オランダから福島の“今”を問う 在アムステルダム日本人有志が勉強会 ~福島第一原発事故を理解するための原子力の基礎と現在の福島の現地報告 2013.11.17

記事公開日:2013.11.17取材地: | | テキスト動画
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(取材:IWJアムステルダム・鈴木樹里、構成:IWJ・平山茂樹)

 オランダの首都アムステルダムで、東京電力福島第一原発の現状について考える勉強会「福島第一原発事故を理解するための原子力の基礎と現在の福島の現地報告」が行われた。主催したのは、オランダ在住の日本人アーティストやデザイナーなどからなる有志のボランティア団体「HOPE STEP JAPAN!」。2011年3月11日の東日本大震災後に発足した同団体は、これまで原発に関する勉強会やデモを継続的に開催してきた。

※講演は英語で行われています。

■全編動画
・1/2(日本時間 23:19~ 1時間29分)岩岡氏 / (15:19– CET, 1h29m) Mr. Iwaoka

・2/2(日本時間 11/18 01:07~ 1時間26分) / (17:07– CET, 1h26m)

  • 岩岡傑氏によるプレゼンテーション「原子力発電 for dummies オランダ版」
  • マヌス・スウィーニー (Manus Sweeney) 氏の福島発映像作品 “Misato san, Fukushima city” 上映
  • アーティスト佐藤恵子氏による、ごく最近に訪れた福島のお話
  • 藤井光氏(美術家/映画監督)“Record of Coastal Landscape, version Iidate/Fukushima” (2011-) 上映(録画には含まれません)

  On Sunday, 17th November 2013, Hope Step Japan! organized a study session — nuclear basics for understanding Fukushima disaster and stories from Fukushima today — at Maarten Luther kerk in Amsterdam, the Netherlands.

  • Presentation ‘NPP (Nuclear Power Plant) for dummies Dutch edition’ with Mr. Takashi Iwaoka
  • Screening ‘Misato san, Fukushima city’ (2013) by Mr. Manus Sweeney
  • Talk ‘My Recent visit of Fukushima’ by Ms. Keiko Sato
  • Screening ‘Record of Coastal Landscape, version Iidate/Fukushima’ (2011–) by Mr. Hikaru Fujii (not included in the recording)

「イエローケーキ」の輸出を行っているオランダ

 冒頭、アムステルダム在住の日本人ダンサー・岩岡傑氏がプレゼンテーションを行った。福島第一原発の事故後、「日本人として原発のことを勉強しなくてはならないと思った」という岩岡氏は、オランダの原発事情について紹介した。

 オランダでは現在、国内唯一の原発である「ボルセラ原子力発電所」が稼働しているだけだが、その一方で、原発の核燃料として用いられる天然ウラン(通称イエローケーキ)の輸出を積極的に行っている。

 岩岡氏は、「オランダには原発が一つしかなく、風力発電やクリーンエネルギーが発達しているということもあり、原発に対して問題意識を持つ人が多いとは言えない。しかし、原発の燃料であるイエローケーキを製造し、輸出しているという現実がある」と語り、オランダも間接的にではあるが原発の拡散に一役買ってしまっていると訴えた。

「何もかもがけがされてしまった」

 福島県浪江町出身で現在はオランダのナイメーヘンに住む芸術家の佐藤恵子氏は、10月8日から10日間、故郷に帰った際のエピソードを紹介した。

 「店で売られているまんじゅうなどは、商品名は書いてあるが、放射線量については書かれていない。スーパーでは、どこで採れたものかということが書いてあるだけ」。

 そして佐藤氏は、福島県に住む友人が、中学、高校生の子ども達と震災後に離ればなれにならなければならない状況を話しながら、その境遇の辛さを涙ながらに訴えた。

▲佐藤氏の現在の福島の報告の様子

 さらに、「汚染された土が入っている大きな黒いバッグが、いたる所に放置されている。どれほど多くのこの黒いバッグが積まれるのだろうか。福島県は本当に美しい場所なのに、何もかもがけがされてしまった」と語り、福島県内で行われている除染作業の実態を指摘した。

▲汚染土が詰まった大きな黒いバッグ

 会場には多くのオランダ人や、ドイツ人、スペイン人などが駆けつけ、スピーカーの話に真剣に耳を傾けた。

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