に取り付けて、熱の放散によって温度を下げることを目的にした部品である。日本語では放熱器(ほうねつき)、板状のものは放熱板(ほうねつばん)と呼ぶ。
(*) PSA 確率論的安全評価 設備故障等が重なった場合に、発生しうる事故を対象として、その発生頻度と影響を定量的に評価し安全性の度合いを検討する手法であり、航空分野や海洋分野など様々な分野で活用されています。原子力発電所においては、過酷事故(炉心損傷など)のリスクを算出しています。
過酷事故には事故のきっかけとなり得る出来事(起因事象)に対し、その出来事から事故に至るのを防ぐための様々な安全装置が存在します。PSAではその起因事象の発生頻度に、各種安全装置が故障などで機能しない確率を掛け合わせる事により、最終的な事故に至る頻度を評価しています。
名倉「地震関係の担当者の方からお答えさせていただきます。地震随伴事象ということでは、耐震指針の中では斜面の安定性、津波ということで言及しておりますが、ストレステストの中では私どもは斜面の安定性については余裕等も一応確認しております。緊急安全対策に及ぼす影響なども念入りに見ているということもあり、そういう意味で地震の事象の中で地震で随伴で起こるものということで、斜面の安定性などについても考えております。クレーンの件ですが、これは後藤委員の方から慎重な検討が必要ということも御指摘いただいており、従来のPSAの考え方も参照し、かつ、耐震バックチェックの結果等も踏まえて、しっかり確認しておりますので、そういう意味では地震PSA等の考え方、随伴事象の考え方にのっとってもおかしくないものと考えており、地震の中で一応それに相当するものを見ていると解釈いただければと考えております。以上です」
山口「わかりました。ストレステストのときにどういう重ね合わせをやるのかというのは重要なポイントだなと思っていて、いろいろ考えて行き着くところは、そういう随伴事象とか必然的なというか、合理的な理由で重ね合わせるべきものは、それはきちんと重ね合わせてみないといけなくて、それは斜面とかそういうものかなと思っていたので、少しその辺りも報告書に、随伴事象の重ね合わせというのは幾つかある中で、津波も1つの随伴事象ですので、それはきちんと評価する。ほかの随伴事象については今、御説明いただいたような考え方で評価したんだということをきちんと書いて、それで重ね合わせに対する考え方も示していただくことが大切ではないかと思いました。以上でございます」
名倉「1つだけ補足させていただきますと、今回、先生が御指摘いただいた斜面の安定性とクレーンにつきましては、同時起因事象として発生する地震として、地震の揺れが各発電所にどういう影響を及ぼすかということのカテゴリですので、津波とは違ったものである。その2つの事象は同時起因事象として発生する地震に対しての影響ということで、地震の中でこれはやらなければいけないことだという解釈です。それと関連して、津波については事象の性格が違いますので、地震と津波の波源が違うこともありますので、そういったことも含めて地震とは違った事象と解釈している。そこだけ注意点ということでお話させていただきました」
山口「わかります。時間的なコヒーレンシー(*)というか、その一致性の問題と、あとは従属事象、随伴事象として片方が起きたら必然的に起きることを考えるべきかどうか。多分その2つの観点で重ね合わせるかどうかという判断を使うときと、評価のやり方を地震の後に津波というのか、同時に起こると考えるのか。これからストレステストをいろいろ活用していく上で、そういう考え方を少し整理するのが必要かなと思っています。ありがとうございます」
(*) コヒーレンシー デジタル用語 キャッシュメモリーにおいて、メインメモリーの内容とキャッシュメモリーの内容を一致させ、不整合性を排除するための操作のこと。データの更新頻度が比較的多い対称型マルチプロセッシングシステムを効率よく構築するために利用される。
岡本「よろしいでしょうか。今の点、この報告書の中の具体的にどこかに書き加えられると考えてよろしいでしょうか」
名倉「はい。少し検討させていただきたいと思います。特に周辺斜面とクレーンの件につきましては、検討させていただきたいと思います」
岡本「山口先生、どうもありがとうございました。途中で止まりましたが、引き続いてお願いいたします」
長江「続きまして御説明いたします。このイベントツリーでございますが、見ていただきますと大きく3つの安全機能を示してあり、給水の手段と水源の確保、電源の確保で破線で示したものです。給水の手段につきましては2つ要素があり、ここではタービン動補助給水ポンプと電動の補助給水ポンプの2つです。水源についても4つほど構成要素を示しています。電源についても蓄電池からの給電と空冷式の非常用発電装置からの給電の2つが書いてあります。ここでイベントツリーの分岐について御質問がありました。水源のところで見ますと最初の復水ピットのところから、次のC-2次系の純水タンク以下、分岐は2つに分かれて成功と失敗と続いており、4つとも水源がだめなときは燃料の重大な損傷に至るという形で整理しております。ここで、成功、失敗というのは明示的に説明されていなかったもので、成功というパスでずっと右にいきますと冷却成功となっているのは、その水源から水を取ってSG に給水できるような、炉心の冷却に成功するということですが、その期間については、限定的に冷却できるという意味です。イベントツリーの分岐については、下の図に出てきます実際のクリフエッジを評価する時間の評価で、ちゃんとしたものを持ってくるという前提でイベントツリーの分岐を省略して使っています。具体的には下の図でいきますと、SGへの給水機能として復水ピット以下4つございますが、それぞれが全交流電源喪失時にどれぐらいの時間冷却できるかというのが、それぞれの要素ごとに示してあります。同様に電源機能についても蓄電池と空冷式非常用発電装置について分けて、そういった機能を達成する時間というものが書かれています。結果的には炉心の冷却についてこの2つの機能が成功する時間、ここではタービン動補助給水ポンプが作動するという前提で書かれているわけですが、それを見て冷却継続時間、いわゆるクリフエッジは水源で決まる約16日間になるという使い方をしてございます。渡邉委員の御指摘のとおり、PSAとは使い方が少し違っており、先ほど山口委員がおっしゃったとおりどちらかと言うとサクセスパスを注目して評価するということと、前回、泊1号機と若干違っていましたのは、電源とか細かいところの分岐も泊1号機の方は作成していたということです。基本的な構成は同じですが、目的としてはクリフエッジ、即ち下の図の安全機能をちゃんと網羅して確認するという、そういう使い方をしてございます」
(01:01:10)
岡本「以上でしょうか。どうもありがとうございました。ただいま大飯3号機、4号機に関する審査書(素案)及び委員の質問の一部に対する回答について御説明がありました。以上を踏まえて、先生方の御意見をよろしくお願いしたいと思います。」
