2020年6月8日、東京中央区のCONFERENCE BRANCH銀座で、ジャーナリストの伊藤詩織さんが、インターネット上の誹謗中傷に対して、投稿の削除と謝罪広告などを要求して、提訴した件で記者会見を行った。
冒頭、今回の訴訟についての概要を原告代理人の山口元一弁護士は、「今回の訴訟に関しては、伊藤詩織さんと元TBS社員の山口敬之氏との件に関してインターネット上、特にツイッター上での 誹謗中傷に目に余るものがある。そこでそのツイートした人に対して損害賠償と削除、謝罪広告掲載の要求、さらに元のツイートをリツイートした人に対して損害賠償とリツイートの削除を求めた」と述べた。
訴訟に至った経緯について、原告の伊藤詩織さんは「2017年、被害を公にした時からオンライン上で誹謗中傷が始まった」「オンラインだけでなく、ダイレクトメッセージやメールが直接届いたり、中には命の危険を感じるものもあった」と述べ、訴訟がこの時期になった理由として「昨年12月の民事裁判第一審にエネルギーをとられ、精神的にも難しかった」が、木村花さんの事件がショックで「私もアクションを起こさなければいけない、と思った」と語った。
また、訴訟にはいくつかのハードルがあり、資金面、心理面、情報開示認定のハードルとプロバイダーによる保持情報の期限が短い点なども時間がかかった理由として挙げた。
今回の訴訟の対象者を絞るにあたり、ネット上での情報のリサーチャーを担当した、TBSラジオで番組を持つ評論家の荻上チキ氏は「ネット上で伊藤さんについて書き込まれた情報は70万件、今回の件で伊藤さんに関わるものは20万件、ツイッターだけでなくフェイスブック、ヤフー知恵袋、まとめサイト、ユーチューブなど全体を把握しその中から悪質な問題投稿を目視で確認して絞った」と述べ、今回の3人に特定したのは「投稿の内容から本人の特定が容易なもの」を選んだ、と述べた。
IWJ記者は、伊藤さんに対するこうした中傷が続くのは、加害者の山口氏や、山口氏逮捕を直前で回避させた関係者らが、何ら処分されていないことが原因の一つではないのか、とただしたが、弁護団から特に回答はなかった。