ジャーナリストの伊藤詩織氏が元TBS記者の山口敬之氏から性的暴行を受けたとして提訴した損害賠償訴訟の控訴審判決と、その後山口氏が伊藤氏に対し名誉棄損の損害賠償を請求した民事事件の判決が、2022年1月25日、東京高等裁判所で下され、その後伊藤氏らが都内で会見を行った。
会見で伊藤氏は「第一審と同様、私の同意のないままに行為が行われたという事が認められた」と、性暴力があったと認めた高裁判決を明らかにし、「これは大変大きいことだ」と述べた。
伊藤氏は「伊藤詩織ではなく、これが自分の近い人に起きたらどうなるんだろう、ということを少しでも想像していただきたかった」と、訴訟の意味を訴えた。
また、当初から弁護に当たっていた代理人の西廣陽子弁護士は「真っ当な、常識に従ったよく検討された説得力のある判決だ」と、高裁判決を評価した。
この事件は、2015年4月、伊藤氏が山口氏から同意なく性行為をされたことに対し、警視庁に準強姦の被害届を出したが、2016年7月に東京地方検察庁が不起訴を決定。その後検察審査会も不起訴相当としたため、刑事裁判の道が断たれていた。
2017年9月、伊藤氏は山口氏に対して、性暴力の被害に対する1100万円の損害賠償を請求する民事訴訟を起こした。2019年12月の東京地裁での一審判決は、合意がないまま性行為に及んだことが認められた。山口氏はこれを不服として控訴したが、25日の高裁判決で再び山口氏が合意なく性行為を行ったことが認められ、慰謝料など332万円の支払いが命じられた。
一方、山口氏は伊藤氏の著作で名誉が傷つけられたとして、伊藤氏に対し1億3000万円の損害賠償を求めて提訴。これに対して高裁は、伊藤氏が著書でレイプドラッグを飲まされたとした表現について真実性は認められないとして、山口氏側の名誉毀損との主張の一部を認め、伊藤氏に対して55万円の支払いを命じた。