「きれいな国土を次世代に渡すために、学び、行動する」 〜東日本大震災から3年目 福島を忘れない 守田敏也氏 2013.12.15

記事公開日:2013.12.15取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)

 「3.11を経験して、日本は覚醒の時代に入った」──。

 2013年12月15日、岡山県美作市の湯郷地域交流センターで、守田敏也氏講演会・蝦名宇摩さん演奏会「東日本大震災から3年目・福島を忘れない」が行われた。講演を行った守田氏は、国民を騙し続ける政府とマスメディアが存在する一方で、3.11後、市民の間で真実を知ろうとする学習熱が高まり、脱原発の運動も広がりを見せている現状を語った。

■Ustream録画
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・1/2(09:29~ 1時間51分)守田氏講演

・2/2(11:32~ 38分間)蝦名さん演奏

  • 講演 守田敏也氏(フリーライター)「福島原発事故の影響、今と未来」
  • 演奏 蝦名宇摩(えびな・うま)さん(津軽三味線)
  • 日時 2013年12月15日(日)
  • 場所 湯郷地域交流センター(岡山県美作市)
  • 主催 美作環境ネットワーク

市民は政府と東電による「虐待」を受けている

 はじめに、福島第一原発事故後の現状について触れた守田氏は、事故がもたらした放射能汚染が、東北から関東まで広範囲に渡っている現状を図で示し、放射能汚染が、地表を流れる風に乗って広がっていった動きも解説した。

 また、シーベルト(以下Sv)を体への打撃力(影響力)、ベクレルを放射線が放出される数であると説明した上で、人通りの多い福島駅において、放射線量が毎時0.81μSvを示している事実を挙げて、「これでは、被曝が野放しの状態と言ってもよい。日本での放射線基準は年間1mSv、放射線管理区域は毎時0.6μSv以上と定義されているが、放射線には安全基準値などない。原発関連死も、今年の3月末までで1300人を超えていた。政府と東電によって、市民への手酷い虐待が行われている」と指摘した。

 健康被害の問題については、福島では100万人に1人の割合と言われていた甲状腺がんが、検査によって100万人に420人以上の確率で発見されていること、原発事故の後、心臓疾患や視力の急激な低下を訴える市民が増えている現状を語った。

嘘で獲得したオリンピックは平和の祭典にあらず

 また、東京オリンピック招致のスピーチで、安倍首相が「福島はコントロール下にある」と発言した点について、「嘘で獲得してしまった東京五輪は、平和の祭典として成り立たないし、やるべきではない。オリンピックに流れるお金を、復興に回すべきである」と述べた。

 さらに、「11月から開始された、4号機燃料プールからの燃料棒の取り出し作業についても、失敗した場合のシミュレーションを、国民に知らせるべきである」と主張した。

原子力政策を推進してきた米国、追従してきた日本

 次に、広島、長崎が経験した原爆投下が、米国では人体実験と定義された記録が残っていることを語り、米国が、いかに被曝状況を隠し、原子力政策を推進し、日本がその方針に追従していったかを解説した。

 続いて、内部被曝の危険性が過小評価されている実態を解説し、日常の食生活に気をつけて、信頼できる産地や生産者を見つける重要性を語った。最後に「3.11を経験して、日本は覚醒の時代に入っている」と指摘した守田氏は、政府、マスメディア、御用学者があてにならないことが明るみになった今、「市民の学ぼうとする熱意が高まっている」とし、東日本、西日本が一体となって、国土をきれいな状態で次世代に渡すために、前向きに学び、行動する重要性を説いた。

 講演後には、蝦名宇摩氏の演奏が行われた。奄美大島出身の蝦名氏は、単身上京後、津軽三味線蝦名流家元に師事。師範となり、活躍していたが、3.11後に子どもを連れて瀬戸内市に移住した。現在は、津軽三味線を通して、避難者へのボランティア活動などを行っている。蝦名氏は「今、本当に大切にしなければいけないのは、生活。子どもたちの安全な生活を想って、演奏したい」と述べた。

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