「大事件が起きた場合、係長しか知らなかったことにして、トカゲのしっぽ切りをするような、そんな危機管理マニュアルが厚労省にあるのではないでしょうね」──。
このように問いかけた山井和則衆議院議員は、日本年金機構の情報漏えい問題では初動ミスが被害を拡大したとし、5月8日から25日まで、ウィルス感染の対応にあたったのが厚労省の担当係長1人だけで、上司の課長がまったく報告を受けていないのは不自然ではないか、と疑問を呈した。
2015年6月8日午後、東京都千代田区の衆議院第二議員会館にて、民主党による漏れた年金情報調査対策本部(本部長・蓮舫代表代行)の第5回目となる会議が行われた。
事務局長の山井衆議院議員をはじめ、柚木道義衆議院議員、白眞勲(はく・しんくん)参議院議員、玉木雄一郎衆議院議員、牧山ひろえ参議院議員らは、「5月19日に年金機構が高井戸警察署に捜査依頼までしているのに、なぜ、5月25日まで厚労省の担当課長が知らなかったのか。塩崎恭久厚労大臣への報告も遅く、あまりにも対応がおそまつだ」と対応を問題視した。
各議員は、事実関係の確認や初期の対応について問い質したが、関係省庁の担当者らは、「捜査に支障を来す、確認を要する、詳細は差し控える」などの弁明に終始し、歯切れの悪いやりとりが続いた。
なお、6月1日に情報漏えいが明らかになって以降、年金機構の名を語った電話などが116件あり、預金情報、家族構成を聞き出そうする不審な事案が、埼玉や神奈川など30都道府県で発生しているとの報告もあった。
日本年金機構の情報漏えい事件では、現在までに125万件中5.2万件、4種類の情報(基礎年金番号、氏名、生年月日、住所)の漏えいが確認されている。この事件は2015年6月1日、塩崎厚労大臣の記者会見において公にされた。しかし、前月の5月8日、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が不正アクセスを確認し、厚労省の担当係長へ報告。さらに年金局、日本年金機構へも連絡を回していたが、5月25日になるまで厚労省の担当課長には情報漏えいは知らされず、係長がすべて対処していたという驚くべき事実が公表されている。
この日、午前中に開かれた衆院の決算行政監視委員会において、この件について問われた塩崎大臣は、「厚労省のセキュリティポリシーには『ウイルス感染の際は線(LANケーブル)を抜け』とあり、担当係長はその方針を忠実に守ったので対応に問題はない』と答弁している。
- 内容 関係省庁等からのヒアリング(日本年金機構、厚生労働省、警察庁、内閣官房)
- 日時 2015年6月8日(月) 14:00〜
- 場所 衆議院第二議員会館(東京都千代田区)
厚労省のセキュリティポリシー「ウイルス感染の時は、線を抜け」
山井議員が、「年金情報漏えい問題の件は、今日(6月8日)の午前中(決算行政監視委員会)、猪木寛至参議院議員が菅官房長官を、私は塩崎厚労大臣を追及した。明日は参議院厚生労働委員会で、蓮舫代表代行が質問に立つ。今日ここには、5月8日から25日まで1人でウイルス感染の対応にあたったという担当係長の、上司である厚生労働省年金局事業企画課長の赤澤公省氏にも来てもらっている」と口火を切った。
山井議員は、まず、最大の問題は初動ミスだと断じた。
「担当係長の判断で、(事件発覚時の)5月8日に1台のパソコンしかLANから遮断させなかった。専門家は、初日にすべてのパソコンを遮断しなかったため、漏えい拡大につながったと指摘している。しかし今日、塩崎厚労大臣は、『厚労省のセキュリティポリシーは、ウイルス感染の際は線(LANケーブル)を抜けと書いてあり、係長はその方針を忠実に守ったので問題はない』と答えた」
さらに、塩崎厚労大臣の答弁によれば、担当係長は、5月8日、11日、15日、19日、22日の5回、自分1人だけで(年金機構への)対応を行い、ウイルス感染から18日後の5月25日になって、初めて直属の上司である赤澤課長に報告したという。
「しかし、赤澤課長も課長補佐も、この係長と席は隣接している。5月19日には警察に捜査依頼までしているのに、そんな深刻な話を上司の赤澤課長が知らないとは、あまりにも不自然だ。また、塩崎厚労大臣は、この係長へのヒアリングはしていないし、する予定もないと言う。事の重大性への認識が薄く危機感がまったくない。厚労大臣失格だ」と、山井議員は語気を強めた。