渡邉「今、私の質問に対して御回答いただいて、基本的にはよくわかりました。ただ、従来PSAで使っているイベントツリーと考え方が違うんだということをここに書いてあるようなものが、やはり一番最初にほしかったかなというのが私の印象です。多分今後またこのストレステストを同じような格好でほかのプラントに適用されるのでしょうが、そのときにはその旨を意識して、省略するなら省略する、展開するなら展開するということをはっきり、これは多分事業者にお願いした方がいいと思うんですが、その辺をきちんと整理して書いていただいた方が、変な誤解を招かないで済むのではないかと思いますので、その辺は御配慮いただきたいと思います。ある意味、表現を簡略化するとかいう方法を適用した結果、従来のPSAとは違った格好になっていることがよくわかりましたので、この点に関してはこれで結構です」
岡本「お願いします」
高田「質問で、津波の引き潮、引く方については言及がなかったんですが、これは多分検討されていたように思います、それも書いておくといいのかなと。どこかに書いてありますか」
名倉「津波の引き潮に関しては津波に対しての影響のモードということで、今回のストレステストは上昇側をかなり意識してやられているんですが、引き津波側について事業者の報告書で記載が余り明確になかったものですから、コメントを出したということがありまして、これは今ここに記載が漏れておりますので、それについては係るところというか、関係するところにしっかり入れさせていただきたいと思います」
高田「それから、免震棟の話がありまして、場所はどこか忘れてしまったんですが、免震だから安全というわけではありませんので、要するに免震もあるスペックで免震設計されているという記述がないといけないのかなと1つ思いました。これは勿論そのとおり設計されるでしょう。それから、審査の基本的なスタンスとして、3号と4号セットでの評価審査結果になっていますが、IAEAの項目にも指摘があったように、多数基をしっかりチェックしなさいということがあり、それに対して最初の前提条件として1炉だけでやるわけではなく、セットでやるわけですから、そうすると多数基の問題は当然でてきますし、緊急時対応の方で関電の方でも、作業要員は両方のプラントに対応できるようにという形で一応検討されていますので、もう少し多数基という視点で書けるところが結構あると思うんです。それは是非書いていただきたいなと思います。もし足りないところがあるようでしたら、例えば3号と4号でシステムの独立性が確保されていないだとか、そういうような視点というのは多分必要になってくると思うんです。それを是非記述をいただきたいと思います。
一番最後のところで現地調査という言葉が入っていたんですが、現地調査というのはウォークダウンということになりますが、今回は余り時間がない中での現地調査をされたかもしれません、後藤委員が指摘されていたように、要するに『机上の空論ではだめだよ』と。要するに頭の中で考えて、シナリオがこういうふうにいくから『だからこれぐらいで、これぐらいのクリフエッジなんですよ』ということではだめで、それを補うのは私はウォークダウン。全部埋められるとは思いませんが、かなりの部分が補えるところがあると思いますし、ここで考慮していないようなところがどういうふうに運用されているか、ここに本当はアクセスの空間が確保されていないのに何か物が置かれているだとか、そういうようなことは実はウォークダウンでチェックできるんです。それで現地の情報をしっかりと情報収集するという意味で、今後でもいいのかもしれないんですが、現地調査という言葉ではなく『ウォークダウン』という章を立てて、それでいろいろ検討していただくといいのではないかと思いました。現地調査をされているわけですが、それの1つ章を起こすといいのかなと思ったりします。
それから、99ページで保安院の見解が出ています。これについては恐らく初めて出てきた内容ではないかと思います。特に気になるところです。括弧1、耐性評価についての考え方。考え方というよりも、耐性評価結果についてということでいいのかもしれません。考え方が新しくても結果がよくなければだめなわけですから、耐性評価結果について考え方も含めてということなんですが、ここで初めてクライテリア(*)の考え方が出てきています。判断基準として、福島のイベントをクリアーすることというのがここで初めて出てくるんですが、これはそういう考え方も当然あるということは考えられますが、これが本当にサイト固有の特性を反映した形になっているかというと、やはり必ずしもそうではないということもありますので、ここのところはこれが一つのリファレンスの考え方であって、これがすべてではない。ストレステストの目的は何かというと、クリフエッジを合理的な考え方で特定をし、かつ、それに対して適切な措置がとられて安全性の向上が図られていること、という割と定性的な条件なんですが、それがまず大事だろうということです。それをこの耐性評価結果についてということで、保安院の見解という形でまずまとめる。それから、福島の条件については一つの考え方としてこういう考え方もあるということで、これさえクリアーすればいいみたいな言い方になってしまうとよくないのではないか。サイト固有の自然条件があるわけですから、ここはもう少しトーンダウンさせたような表現の仕方が必要かなと思います。いろんな考え方があると思います。私はちょっとこれとは違う考え方ということで意見を申し上げました。以上です」
(*) クライテリア 環境用語 判定条件のことで,ある汚染物質について,量と人や動植物等に対する影響の関係(量・反応関係)の情報を集大成にしたものです。
岡本「幾つか回答をいただけますでしょうか」
市村「幾つか私の方から答えられるところを答えたいと思います。ウォークダウンの御指摘は全くそのとおりだと思います。我々も12月末ですが、丸一日かけて、これが十分かどうかというのも勿論ありますが、見てきました。その結果を先生御指摘のように、どういうふうにまとめてこの報告書に入れるかというのは随分議論が中でもあり、今はごらんいただいた中で33-36ページのところに主に入れています。ほかにも幾つか点在は実はあり、整理の仕方として今回の報告書で地震、津波、重畳、SBO、ヒートシンクロスという事情別に整理した方がわかりやすいということを前提に立って、その中で見てきたことを織り込んで、主に地震のことであれば地震の章に織り込んで、津波であれば津波に織り込んでという整理を試みたものです。先生の御指摘ももう一度踏まえて、整理の仕方については考えさせていただきたいと思いますし、ウォークダウンの重要性は全くそのとおりであると思います。判断基準といいますか、最後の判断の考え方のところでございますが、これも大変な議論をしているところでございます。先生が御指摘いただいたクリフエッジを特定して、それを克服して安全を向上するというものが、まさにストレステストの基本であることは間違いないと我々も認識しており、それは今、我々も特定したつもりではあったんですが、そういう意味でプライオリティのつけ方がちょっとあれだったかもしれませんが、101ページの括弧3で、言葉は足りていないかもしれませんが、これまでもさまざまな努力をして安全を向上してきた。更にこのストレステストの仕組みを使って弱点を特定して、安全を向上することを今やっていることを評価したつもりでございます。ただ、その順番ですとか書き方は御指摘を踏まえてもう一度よく考えたいと思います。特に括弧1は御指摘のとおりで、サイト固有の安全性をどういうふうに評価するのかというのは大変難しい課題でして、もともとのSsの設定であるとか津波の設定などからスタートして、難しい問題で、我々もほかの意見聴取会なんかでも、さまざまな議論をしているところでございます。ただ、そういう中でこのストレステストという仕組みを使って、ここまで耐えられれば十分保守的な中に入っているだろうというような、何かうまく線というか考え方が盛り込めれば、サイト固有にやる部分と、もう少し全体的に安全性を評価するような、福島に照らして安全性を評価するような、うまい評価ができないか。うまく申し上げられないんですが、個別の点とジェネラルな点とうまく評価できないかなということで、ちょっと頭を悩ましておりますので、是非また知見をいただければと思います。私の方からは以上です。もし付け加えがあればお願いします。」
