村上誠一郎議員が警鐘――選挙やポストのために異論を挟まない議員、安倍政権に人事を握られ正論を言えない官僚 2014.10.2

記事公開日:2014.10.15取材地: テキスト動画
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(IWJ・松井信篤)

 第78回政経文化フォーラムが10月2日(木)、東京大神宮マツヤサロンで行なわれ、 自民党の村上誠一郎衆議院議員が経済、社会保障、外交、集団的自衛権、福島原発事故など、山積する問題について講演を行なった。

■ハイライト

  • タイトル****
  • 日時 2014年10月2日(木)
  • 場所 東京大神宮マツヤサロン(東京都千代田区)

反対意見を封殺する自由非民主の政党

 冒頭、主催者で元衆議院議員の亀井久興氏が挨拶した。亀井氏は、今回の安倍内閣改造党役員人事に触れて、「安倍総理が長期政権を目指していることがはっきり見える。選挙を如何に乗り切るか? そのことだけを考えた布陣」だと主張した。

 今回の臨時国会は、集団的自衛権の問題や消費税など大きな問題については先送りにして、地方創生国会と位置づけている。こうしたことから亀井氏は、「解散の時期をいつにするかうかがっていて、まだ年内解散の可能性はある」と推察した。

 自民党はもともと、保守連立政権で激しい理念政策の争いがバランス感覚を保ってきており、極端な政策に走ることはなかった。ところが、小泉政権以降に強権的に反対意見を封殺することが当たり前となってしまったという。亀井氏は、「自由非民主の政党になりつつある」と強い懸念を示した。

財政出動や金融緩和が限界を向かえている

 続いて、村上氏が講演を行ない、政府債務残高の名目GDP等に対する比率の推移を説明。1941年には一年間の国民総生産の200%になっているが、第二次世界大戦終戦の際にデータが失われてしまったという。それ以降は、1973年のオイルショックを機に景気の下支えが加速していき、2012年には230%となっている。

 現在は1941年よりも財政が悪化しており、債務問題を抱えるアルゼンチンよりも大変だと村上氏は主張する。また、アベノミクスによる円安については「行き過ぎている」と指摘し、「95円ぐらいが適正価格だと考えている。企業の生産拠点が海外に移動しているので実質輸出は増えない上に、原油や材料費、食料など消費者物価は上昇していることなどから、日本経済にスタグフレーションの圧力がかかっている。そろそろ財政出動や金融緩和が限界に来ている」と主張。「方向転換が必要」と訴えた。

中福祉、中負担に移行する転換期

 社会保障は年間約110兆円、団塊の世代が全て75歳以上となる2025年には、約150兆円近くになる見通しだ。急速に増える社会保障費に対して、村上氏は「消費税を3%、5%上げたところで(社会保障費が)増える方が遥かに早い」と述べた。

 米国の場合は、医療・年金・介護について政府が関与していないことから、戦争を止めれば財政再建が速やかにできるという。一方、日本では、医療・年金・介護の全てに国が関与していることから、「限界に来ている」と村上氏は推察する。人口構成が変化して、年金を現在3人で1人を支える時代から、1人で1人を支える時代がくるため、「高福祉、低負担」から「中福祉、中負担」に移行する必要があると主張した。

防衛と安全保障の違い

 日本と中国の防衛体制を比較すると、尖閣諸島のみで考えて戦闘機が中国・南京軍区は180機、これに対して那覇基地が20機、嘉手納基地の米軍公表では48機となっている。対等になるには150機が必要だが、日航空団は50機で1つの飛行場となっているため、あと3ヶ所飛行場を作らなければならない計算になる。

 加えて、パイロットを300人養成する必要も生じる。因みに日本はステルス戦闘機を5880億円かけて42機購入予定。中国と同等の体制にするには、膨大な予算が必要となるが、「日本単独で自国を守るのは無理な情勢」と村上氏は指摘する。「防衛と安全保障は概念が違う。外交力を強化して、敵を作らないことが大事」と軍拡競争ではない外交戦略の重要性を主張した。

異論を挟まない議員、正論を言えない官僚

 村上氏は、特定秘密保護法と日本版NSC、集団的自衛権の行使容認、日米ガイドライン見直しは、「ワンセットで来る」と予想していたという。ほとんどの国会議員は問題の本質を理解してないことから、「すんなり通ってしまう」と考えた村上氏は、あえて、特定秘密保護法の最後の総務会で異議を唱えて退席している。この件について、政調会では議論がなく、総務会でも村上氏が異議を唱えた以外は、誰も指摘しない状況だったと報告した。

 集団的自衛権に関しても、閣議決定で解釈を変えられる前例が作られると、憲法の基本原則が機能しなくなることから、立憲主義の崩壊を招き、内閣が変わるたびに憲法の解釈が変わっていけば、法の安定は根本的に覆され、法治国家ではなくなる。村上氏は、「自民党が後世の歴史家の評価に耐えうるわけがない。自由や民主主義を守らなければいけない国会議員が、選挙やポストのために誰も異論を挟まなくなった。それこそが日本の最大の危機ではないか」と強く主張した。

 2014年4月には、内閣法の改正が行なわれ、全省庁のトップから600人の人事を内閣人事局が行なうことになった。村上氏は、官僚が人事権を握られて、本音や正論を言わなくなることを懸念し、これに反対していた。しかし、懸念は現実のものになり、現在、公の席で本音を言わなくなっているという。

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「村上誠一郎議員が警鐘――選挙やポストのために異論を挟まない議員、安倍政権に人事を握られ正論を言えない官僚」への2件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    村上誠一郎議員が警鐘―選挙やポストのために異論を挟まない議員、安倍政権に人事を握られ正論を言えない官僚 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/172480 … @iwakamiyasumi
    小泉政権以降に強権的に反対意見を封殺することが当たり前となってしまった。日本の最大の危機ではないか。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/615836801610047488

  2. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    村上氏「自民党が後世の歴史家の評価に耐えうるわけがない。自由や民主主義を守らなければいけない国会議員が、選挙やポストのために誰も異論を挟まなくなった。それこそが日本の最大の危機ではないか」 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/172480 … @iwakamiyasumiさんから
    https://twitter.com/55kurosuke/status/899929939171876864

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