日本が発展途上国に対して行っているODA(政府開発援助)の「非軍事的手段を通じた国際社会の平和共存」という基本理念が今、安倍政権によって書きかえられようとしている。
2014年3月28日、岸田外務大臣は「ODA大綱」の見直しを発表した。見直しに当たって岸田大臣は私的な有識者懇談会を設置し、その答申を受けて年内の改訂をめざすとしている。
「ODA大綱」は、「1.環境と開発の両立」「2.軍事的用途及び国際紛争助長への使用の回避」「3.軍事支出、大量破壊兵器・ミサイルの開発・製造、武器の輸出入などの動向への注意」「4.民主化の促進、市場経済導入の努力並びに基本的人権及び自由の保障状況への注意」の4原則からなり、援助の選定基準となっている。
しかし今回の大綱見直しでは、2013年12月に閣議決定された国家安全保障戦略をODA大綱の指針を示すものと位置付けられており、ODAを「安全保障上の戦略」として活用することを示している。さらに政府は、武器輸出3原則を緩和するなど、武器輸出や武器の共同開発を進める意向だ。海外への軍事拡大にODAが活用される可能性が高まりつつある。
5月13日、ODA改革ネットワークや日本国際ボランティアセンター(JVC)、ヒューマン・ライツ・ナウなどが呼びかけ人となりNPO、NGOなど計53団体が連名で、ODA大綱見直しにおいて「非軍事主義」理念の堅持を求める市民声明を安倍総理に提出。同日午後6時半より記者会見を行った。
財界は「官民一体」となり、あらゆるインフラを、ODAを使って発展途上国に「輸出」し、「定着」させ、新たな市場を創出するのが狙いだ。