長江「御指摘のございました同時被災というか、サイトに4基ございまして、今、冷却時間の評価等では4基同時にブラックアウトであればブラックアウトが起こる。そのときに1-4号で共有で使っている燃料やガソリンがかなり重要になる。そういうことで、評価としましてはすべてのプラントで同時にステーションブラックアウトであれば、3号、4号だけではなくて1号、2号もすべて起こっているという評価で、かつ、燃料とかそういう1-4号で共有しているものについては、それぞれで使ったときに消費される時間を確認した上で、冷却継続時間を評価しているという扱いをしております」
高田「その辺り、検討の条件を明確にされた方がいいと思います。私は1つだけだと思いましたが、4つを対象にされているなら、それなりの前提条件がないといけないので、それが書かれていなかったものですから」
岡本「佐竹委員、お願いします」
佐竹「山口委員とか高田委員から言われたんですが、ストレステストの意味づけということで、クリフエッジを特定ということもあるんですが、例えば今回の緊急安全対策でそれがどう変わったかということも非常に重要なことで、今回例えば11.4メートル まで上がっているということも非常に重要かなと思いますが、気がついたんですが、この補助給水ポンプというのは114ページと122ページで、地震の方では緊急安全対策の中にこれが入っていますが、津波の方では入っていないのはなぜかというのをお尋ね致します」
名倉「地震と津波で炉心損傷に対しては両方とも入ってきますので、114ページと対になる津波に関しての炉心損傷は122ページになり、炉心に対しては両方とも補助給水ポンプ、タービン動を使いまして、電動も使えれば使うという状況でございます」
佐竹「私の質問は、補助給水ポンプが地震の方は緊急安全対策の中に入っているのに、津波の方は外に出ているというのはなぜですかということで、質問の意味はわかりますか」
名倉「こちらの補助給水による蒸気発生器への給水という影響緩和機能につきましては、水源とか電源を何に使うかというところで区分しており、地震の方は非常用所内電源から失敗しており、電源が失われた中での操作ということで、これは緊急安全対策のカテゴリに入るものでございます。それに対して122ページの津波の方については、通常の手順で行うものということであり、緊急安全対策のカテゴリで例えばここの122ページのところにあるような手動の操作とか、そういったものについては入っていないということで、通常操作でやるところについては緊急安全対策という位置づけにしていないということで、違いが出ています」
佐竹「わかりました。それに関連するのかもしれませんが、要するにストレステストで99ページで、津波対策として11.4メートルまで対策が施工されたと書いてあって、それが通常ですね。その後が緊急対策で、津波遡上高さを十分上回る。この十分上回るというのもこの11.4メートルを受けているのか、それともたしか高台30メートルぐらいだったと思うんですが、その数字も足すのか。要するにこれだと上の矢印と下の矢印の中の関係がよくわからないんです。普通に読むと11.4メートルを上回ることかなとは思いますが、例えば11.4とか1.8という数字が出てくると、結局それが独り歩きして、それ以上だとだめなのか。本来は安全対策でもそういう数字が出てくるのかなと思うので、その辺の使われ方をどうするのか。今日もストレステストが合格、不合格みたいな話もあって、それも変な話で、そんなことあり得ないと思うんです。しかし、ここで数字が出ているとこれが限界のように、現状のシステムはそうかもしれませんが、それに対して安全対策があるんだということを世の中にわかるような表現、使われ方をするようにしないといけないのかなという気がいたしました。以上です」
岡本「御回答お願いします」
名倉「今回の緊急安全対策の中で行われております扉等の止水処理については、まだ11.4メートルまでを上限ということで今やっておりまして、これを超えた場合については厳密には評価をしていないんですが、タービン動補助給水ポンプ、伝導補助給水ポンプ、それを動かすための電源盤といったところの領域には浸水するものとして、11.4メートルを超えるとある程度明確に成功パスに行き着くまでの影響緩和機能というものが、今のところ使えないという評価になります。そういうことで11.4メートルが今のところのクリフエッジで、これを超えると一気に事象が進んで成功パスがなくなるというところになります。それとの対比で空冷式非常用発電装置は33メートル程度の高台にあるということですので、クリフエッジとして今、設定している11.4メートルに対して高いレベルにあるとか、そういう相対的な表現を明確にしたいと思います」
岡本「よろしいでしょうか。それでは、渡邉委員、お願いします」
渡邉「今の佐竹先生からの話に関連する方から話したいんですが、今、数値がいろいろ報告書の中に書かれおり、その後ろの方の図を見ても、その数値が全部フォローできるようになっていない部分が幾つか見られます。数値を書くのであれば、後ろの方の図の中でどこを示しているのかわかるような格好にしないと、報告書として読み切れないなというのがまず1つ目の印象です。
2つ目は高田先生の前提条件の話なんですが、今、保安院側でお答えになったように、あるところにかなりの保守性を持たせた評価をしている。その保守性をどこにどういう考え方で持たせたのかというのをきちんと書かないと、これが本当にすべての評価なのか。要するに現実的な評価なのかという印象を持たれてしまうと思うんです。でも実はそうではなくて、今はある意味かなり詳細な評価をやったのではなくて、ある程度保守的な前提条件を置いた上で評価をやっているというように、ちゃんとわかるようにしなければいけないと思うんです。ですから、その辺を少し評価の前提条件というものをどういう考え方でやったかというものを、きちんと整理していただきたいと思います。3つ目はアクシデント・マネジメントの対策の評価なんですが、1次評価と2次評価の関係もあって、今、基本的には緊急安全対策以外のAMについては、今はまだ評価の対象になっていないという形になっていると思うんですが、そこを今までに整備してきたもの、これから整備するもの、それについて今後どうしていくのかというのを少し、今後の方針として何か書ければいいかなという気がします。同じ今後の方針としまして、ストレステストというものを保安院というか規制庁としてどういうふうに位置づけていくのか。例えばある間隔、何年かおきにストレステストをやるのか、それとも対象をもう少し広げるのか。その辺をもう少し明確にした方がいいのではないか。要はスタンスとして、今こう考えているというスタンスでいいと思うんですが、こうしなければいけないとかそういうものではなくて、こういうふうにしていくことが今後必要であろうという見解が必要なのかなと思います。
