2022年8月2日午後6時半より、東京都府中市の府中市民活動センタープラッツ バルトホールで、「前川喜平さん講演会『子どもたちが危ない!~いま、日本の教育は~』」が、第35回府中平和まつり実行委員会の主催で行われた。
開催テーマは教育の危機だが、講師の元文部科学事務次官・前川喜平氏は、「今、話題になっている話もお聞きになりたいかと思って」と、旧統一教会と自民党など国会議員の癒着から話を始めた。
安倍元総理の采配で統一教会の票を割り振って議員を当選させた「借り」を返すために、議員が統一教会の広告塔を務めただけでなく、「世界統一基督教神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に名称変更も行ったとして、自らの経験から詳細に語った。
1995年のオウム真理教事件後、宗教法人法が改正され、宗教法人はやや注意深く扱われるようになったという。
前川氏は97年に、文化庁の宗務課長に就任。その際、統一教会が名前を変えたいと言ってきたが、「世界統一基督教神霊協会の名前で問題を起こし、訴訟当事者になっており、実態が変わらないのに、名前だけ変えられない」「受理しても認証できないから、申請しないでください」と断った。
その後、宗務課では受理しない姿勢が続いたが、2015年に突然、申請が受理、認証された。「誰がそれをやらせたかというと(当時文部科学大臣だった)下村博文さんです」と前川氏は明言。
「下村氏自身が事前と事後に報告を受けたと言いながら、『私は関わっていない』と日本語として矛盾することを言っている」と指摘。当時文部科学審議官だった前川氏は「認証すべきでない」と言ったが、認証された。審議官の上には事務次官と副大臣と大臣しかいないのだから、大臣の指示と考えざるを得ないという。
前川氏はさらに、警察行政も「借り」があって、統一教会を立件しないのではないかと述べた。霊視商法の明覚寺事件や足裏診断の法の華三法行など、宗教法人が詐欺で立件され、解散させられた事例があるにもかかわらず、同様の事をした統一教会には警察が踏み込まないと指摘。
「伊藤詩織氏に性的暴行を加えた山口敬之氏に出された逮捕令状を止めた中村格氏が警察庁長官を務めるような警察行政は信用しない」「警察は完全に権力の犬になっている」と厳しく指弾した。
その後、安倍元総理は国葬に値するのかと、安倍政権が残した数々のマイナスの成果を指摘。そのうえで、国葬が憲法改正に弾みをつけるのではないかと危惧した。
自民党改憲4項目の特に緊急事態条項の危険性や憲法9条が無効化される問題、さらに教育の理念を憲法に書き込もうとしている問題を指摘した。
教育に関しては、「戦争できる国づくり」の一環として「戦争でききる国民づくり」をするための教育になっている危険性を指摘。第一次安倍政権以降、政治がそれを推し進めてきた過程をつぶさにたどり、警鐘を鳴らした。
個人より国家が大事だとする「国家主義」と、公共より市場が大事だとする「新自由主義」が、本来の教育基本法の目的を破壊してきたとして、問題点を詳しく語った。
最後に主催者からのリクエストで、前川氏は「ひょっこりひょうたん島」の「ドン・ガバチョの歌」を熱唱。無責任な政治家の歌だが、前川氏によれば、「今日できなければ、明日努力しよう」という「希望を捨てない歌」だという。
さらに休憩中に参加者から多数の質問が寄せられ、一つ一つに前川氏が回答して講演会は終了した。
詳しくは、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。
また、岩上安身は前川喜平氏に繰り返しインタビューを行っている。あわせて御覧いただきたい。