第7回 発電用原子炉施設の安全性に関する総合評価(いわゆるストレステスト)に係る意見聴取会 2012.1.18

記事公開日:2012.1.18取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

IWJ特集 ストレステスト意見聴取会
※全文文字起こしを会員ページに掲載しました。

 2012年1月18日(水)16時15分、原子力安全保安院は、福井県にある関西電力大飯原発の運転再開の判断の前提となるストレステストの結果について、経産省内の会議室(別館1111号会議室)で最終的な議論をする予定だった。

 しかし、一般市民に会議室(11F)内での傍聴を認めず、別室(10F)でモニターでの傍聴としたことなどから、原発の運転再開に反対する人たちが猛抗議。俳優の山本太郎氏の姿も見られた。場内は一時騒然とした状態となったが、その後別の会議室(本館17F国際会議室)が用意され、やはり会議室での傍聴を認めない状態で会議は19時50分に開始された。

 原発の運転再開に慎重な後藤政志委員、井野博満委員は、「傍聴人を閉め出すのはおかしい」などとして抗議のため退出せず、この後行われた意見聴取会を欠席した。

120118 意見聴取会座席表

 画面では、向かって右後方より、長江安全審査官、名倉安全審査官、浦野統括安全審査官、黒木審議官、市村原子力安全技術基盤課長、岡本孝司委員(進行役)、中村審議官、吉野統括安全審査官、熊谷原子力発電検査課班長、小林耐震安全審査官

 向かって中央、左より小倉特任参事、山下次長、高松次長、福西審議官、前川次長、平野総括参事 (JNES)

 向かって左後方より、渡邊憲夫委員、山口彰委員、奈良林直委員、高田毅士委員、佐竹健治委員、後藤政志委員、井野博満委員

[16時23分]

【16時~17時ころ】
 意見聴取会の出席者や報道陣は、準備を行いながら開始予定である16時15分を待つ。中継機材のチェックを行うため、記者席に座りパソコン画面に目を落としていると、後方出入り口付近から、物凄い声が。驚いて顔を上げると、3~4人の男性が何かを訴えながら入ってきた。会場の目は男性たちに釘付けになり、報道陣は一斉にカメラを向ける。すぐに一人の男性は職員ともみ合いになった。しかし、もみ合いになりながらも何かを必死に訴えている。

「市民の傍聴を認めろ」
「利益相反の疑いがある委員を辞めさせろ」

 原発に反対している市民が会場に乗り込んできたのだと理解できた。カメラを会場後方の入り口付近に向けると、さらに何人かの市民が入ってきていた。女性や山本太郎氏の姿もあった。ほどなくして、職員は男性を押さえ込むことをあきらめる。記者席前方の議場に座っている委員や保安院職員たちは、市民の訴えに対し、うつむいたり、資料をめくったり、男性たちを見たりと、各々の動きをして見せた。何人かの委員や職員は、ぽつぽつと訴えに対し答えているようだったが、市民たちは納得せず抗議は続いた。

 すぐ後ろに大声で訴えている初老の男性がいたため、カメラを向ける。彼は別室モニターで傍聴していたようで、カメラアングルの改善を求めていた。しかし、その言い方と論点の違いから、緊迫した会場は少し笑いに包まれた。続けて男性は、「プレスの責任だ!」と述べ、メディアの報道姿勢について批判した。その瞬間、スーツを着た男性が初老の男性の左腕を素早く掴み、力づくで会場から引っぱり出そうとした。初老の男性は出されまいと抵抗し、それに気がついた複数の市民が、「職員の方は暴力を止めてください」と口々に訴えたため、スーツを着た男性は手を離した。スーツの男性は右手にハンディカムを持っていた。

 意見聴取会の開催が困難になったため、職員から対応を協議するためそのまま待つように指示が出る。議場に座っている保安院の黒木慎一審議官と市村知也課長は、しばしば携帯電話で通話を行っていた。市民たちは委員たちに発言を求めるが、それに応じることはなかった。市民の何人かに話を聞くと、会場に入っている人には、直接乗り込んできた人と別室で傍聴していた人がいると話してくれた。また、福島からきたという人もいた。私の近くでは、市民の1人が電力会社社員に、「関西電力の社員ですか」と問いかけ、社員は「答えられません」と言っていた。

【17時~18時ころ】
 後藤政志委員は意見聴取会について、「議論というのは、課題について色々な広がりを持つ、枠組みをして限定してはならない」、「皆さんに聞く権利がある」と述べると、市民から拍手がおこった。17時を過ぎたころから、市民たちは後日傍聴が出来る形での開催を求め、流会を求めるようになった。

 18時が近づいたころ、対応を協議していると言い続ける保安院の対応に対し、市民たちはいらだちはじめた。黒木審議官が委員の退室を指示した。机上の資料も持たずに退室していく職員と委員たちを見ながら、後藤委員はマイクを取り、「公開するか、場所を移すかという議論をしていたのではないか」、「なぜそうする(退室する)のか」と訴えた。会場には後藤・井野委員と電力会社社員、報道関係者、市民が残された。

 再び騒然とした会場で、市民男性が「プレスじゃない人が写真を取っている」とその男性を指して声を上げると、写真をとっていた男性は、顔の前で手をひらひらとさせ、いま出ていくといったポーズを見せて、退室した。この出来事に市民女性は「公安も予約して登録したの?」と皮肉めいた冗談を言った。

[18時09分]