もう一つ最後に、101ページの保安院のステートメントなんですが、印象として私は非常に言いっ放しで終わっているなというのを受けます。具体的に言いますと一番下のパラグラフの一番最後のステートメントですが、努力が継続されることを求める。求めるのはいいんですが、では規制行政庁は何をするんだ。要するにこの辺について、今の時点ではまだ計画の段階のものがいろいろあるということなので、その計画の段階のものを規制庁は今後どうやってそれをウォッチしていく、フォローしていく、そういうスタンスの文章がどこかにあるべきだと思います。それがないと事業者に求めて終わってしまっているという尻切れトンボみたいな形になっているので、その辺をもう少しクリアーにしていただきたいと思います。以上です。」
岡本「御回答をお願いします」
長江「3番目の御指摘でAM(*)のところを補足いたしますと、143ページを見ていただきますと表11-1でございます。これはこれまで事業者の方で整備してきましたAM設備を安全機能別ということで原子炉停止機能でありますとか、炉心冷却機能でこういった方策を整備してきたということを示してございます。それに対して右の欄に緊急安全対策ということで、今回、緊急安全対策設備でいろいろ整備したわけですが、特に非常用の空冷発電機というものがあり、それがどういうふうに従前のAMの設備に対して、更に一枚加わって厚みが増すかということを示したものです。特にそのページの下のところの安全機能のサポート機能というところと、これは電源が中心になるわけですが、ここのところに緊急時の電源確保、空冷式の非常用発電装置による給電というものと、炉心冷却機能につきましては水源等の強化をしており、これらの機能が、従前整備していますAMに対しまして、特にブラックアウトシナリオ、注水するという観点のシナリオに対して、強化がされているということです。3つ目の箱の放射性物質の閉込め機能のところに、2つ目、緊急安全対策で水素爆発防止対策(アニュラスの排気)がございますが、これはシビアアクシデントが起こったときに格納容器から水素が漏れてきたときに、アニュラスという所に漏れてくるんですが、それを排気できるように空冷式の非常用発電装置で換気系に給電しておいて、ブラックアウトのときにも排気ができるようにしたという設備でございます。そういう意味で、従前からあるAM設備に、今回の緊急安全対策で更に厚みが加わったという理解をしております。1次評価と2次評価の御質問がございましたが、我々も1次評価はどちらかと言うと炉心損傷防止の観点に立って重点的にやったということ。2次評価ではもう少しシビアアクシデントの解析も含めて、事象進展の時間を精緻に出していく方向性を考えたいと思っております」
(*) AM アクシデント・マネジメント 設計基準上では想定していないような事態発生に備えてあらかじめ設置した機器や、設計上使用できる保証がなくても実際には使用可能な機器などを活用することによって、事故のシビアアクシデント への発展を防止するために採られる措置。若しくは、万一シビアアクシデントに至った場合でも被害を最小限にとどめるために採られる措置。原子炉施設のリスク は十分低いと判断されるが、アクシデントマネジメントは、この低いリスクを一層低減するものとして位置付けられている。
岡本「そのほかの質問に対してお願いします」
市村「1個目の御指摘でございますが、我々もこれだけの数値、パラメータが出てきていますので、自分たちで読むのも相当苦労しているのは確かで、図表との対象性をつける御指摘いただいたような点や、一つひとつの数字、パラメータにもう少し解説をつけるとか、読んでわかるようにしていく必要があるなというのは実感をして、全く御指摘のとおりでございます。できるだけ工夫をしていきたいと思います。2番目の御指摘もそのとおりで、ストレステストは原子力安全のすべての側面を、すべての仮定を置いてやっているわけではなく、ある程度限定された前提の中でやっているものです。したがって、その中にどういう保守性があるのかとか、どういう仮定があるのかというのをよく書いておかないと、何の評価をしているのかというのがよく伝わらないことはそのとおりだと思いますので、その点は工夫をしたいと思います。3点目、シビアアクシデント・マネジメントについては既に回答があったところですが、それも踏まえて、今般の事故を踏まえてシビアアクシデント・マネジメントの法定化の話や、現行の基準に加えてストレステストを使って原子力発電所の安全性を評価するという話と、全体が新法制に行ったときにどういう形になるのかという関係、ちょうど過渡期にあるものですから、さまざまな議論が同時並行で起こっているのはそのとおりです。これも鋭意整理をしているところですが、他方でこの報告書の中に、これは事業者から出てきた報告書を手法を含めて妥当かどうかというものを評価して、それをどう解釈するかというものを書こうとしている文書でございますので、その文書の中で先生御指摘のような今後のある種規制の方向性みたいなものまでをどこまで書くかというのは、こちらでよく整理をさせていただきたいと思います。その観点で最後に先生がおっしゃられた言いっ放しで、そういう観点であるのであれば言いっ放しでいいということではないと思いますので、そこもどういうふうに保安院として、あるいは規制当局としてこれを最後どう引き取るのかというのは、よく整理をさせていただきたいと思います」
岡本「高田委員、どうぞ」
高田「渡邉委員の意見に関して、将来的にはストレステストは建物、プラント全体のbehaviorがどれぐらい強いかということを、簡略な方法で評価するということなんですが、外力側はどういうふうに評価していくかというのはこれからまたすごく重要になってきます。その辺りは確率的な扱いとか、要するに本当のトータルで外力も建物、プラント全体も含めたような形での安全性の評価という方向に必ず向かうと思うんです。だからこれが非常に保守性の高い評価、簡易な評価ですが、外力がやはりもっときっちりまた見ていかなければいけないということがありますので、それは最新の知見を踏まえてということになると、やはりPSA 全体の話が多分出てくると思いますので、これだけで終わりにしないようにということで、渡邉委員と同じ意見です」
岡本「ここら辺は多分、委員全員が同じ意見を持っているんだろうと思っております。ストレステスト自体は継続的な改善ということで、最後のステートメントとして引き続き絶え間なくという言葉が書いてありますが、弱点を見出して、それを継続的に改善していく。特に今後いろいろSs等の見直しもあり得ると思っておりますが、そういうような新知見が出た場合に、適切に改善を継続していくことが重要であるという御指摘かなと理解しており、多分この辺りはできればもう少し具体的に書き込んでいただいた方がいいかなという気は我々はしており、その辺りはお任せしたいと思います。私の方から細かい点が幾つかあります、本当に細かい点なんですが、今回、品質保証体制に関する評価ということで4章が加わって、品質保証についてもしっかり見ているよというステートメントを出していただいているんですが、品質保証で一番大変なのは調達管理だと思っております。調達管理という意味では、15ページの2つ目の星印のところで簡単に触れられていますが、恐らく調達先のQMS(*)であるとか、そういうようなものについてここは事業者が見ているのかもしれませんが、かなり私としては気になる点であります。この辺りについて、これ以上の言及はできないのかもしれませんが、調達管理が適切にできている、QMSが回っているということをしっかり御確認されたということを、この記述で十分か不十分かというのはお任せしますが、少し検討いただければと思っております。