2015年3月4日(水)14時30分より、東京・六本木の原子力規制庁で田中俊一・原子力規制委員会委員長による定例会見が行われた。「国が前面に立つ」と言う福島第一原発の事故対応について、規制庁としては、全体のリスクを下げることを主眼に、大きなところから対応を求めていると田中委員長が説明した。
2015年3月4日(水)14時30分より、東京・六本木の原子力規制庁で田中俊一・原子力規制委員会委員長による定例会見が行われた。「国が前面に立つ」と言う福島第一原発の事故対応について、規制庁としては、全体のリスクを下げることを主眼に、大きなところから対応を求めていると田中委員長が説明した。
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東京電力福島第一原子力発電所のC、K排水路から汚染水が海洋流出した問題で、規制庁は流出した水の濃度を長らく把握していかなった。一連の規制庁側の対応について、問題はないのかと記者が質問。田中委員長は、「廃止措置の事業主体と責任は事業者だ」と言い、工事等について箸の上げ下ろしまで技術指導を規制委・規制庁がするものでもないと意見を述べた。
排水路の問題については、東電から、数値の報告がなかったから対応が遅れたとしながらも、海側トレンチは滞留水の汚染濃度が遥かに高く、より重大な問題だと田中委員長は指摘。凍結止水などいろいろ対策を行ってきたが、うまくいかず、結果的に時間がかかったという。
福島第一原発の事故対応に国が関与すると言いながら、規制庁は東電任せにしているように見受けられると記者が指摘。田中委員長は、大きなところから対応を求めてこちらもやっていると述べ、全体のリスクを下げる考えを強調。
さらに、汚染水の問題は、濃度の高低がどうであれ、廃炉が終わってからもずっと続く、その覚悟ができていないと苦言を述べ、現状のようにタンクに汚染水を溜め続けていけば、いずれ破綻して水浸しになってしまうとし、今のままではそれはもう遠くないという考えを示した。
安倍首相の「完全にコントロールされている」という発言について、田中委員長は、環境への影響がないという意味でのコントロールという発言で、全く汚染水が出ていないということは言っていないと、改めて政府見解をかばう説明を繰り返した。
田中委員長は、もともと少しの汚染水が出ていると話し、告示濃度以下のものは捨てる以外にはないという。ALPSを用いた水処理についても、3か月平均で告示濃度以下にする、あるいは、希釈して告示濃度以下にするなどのいろいろな方法で、基準が決まっているものは基準に沿ってクリアしていかないと行き詰ってしまうと強調した。
規制庁・規制委は、科学技術をベースにした規制を行い、実態を踏まえてリスクを下げていくことを求めているとし、そのことも報道してほしいと、この日の会見で田中委員長は報道陣に注文をつけた。