「あのヤジを飛ばした議員らは、もみ消せると確信していた」 〜現職の都議会議員、音喜多駿氏が本音を語る 2014.7.1

記事公開日:2014.7.1取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・花山/奥松)

 「舛添都知事は『塩村議員の質問をメモするのに集中していたので、ヤジは聞いていない』と言うが、あれはウソ。質疑応答のシナリオは、事前に全員が知っている。だから、緊張感がなく、ヤジも飛ばせるのだ」──。

 2014年7月1日、東京都新宿区のロフトプラスワンで、「TOKYOを取り戻せ!『都政監視委員会』緊急発足会議」が開催された。「一年生都議が見た都議会びっくり話&6月議会報告」と題し、東京都議会議員の音喜多(おときた)駿氏や、ドキュメンタリー映画『選挙』(想田和弘監督)に登場した山内和彦氏、弁護士で、都知事選に2度出馬した宇都宮健児氏らが、都政や選挙について本音満載のトークを展開した。

 音喜多氏は、東京都議会で塩村文夏議員にセクハラ的なヤジが飛んだ一件を、その日のうちに自身のブログで発信。海外メディアにまで大きく取り上げられた「都議会ヤジ問題」の端緒となった。「ヤジった議員たちは、こんなに大きな問題になると思っていなかった。もみ消せると確信していた」と振り返る音喜多氏は、この日も議会運営の裏側など、議員として見聞きしたさまざまな事実を語った。

■ハイライト

  • 出演 音喜多駿氏(人気ブロガー東京都議(みんなの党))、宇都宮健児氏(元日本弁護士連合会会長、都知事選次点)、 山内和彦氏(映画「選挙」「選挙2」の主人公、元自民党川崎市議)、奈須りえ氏(市民政策アナリスト、前大田区議)、宮部彰氏(みどりの選挙&政治スクール 講師)

議会はセレモニー。シナリオがある

 はじめに、音喜多氏が東京都議会議員の仕事について、「選挙がない時も、朝は駅立ちからスタートして、議会がないときは地域を回ったり、政策立案のために時間を使っている。議会は『始まった時には、終わっている』と言われる。日頃から、いかに情報収集して、政策を立案しておけるかが重要だ」と話した。

 山内氏から「給料に見合う仕事ですか」と尋ねられると、音喜多氏は「何とも言えない。民間の仕事は数字が見える。営業とか、売り上げが前年比何パーセントとか。政治の結果は数字に表れない。だから、『政治家は何をしてるのかわからない』と厳しい目が注がれることになる」と述べた。

 奈須氏は「議会は事前調整され、質疑応答の原稿が決まっていて、シナリオ通りというのがよくある。その辺はどうなのか」と尋ねた。音喜多氏は「今回の定例会では、ヤジ問題の陰で話題にならなかったが、もうひとつ重大な瑕疵があった」とし、次のように語った。

 「答弁の時、役人が次の質問の答えまで言ってしまったのだ。つまり、『未来の質問に、勝手に答える役人』がいた。この時、ほとんどの議員はそれに気づかず、一部がザワザワし始めた。あとになって、それが発覚。大変に恥ずかしいことが起きた」。

 山内氏が「それは、議事録に残ってしまうのか」と問うと、音喜多氏は「休憩に入って1時間ほど協議し、発言の取り消しを求めるということで取り消されて、その後、また同じ質問があって答弁があるという、茶番が行われた。緊張感がないということだ」と答え、さらに「ぶっちゃけで」と前置きして、このような事実も明かした。

 「ヤジを受けた塩村議員の質問も、事前に決まっていた。だから、舛添都知事が『私は質問をメモするのに集中していたので、ヤジは聞いていない』と弁明していたのはウソ。質疑応答のシナリオは事前に来ていますから」。

 山内氏は「(自分の選挙区の)川崎市もそうだが、議会そのものが、結局、セレモニー。大事なのは、そこにいくまでの仕事」と言い、音喜多氏も「いかに良い答弁を引き出すかは、裏での戦い。議会が始まった時には(戦いは)終わっているから、裏側の戦いは大事」と応じた。