細かい点なんですが、28ページです。建屋応答の非線形性がストレステストに及ぼす影響のところで、簡単にα倍のSsというものが保守的というか、同程度の評価になっているということが言葉で書かれているんですが、この辺りは非常に非線形性に対しての重要な話だと思いますので、ちょっとこれはわかりにくいので、是非もう少し記載を見直していただいて、最後が推定されるというふうになっていますので、ちょっと弱い書き方になっているのが気になるところでございます。また細かい点なんですが、36ページで今回、先ほど免震建屋の話もありましたが、それができるまでは、中央制御室内の空きスペースで緊急時対策所を設置することになっており、スペースとかはウォークダウンで見てこられたのかもしれないんですが、そこで十分なスペースがある。通信機器があると書かれておりますが、十分なスペースがあって緊急時対策に遜色ないんだということについて、確認させていただければと思っています。4点目は先ほど高田委員の方からお話がありました、99ページの福島第一発電所を襲ったような地震や津波が来襲してもという、ある意味のクライテリアなんですが、ここの部分が非常に文学的というか、わかりにくい書き方です。ある意味わかりやすいのかもしれないんですが、技術的な報告書としてはわかりにくい。具体的にこれがどういうものを意味しているのかというのは、少し明確化した方が報告書としてはクローズするのかなという点です。以上、4点です」
(*) QMS 品質マネジメントシステム(ひんしつマネジメントシステム、Quality Management System,QMS)は、製造物や提供されるサービスの品質を管理監督するシステムである。ISO9000シリーズの2000年改訂版等から採用された概念で、品質管理を中心とした組織の活動で、顧客満足を達成し継続的な改善を意図する。
名倉「品証関係の話なんですが、これは関西電力のQMSを回している内容をかなり重点的に書いているんですが、実際はこれまでの私どもの事業者のQMSの実績ということでは、要は調達管理でメーカーがやっているところ、そういったところを重点的にこれまで確認していて、そこら辺は非常に私どもも深く認識している部分であえて書かなかったんです。今回のストレステストの報告書作成もしくはそれに係る評価の実施に当たりまして、事業者がやっていて、事業者が自らQMSを回している。そこの部分が今回存在するので、その部分の確認したことを重点的にここに記載した。ですから、これまでの実績も踏まえて調達管理のQMSの実績につきましても十分書けると思いますので、そこら辺のところは記載を充実させる形で検討させていただきたいと思います。α倍のSsのところは確かに幅が少しありますので、幅は小さいですが、その保守的な幅、応答が低減するような効果が出るような幅につきましては、物によって少し理由というか、そういったものもございますので、分析を把握した結果も踏まえて記載させていただきまして、推定というよりも確認したということをしっかり言えるような分析も記載していきたいと考えております。以上です」
岡本「ありがとうございます」
浦野「36ページの空きスペースのところですが、ここはもう少し確認をした上で、きちんと書き込めるような形にしたいと思います。以上です」
市村「最後の点は、先ほどまさに高田先生からも御指摘いただいたように、もう少し中でも議論をして、どういう表現、考え方がよろしいかということをよく整理して考えたいと思います」
岡本「そのほかいかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、以上の意見を踏まえて作業を進めていただくこととして、次の議題に移りたいと思っております。2番目の議題は四国電力伊方発電所3号機に関する議論ですので、四国電力の方はメインテーブルにお願いしたいと思います」
(説明者入替え)
岡本「それでは、まず、これまでの議論を踏まえ、主要論点について事業者の見解と保安院及びJNESの考え方が整理されておりますので、これを保安院から説明いただきたいと思います」
熊谷「それでは、保安院及びJNES(*)の方から説明させていただきます。資料としては資料ST 第7-1-2と資料ST 第7-2-2をごらんください。資料ST 第7-2-1は伊方3号機特有と考えられる論点について、現在までの確認の中で大きく先行事例と違う4点について、論点をまとめたものでございます。資料ST 第7-2-2は、この論点を説明する補足説明資料となっております。今日は時間の関係上、資料ST 第7-2-2の絵を使って説明させていただきます。1枚おめくりください。まず1点目ですが、MOX燃料(*)に関する評価です。MOX燃料はこちらの表の左側に書いてあります特徴(その1)のとおり、ウラン燃料よりも崩壊熱が多く発生する特徴を持っています。具体的には例えば30日の冷却後につきましては、ウラン燃料1体当たりに比べて1.73倍も大きな熱量が発生しますので、これに見合う給水を行うことが必要です。特徴(その2)といたしましては下に書いてあるとおり、使用済燃料の長期冷却においてキュリウム(*)、アメリシウム(*)等の長半減期の核種が崩壊熱を占めるようになるという特徴を踏まえる必要があります。これを踏まえた評価ですが、四国電力は右のような評価を実施しております。まず崩壊熱の方でございますが、崩壊熱は炉心と使用済ピット両方で発生しますが、使用済燃料ピットの崩壊熱の想定につきましては、表にございますとおり現在の貯蔵状況は0体、ウラン燃料については1,055体に対しまして、今回のストレステストの評価条件はピットが満杯になる条件と、MOX燃料を選択的に取り出したという厳しい条件を評価条件に置いて、崩壊熱の評価を行っています。また、その下でございますが、崩壊熱の算出につきましては解析コードを使って評価をするもので、これは先ほどお示ししましたアクチニド核種(*)がその特徴を踏まえた、ORIGEN-2 という評価コードが適切に使われているかどうかを確認しております。保安院とJNESにつきましては貯蔵条件または解析コードの適切性、特に解析コードの適切性につきましては既にMOX燃料使用時の設置許可申請において十分評価されていますので、MOX燃料の評価については適切だと考えております。