「自分に報告はない」の一点張りの赤澤課長
この日の会議は、第1回目の会議での宿題(持ち帰り事項)と追加質問に、各省庁の担当者が答える形になっている。まず、年金局担当審議官が、インターネットとつながっているパソコンの台数、不正アクセスの経緯、パスワード設定の有無、企業年金連合会からの漏えいはないことなどを報告した。
不正アクセスについて担当審議官は、「125万件のデータ漏えいは、5月31日深夜に確認した。すぐに大臣へ報告しなかったのは、『変わったことが起きている』ぐらいの感覚で、漏えいとまではわからなかったからだ」と述べて、これ以上は捜査に関わるとして、肝心な部分の回答を避けた。
それに対して山井議員が、「(漏えいした情報は)沖縄などが多いのではないか。調査中と言うけれど、わかっているんじゃないの?」と追及する場面もあった。
次に厚労省情報政策・政策評価審議官の安藤英作氏が、リスク連絡の状況について簡単に述べ、(警視庁から情報流出の連絡を受けた)5月28日から6月1日18時40分に公表されるまでの塩崎大臣のスケジュールを説明した。それを受けて、山井議員が赤澤課長に質問した。
「5月8日から5月25日まで5回にわたり、担当係長が日本年金機構から報告を受け、1本だけ(パソコンの)回線を抜けと指示した。かつ、5月19日には警察へ捜査依頼もしたというが、赤澤課長には、まったく報告も相談もなかったのか」
赤澤課長は、「報告はない、聞いていない」を繰り返した。
厚労大臣の監督責任を問われる怠慢な対応
山井議員は赤澤課長の答えに納得せず、「これだけの大事件が17日間も、警察へ捜査依頼もしているのに、目の前にいる課長にも報告されず大惨事になった。こういう仕事のやり方は、厚労省では普通なのか」と重ねて尋ねたが、赤澤課長は遺憾の意を表明しながらも、「あくまでも、自分は聞いていない。検証はしなくてはならない」と歯切れ悪く応じた。
柚木議員も、「5月25日、課長や審議官へ報告があったのに、塩崎大臣には報告しなかったのか。情報流出が明らかでなかったからと言うが、すでに職員に不審メールも来ていた。これでは担当職員が告発されることもあり得る。塩崎大臣が監督責任を問われてもおかしくない」と批判した。また、6月6日と7日、年金機構への33万件の電話のうち10万件が通じず、ホームページも閉鎖されている点を問題視し、ホームページ再開の目処について問い質した。
赤澤課長は、「情報流出が定かでなかったため、大臣にすぐには報告しなかった」と答えた。ホームページについては、日本年金機構の薄井康紀副理事長が、「きちんと検証と精査をしなくてはならず、一部を除いて再開にはもう少し時間がかかる。電話対応に関しては体制を強化し、問い合わせも昨日は1万5000件ほどに減少した」と述べ、さらに、年金機構への不審な問い合わせが145件あったことを明かした。
年金機構の名を語る不審な電話116件
柚木議員は、さらに不審な情報の最新の件数、内容、漏えい情報の多い地域を尋ねた。
この事件を利用し民主党のネガティブキャンペーンを行っている人間が存在するので、ガセ情報には注意が必要である。もちろんだが、内容は真っ赤な嘘だ。参考になるのは、ネットゲリラのブログに6月8日午前3時32分に掲載されたツイッターのスクリーンショットだが、《ネトウヨに配布されて一斉にネットに書き込むテンプレ》というものが存在するそうで、田母神俊雄氏と井上太郎氏のツイッターの内容一字一句同じになっている。
それよりも更に悪質なのが上念司氏で、この記事より後の時間になる『おはよう寺ちゃん』という文化放送の番組内で、上記のツイッターと全く同じ内容のことを言っていた。これはYoutubeにアップされたもので確認できます。何故、上念氏が民主党と長妻明議員のガセ情報をラジオで流すのかは本人に確認してください。
「厚労省は担当係長に責任をすべて負わせるつもりでは?」 民主党 第5回 漏れた年金情報調査対策本部会議 ~「何も知らない」課長も登場 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/248415 … @iwakamiyasumi
下らない茶番だ。「公僕」の意味を問い直し、「主権在民」を取り戻そう。
https://twitter.com/55kurosuke/status/609644577809633280