竹島めぐる集会に後藤田正純副大臣が出席 「竹島はわが国固有の領土」「韓国は重要な隣国」 2014.6.5

記事公開日:2014.6.6取材地: テキスト動画
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(IWJ・ぎぎまき)

 6月5日、「竹島問題の早期解決を求める東京集会」が約2年ぶりに永田町の憲政記念館で開かれ、政府関係者や各政党の代表、島根県知事らが出席。安倍政権発足後から初の開催となった集会には、400名近い市民も参加した。

 政府からは内閣府の後藤田正純副大臣が出席し、「竹島は歴史的事実に照らしても、国際法上もわが国固有の領土であり、問題の解決は、わが国の主権に関わる極めて重要な課題だ」と述べた。

記事目次

■ハイライト
http://youtu.be/QsKGG6OKta8

  • 日時 2014年6月5日(木)
  • 場所 憲政会館 (東京都千代田区)

 「領土問題の解決のためには、日本の国力を増強し、毅然と領土の主権を主張しなければならない」――

 冒頭、超党派の議員からなる「日本の領土を守るため行動する議員連盟」の最高顧問、平沼赳夫衆議院議員が挨拶した。平沼議員は、「歴代の政府は竹島の領土主権について弱腰だった」とこれまでの政府対応を批判。領土問題の解決には、憲法9条を含めた憲法改正が必要だと訴え、「日本の国力の増強」を主張した。

 憲法9条を改正し、武力を含む国力を増強するとは、つまりは軍事力で竹島を取り返すと言っているように聞こえる。

 日本が実効支配している尖閣諸島と異なり、竹島は、韓国側が実効支配している。実効支配を覆すには、(1)武力によるか、(2)圧倒的武力を背景とした政治的圧力をかけるか、(3)あるいは、ハーグ司法裁判所を通じて議論するなど、気の遠くなるような長い道のりをかけて、日韓の間で合意をみるような、外交的・政治的解決をめざしていくかのどれかである。今回の式典を通じて見えてくる日本政府の姿勢は、(1)か(2)の道を選んでいるようにも見える。

 しかし、5月13日、安倍政権は、「我が国の管轄ではない」すなわち実効支配していないので、竹島について「日米安保条約は適用されない」とする内容の答弁書を閣議決定している。つまり、竹島の領有権を巡っては、米軍は日韓が紛争状態に陥っても、米軍は日本には加勢せず、知らぬ存ぜぬと決め込むということを、日本側も認識し、受け入れている、ということだ。

 ということは、「国力を増強し、毅然と領土の主権を主張」するというアピールの意味することが仮に(1)であるとするなら、自衛隊が単独で竹島に乗り込み、韓国から奪還するということになる。しかしそれは、どのような根拠で正当化しうるのだろう。日米同盟によらず、集団的自衛権の行使とも関係なく、憲法9条のもとでも認められる「急迫不正の侵害に対する個別的自衛権の発動」にも該当するとは、到底、思われない。

 では、(2)の「武力を背景とした政治圧力をかける」ことを意味するのか。しかし、それは、日本が実効支配している尖閣問題に関連して、安倍総理が繰り返し中国に対して投げかけている「力による現状変更は許されない」というロジックと、真っ向から衝突してしまう。竹島での「現状変更の要求」は尖閣での「現状変更は許さない」というロジックを、日本自ら掘り崩してしまうのである。この逆説――。

 竹島問題の早期解決を主張する議員や市民がどのような思いでこの集会に参加したのか、取材した。

領土問題解決に向けた取り組み「急速に整ってきている」

 第二次安倍内閣は歴代内閣で初めて、領土問題担当大臣を任命。さらに内閣官房に、「領土・主権対策企画調整室」を設置した。これは、同議連が政府に要請してきたことが形になったことの1つだと、自民党・山谷えりこ議連会長は話す。

 さらに、学校教育の現場では、これまで教科書では明確に伝えられていなかった竹島の領土問題について、正しい理解が広められつつあると述べ、安倍政権のもとで領土問題解決に向けた取り組みが「急速に整ってきている」ことを山谷議員は高く評価した。

後藤田副大臣が出席

 政府からは、領土問題を担当する後藤田正純内閣府副大臣が登壇し、「歴史的事実、国際法上に照らしても、竹島は日本国有の領土」であることを強調した。他方、平和的な解決を目指す姿勢を見せた後藤田副大臣は、日韓間に渦巻いている対立感情に配慮するような発言も残している。

 「韓国についてひとこと。同国は、我が国にとって基本的な価値と利益を共有する重要な隣国であり、日韓の良好な関係は両国のみならず、東アジアの平和と繁栄にとって不可欠。政府は大局的な観点から、日韓関係を発展させていく考えである」――

 後藤田副大臣のスピーチは立派だが、どうやって日韓関係を良好に発展させてゆくことができるのだろう? 友好的であるためには、前述の(1)と(2)の選択肢はあり得ない。(3)しかなく、それも現状を当面「棚上げ」し、この問題で日韓の両国民のナショナリズムを煽ることは控える、ということしか思い浮かばない。

 竹島の領有権の「棚上げ」は、尖閣問題と矛盾しないので、有効なようにも見えるが、そうであるとすると、この日の集会の開催の趣旨からは遠く外れることになる。

鈴木宗男氏、外交的話し合いを

(…会員ページにつづく)

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「竹島めぐる集会に後藤田正純副大臣が出席 「竹島はわが国固有の領土」「韓国は重要な隣国」」への1件のフィードバック

  1. @pinpon_2011さん(ツイッターのご意見より) より:

    この日、社民党、共産党、生活の党を除く全政党の各代表者が挨拶をしたが--この部分を報道したのは、韓国メディア以外ではここだけ
    6/5 竹島めぐる集会に後藤田正純副大臣が出席 「竹島はわが国固有の領土」「韓国は重要な隣国」 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/144788

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