「事故によって地に堕ちた原子力規制に対する信頼を回復する」~原子力規制委員会 田中俊一委員長訓示 2014.3.11

記事公開日:2014.3.11取材地: テキスト動画
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(IWJ・赤間一欽)

 2011年3月11日、東日本大震災から3年にあたる日、東京都港区の原子力規制委員会において、田中俊一委員長による訓示が行われた。

 出席したおよそ700名の職員を前に、田中委員長は冒頭、「東京電力・福島第一原子力発電所事故の発生から3年。事故を契機として発足した原子力規制委員会・規制庁は、事故から遠ざかってはなりません。事故から3年という節目にあたり、『事故によって地に堕ちた原子力規制に対する信頼を回復する』という課題への取り組みを振り返り、私たちの使命について再確認してみたい」と述べた。

■全編動画

  • 日時 2014年3月11日(火)
  • 場所 原子力規制庁(東京都港区)

トラブルなく廃炉が完了することは不可能

 廃炉への作業が進められている福島第一原発の状況については、「トラブルが起きたという知らせを聞く度に、被災者の心に重い雲がかかるという事実を、深刻に認識する必要がある。そのような被災者の思いをよくよく胸に置きながらも、私たちは厳しい現実と対峙しなければならない」と、被災者に配慮するような発言もみられた。

 その上で、「この先、何一つトラブルなく廃炉が完了することは不可能であると、これまでも申し上げてきた。大変歯がゆいことだが、福島第一原子力発電所の状況は、様々なトラブルを想定しなければならない。だからこそ、福島第一原子力発電所の廃止作業の安定確保という戦いは、どんなに想定しきれないリスクを相手に、それを顕在化させないという根気のいる戦いなのです」と話し、職員を奮起させた。

 また、「我々の仲間として、最前線で事故サイトと向き合う検査官の声を、みなさんに直接聞いてほしい」と田中委員長は述べ、その代表として、原子力規制庁の福島第一原発事務所の保安検査官を紹介した。壇上に上がった保安検査官は、スライドを使い、今の福島第一原発の進捗状況を説明した。

安全文化の意味を再確認し、さらなる挑戦を

 保安検査官からの説明の後、田中委員長は大勢の職員を前に、次のように締めくくった。

 「私は規制委員長として重い責任を負い、最大限の努力をする覚悟です。しかし、この課題は私の覚悟だけで解決するような簡単なことではありません。組織の力は現場をどれだけ信用できるかで決まります。どんな仕事をする時も、必ず3年前の事故に立ち返って考えるよう、習慣にすることが大切です。それこそが『安全文化』の基本であるからです。節目の今日、被災者に思いを寄せ、現場を知り、安全文化の意味を改めて確認し、さらなる挑戦を誓い合いましょう」

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