2ページ、伊方3号機のRCPシール部からの漏えいに関する評価でございます。伊方3号機のRCPポンプの系統は先例の大飯3号機の系統と設計、構造が異なっております。系統図をごらんただきますと、大飯の封水戻りラインには何も付いてございません。一方、伊方の系統図には止め弁とオリフィスバイパス(*)が付いております。右の表をごらんください。伊方はNo1シール部に1.9という差圧がかかります。更に大きな差圧がNo2シール部にかかります。ここで1点修正です。大飯の方は5.5と9.6の記載が上下逆転しておりますので、修正をお願いいたします。大飯の方はNo1の方に9.6という差圧がかかって、No2に5.5という差圧がかかります。この差圧を求める評価の条件としては、下のような丸2に書いてあるシールの漏えい量評価という計算を実施しております。これは各要素の差圧の流量特性評価を曲線で引っ張って、No1、No2、バイパスオリフィスとそれぞれの線が交わる点が、漏えい量の評価結果というように算出しています。この結果を見ますと大飯の4.8m3/h に対して、伊方は止め弁とバイパスオリフィスが付いていることによって、1.5m3/h という結果になっております。次のページをご覧ください。3ページ目はRCPシール部は国産品でございますので、大飯とは違うOリング(*)が使われております。このOリングそのものがSBO発生時に、果たして所用の性能を維持できるのかという試験を実施しているものでございます。対象としているOリングは図-1の真ん中の絵でございますが、No2シール部の丸で囲ったOリング、ここが一番力がかかって、はみ出し量が多く想定されている場所ですので、ここのOリングの試験を実施しております。現在までの試験結果ですが、290度と270度という条件で12個ほど実施した結果、破損は認められないという結果になっております。この試験条件につきましては図-2に示すとおり、一次冷却材圧力と一次冷却材温度のグラフ、横軸が時間でございますが、それを示しており、黒で引っ張っておりますものが緊急安全対策でシナリオとして設定している、SBOが発生してからタービン動補助給水ポンプ、主蒸気逃がし弁を使った二次系冷却によって減圧する工程ですが、これより厳しい条件を設定した評価を実施しております。
4ページ目、これらの評価で冷却シナリオが成立するかというものを、これはRELAP5というコードを用いて圧力変化、温度等の条件で評価を実施しております。ここの部分につきましては保安院とJNESにおきましては、まず3ページ目のシールの構成部品の試験、Oリングの試験でございますが、試料個数が非常に少なく12個という条件で実施しておりますので、この12個という条件の中で品質管理が適切に行われているかどうかの確認を指示しております。4ページ目の冷却シナリオ成立性の解析条件については、この条件は実は左側の解析条件の漏えい量のところをごらんいただくと、4.8m3 の漏えい量となる口径での解析結果ですので、伊方の漏えい量1.5m3 ということでございます、この解析結果について実験データによる検証結果を含めて、提示するよう求めているという審査過程でございます。
5ページは伊方発電所の緊急安全対策設備の特徴を示しています。伊方発電所の緊急安全対策設備の特徴としては、海水ポンプのところに海水取水用水中ポンプという丸が付けてある場所がございますが、ここを使用することによって補機冷却水系に通水して、RHR系を生かせるという特徴と、電源車に重油を使っており、所内に重油の貯蔵量がD/G 非常用予備タンクを使うことによって、長期間維持できるという特徴を持っております。
6ページが海水取水ポンプを接続するイメージ図でございます。海水取水ポンプは最終ヒートシンク喪失の場合は使用できないという条件の中で、このストレーナの部分に海水取水ポンプを12台接続することによりまして、この海水ポンプと同じ吐出量とほぼ同等の流量を供給することができます。この流量を供給することによって、補機冷却系のルートとディーゼル発電機の冷却ルートで冷却手段が確保できるという特徴を持っております。8ページが伊方発電所で使用する設備、機器の配置図でございます。伊方発電所の場合はほとんどの緊急安全対策機器が1号機、2号機、3号機の間のEL.32メートルに置かれております。現時点においては、それぞれの機器の機能保持に係る評価については確認できてございますけれども、この場所が地震によって影響を受けるかどうかというのがまだ確認できておりませんので、引き続き確認を実施しております。
(01:50:20)
(*) JNES 独立行政法人原子力安全基盤機構(げんしりょくあんぜんきばんきこう、JNES)は、経済産業省所管の独立行政法人。独立行政法人原子力安全基盤機構法により規定されている。
(*) MOX燃料 混合酸化物燃料の略称であり、原子炉の使用済み核燃料中に1%程度含まれるプルトニウムを再処理により取り出し、二酸化プルトニウム(PuO2)と二酸化ウラン(UO2)とを混ぜてプルトニウム濃度を4~9%に高めたものである。
主として高速増殖炉の燃料に用いられるが、既存の軽水炉用燃料ペレットと同一の形状に加工し、核設計を行ったうえで適正な位置に配置することにより、軽水炉のウラン燃料の代替として用いることができる。これをプルサーマル利用と呼ぶ。
MOXとは(Mixed OXide)の頭文字を採ったものである。
(*) キュリウム 銀白色の金属で安定同位体は存在せず、すべてが放射性である。化学的性質はガドリニウムに似るが、ガドリニウムよりも複雑な結晶構造を持つ。元素名は、キュリー夫妻(ピエール・キュリー、マリ・キュリー)に由来する。
(*) アメリシウム 銀白色をした放射性の金属で空気中に放置すると白く曇る。純粋なアメリシウムはネプツニウムやプルトニウムより輝いている。
アメリシウム241から放出されるα線は約5.4Mev、ガンマ線のエネルギーは非常に低く (0.06 MeV)、低エネルギーガンマ線源として蛍光X線分析装置などに用いられる。
アメリシウムには剥離性がある。
プルトニウムを核燃料(MOX燃料を含む)とする原子炉では、アメリシウム241は邪魔者とされている。理由は、プルトニウム241は遅い中性子の照射で核分裂するが、アメリシウム241が核分裂を起す比率は低く中性子を捕獲しやすい。従って、核分裂は起こらないと考えられ中性子を無駄食いする核燃料中の’毒物’とされている。
(*) アクチニド核種 超アクチノイド元素 超重元素はすべて天然には存在しないため、2種類の方法で合成される。1つは、金属原子に別の金属原子をイオンビームにして衝突させるもので、「冷たい核融合反応」と呼ばれる。もう一つは、アクチノイド元素に、イオンビームにした軽元素原子を衝突させるもので、「熱い核融合反応」と呼ばれる。ここで言う「熱い」「冷たい」とは、衝突によって生じる新元素の励起エネルギーの量を表すものである。共に、まず二つの原子が衝突して励起された複合核を生じ、これがすぐに中性子(n)を放出して超重核種ができる。
超重元素は全て放射性元素であり、半減期が数マイクロ秒~数秒程度の非常に短命な核種が多い。そのため、同定・確認に時間がかかり、詳しい化学的性質はあまりわかっていない。ただしドブニウム268のように数時間程度の半減期を持つ核種も一部あり、また原子番号114付近には安定の島と呼ばれる長寿命の核種の存在が予想されている。
(*) オリフィス オリフィス板(英語:orifice plate)は円管を絞り、前後の圧力差から流量を求めるドーナツの形をした板である。形状および計測方法についてはJIS Z 8762で定められている。
(*) Oリング (O-ring、オーリング)とは、断面がO形(円形)の環型をした密封用(シール用)機械部品のこと。材質にはゴムが使われることがほとんどである。ゴムの他、断面が中空O型をした金属中空Oリング(メタル中空Oリング)や、テフロン等のプラスチックを使ったOリングも存在する。機材への流体の進入を防止したり、内部の流体が外に漏れないように密封するために用いる。
