「私たちはもう被害に遭ってしまった。子どもたちに同じことが起きないように」ーー。
1991年8月14日は、日本軍による慰安婦被害者として、初めて韓国の金学順(きむはくすん)氏が名乗り出た日である。彼女が名乗り出たことがきっかけとなり、他の被害者女性達、韓国以外にもフィリピンなどの他国の女性たちが声をあげるきっかけになったとされ、国際的に影響を及ぼした。
金氏が名乗りでた8月14日を、「日本軍『慰安婦』メモリアル・デー」として国連登録を目指す人々は、11日、「国際シンポジウム歴史のねつ造は許さない!日本軍「慰安婦」メモリアル・デーを国連記念日に!! 」を開いた。
- 11:00~ フィリンピンから日本軍「慰安婦」被害者証言
- 13:00~ 国際シンポジウム
アンワラル・チャウドリー (Anwarul K. Chowdhury) 氏(元国連安保理議長)「女性の参加が平和を持続可能なものにする ~安保理決議1325号のコアメッセージ~」
尹美香氏(韓国挺身隊問題対策協議会常任代表)「日本軍『慰安婦』被害者が変革の主体になるとき」
岡真理氏(京都大学教員)「記憶を普遍化し、未来に引き継ぐことの意義」
ファシリテーター 渡辺美奈氏(日本軍「慰安婦」問題解決全国行動)
- 主催 日本軍「慰安婦」問題解決全国行動 8・14を国連記念日にしよう! キャンペーン(告知)
国連の拷問禁止委員会は2013年5月31日、「日本の政治家や地方の高官が事実を否定し、被害者を傷つけている」と日本政府に対して勧告し、明確な反論を求めた。しかし、日本政府は現在「法的拘束力を持つものではなく、締約国に従うことを義務付けているものではない」として、聞かない姿勢を保っている。この日、司会を務めた渡辺美奈氏は「どういう事実があったか、うやむやになる危険性がある」として、日本政府が慰安婦問題を曖昧にする動きに警鐘を鳴らした。
シンポジウムの第一部では、日本軍から慰安婦を強いられた被害者の一人であるフィリピン人のエステリータ・バスバーニョ・ディ氏が当時、日本軍に連行され監禁、レイプなどを受けたことを報告した。また、フィリピン人慰安婦被害を受けた女性を支援する組織「リラ・リラピーナ」でコーディネーターを務めているエクストレマドゥラ・レチルダ氏は、フィリピン女性の被害と現状の報告を行った。
第二部では3名の人物が講演。1人目は元国連安保理議長のアンワウル・チャウドリー氏。2人目に慰安婦被害にあったハルモニ(朝鮮語で「おばあさん」の意)たちに寄り添い支援する活動を続けてきた尹美香氏。また、3人目はパレスチナ問題に関わっている、京都大学大学院人間・環境学研究科教授の岡真理氏が講演を行った。
シンポジウムでは途中、紛争時のレイプ被害者が多い中部アフリカに位置するコンゴ共和国の被害者支援をしている団体から、慰安婦被害を受けた韓国人女性に対して送られた「国際社会と日本政府に対して、性暴力は犯罪であると訴える」「被害にあった女性は、自分自身の責任と感じてしまう傾向があるが、自分を責めないように」という内容のビデオメッセージが流された。
慰安婦問題に対する今後の日本政府の対応は、他国の人々からも非常に注目されている。