【18時ころ】
 保安院の吉澤雅隆原子力安全広報課長が現れ、議論が出来ない状況であると述べ、全員に退室を求めた。しかし、市民たちは応じなかった。吉澤課長は市民の言葉を聞き、話し合うが、どうにもならなかった。そこへ、もう一人別の職員と思しき、眼鏡をかけた男性が、電力会社社員とJNES職員、後藤・井野委員に再び退室を求める。この男性に言葉を聞くような姿勢はなく、ただ退室を求め、去っていった。会場はブーイングの嵐になった。後藤委員は手にしたファイルで机を一度叩き、激しい口調で、「時間がかかるのはわかる。しかし、対応をしているときに、委員だけ密室に行く、そんなやり方はない。みんなの前でやればいい」と述べた。

 私たちIWJのカメラは、退室していく関係者たちを追った。廊下には警備の人間が10人弱並んでいた。エレベーターホールまでいくと、職員が手際よく関係者をエレベーターに載せていた。エレベーターには到着階の表示がなく、どこへ行ったかわからなくなった。他のエレベーターは停止しているか、警備員によって封鎖されていた。一人の警備員に、関係者の行き先をそれとなく聞こうとするが、断られた。さらに、会場以外は撮影禁止のためカメラを止めるよう言われた。私たちは追跡を断念し、会場へ戻った。

 会場へ戻ると、委員がいなくなり、あいた席に市民が座り、井野委員が発言をしていた。井野委員は講堂に移して行えば、問題なかったと述べた。そして、このような事態になったことに対し、「保安院がまいた種だと思う、今後どうするのか注目したい」と述べた。次に後藤委員が、今日の会議で大飯3・4号機は安全だというプレス発表が出ることに愕然としていると述べた。突然、その発言を遮るように、眼鏡をかけた男性職員が再び退室を求め、去った。その後、後藤委員は会議が評価の対象にしているものが限られていると述べた。原子力安全基盤機構元検査員で井野委員の同行人は、ストレステストは複合的な事象を想定していないと述べた。山本太郎氏が質問を行い、委員の席に座った市民も意見を述べた。

 一通り発言が終わり、市民は井野・後藤委員以外の聴取会関係者がいなくなったこの場をどうするか議論を始めた。警察に排除される可能性を危惧し、移動する話が出たが、待つことをを決めた。メディアに対し、帰らないで撮り続けてくれと述べた。職員が来るのを待つ市民たちは、意見を交換し、報道関係者も委員たちの見解を聞いた。山本太郎氏も記者の質問に答えた。

 それから30分~40分たった19時過ぎに、先ほどの眼鏡をかけた職員が、経済産業省本館17階で、傍聴者を一切入れないで聴取会を行うと伝えた。会場はまた騒然となり、それに憤る市民が詰め寄り、傍聴を強く求めた。報道関係者もそれを撮ろうと密集したため、20人ほどの団子状態になった。その中心で、二度ほど職員が後ろに倒れそうになるが、市民男性はそれを助けた。市民男性は、「わざと倒れようとしている」と言った。3分ほどして、他の職員たちが入ってきて、眼鏡をかけた職員を会場外へ引っ張り出した。

 私たちは報道関係者は移動を求められ、廊下へ出た。エレベーターはやはり一つしか使えないようにされていた。1階エレベーターホールに降りると、入り口付近に20名前後の制服を来た警察官が整列しているのが見えた。そして、コートとスーツを着た男性たち10名弱がエレベーターの前に立ちはだかり、再び上に戻ることが出来ないようにしていた。私たちはあわてており、次の会場を記憶できていなかったため、職員に尋ねてから本館へ向かった。

 会場移動後、傍聴禁止のうえで会議を開始

 会場移動後の20時から、傍聴禁止のうえで意見聴取会が開始された。井野博満委員、後藤政志委員は傍聴禁止に反対、元の会場に残り欠席した。開始から15分ほどたった頃、枝野経産大臣が会場にあらわれた。大臣は、専門家の意見を聞く場で騒ぎが起きたことに対し、「申し訳なく思う」と委員に謝罪した。

 今回は大飯発電所3・4号機、伊方発電所3号機、美浜発電所3号機および敦賀発電所2号機、ストレステストの審査の進め方について意見聴取が予定されていた。しかし、22時になり、進行役の岡本委員から会議終了が告げられた。議事は半分ほどしか進まずに聴取会は終了した。

 聴取会終了後、報道陣による黒木審議官へのぶらさがり取材が行われた。その中で黒木審議官は、聴取会では技術的な意見を専門家から聞いているため、原発再稼動は最終的に「3大臣が判断すること」と述べた。また、IWJ阿部が「(会場の外で行われている)抗議活動が聞こえていると思うが、感じることはあるか、伝えたいことはあるか」と質問。黒木審議官は「(原発事故は)安全規制をやっている人間として衝撃を受けた」と述べ、「二度と起こさないためのシンプルな方法は全て止めることだが、社会の中では安全であれば必要であろう」と現状について述べた。そして、原発を止めるかどうかは「政策の問題」とし、保安院として安全対策に「真摯に取り組む」と述べた。

会議終了後、経産省前での木野さんによるまとめ

全文文字起こし

【意見聴取会】

市村「今日は4つの議題を用意しておりましたが、既にもともとの閉会時刻を過ぎていますので、時間の状況を見ながらできるところまで進めたいと考えています。資料の確認等は省かせていただきます。議事進行はこれまでどおり岡本先生にお願いしたいと思います。それでは、岡本先生、よろしくお願いします」

岡本「進行役として以降の進行を務めさせていただきたいと思います。今も既に話がありましたように、本日4つの議題がございます、議題1「関西電力株式会社大飯発電所3.4号2機に関する一次評価について」に入りたいと思います。まずは保安院から資料の説明をお願いいたします」

(…会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入よりご覧になれます。

一般・サポート 新規会員登録単品購入 330円 (会員以外)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です