2022年2月2日午後3時30分より、東京都千代田区の司法記者クラブにて、元SEALDsメンバーへのSNS上での誹謗中傷に対する損害賠償訴訟の控訴審判決後の記者会見が開催された。
2015年の安保法制に反対する抗議活動を行ったSEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)の主要メンバーだった福田和香子さんともう一人の原告は、ツイッターで事実に反した政治活動や性的差別にあたる誹謗中傷を、繰り返し匿名の被告女性から受けたとして、慰謝料など計約1000万円を求めて提訴。
2021年6月1日の東京地裁での一審判決では、被告に対して福田さんに66万円、もう一人には33万円の賠償金の支払いが命じられた。
これに対し、原告側は、現在の裁判所がインターネット上の名誉毀損の被害の実態をしっかり認識していないと訴え、この賠償額を不服として控訴した。
この日の東京高裁の判決では、被告に対し、福田さんには慰謝料等含め132万円、もう一人には110万円の支払いという判決が下された。
原告訴訟代理人の神原元(はじめ)弁護士は、「昨年の6月に判決が下った後、すぐに『賠償額が低い』ということで控訴した」と述べ、「結論としては、福田さんに関しては、慰謝料は2倍、もう一人の方に関しては3倍ということで、かなり満足のいく判決が出た」と語った。
一審で名誉毀損として認められなかったツイートについて、新たにいくつか認められたことが賠償金増額の理由とされた。
しかしそれだけではなく、インターネット上の名誉毀損が、新聞等、紙媒体での名誉毀損よりも、拡散力があること、また、インターネット上ではその名誉毀損の内容が永久に残ることになり、容易に検索の対象となり、就職活動や社会生活一般において不利益を被るおそれがあるという点など、原告側の主張が認められた形となった。
原告の一人である福田氏は、判決について次のように語った。
「SEALDs当時は2015年。その当時から7年目になりますが、それだけの長い間、ブッ通しで人権侵害をされてきました。
有名であろうがなかろうが、すべての人には人権があります。賠償金額が上がったからと言って、こちらが受けてきた被害やそれにともなう苦痛が十分に表されているとは思いません。
ですが、加害者にこのように賠償金が課されることによって、このような被害を増やしていかないために、また、誹謗中傷の抑制につながるという点で、増額されたことには大きな意味があると思っています」。
記者会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。