森喜朗元総理が女性蔑視(性差別)発言で五輪組織委員会・会長の辞職に追い込まれ、その後任として2月18日に橋本聖子・五輪担当大臣が就任し、空いた大臣ポストには丸川珠代参院議員が抜擢された。
▲橋本聖子 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長(2021年2月12日、IWJ撮影)
国際オリンピック委員会(IOC)、政府、東京都、五輪組織委の四者会談への欠席の表明で「(森氏辞任に)最後の一撃を与えた」と報じられた小池百合子・都知事を加えると、五輪組織委員長と担当大臣とホストシティ知事がすべて女性となり、男性優位の古き体制が一新されたかのような印象を与える。
しかし2月19日付の日刊スポーツは「まるでチーム清和会」(政界関係者)と揶揄。橋本氏と丸川氏は自民党細田派(旧・清和政策研究会)で小池氏も国会議員時代は清和会に所属。森元総理がかつて派閥トップを務めた清和会関係者が、要職を占める状態には全く変わりはないのだ。
女性登用で新体制発足のイメージは詐欺的印象操作のめくらまし! 橋本聖子五輪組織委会長、丸川珠代五輪相、小池百合子都知事の女性トリオは森前会長の意向を引き継ぐ強面のタカ派集団「チーム清和会」!
五輪開催ありきの姿勢も引き継がれた。森氏への国内外の反発には、女性蔑視発言に加えて「コロナがどういう形であろうと必ずやる」という五輪強行表明も含まれていた。だが、後任の橋本新会長も就任会見で「(五輪反対の)社会の空気を変えていく」と意気込み、五輪開催への決意を早々から口にしたのだ。
- 東京2020大会 橋本聖子新会長の就任挨拶(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、2021年2月18日)
巧妙な世論誘導とはこのことだ。女性登用で新体制発足のイメージを醸し出す一方で、旧体制と同じ方針を子分のような清和会(旧森派、現細田派)の面々が継承するという詐欺的印象操作(目くらまし)が罷り通ったのだ。
なお清和会は、安倍晋三・前総理の祖父でA級戦犯の岸信介・元総理らが源流のタカ派集団だ。ちなみに橋本氏も丸川氏も、日本最大の右翼団体である「日本会議」の「日本会議国会議員懇談会」に名を連ねており、小池知事も国会議員時代には同懇談会の副幹事長を務めていた。
▲丸川珠代五輪相(2021年2月24日、IWJ撮影)
しかも森氏と丸川氏は「神道政治連盟国会議員懇談会」のメンバーでもあり、そして森氏の「神の国」発言が飛び出したのは、この懇談会の結成30周年記念祝賀会が開かれた2000年5月15日のことだった。女性トリオで新体制がスタートしたと言っても、思想信条的には強面のタカ派が勢ぞろいしてもいたのだ。
2019年の北海道知事選で官邸にひれ伏した橋本聖子会長! 五輪強行姿勢は森前会長も菅総理も瓜二つ!
海外メデイアは、橋本氏を「森氏の操り人形」と指摘したが、「官邸の操り人形」でもある。