同様に9ページが機器の配置図でございます。伊方発電所につきましては電源ケーブルは既に恒設ケーブルが設置されており、使用時には各中継端子盤の付近のソケットを接続することによって、短期で給電が可能という対策になっています。万が一、電源車が使えなくなった場合においても、クリフエッジとは関係ございませんが、予備の電源車で給電が可能という内容になっております。10ページが移動ルートと作業エリアでございます。ここは割愛させていただきます。12ページは先例の大飯発電所と同じく、発電所の斜面や道路をリスクレベルによって色分けした図でございます。ごらんのとおり一部赤い部分や黄色い部分がございまして、ここの斜面が大きな地震が起きたときに、どうアクセスルートのアクセス性に影響するかということについて、現在確認をしている状況でございます。括弧4が地震・津波の重畳に関する時間的余裕の評価でございますが、ここは先ほど3番目と同じようにアクセスルートの健全性の確認を行ってございますので、説明は省略させていただきます。以上でございます」
岡本「ありがとうございます。伊方3号機については渡邉委員と私から事前に意見、質問が提出されておりますので、その回答について四国電力から説明していただきたいと思います」
黒川「四国電力の黒川です。それでは、岡本先生と渡邉先生の御質問に対する回答を御説明させていただきます。資料は7-2-3でございます。まず、岡本先生の方からは質問1としてソフトウエア、特に緊急時の指揮命令系と人員ということで御質問をいただいております。これにつきましては下の方の回答で、これらすべて回答につきましては昨年12月29 日時点での状況として、御説明をさせていただきたいと思います。
丸1としまして、地震・津波が発生して全交流電源喪失に至った場合には、防災業務計画に基づきまして防災管理者(所長)の判断により発電所災害対策本部が設置されます。この対策本部における指揮系統は、伊方発電所防災計画(内規)に規定してございます。また、当直長は、この対策本部の下で活動を開始するまでは、故障事故処理内規という運転操作の内規の手順に従い、電源確保及び給水確保を指示し、内規に定められた役割に応じまして運転員及び緊急安全対策要員(宿直者)にて運転操作、電源確保及び給水確保の初動対応を行うこととしております。これを4ページの添付資料-1に示してございます。休日・夜間に着目して指揮系統をまとめた図でございます。発電所の災害対策本部が立ち上がるまでは、当直長の指示の下、当直員19名、宿直で常駐の緊急安全対策要員11名、計30名で初動対応を実施いたします。
本文に戻り2ページですが、このように最も要員の少ない休日・夜間を想定した場合にも、運転操作、電源確保及び給水確保の初動対応は、発電所に常駐している運転員、緊急安全対策要員にて、事象発生後半日程度は対応可能としてございます。これを図で示したものが5ページの添付資料-2になります。これは初動対応が必要な操作項目を縦に並べており、右方向横軸に事象発生後の時間経過をとって想定しました常駐要員で、所要時間内で達成可能であることを訓練実績等を踏まえて検証したものでございます。これにより一連の操作が常駐する要員で対応可能であることを確認してございます。2つ目は参集要員の障害となる要因ということで、参集要員につきましては伊方町の寮、社宅から発電所に至る道路を利用して、通常時には歩いて2時間程度で到着できる距離にございます。この社宅、寮の多く所在いたします伊方町の中心部から発電所に至る道路は大きく2ルートあり、山越えとなっておりますので津波の被害の想定はされないんですが、地震によりますトンネル出入口矩面の崩壊、土砂崩れ等の被害が想定されるため、現地踏査を行いまして、迂回路等の可能性も調査しております。それをハザードマップとして社員で情報共有することとしています。先ほど丸1で回答申し上げましたとおり、事象発生後約半日間の初動対応は常駐要員で実施できますので、到着までの所要時間には更に数時間を要したとしても対応が可能と考えています。丸3の宿直人員なんですが、休日・夜間においても確実に緊急時対応ができますよう、当直員、宿直の社員、協力会社社員から構成される緊急安全対策要員として、電源確保班8名、給水確保班6名を確保できる宿直体制を昨年12月29日より充実してございます。この時点で参集要員2名を電源確保に充てていたんですが、それを宿直要員として増員しております。これらの作業時間につきましては、先ほどの添付資料-2でお示ししたとおりであり、この限られた人数で実施しています夜間訓練から成立性の確認をしてございます。こういったことを宿直を増強することを考えてやっておりまして、寮の配置変更などの措置は今のところ必要ないと考えております。丸4で役職者の配置についてですが、休日・夜間においても連絡責任者(役職者)により、防災管理者(所長)等へ速やかに連絡できる体制を整えてございます。また、防災管理者への連絡は災害優先の携帯電話または来月に配備する予定としております衛星携帯電話で可能となるようにしたいと考えております。このため、防災管理者は必ずしも発電所に常駐しておりませんが、指揮、命令という点で問題はないと考えてございます。丸5は通信、連絡手段についてですが、最も厳しい地震・津波の重畳を考慮し、通常の通信手段が使用できないことを想定し、トランシーバ、携行型通話装置、衛星携帯電話を活用した連絡手段を確保してございます。主な通信手段は詳細を添付資料-3、6ページになります。左下の漫画の方を見ていただきたいと思うんですが、この図に示しておりますとおり、中央制御室、災害対策本部、現場、そして本店をそれぞれトランシーバ、インターホン、ノーベルホン、衛星携帯で結んでおります。また、必要な電池等の消耗品類ですが、十分な予備を確保しております。以上が質問1に対する回答でございます。引き続きまして7ページ、質問2になります。LUHS時の長期冷却について海洋汚染、海洋生物の大量発生などにより、長期にわたって海水が利用できない場合を想定しなくてよいかという御指摘です。特に伊方についてはLUHSの評価でクリフエッジなしとしていますが、海水が使えない場合を想定したらどうなるのかということでございます。回答といたしまして、伊方3号機がプラントの1次系機器の冷却用としている海水は、水面下(水深約6メートル)で取水しているため、仮にタンカー事故で重油が流出した場合でも、重油は海面付近に浮遊することを考えると、多量に海水中に沈むことはないので、海水の取水は可能と考えております。また、取水口付近への油の流入を防止するためのオイルフェンス等をあらかじめ準備しておりまして、重油等の流出事故に対しましては迅速な対応が可能である。海洋生物(クラゲ等)が大量に発生した場合は、取水ピット内に設置しています海水中のゴミなどの異物を取り除くための除塵装置を運転することにより、引き続いて冷却用海水の取水は可能となっております。
海水取水用水中ポンプの海水取水については、取水ピット内に設置することとしておりまして、万一、これが利用できない場合は、評価上は淡水タンクを使用することにより、伊方3号機の場合、約2週間はプラントの冷却が可能です。
