2014年4月16日(水)14時30分より、東京・六本木の原子力規制庁で田中俊一・原子力規制委員会委員長による定例会見が行われた。福島第一原発で事故が続いていることについて、「労働環境が悪い、疑心暗鬼を生むような犯人探しで安全確保につながるのかは、よく考えないといけない」とコメントした。
2014年4月16日(水)14時30分より、東京・六本木の原子力規制庁で田中俊一・原子力規制委員会委員長による定例会見が行われた。福島第一原発で事故が続いていることについて、「労働環境が悪い、疑心暗鬼を生むような犯人探しで安全確保につながるのかは、よく考えないといけない」とコメントした。
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東京電力福島第一原発で、建屋地下汚染水の誤移送事故が発生した。2月に発生したH6エリアタンクでのバルブ誤操作による漏えい事故もあり、原因が不可解な事故が連続している。
これに関し、当初から「トラブルや事故を防ぎ、起こさないのが基本であり、そのベースとして働く環境を良くすることが必要だ」との考えを示している田中委員長は、東電の廣瀬社長に面会して環境改善するよう指示している。加えて、「働く環境、働ける環境は、生きがいを持ってきちっとできるようなことも大事だ」とも述べている。規制委員会としては、事故の原因調査は事業者が行うことで、規制当局の仕事ではないとの立場をとっていることから、再発防止策に対して、規制委として、できるだけのことは指示しているという。
一方、複数の記者から、「(労働環境等に)不満を持った人の故意、悪意のようなものが介在しているのではないか」、「内部脅威が存在するのではないのか」などと、犯人探しをするかのような質問が続いた。
「内部脅威だというような事は、何も言っていない」と田中委員長は応え、「そんな単純な切り口で安全確保につながるのか、よく考えないといけない」とコメントした。
また、「大勢の作業者が疑心暗鬼になるような職場では、作業も進まないし、トラブルも起きる。お互いに信頼し合って、助け合ってあってこそ、初めてトラブルも防げるし、作業も進む。これが私の現場の経験だ」と語り、「だからこそ、そういうふうな職場を作ってもらうことが一番大事だ」と、廣瀬社長に面会した理由を述べた。
規制委員会に警察のような現場調査をしながらの犯人探しを期待している報道記者らに対し、田中委員長は、「ミスを誘発する現場環境を改善しないと今後の廃炉工程が進まなくなる」との考えを示している。
もんじゅで機器点検漏れが複数回にわたり発覚した件について、田中委員長は、「現場の検査官は、品質保証や保守管理体制ができてないという認識であり、普通だったなどと考えられないことだ」と苦言。「それが繰り返されてるということなので、きちんとやってくださいってことをお願いしてます」と述べた。
規制基準に合格したことと、安全の担保について尋ねられた委員長は、改めて、「安全かどうかを言うつもりはないといつも国会でも答えており、私たちの行った適正、適合性審査を踏まえて、稼働するかしないかって事については、規制委員会・規制庁が関与することではないってことも、再三にわたって申し上げています」と強調した。