2014年2月21日(金)14時から、森本英香原子力規制庁次長の定例ブリーフィングが行われた。東京電力福島第一原発のH6タンクから高濃度汚染水が漏洩した事故の対応として、規制庁は現地保安検査官が現場状況を確認し、東電に情報をまとめて報告するよう求めている。
2014年2月21日(金)14時から、森本英香原子力規制庁次長の定例ブリーフィングが行われた。東京電力福島第一原発のH6タンクから高濃度汚染水が漏洩した事故の対応として、規制庁は現地保安検査官が現場状況を確認し、東電に情報をまとめて報告するよう求めている。
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2月19日の定例委員会で、新規制基準適合性審査の今後の進め方について、外部からの意見募集と、公聴会の実施を行う方向性が決まり、その実施要領を定めるとあった。しかし、日程、対象自治体など、具体的なことはまだ決まっておらず、これから詰めていくという。
東電福島第一原発の事故対応と、再稼働の問題が出ている適合性審査の兼ね合いについて、記者から質問を受けた森本英香次長は、以下のように自身の考えを示した。
「新規制基準適合性審査は、法令上規制委員会に与えられた仕事であり、粛々と行うのは義務だ。それとは別に、福島第一の安全の管理は、もとより事業者、原子力発電を推進する経産省が中心になって行うべきことではあるが、規制当局として規制委員会がしっかりと監視していく、技術的な助言をしていくことは必要。現場の職員のみならず、本庁の職員も対応、取り組んでいるところだ。
福島第一原発についてはまだまだリスクが高い、今回(の事故)もその一つだ。こういったリスクについて、原因究明を求め、再発しないように指導していく」
東電福島第一原発にて、2月19日にH6エリアタンクから約100トンの高濃度汚染水が漏洩した事故の対応に関して、規制庁の姿勢を問われた森本次長は、「規制機関として、しっかり監視と助言をする。現地でも確認作業をしているし…汚染の限定に引き続き取り組んでいく」と回答した。
また、2月24日、ほぼ1カ月ぶりに開催される”特定原子力施設監視・評価検討会汚染水対策検討ワーキンググループ”にて、原因究明と共に、東電の安全文化についても議論されるだろうと報告があった。
東電福島第一原発のH6タンク漏えいの事件で、規制庁はどのように動いたのか?記者からの質問に対して、森本次長は「現地調査官が確認。深夜のことだが、深夜の時点で対応。現場確認もしている」述べ、志間正和 原子力防災課事故対処室長は、「今朝、東電とTV会議をして、朝までの情報をまとめて報告するよう求めている。事実関係のみの報告だった」と回答した。
これ以降の対応について、森本次長は、「汚染土壌の除去や、原因究明を東電に指導。週明けのWGで議論したい」と回答し、特別の体制を取ることは考えていないという。
東電社長と委員長が面談し、委員長の指導に基づき、東電が作業環境の改善を発表した。これに対して規制庁は、「まさに”発表”なので、見守っているという状態」だと森本次長が答えた。
今回の福島第一原発でのタンク漏洩事故が、現在適合性審査を行っている柏崎刈羽原発の審査に影響するのか?森本次長は「”あれはあれ、これはこれ”というわけにはいかないが、個別の審査は法に基づいて粛々とやる、今回の件がただちに影響あるとは考えていない」と述べた。
「規制委員会の立ち位置はどこなのか」と記者から質問を受けた森本次長は、「行政組織としての規制委員会が、東電の経営構造とか、そういうものに口を出すのは基本的にはできないと思うが、安全文化という切り口で、(事故対策への)問題意識は伝えていると思っている」と答えた。
事故を終息するどころか、新たな事故を続発している東電。その当事者からの報告を、指をくわえて待っているのが規制庁だという構図が見えている。