年金機構の個人情報流出問題は、他人事で済ませられない。マイナンバー法案が通れば全国民の個人情報の集約・一元化が格段に進む。事故であれ、故意であれ、流出した情報の原状回復はできない。しかもそうした個人情報は様々な犯罪に悪用され、我々国民の誰であっても、被害者になる可能性がある。
日本の制度のモデルとされている米国のソーシャルセキュリティーナンバー制度。その米国では、個人情報の流出と不正利用が絶えない。本人になりすます「なりすまし被害」が横行しており、その被害額はなんと年間5兆円!参考資料
特集 マジありえない共謀罪・盗聴法・マイナンバー
※6月5日の岩上安身の連投ツイートを再掲します。
年金機構の個人情報流出問題は、他人事で済ませられない。マイナンバー法案が通れば全国民の個人情報の集約・一元化が格段に進む。事故であれ、故意であれ、流出した情報の原状回復はできない。しかもそうした個人情報は様々な犯罪に悪用され、我々国民の誰であっても、被害者になる可能性がある。
日本の制度のモデルとされている米国のソーシャルセキュリティーナンバー制度。その米国では、個人情報の流出と不正利用が絶えない。本人になりすます「なりすまし被害」が横行しており、その被害額はなんと年間5兆円!参考資料
米国の連邦取引委員会によると、06~08年の3年間で1170万人が「なりすまし被害」にあっており、毎年5兆円の損害が発生しているという。ファイヤーウォールがどうたら、の問題ではない。個人情報を一元的に集約するからこうなる。
振り込め詐欺や架空請求詐欺などの特殊詐欺犯罪の被害総額は、2013年1〜9月までで約337億円。過去最悪だった2012年の被害総額364億円を上回った。その手口は、極めてシステマチックなもので、日ごとに洗練されているという。
その内情の一端を鈴木大介氏がしるした『振り込め犯罪結社』で知った。これは、先月ロックの会の二次会で、岩井俊二監督から薦められて読んだノンフィクションで、丹念に詐欺犯たちに取材した労作である。リアリティーがあり、おそらく現実を忠実に写し取っていると思われる。
振り込め詐欺集団は、まるで会社組織のように運営されている。メンバーが事務所に出勤して最初にすることはタイムカードを押すこと。新人には教育研修があり、専任の講師もいる。役割分担もきっちりと決まっている。投資を行うオーナーの金主は現場には顔を出さず、決して捕まらない。
最も重要なのは、個人情報が記載されている名簿である。狙いは資産があり、できれば独居の高齢者。個人情報はあちこちから盗まれ、売られて、精製され、高値で取引される。こうした名簿を元に、テレホンポインターのように、電話をかけまくるプレイヤーたち。今はカタギも少なくない。
手口やシナリオは次々とパージョンアップし、複数のプレイヤーが電話口に代わる代わる出て、疑い深い「標的」を騙す。そんなに人は簡単に騙されるのか、と思うのだが、単純に騙されたから金を払った人ばかりでなく、半ばおかしいと思っていても払う人もいるという。恐怖心からである。
そうした人は、繰り返し詐欺被害にあい、繰り返し振り込み、警察に被害届を出さない。詐欺犯グループはATMにまで振り込みに行かせるのではなく、直接、自宅へ金を受け取りに行く。顔と顔を合わせているのだから、自分の息子でないことはわかっている。それでも黙って払う人がいる。
薄々騙されていることに気付きながらも、怖いからと金を払うだけでなく、自宅にやってくる人間への恐怖と怯えから、来るたびに金を渡してしまう人もでてくる。こうなると詐欺ではなく、恐喝である。そうした被害にあった被害者は、報復を恐れて被害届を出さないので、被害が表に出ない。
なりすましによるカード被害や不正利用、さらに詐欺だけでなく、暴力の威圧による直接的な恐喝まで。個人情報のまとまった流出によって、あらゆる人があらゆる犯罪の被害を受ける可能性がある。なぜこんな危険な制度を国民に押しつけるのか。国民のことはどうでもよいからではないか。
マイナンバー制度の裏にあるのは、より効率的に国民を管理したいというのが、政府の思惑だろう。しかし、その管理に政府はろくろく責任をもたないし、もてない。国家の都合ばかりが優先され、あげく、相対的な弱者にしわ寄せがいくことにあまりに無頓着なのではないか。廃案にすべきである。
【岩上安身のツイ録】年金機構の個人情報流出問題は他人事ではない! マイナンバー法案で、私たちの個人情報が流出の危機に――振り込め詐欺集団の実態とは? http://iwj.co.jp/wj/open/archives/248046 … @iwakamiyasumi
恐るべき実態。官民挙げての詐欺行為が横行中だ。
https://twitter.com/55kurosuke/status/608249211461566464