放射性チップ不法投棄事件、主犯に有罪判決が出るも「放射性木くずは、今、北関東で野ざらしに」他の木くずと混ぜて堆肥にする計画も 2014.12.2

記事公開日:2014.12.17取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根)

※12月17日テキスト追加しました!

 「判決は起訴事実を認め、さらに、『木くずには福島原発事故由来のセシウムが付着』と踏み込んで認定した。主犯には保護観察、遵守事項を付け、(汚染チップの廃棄が)復興への不信を招いたと言及した」──。原告側の弁護士は、大津地裁の判決を高く評価した。

 滋賀県放射性チップ(木くず)不法投棄事件の主犯裁判の第2回公判が2014年12月2日に行なわれ、終了後に滋賀県大津市の滋賀県庁3階記者会見場で、原告団による記者会見が開かれた。原告側は、今回の判決を評価しつつも、福島の放射性木くずが現在は北関東で放置されていること、それを非汚染の木くずと混ぜて堆肥にして流通させる事業計画があることに懸念を示した。また、裁判の過程で明らかになった滋賀県の対応を疑問視し、滋賀県知事に質問要望書を提出した。

 この裁判は、2013年3月に滋賀県高島市の鴨川河口周辺(県有地)に、大量の放射性木材チップが不法投棄されていることを住民が見つけ、訴えたことに始まる。投棄された木材チップの総量は310トンで、1キログラムあたり1万2000ベクレル(京都市民環境研究所の測定値。滋賀県発表の測定値は3900ベクレル)、空間線量は毎時0.9マイクロシーベルトあったという。

 住民が強く撤去を求めたにもかかわらず、滋賀県はこれを9ヵ月も放置。2013年12月7日の住民説明会 において、「2014年1月末までに撤去・搬出作業を実施する」「撤去・搬出は業者が善意で行うもので、搬出先などは一切明らかにできない」「犯人を特定できていないので、滋賀県として告発はできない」などの回答を繰り返した。最終的に、2014年2月末に木材チップの搬出は終了。住民側が不法投棄者を廃棄物処理法違反などで刑事告発していた。

■ハイライト

  • 日時 2014年12月2日(火) 14:00~
  • 場所 滋賀県庁3階記者会見場(滋賀県大津市)
  • 主催 滋賀県放射性チップを告発する会

「福島原発事故由来のセシウムが付着」と裁判所が認定

 会見の冒頭、滋賀県放射性チップを告発する会の顧問弁護士は、「告発の趣旨にかなった、優れた判決だ」と口火を切り、鴨川河川敷への木くず不法投棄という起訴事実のみならず、その木くずは福島原発事故由来のセシウムが付着したものであると、裁判所が踏み込んで認定したことを高く評価した。

 また、量刑理由について、「3年間の執行猶予期間に保護観察を付けている。これは珍しい。理由として、『被告人の反省が強くない』と規範意識の欠如を指摘しており、さらに、『社会貢献活動(ボランティア)に従事すること』との具体的な遵守事項も追加した。つまり、バラまいたものの後始末、環境への配慮をしなさい、という意味だ」と語り、このように続けた。

 「裁判所が、被告の行為は(東日本大震災の)復興への不信を招いた、としていることも重要だ。『本件の犯行は、被災者の痛みの分かち合いではなく、単なる(廃棄物の)拡散だ』と言及している。社会的影響を考えている判決内容である」

 さらに、弁護士は「不法投棄場所が原状回復されている事案を、検察があえて起訴したことも、社会の期待に応えたものである。そして何よりも、声を上げた住民の努力が評価されるべきだろう」と述べた。

5000トンの汚染チップは今も野ざらし状態に

 裁判の経緯は、次のようなものだ。滋賀県放射性チップを告発する会の共同代表で元大阪市立大学教授の畑明郎氏らは、2014年1月30日および2月28日に大津地検、滋賀県警に対して、不法投棄の実行者3名を廃棄物処理法違反および河川法違反の容疑で刑事告発した。主犯の経営コンサルティング会社社長田中良拓氏は、9月25日に逮捕、10月15日に起訴された。第1回公判は11月6日に行われ、12月2日に判決が出た。

 告発の理由を、畑氏は「滋賀県が刑事告発を避けたこと。市民が強く要望したにもかかわらず、木くずの出所や搬出先などについて情報開示がないこと。さらに、約9ヵ月間にわたり県の管理地に放射性木くずを放置した行政運営に対して問題提起をするためだ」と語った。

 その後、マスコミと市民グループの調査では、同じような汚染木くずが、福島、山梨、千葉県にも持ち込まれていたことがわかり、特に千葉県では、その木くずが堆肥になり流通している事実が発覚したという。

 また、裁判の過程で、田中被告は約2000万円の費用をかけて原状回復を行ったが、滋賀県から撤去した放射性木くずは、北関東の私有地(田中被告の借地)に運ばれ、いまだ野ざらしであることも判明している。

 畑氏は「当初、滋賀県は住民に対し、『善意の第三者が木くずを無償で撤去した。どこに運んだのかは、風評被害の懸念があるので言えない』などと虚偽の説明をしてきた。滋賀県の行政運営に憤りを感じる」と力を込めた。

 また、田中被告は裁判所に今後の事業計画を示し、「農水省通達を踏まえて、汚染木くずを非汚染の木くずと混ぜて希釈。堆肥の基準である1キログラムあたり400ベクレル以内にして流通させる」としている。これについて、畑氏は「農水省は、希釈は推奨していない。現在、放射性汚染チップは北関東や九州でも野ざらしにされている。これを希釈することは断じて許されない」と反論した。

被害者だった滋賀県は「加害者」になった

 同会事務局の内海洋一氏は、「今回の判決については非常に評価しているが、今後に課題が残る。汚染チップが野ざらしになっていることに変わりはない。被告は(福島から持ち出した)5000トンの木くずを、農水省の通達により希釈し、堆肥化して市場に流通させるという。しかし、農水省に確認したところ、『希釈は推奨できない』というのが、今の見解である。ただ、通達には希釈について明記していないので、玉虫色の部分があるのだ」と報告した。

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