2022年12月14日午後4時より、東京都千代田区の参議院議員会館にて、日本維新の会の鈴木宗男参議院議員が主催する勉強会、東京大地塾が開催された。
作家で元外交官の佐藤優氏が、「ウクライナ戦争」と「旧統一教会に関連しての宗教と政治について」のテーマで講演し、鈴木議員と共に、参加者からの質問に応じた。
冒頭のあいさつで鈴木議員は、12月10日に成立した統一教会の被害者救済法をめぐる国会議論について、「『信仰』も『政治倫理』も一緒になっているのではないか? 私は『信仰』と『政治倫理』というものを分けて考える」と述べ、「ここらへんも佐藤さんから教えてもらいたい」と語った。
また、ウクライナ問題について、「一にも二にも、停戦である」と訴え、次のように語った。
「2日前には、アメリカは、武器も資金も供与すると言うんですね。ゼレンスキーは『最大の支援だ!』と言って喜んでおられますけども、武器供与して、資金援助していれば、戦争は長引くのではないでしょうか?
私は、一人でも命は失くさせてはならないと思っています。今日いらっしゃっている皆さんも、世界でたったひとつの命であります。世界でたったひとつの命を私は失くさせない。その方向に持っていくのが、政治の責任だと思っております。(中略)
77年前に、日本が、半年早く降伏していれば、東京大空襲も沖縄戦も、広島・長崎に核(爆弾)が落ちることもなかったんです。この悲惨な日本の二の舞を、ウクライナにはさせてはいけないし、また、なってほしくないと思っております。
勇ましいことを言う人は、こういうとき、たくさんいますけれども、逆に私は一歩下がって、あるいは、二歩下がってでも、何とか、停戦に持ち込む。そういったトップリーダーの頭づくり(思考)というものに期待して、ここはとにかく銃を置くことだと、止めることだという働きかけをして欲しいと、私は常々考えているものであります」
佐藤氏は、ウクライナ問題についての詳細な現状分析を行ったあとで、以下のように述べた。
「(ウクライナとロシアの)戦争は、『管理された戦争』なのです。第三次世界大戦にならないように。核戦争にならないように。この条件下で、ウクライナは戦争に勝てません。(中略)
アメリカの戦争目的は、ウクライナを勝利させることではないわけだ。ロシアを弱体化させるわけだ。
そのために兵器とお金を投入して、血はウクライナ人とロシア人が流せと。我々の価値観と、我々の軍産複合体を豊かにすると、こういうことだよ。こんな戦争、早く終わらせたほうがいいと思う」
質疑応答では、IWJ記者は、統一教会の献金資金の流れについて、次のような質問をした。
IWJ記者「統一協会についてなんですけど、統一協会が日本人信者から献金という形で巻き上げた莫大な資金は、韓国の教団本部に送られ、さらにそこから北朝鮮に多額の資金援助が行われてきたと言われていますけども、その資金の一部が、北朝鮮の核ミサイル開発の資金に充てられてた可能性も十分あると考えます。
- 〈ペンタゴン文書入手〉北朝鮮ミサイル開発を支える統一教会マネー4500億円(2022.12.8文春オンライン)
- 旧統一教会が北朝鮮に流した巨額マネーがミサイル開発資金に? 救済法案成立でも疑念消えず(2022.12.11日刊ゲンダイDIGITAL)
もし、これが事実であれば、統一協会の活動は日本の国家安全保障上の脅威となります。統一協会の活動を国家安全保障上の深刻な脅威ととらえるのであれば、日本政府、そして防衛省をはじめ、全省庁をあげて、こうした資金の流れを解明して韓国教団本部、つまり韓鶴子や教団幹部に対して、例えば、使用者責任などを問うなどして、統一協会の活動に適用して、それを規制する。
このことについてどのようにお考えか、お聞かせいただければと思います」
佐藤氏は、この質問に対して「質問の前提にいくつかの飛躍がある(詳細は全編動画を参照)」とした上で、次のように述べた。
佐藤氏「(前略)北朝鮮に統一協会から仮に(資金が)流れているとしても、それがダイレクトにミサイル開発に行くということには、僕はならないと思うんです。また、そんな会計はしてないと思う。だって、献金に頼ってたら、安定的な予算確保できないでしょ?
但し、北朝鮮のビジネスでも、韓国の財閥からのビジネスでも、何であれ、そこで浮いた部分が兵器開発に使われるっていうのはありますよね。(中略)
もう一つ、外国に宗教団体のお金が流れるということを問題にするのであれば、例えば日本のキリスト教はアメリカのミッションからお金をもらっているのもあるし、例えば、日本の神学部の学生たちはスイスミッション、あるいはドイツミッションのお金をもらって、外国に2年ぐらい留学するというのがある。(中略)
それを、なぜ統一教会だけがいけないのかということになると説明が難しいですよね」
会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。