「今の護憲派は『愚民民主主義』の台頭を嫌う、二枚舌のエリート主義者の集まりだ」──。
2014年5月10日、京都市にある同志社大学今出川キャンパスで、京都96条の会が主催する「第3回 憲法サロン」が行われた。先ごろ『上野千鶴子の選憲論』(集英社)を上梓した上野千鶴子氏(ウィメンズ・アクション・ネットワーク理事長、東京大学名誉教授)の講演に、市民ら約200人が詰めかけた。
上野氏は、解釈改憲で憲法の中身を変えてしまおうとする改憲派(安倍政権)について、「もはや、何をするかわからない。強い危機感を抱いている」とし、一方の護憲派に対しても、「憲法を理想化することで、民衆が憲法の功罪を考えることを邪魔している」との見方を示した。
「現行憲法には変えた方がいい部分も、変えない方がいい部分もある」と主張する上野氏は、護憲でも改憲でもない第3の道「選憲」を提唱した。
- 日時 2014年5月10日(土)14:00~16:00
- 場所 同志社大学今出川キャンパス(京都市上京区)
- 主催 京都96条の会
「今日のような初夏の素晴らしい一日を、憲法の話を聞くために、この会場に詰めかけたみなさんは、大変珍しい人たちだ」。笑顔で登壇した上野氏は、いつもの「上野節」で客席を挑発。そして、「今は、保守と革新という2つの言葉の意味が、実際の中身と整合していない時代である」との言葉から、講演をスタートさせた。
「保守派は、現状維持を目指す勢力で、そのためには何もしないのが一番だと考える。そういう保守派に対し、『世の中を変えたい』と叫ぶ人たちのことを革新派と呼んできたが、今は完全に攻守が逆転しいている」。
この逆転は、かつての小泉純一郎政権の時に本格化した、と上野氏は言う。「今の日本は、改革をどんどん進めたい『保守派』が、その改革を阻止しようとする『改革派』を土俵際まで追いつめている状況」と解説し、護憲の大切さを主張する有志グループ「○○の会」の設立が、各地で相次いでいる現状について、「保守派の攻勢を象徴している」とした。
上野氏は日本国憲法が、変えにくい「硬性憲法」であることに一定の評価を示しつつも、「その誕生から約70年間、一度も変えられなかったのは世界的にも珍しいこと」と指摘。立憲主義に関しては、「憲法は権力者に対し、権力を乱用しないように縛りをかけるもの。現政権は、その縛りを外したいと考えているらしい」と述べた。
さらには、戦後憲法の草案的なものを作ったとされる鈴木安蔵氏(憲法学者)の名を挙げて、「現行憲法はGHQ(連合国司令部)による押しつけ」とする説にも疑問を呈した。
フクシマショックを他人のせいにするな
その後、上野氏は「徴兵制度は、憲法違反である」と口調を強めつつ、「国家を守るために死ねというのは、明らかに基本的人権の侵害だ」と言い切り、「今の日本は高校を卒業した時点の若者が、憲法の3原則である平和主義、国民主権、基本的人権について、きちんと語れるような憲法教育を施しているのか」と問題提起した上で、日本の「女性」へと話題を移した。
「日本国憲法の3原則の中の『国民主権』とは、自分の運命を自分で決められることを意味している。敗戦直後の日本では多くの女性が、選挙権がなかったことを理由に、『自分たちは振り回されだけ』と被害者の立場を強調したが、今の憲法ではそれは許されない」。
「米国の女性たちは、アフガン開戦に賛成したことに加えて、今のイラク戦争にも賛成した。つまり彼女たちには、これら戦争への責任がある」と続けた上野氏は、「日本でも、国民主権が男女平等になった以上、もはや日本の女性も『言い訳』ができない」と強調した。
そして、2011年3月の福島原発事故を「第2の敗戦」と表現。「あの大惨事で、私たちは日本の国土を放射能汚染させてしまった。私たちは被害者ではなく、加害者なのだ。他人を恨むことはできない。福島原発事故の責任は(原発政策を容認した)日本の女性たちにもある」と力を込め、次のように喝破した。
「政権を投げ出すようにして、権力の座を去った安倍晋三氏が、一昨年末の衆院選で復活を果たすのだが、(自民党は)福島原発事故を起こした張本人だ。つまり国民は、原発事故の『戦犯』が政権に復帰することを許したのだ」。
寝た子を起こしたくない、今の護憲派
選憲ではなく考憲の方がこの場合相応しいと思った。
さばさばした物言いは高校時代と変らないけど18歳を”がき”と選挙権の事で発言があったけど差別用語のように感じる。会場もしーんとしていたと思う。18歳をばかにしてはいけない。立派に大人だと思う。お互い年を重ねたら物の言い方も考えなければねと同級生として言いたいところだ。最も彼女は有名人だからもう取り合ってもくれないだろうが。