事前調整をするから、ヤジを飛ばす余裕

 これに対して、奈須氏が「事前調整することで『やらせ』っぽく思われるのでは」と疑問を呈した。音喜多氏は「都の13兆円という予算は、膨大な業務量。台本なしでやると、役人がいくらプロフェッショナルでも即答は難しい。効率的に進めるために、事前調整や下調べが始まったと思う。それが過剰になっていき、『一言一句、同じでやりましょう』となり、行き過ぎたのが、今の都議会」と説明した。

 山内氏が「一言一句、シナリオ通りとなると、本会議では緊張感がなくなる」と述べ、音喜多氏も「これは、ヤジ問題ともつながる。なぜ、ヤジを飛ばすことができるのか。要は、質問を知っているので聞く必要がないのだ。どんなに議場がうるさくても、議員も役人も聞こえなくてもいい。それは、大きな間違いだ。あまりにも緊張感がない」と話した。

 「シナリオを変えようとすると、意地悪されるのか」と奈須氏が聞くと、音喜多氏は「質問潰しは、よくやられる」と答え、このような実例を披露した。「事前調整で、役人が『この文面を変えてください』とか『この厳しい言い方はちょっと』とか言う。『質問はこちらの権利ですから、変えない』と突っぱねると、その質問内容を他党に流すのだ。『何々先生がまったく同じ質問をします。あなたの質問は意味がないのでやめましょう』となる。本当にあからさまに、われわれ野党に対しては潰してきますね」。

 音喜多氏は「われわれは見えないところで戦っているが、結局、出てきたものが『台本棒読み』では、裏で議員がどう戦って、どういう成果を出しているのか、国民に伝わらない。それが、都議会を含めた地方議会の問題だ」と主張した。

 奈須氏が「地方議会の委員会は、フリートークだ。いきなり質疑応答だから、全然答えられないこともあれば、面白い答えが返ってきたり、いろいろある。東京都では、委員会もシナリオ通りなのか」と尋ねると、音喜多氏は「シナリオ通り。本会議よりは緩いが、事前に質問を出しておかないと答えてくれない」と述べた。

条例は役所本位で作られる。その象徴が解釈改憲

 奈須氏は「今日、憲法の解釈改憲があった。権力者を縛るはずの憲法を、自分たちで変えていいのか、違和感がある。しかし、今の全国の地方議会は、行政の行動を規定する条例を、行政が作っている。本来は、住民の代表である議員が議会を構成して、その中で規定しなければいけない。閣議決定による解釈改憲と同じことを、地方議会もしている」と指摘した。

 山内氏は「ありとあらゆる条例は、すべて役所本位で作られる。市民本位ではない」と述べ、奈須氏は「今日の解釈改憲は、その象徴」と応じた。

 宇都宮氏は「解釈改憲は、とんでもないこと。憲法は最高法規で、国民の人権や自由を守るためにある。本来ならば、憲法を尊重して擁護しなければいけないトップが、勝手に解釈を変えるというのは独裁政治だ」と厳しく批判した。

政権が変われば、解釈改憲は否定される

 宮部氏が「内閣が憲法解釈を変えることができるということは、別の新たな政権が、それを否定することもできるのか」と尋ねた。宇都宮氏は「それは当然。だから、閣議決定には弱さがある。今回、安倍政権は閣議決定したあとで、それを具体化するための立法を、おそらく臨時国会でやっていく。これは国会で議決するので、法律は2分の1の賛成で成立する。しかし、できた法律も2分の1で改廃できるのだ」と説明し、次のように続けた。

 「憲法を変える場合は、衆参の総議員の3分の2で発議し、国民投票にかけなければならない。だから、安定性がある。立憲主義は権力を縛る側面もあるが、もうひとつ、多数の専政を許さないという側面を持つ。法律は多数で制定できるので、一時的には少数者の人権を奪う法律が作れる。しかし、憲法には少数者の人権を守る役割があるので、憲法違反であれば、多数で成立させても無効になる。だから、憲法を守って、法律を作らなければならない。これからできる法律も、具体的なところで憲法違反を争うことが可能だ」。

国民の監視の目がヤジ問題の再発を防ぐ

 山内氏は、今回の都議会ヤジ問題に触れて、「音喜多さんからすると、ヤジを飛ばした鈴木章浩議員が、あんな感じの幕引き(謝罪、会派離脱)になったのは、どう感じるか」と訊いた。

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