【鹿児島2区補選】見えにくい争点に6人の候補者が混戦 ~谷山支局期日前投票所インタビュー ━原佑介記者 2014.4.26

記事公開日:2014.4.27取材地: テキスト
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(取材・記事:原佑介、記事構成:安斎さや香)

 投開票日を前日に控えた4月26日、IWJは衆院鹿児島2区補欠選挙の谷山支局期日前投票所でインタビューを行った。投票所出入口では市民が足早に去り、投票した候補者の名前はおろか、話を聞かせてもらうことでさえ、困難を強いられた。

 6人の候補者が争う今回の鹿児島2区補選は、都市部や離島など、多様な環境をあわせ持つ地域であり、それゆえ有権者の関心もさまざまにあることが想像できる。見えにくい争点の中、投開票の行方が注目される。

 以下、インタビューの模様を一問一答形式でお伝えする。

(1) 30代後半と思われる子持ちのパートの主婦

――誰に投票を?

 「それはちょっと・・・(笑)」

――どの政策が投票の決め手に?

 「民主党が主導権を握って日本を立て直そうとしたじゃないですか。で、原発事故の時の対応が不十分だったのか、自然災害だったのでなんとも言えませんが、菅直人さんが、しっかりしていたらもっと違う感じになれたのではないか。自民党だったらその爪痕を、どうやって今後見直すか。社会福祉もあるし。パートをしている準社員としての雇用を、これからどうしていくのかなと。

 自分は主婦なのですが、限度額があるんですけど、その枠をちょっと考えて貰えたら。消費増税で家計もどんどん苦しくなる。結局準社員や派遣社員はベースアップになっても、手当てやボーナスはつかない。若い人たちをどんどん育成させるために、どんな政策をしていくかですよね」

――政治とカネについては?

 「徳田毅さんがお金で問題を起こしたのは残念。お金で人の心を動かさなくても、お父さんが培ってきた徳田虎雄という歴史がある。お父さんを見習って、上に立とうとしていた毅さんがそうなったのは残念。お金ではなく、日本を良くするために使ってほしい。

 非正規雇用、生活保護、育児生活、今後未来を支える子どもが今の時代は少ない。10~20年後に、一人の人が二人を支える時代になったら心配」

――原発再稼働は?

 「私としては、今、ソーラーパネルなど自然エネルギーでまかなえる電力で、という対策を練っているところだけど、果たしてそれで十分やっていけるかですよね。自然災害が起こった時に、もし電気が使えなくなれば、困るのは市民。今のところトラフト地震? は川内原発では地震の想定は考えられていないと聞いているので、別に再稼働してもいいのではないか。

 自然エネルギーだけで電力を抑えていくのも難しいのでは。逆に原発があるからこそ、地球温暖化ですよね。夏にはエアコンをガンガンかける。一家に一台はある時代。そういうのを考えていけば、自然エネルギーだけでまかなえるのかは争点ですよね。自然エネルギーだけでもつのかは不安。ソーラーパネルも何年かすれば劣化し、廃棄処分になればゴミの山が増える。何がいいか、答えは出ませんよね」

(2) 高齢のおばあさん

――どのような政策をみて投票に?

 「友だちに行ってきてと頼まれたもんだから(笑)」

(3) 20代の今風の女性

――どのような政策をみて投票に?

 「ぶっちゃけですか? わからないし、自分が入れても変わらないので、『どれにしようかな』で決めました」

――それでも投票に?

 「なんとなく。来ないと来ないで罪悪感・・・」

――ちなみにどの候補に?

 「碩(せき としあき)さん。『ど・れ・に・し・よ・う・か・な』で」

――本当にその勢いでやったんですね。

 「なんかニュースとか見たんですけど、みんな同じこと言ってるし、その人がどれだけいいこと言っても、東京らへんに住んでいるエライ人が『こう』って言ったらそっちになるから。すいません、こんなんで」

――友だちはみんな投票に来ますか?

 「どうなんだろう。行くと思います。誰に入れても変わらないよね、って話してます」

(4) インタビューに立ち止まらず足早に投票所に入る高齢の男性

――どのような政策をみて投票に?

 「自民党以外。それだけ。自民党はダメだがな。自民党以外」

(5) インタビューに立ち止まらずに足早に投票所に入る主婦と思われる女性

――どのような政策をみて投票に?

 「脱原発(笑)」

(6) インタビューに立ち止まらずに足早に投票所に入る70代と思われる女性

――どのような政策をみて投票に?

 「川内原発再稼働阻止」

――ということは、ありかわ美子さん・・・?

「そうです」

(7) 70代と思われる女性

――どのような政策をみて投票に?

 「政策ねぇ。私らもう老人組だから社会保障とか、医療とかが主ですね」

――どなたに入れたかを教えていただくことは?

 「そんなこと言えないわよ」

――なるほど。じゃあ、えーっと…なんて聞けばいいんだろう(笑)

 「あはははは(笑)」

――原発はどうですか?

 「本心は反対だけど、今止めるのには不安があります。電力の問題として。次のステップに入るまで、稼働してもいいんじゃないかと思いますよね」

――増税は考えましたか?

 「厳しいですよね。増税は考えますよね」

(増税反対ということは自民以外か?的な、投票先を探ってるかのような雰囲気ができて、ここで再び両者に笑いが)

 「私らがなにか言ったところで、もう増税しちゃいましたからどうしようもないですよね。それだけせんと、ほかから入るお金も少ないから、少しは痛みを感じるっていうのには…うん。うふふふふふ。痛し痒しですけど。年金も上げてそうして(増税)くれればいいんですけど、お年寄りにしわ寄せが多い気がしますね」

――今おいくつですか? 何歳代、というのだけでも・・・

 「何歳代に見えますか?」

――ええと、よ、よ、40代くらい・・・

 「うっふっふ。冗談ですよねぇ。80に近いんですよ、もう、おっほっほ。やっぱり医療、社会保障は切実ですよね。子育てで今、一生懸命でしょう。少しは老人の方にも目を向けてほしいというのが本音です(笑)」

(8) 80代男性

――どのような政策をみて投票に?

 「景気も良くなりつつあるから、与党でないと、さらなる実践の効果は出ないのではないかと思って、せっかくだから与党に入れようかと思ってきた」

――原発やTPPについては、どのようにお考えですか?

 「原発はやっぱり急に廃止するわけには、なかなか事情もありますからね。将来的にはなくした方がいいと思うけど。(TPPは)安倍さんも頑張っているけど、アメリカも強い押しだし、頑張っている姿勢はうかがえますよね。最後まで日本の国民の総意を要求し続けて、日本が思っているような協定にしてくれたらと思います」

――政治とカネが争点と言われていますが

 「でもまぁ、争点というのはちょっとどうかと思うけど。結果的にはカネの問題で再選挙になったんだけど、新しい議員を選ぶときには、新しい人たちは、カネを問題にした人たちではないわけだから、主な選択の理由にはしていないです」

※ IWJでは、大手メディアではあまり報道されないこの鹿児島2区補選について、現地住民の生の声や、鹿児島が抱える様々な問題を、密着して伝えています。また今回出馬した候補全員を、可能な限り取材し、その訴えや考えを、公職選挙法で定められている範囲でなんとか報道していきたいと考えています。IWJのこうした取材は市民の皆さまのご支援、ご声援で成り立っています。ぜひ、会員登録やご寄付によって、今後もIWJを支えていただければ幸いです。

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