生活保護受給者らが政府の基準引き下げに抗議、自身の厳しい生活実態を吐露「朝起きたら枕元にうっすらと雪が積もっている」 2014.11.5

記事公開日:2014.11.10取材地: テキスト動画
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(IWJ・薊一郎)

 「ストーブを使わず、震えながら毛布にくるまり、夜は節約のため照明を消して、真っ暗な部屋で独ぼっちで過ごす孤独な生活。皆さんは、想像できるでしょうか」――。

 政府は、2014年12月に行われる来年度予算編成において、生活扶助基準の3回目の引き下げの決定と、住宅扶助や冬季加算の引き下げの実施を盛り込む方針を示している。

 生活保護受給者にとって、切実な決定が目前に迫る中、当事者の声を国会議員に届けようと、11月5日、衆議院第一議員会館で緊急集会が開かれ、140人(主催者発表)の市民らが参加した。

 2013年、政府は総額680億円という、史上最大規模の生活扶助基準引き下げを3回に分けて行う方針を決定した。

 1回目の引き下げは2013年12月、2回目は2014年4月に行われた。最後の3回目は2015年4月に行われる予定だが、実際の引き下げ実施は、今年12月の来年度予算編成において決定されると見込まれている。

 さらに、6月24日に政府は、「経済財政運営と改革の基本方針2014(骨太の方針2014)」を閣議決定し、そこには住宅扶助や冬季加算等の「適正化措置」を講じる旨が明記された。

 この方針に基づいて、厚生労働省では「適正化」への検討が行われた。検討はいずれも、引き下げを実施する方向で議論がなされたとみられる。検討結果は11月中に取りまとめられる予定で、来年度予算編成に反映される見込みだ。

■ハイライト

  • 司会 稲葉剛氏(自立生活サポートセンターもやい理事、住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人)
  • 講演 「低所得者の生活を直撃する物価上昇」 上原紀美子氏(久留米大学教授)
  • 報告 「生活保護利用者の暮らし緊急アンケートの分析」 田中武士氏(社会福祉士)
  • 日時 2014年11月5日(水) 12:45~
  • 場所 衆議院第一議員会館(東京都千代田区)
  • 主催 「STOP!生活保護基準引き下げ」アクション

「窓を開けてバケツで水をかける行為だ」

 開会の挨拶として発言した元生活保護受給者という女性は、「貧困は死に至る病ではないはずだ。政治家は治療法をわかっているのに、治そうとしない」と語り、貧困問題に対する政治家の怠慢を指摘した。

 生活扶助基準の引き下げに加えて、住宅扶助や冬季加算まで引き下げようという動きについても、「窓を開けてバケツで水をかける行為だ」と怒りを込めて非難した。

 「(貧困問題の解決に向けて)どうしたらいいかは当事者が一番良く知っている。当事者の声に耳を傾けるのは、とても大切なことだ。特に政治家の方々に当事者の声を聞いてもらいたい」と集会の意義を語った。

「生活扶助基準は引き上げる、もしくは引き下げ前(2013年7月)の水準に戻すべき」

 久留米大学の上原紀美子教授は、基調講演で、厚生労働省の生活扶助基準見直しを専門家の視点から、理論的に検証した。

 その中で上原氏は、厚労省による「生活扶助相当CPI」を根拠とする生活扶助基準引き下げを「違法だ」と批判。「むしろ生活扶助基準は引き上げる、もしくは引き下げ前(2013年7月)の水準に戻すべきだ」と主張した。

 中日新聞編集委員で『生活保護削減のための物価偽装を糾す!』(2014年10月、あけび書房)の著者である白井康彦氏も、「生活扶助相当CPI」の算出方法を批判。厚労省が根拠とする数値は不当だと訴えた。

「なぜ、安倍首相は、こんなにむごいことをするのでしょうか」

 北海道札幌市で障害のある息子と暮らしているという女性は、「築30年以上の家で、冬は厳しい。灯油代も上がっているため、(冬季加算では足りず)生活費を削って暖房費にあてている。(冬季加算を)引き上げてもらうことを強く望んでいる」と、現在の冬季加算でも不十分なことを訴えた。

 同じく札幌市から参加した60歳単身者の男性も、北海道の寒さを凌ぐには、現在の冬季加算では不十分だと語る。

 「2013年度の冬季加算は、11月から3月まで11万5500円でした。このすべてが灯油代に消えてしまうのです。昨年1年間の灯油代は11万6227円でした。

 (今年は)電気代が月約2000円、ガス代も約1000円高くなり、冬期間の生活はより倹約しなければならなくなります。

 なぜ、安倍首相は、こんなにむごいことをするのでしょうか」

 脳梗塞を患って以来、生活保護を受けているという新潟から参加した男性は、「新潟では4月下旬までとても冷たい。11月から3月の(冬季加算給付期間)を長くして欲しい」と訴えた。

「朝起きたら枕元にうっすらと雪が積もっている」

 長野県諏訪市在住で、生活保護受給者の憩いの場を提供する「わいわい亭」代表の男性は、信州諏訪での生活保護受給者の生活を、「受給者の皆さんのお住まいは築30年以上、家賃2〜3万円がほとんどで、老朽化により隙間風が入り、陽の当らない部屋で暮らしています」と説明する。

 「雪が部屋に吹き込み、部屋に氷が張り、そして布団の上から寒さが沁みとおる。窓が凍りつき、春まで解けることのない部屋での生活なんです。朝起きたら枕元にうっすらと雪が積もっていることもあります」

 老朽化したストーブを一日中つけても、「部屋が暖まらず大変な思いをしている」上、冬季加算は「あっと」いう間に無くなってしまうという。

 「灯油がなくなっては大変だという不安で、ストーブを使わず、震えながら毛布にくるまり、夜は節約のため照明を消して、真っ暗な部屋で独ぼっちで過ごす孤独な生活。皆さんは想像できるでしょうか。

 そんな中で、(冬季加算減額という)この事案、信じられません。健康で文化的な最低限度の生活って、いったい何でしょうか。

 どうか、こちら側を向いてください。人間の心が少しでもあることを期待します」

 男性はこのように語り、冬季加算の引き下げの撤回を強く国に要求した。

「厚労省よ、私たちの声を聞け」

 脳性麻痺のため、車椅子での単身生活をしているという東京在住の川西浩之さんは、「現在の住宅扶助の6万9800円では、車椅子に乗ったまま生活することは」困難だと語る。

 自身で部屋を借りるなど、自立した生活を諦めなければならないことは、「障害者施設へ行くことを意味する」と川西さんは言う。「障害者施設では、外出は自由にできず、職員のいいなりとなる。そんな施設に行きたくない」と訴えた。

 「厚労省よ、私たちの声を聞け」――。

 川西さんは、厚労省による住宅扶助削減撤回を強く訴えた。

山本太郎議員「政治家も官僚も貧困問題を深く考えていない」

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「生活保護受給者らが政府の基準引き下げに抗議、自身の厳しい生活実態を吐露「朝起きたら枕元にうっすらと雪が積もっている」」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    生活保護受給者らが政府の基準引き下げに抗議、自身の厳しい生活実態を吐露「朝起きたら枕元にうっすらと雪が積もっている」 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/203633 … @iwakamiyasumi
    彼らの声は将来の自分達に対する警告かもしれない。貧困とは社会を映す鏡でもあるのだ。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/531770976657080320

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