8ページ、12月の御説明の際に渡邉先生の方から全交流電源喪失評価における炉心のイベントツリーが、9ページに示したイベントツリーで御説明をさせていただいたんですが、これが機能別に上下に分かれており、シナリオがつかみにくい。これを分けずに一つのイベントツリーで表現できるのではないかという御指摘をいただいております。回答としては、現状、報告書に記載しております電源機能と除熱機能それぞれのイベントツリー(添付資料1)を、実際の事象進展および運転操作を踏まえて再度整理させていただきまして、両機能の従属性を考慮した1つのイベントツリーとして検討いたしました。これは10ページになりますが、ごらんいただきたいと思います。先ほど申しましたように、9ページで上と下にありました各防護措置を、事象進展と運転操作の流れを踏まえまして、これを順番に並べ直しました。そして、その下に欄を設けまして、電源機能に係る部分、除熱機能に係るものというふうに分類いたしております。この中で◎が付いておりますものが継続時間評価の対象としているものです。○は電源あるいは除熱機能どちらに関係するかを示してはおりますが、予備的なものも含めまして、あるいは失敗を想定しておるものも含めまして、評価には直接使用していないものです。文章の方に戻らせていただきまして、8ページ上から5行目、再度検討いたしました両機能の従属性を考慮したイベントツリーを確認した結果、現状の報告書に記載しております機能別のイベントツリーにおいて、それぞれ評価した事象進展及び継続時間評価を実施したシナリオと、再検討したイベントツリーにおいて実線で示しています両機能を合わせた事象進展及び継続時間評価を実施したシナリオ、この2つは整合していることを確認いたしました。具体的には、報告書に記載している評価条件のとおり、外部電源等の機能は回復せず、全号機での全交流電源喪失発生を想定していること、訓練等により操作の実行性が確認されていること等を踏まえまして、電源機能は蓄電池による電源供給後に電源車からの給電のみに成功すると仮定する。除熱機能は、タービン動補助給水ポンプ及び主蒸気逃がし弁を用いた除熱に成功し、補助給水タンク枯渇後の2次系純水タンクへの切替え、2次系純水タンク枯渇後は、余熱除去系を用いた除熱への切替えが成功すると仮定しています。これらの仮定を前提としまして、現状の報告書に記載しているイベントツリーと再検討したイベントツリーは、事象進展及び継続時間評価を実施したシナリオで整合しており、現状の評価結果に変更はなく、問題はないものと考えてございます。私の方からは以上でございます」
岡本「どうもありがとうございました。ただいま御説明いただき大変恐縮ですが、時間がもう10時近くなっていますので、質問、御意見等は大変恐縮ですが、メールでいただければと思っております。その点、御了解いただければと思います。それでは、最後に院長から一言お願いします」
深野「まず、今日はこういう形になってしまいまして、しかもこんな遅い時間まで先生方に御審議をお願いしたことにつきまして、まずおわびを申し上げたいと思います。私どもとしては開かれた意見聴取会ということで心がけてきたつもりでございますが、一方で技術的な御議論をいただくということですので、静穏な中で御意見をいただかなければいけないところでございますが、ちょっとそういうことがうまくいきませんで、結果としてこういうことになってしまいましたことについて、おわびを申し上げます。今日のこの素案も含めて、また、時間も当初予定していた時間よりも短くなってしまい、十分な御審議がいただけなかった点も多々あったのではないかと思っており、この件につきましては今日は素案ということですので、これも含めて引き続きよろしくお願い申し上げます。本当に今日は申し訳ございませんでした」
岡本「ありがとうございます。それでは、以上で本日の議事は終了ですが、最後に保安院から今後の予定について連絡をよろしくお願いいたします」
市村「今日はこういう形になり、議事も予定されたものを消化できておりませんし、また改めて次回の議事については調整をしたいと思います。日程については一応、今のところ2月8日3時からを予定しておりますが、また、場所、進め方等、御連絡をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします」
岡本「それでは、本日の意見聴取会は閉会いたします。どうもありがとうございました」
【木野龍逸氏によるまとめ】
発言者「今日はどうなんですか?成立するんですか?」
木野「いや、今日は取りえず、素案っていうことになっちゃったんで、結局議論が終わってない状態です。それで次回2月8日でしたよね、2月8日にもう一回やって、そこでそれまでに、今日の分と、それまでに委員から意見をもらった分をまとめて2月の8日に、素案の後に何を出すんだって話になるんですけど、とりあえず一回案を出して、その後どうするんだっていう、さっき囲みで質問が出ていたんですけど、いつ終わるかっていうのを今、私の口からは言えないってことですね。なのでちょっと先行きがよく見えないって感じです」
発言者「何か、各社もう容認だって」
木野「一応、保安員としては、いま回出した粗案の内容で保安員としては『技術的には別に問題ないですよって』いう風に言っているんです。もちろん粗案の中では。ただ、それに対して委員の方から結構色んな話が出ていたり、何かあんまちゃんと聞いてなかったんですけど、ダラダラ説明するもんで途中で飽きちゃって聞いてなかったんですが、要するに素案の中に盛り込んでなかった部分だとか、最初に入れるはずだったけど何か抜けちゃった所だとか、考え方そもそもの複合事象の考え方っていうのをどうするんだっていう意見が出ていて、単純に言うとその意見を入れないとまとまらない状態になっちゃったんです。誰が聞いても。だから保安員としては別によいですよと思っているんですけど『意見が出ちゃったからしょうがない』みたいな。ってちょっと先送り。だから保安員としては一応意見は意見として聞くけれど、最終的な判断をするのは保安員であって。それからその後に判断するのは、枝野さんとかの大臣とか、細野さんとかを含めた人たちなんで、それは又、保安員の判断でない最終的に決めるのは、政治家ですよ。みたいな。だから、あんたら何してるんだよ、って話なんですけど、あんまり保安員は別に決めたことを安全委員会に出して、安全委員会が『妥当』て言うとそこから政治家に行って終わりですみたいな..だからあんまり何考えているんだかわからないですね。物考えてない感じです」
発言者「考えたくないのまもしれないですね。委員が11人中4人しか出てないですね」
木野「いや、ええとね11人中…今日は8人に要請して6人来て..8人要請して8人来て、そして2人『明日講義がある』とかで帰っちゃって。奈良林さんと高田さん」
発言者「奈良林さん今日居たんだ」
木野「奈良林さん今日居たちょこっと。それでその後、後藤さんと井野さんがもめた後に『こんなんじゃできない』っていうんで抜けたので、全部で4人?よいのかそれでっていう話なんであすけど、多分そういうのあるんで、ちょっと保安員としても『ここでまとめちゃうとまずいんだ』なと多分思っていると思いますさすがに。こんだけ人数減ると」
発言者「ちょっとこれで決めて欲しくないですよね。こんないい加減なことでは」
木野「これでは決まらないですね。だから次の回でどうなるかでしょうね。今回こういう形で非公開にしてもめているんで、次どうするんだっていうと、次はまだ、今の今回のことを何か検証して。分析して次ぎ決めるとか言ってましたけど、分析するも何もあんたらわけのわからない事をするから..」
発言者「オープンにすればいいだけじゃないですかね」
木野「入れりゃいいじゃんっていう話なんですけどね」
発言者「入れればよいですよね」
木野「入れればよいだけの話なんですけど、多分いままでそういう情報公開ってしたことがないんで、怖いとは思いますよね。わからないから。ああいう人達もそんな身近では見ていないだろうし、そもそも情報を出すっていうことにより物凄く恐怖感はあると思うんですよね。反応に対して」
発言者「お疲れ様でした、ありがとうございました」
【文字起こし:ボランティアスタッフ 鹿島 リライト:@85singo】