「PC遠隔操作事件では、いたずらメールで懲役10年を求刑するらしい。1年近く経っても『証拠隠滅する恐れがある』と家族の接見禁止。再逮捕を繰り返し、ハイジャック防止法まで課している」──。
2014年1月5日、大阪市浪速区日本橋にある討論Barシチズンで、八木啓代氏(ラテン歌手、作家、健全な法治国家のために声をあげる市民の会会長)のトークショー「『ストーリー田代不起訴』の裏側と『PC遠隔操作事件』の真相」が行われた。
陸山会事件では、当時、東京地検の田代政弘検事が、石川知裕衆議院議員の取り調べの際、事実と異なる捜査報告書を作成したことが、2011年12月15日の公判で明らかになった。その虚偽報告書が、検察審査会に資料として提出された件で、健全な法治国家のために声をあげる市民の会は、田代元検事を告発。しかし、3度にわたって不起訴処分となり、同会では、再び検察審査会に申し立てをする予定だ。
※なお、動画内での言い間違いについて、八木氏より、以下2点の訂正があります。
- 補助弁護士の名前を「滝」弁護士と言っていますが、「澤」弁護士の誤りです。
- 開示証拠の使用制限は「321条1-2」でなく「281条の3」の間違いです。
匿名メールでもたらされた重要資料
「なぜ、歌手でもある自分が、市民活動をするのか。周りからとても不思議がられるが、お上の言いなりにはならない、という大阪人特有の反骨精神があるかもしれない」。八木啓代氏は、こう前置きをしてトークを始めた。なお、この「反骨精神」の理由は、終盤の質疑応答でも語られる。
まず、健全な法治国家のために声をあげる市民の会が、田代政弘氏(元東京地方検察庁特別捜査部検察官)を、2012年1月12日に虚偽有印公文書作成・行使と偽証の容疑で告発し、不起訴になったことについて、八木氏は「この展開は予想していた。なぜなら、田代氏が独断でできることではないからだ」と述べた。
同年5月、同会宛てに、田代氏らの捜査報告書、石川氏の録音書き起こし文書などが、匿名の人物からロシアのサーバーを介して送られてきて大騒ぎになった。「あの産經新聞でさえ、2日間、トップ記事で掲載した。当時の小川法務大臣が、指揮権発動を決意して更迭された。結局、田代氏は不起訴になったので、われわれは最高検(検察審査会)に申し立てを行った」と、八木氏は告発の背景を振り返った。
補助弁護人は脱税を幇助した元検事、澤新弁護士
「しかし、通常3ヵ月ほどで下される検察審査会の議決が9ヵ月間もかかり、不起訴不当(不起訴は不当、要再捜査)となった。これで、うやむやのまま幕引きかと思われたが、検察審査会の補助弁護士が、元検察高官で、親族の脱税をもみ消そうとして国税庁に圧力をかけ、検察庁を辞任に追い込まれた、澤新弁護士であることが、後日、判明した。しかも、澤氏と小沢一郎氏とは、高校の同級生という関係。通常は、あり得ない人選だ」。
八木氏らは、東京弁護士会に、澤氏の選出理由を何回も問い続け、ようやく、「弁護士会会長が、個人的に決めた」との答えを引き出したという。
逮捕された前田検事、無罪放免の田代検事
さらに、八木氏は「大阪の郵便不正事件で、フロッピー日付改ざんで逮捕された前田恒彦元検事が、『ニセ報告書を書いた、と田代検事から直接聞いた』とネット上で暴露した」と続けた。
「前田元検事は、フロッピーの改ざんがスクープされると、すぐに逮捕、起訴され、有罪になった。だが、そのフロッピーは証拠として裁判に提出されておらず、正確には『証拠改ざん』ではない。しかし、田代氏の虚偽報告書は、裁判や検察審査会の結果を左右する、重要な証拠となった可能性が高い。にもかかわらず、田代氏は無罪放免。前田氏が、それを不当に感じたのも無理もない」と八木氏は分析した。
日本の政界の分岐点を作った1枚の逮捕状
「当時、検察は石川氏を、国会開会前になんとしても逮捕したかった。田代元検事は上司の命令で、『石川氏に自殺のおそれがある』などと虚偽の理由をつけて、裁判所に不当な逮捕状を請求。その事実を、田代氏が、前田氏に愚痴っていたのだという」。
八木氏は「この不当な逮捕状によって、2010年1月15日、石川議員が逮捕された。次の日、大手新聞はすべて『石川議員、全面自白。小沢議員が関与』とのニセ情報を1面トップに掲載。石川氏の口を封じた上での、検察のニセ情報リークである。これで世論は『小沢=クロ』に流れ、政界が大きく変わる分岐点となった」と語り、「ここで石川議員を逮捕できなければ、検察は引き下がっただろう。ゆえに、この逮捕状の請求は、非常に重要だ」と断じた。
「記者会見」ではなく「記者対応」とのたまう最高検
続けて、3度にわたる、最高検の田代氏不起訴に関する記者会見の顛末を語った。「1回目の記者会見は、記者クラブとフリー記者を対象に開催。あまりにも質問が激しかったらしく、2回目は、記者クラブだけに報告した」。
「それを知った(フリージャーナリストの)江川紹子氏が、『最高検に問い合わせた際、記者会見はないと言われた』と憤慨。江川氏に追求された最高検は、『記者会見はないが、記者対応があった』と答えた」とのエピソードを披露。「3度目の今回は、なんと、記者クラブにも知らせなかった。最高検は、どれほど後ろめたいのか」と述べた。
八木氏は「(自分たちは)再び、検察審査会に申し立てる。弁護士会にも、補助弁護士選定に関して釘を刺すつもりだ。また、なぜ、審議に9ヶ月もかかったかというと、検察が膨大な資料を送ったためだった。明らかに、最高検の嫌がらせ」と憤った。
いたずらメールで懲役10年。PC遠隔操作事件
次に、話題はPC遠隔操作事件に移った。「この事件では、4人が誤認逮捕され、結果、片山祐輔氏の逮捕で決着した。証拠が次々に挙げられ、誰もが『片山氏が犯人』と疑わなかったが、片山氏は全面否認している。この2月から裁判が始まる」と述べて、次のように続けた。
佐藤弁護士が『片山さん無害説の説明会を開いても、一般マスコミはその会見の様子を全く伝えない』の件に関して、八木さんが、マスコミに問うと、”検察から””動かぬ証拠があるから”と言われているので一般マスコミは、書けない状態だという。”しかし、可笑しいですよね、だったら両者の言い分を併記してマスコミは伝えてくれて当然と存じます。
(この現状では、マスコミは、検察からのマスコミへの命令が記録されているUSBメモリー付首輪がはめられているようなものです)