2014年12月10日(水)10時30分から、2014年度第45回原子力規制委員会が開催された。放射線作業従事者の緊急作業時の被曝限度について、250mSvを一つの指標とする方針が決まった。今後さらに事務局で整理し、委員会で議論されるという。
2014年12月10日(水)10時30分から、2014年度第45回原子力規制委員会が開催された。放射線作業従事者の緊急作業時の被曝限度について、250mSvを一つの指標とする方針が決まった。今後さらに事務局で整理し、委員会で議論されるという。
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緊急時作業被曝と計画被曝は分けて考えること、緊急時における作業員の被曝限度は250mSvを一つの指標とする方向性が決まった。今後、さらに事務局で検討し、委員会で審議される。
福島第一原子力発電所の事故発生時、緊急作業被曝限度を100mSvに上げ、その後250mSvまで引き上げた。その時々に慌てて「バタバタと変えるのはよくない」と田中委員長は発言。あらかじめ、どのような時に、どこまで上げるのかを決めておけば、事前に教育・訓練し、対策を練っておくことができるという。
この日は、どの時点からどの時点までが緊急時なのか、その判断は誰が行うのか、といった論点について、議論が進んだ。しかし、「今回はまだ結論まで出すわけじゃない」と、今後の方向性を示すにとどまった。
今回は、発電所敷地内にて、放射線作業に従事する者に限った場合の緊急時被曝限度について議論されたが、住民避難などの際のバスの運転手や消防・警察などはどうするのかということについては、内閣府の防災担当とも関係する「防災避難計画の大きな課題だ」との認識を示し、日を改めて議論したいとした。
緊急時被曝限度はどこまで上げるのか。諸外国の事例をみると、おおむね250~500mSvであり、500ぐらいまでは大丈夫だと田中委員長は言う。だが、なるべく被曝線量は少ないほうが良いというALARAの観点から、実効線量で250mSvとすることを提案。さらに、運用方法として、緊急作業時の被曝と、緊急時が終わった後の通常時の計画被曝は区別して考えることも提案され、他の委員も賛同し、250mSvを一つの指標をすることが決まった。
昨年2013年8月に発生した、福島第一原子力発電所H4北エリアのフランジ型タンクから、RO濃縮塩水が漏洩したことに関して、今年10月に東電から最終報告書を受理。規制委員会としてその評価を議論した。
東電は、漏洩の原因はフランジ型タンクの継目の劣化だと判断。漏洩したことで汚染した土壌の80%を回収し、タンクを溶接型に置きかえることなどを計画、実施している。
報告を受けて、田中知委員は、まだ回収できていない汚染土壌が残っているが、土壌中のセシウムとストロンチウムは移行速度が異なるため、注意するようにとコメントした。
更田豊志委員は、フランジ型タンクに高濃度のその他汚染水が残っており、リプレイスした溶接型タンクにALPS処理水を入れているが、リスクの観点からいうと逆だとコメント。
田中俊一委員長は、これら指摘も踏まえて事業者に対処してもらうよう、事務局に指示。その上で、規制委員会としての報告書の評価判断については了承された。
INESはもともと健全な施設に適応することを想定した評価尺度で、福島第一原子力発電所のような健全でない施設に適用することが適切なのか、検討するよう田中委員長から指示があった。事務局で考え方を整理し、方針について議論した。
田中知委員は、INESを書かなくても適切な情報発信ができ、かつINESを書くことでかえって混乱するなら、INESは示さないほうがよい、と意見。
更田委員は、福島第一原発に関して、一つの数字尺度で示すのはふさわしくないことを示せばよいとコメント。中村佳代子委員、石渡明委員からもINESを書かなくてもよいとのコメントがあった。
以上を受けて、田中委員長は、規制委として今後、福島第一に対するINES表記をどう扱うのか、内規を作ることを含めて検討するよう、事務局に指示した。
2014年8月から9月に2回開催された「火山活動のモニタリングに関する検討チーム」は、次回から具体的なモニタリングについて検討する予定。そのため、新たに2名の外部専門家を追加し、島崎邦彦・元原子力規制委員会委員長代理にも外部専門家として参加することを提案し、了承された。
12月1日から5日にオーストリア・ウィーンで開催された「IAEA・ILO職業被ばくに関する国際会議」に中村委員が出席、その報告を行った。
■jaikoman氏によるツイート