2012年10月25日(木)18時30分から、北海道札幌市の北海道クリスチャンセンター・ホールで、「松崎道幸氏、中手聖一氏、松村昭雄氏 シンポジウム『放射能による福島の子どもたちの健康被害』」が開かれた。スピーカーは松崎道幸氏(深川市立病院内科部長、福島「集団疎開」裁判原告側証人)、中手聖一氏(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク前代表)、松村昭雄氏(元国連職員)の3人。松村氏は、海外と日本の専門家の間の、フクシマショックを巡る危機意識のギャップを問題提起した。
(IWJテキストスタッフ・富田/奥松)
2012年10月25日(木)18時30分から、北海道札幌市の北海道クリスチャンセンター・ホールで、「松崎道幸氏、中手聖一氏、松村昭雄氏 シンポジウム『放射能による福島の子どもたちの健康被害』」が開かれた。スピーカーは松崎道幸氏(深川市立病院内科部長、福島「集団疎開」裁判原告側証人)、中手聖一氏(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク前代表)、松村昭雄氏(元国連職員)の3人。松村氏は、海外と日本の専門家の間の、フクシマショックを巡る危機意識のギャップを問題提起した。
■ハイライト
http://youtu.be/8j2HGp5wkb8
この日、最初のスピーカーとなった松崎氏は、まず、「私は肺の病気が専門で、福島での原発事故が起こる前は、禁煙運動に力を注いできた」と簡単な自己紹介を行い、「今日は、福島の中通りにはもう住めない、という話をしようと思う」と語り始めた。
松崎氏は、1986年のチェルノブイリ原発事故後に、日本財団の派遣で現地調査を行った山下俊一氏の調査論文に触れ、子どもに甲状腺がんなど、まず発症しないという、それまでの通説が覆されたことを強調した。また、「チェルノブイリの事例は、流産の危険は100~200ミリシーベルトの被曝があってこそ、との説に疑問を投じた」とも述べ、「1986年を境に順調に下がっていた乳児の死産率が、ラトビア、アイスランド、ノルウェーで下げ止まっている。アイスランドは数ミリシーベルトも浴びていないのではないか。先天異常も10ミリシーベルト程度の被曝で増えている報告があり、ダウン症の発生は数ミリシーベルトの被曝で跳ね上がっている」などと説明した。
そして松崎氏は、日本の原発労働者の死亡率に言及。「福島原発事故の前年に発表された調査結果で、ついに一般国民よりも、がんによる死亡率が高くなった。膀胱がん、結腸がんなど4種類は20年前に比べ減少したが、肺、肝臓、胃といった、いわばメジャーながんと白血病は確実に増えている」と指摘し、「原発労働者は一般国民よりも、10年間で13ミリシーベルトぐらい余計に放射線を浴びている。それで一般国民よりも4%、がんによる死亡率が増えているのだ」と続けた。
さらに松崎氏は、「比較対象の一般国民には、働けないほど不健康な人が含まれている。原発労働者は、働けるだけの健康を維持している」と発言を重ね、この20年間で、そうした健康労働者効果が消えたことに関しては、「放射線によるものとみるのが妥当だ」との見方を示した。そして、原発労働者の飲酒・喫煙率の高さに原因を求めた国の姿勢を批判。少しでも酒を飲めば飲酒にカウントしてしまうといった、当該調査の恣意性を問題視した。
次のスピーカーの中手氏は、現在、(2012年6月に成立するも中身が決まっていない)原発事故子ども・被災者支援法の内容づくりに、複数の市民団体とともに力を注いでいる、という。中手氏は、7月に福島県から北海道札幌市に移住しており、「原発事故後には、脱毛、歯肉炎の悪化、視力の低下、胸膜炎に悩まされたが、それが原発事故によるものなのかは、私だけを見てもわからない。原発事故との因果関係を証明するには、大勢の人を調査し、同じような健康被害が認められるかを把握する必要がある」と力説した。
中手氏は「福島では今、放射能に関する話題が登場しにくくなっている。昨年とは大きく様変わりした」とした上で、「子どもを持つ親の4割以上が、できれば(県外に)避難することを望んでいる」と力を込めた。そして「マスメディアは、復興だ、除染だと、前向きな話題しか取り上げなくなってきている。そういう大キャンペーンでもって、被災地に暮らす人たちの本音を覆い隠そうとしている印象が強い」と懸念を表明した。
続いて、松村氏が「世界は福島をどう見ているかを話したい」と切り出して、日本の政府や専門家の間に横たわる、福島原発事故を巡る楽観的な見方を批判した。「すでに、はっきりしている点が2つある。東電は、事故は40年で終わるとしているが、海外の科学者は60年以上かかると指摘している。中間を採って50年としても、その間、放射能の放出は毎日続くのだ。それが、どんどん積み重なっていくことを忘れてはならない。そして、もう一点は、その間に起きる子どもたちの健康被害は、もはや回避できないという現実だ。この現実に対し、メディアは隠蔽を図ろうとするが、それは無理な話だ」と述べた。
松村氏は「今の日本政府にとって急務なのは、子どもたちを守るという強い姿勢の構築。政策論に時間を費やしている暇はない」と主張すると、「日本人の間には危機感が乏しい」と訴え、最悪の事態についても、次のように触れた。「破局が起きた場合、数百年もの間、復興は無理になる。日本人の子孫は、放射能の中で、海外からの賠償請求を受けながら暮らしていかねばならなくなる。国難である以上、東電任せでいいはずがない。このような状況を収束できるのは軍隊だけだ。チェルノブイリの原発事故でも、収束作業にあたったのは80万人の兵隊だ」。
質疑応答でも、松村氏は「現状を国難とする見方で国民が一致すれば、その解決に向けて、(当人たちに)危険があることを承知の上で、命令の対象となるのは軍隊しかない」と主張した。ただし、松村氏は「チェルノブイリの事故で動員された80万人の兵隊のうち、1割~2割は死亡したという。福島の事故はチェルノブイリの比ではない」とも語っており、事態の深刻さが改めてアピールされた。
これを全国民が観るべきですよ⇒1時間29分~元国連職員松村氏の 発言は衝撃!!
福島の事故は科学的修復はもう無理、解決策は一つもない⇒1時間29分~元国連職員松村氏の 発言は衝撃!!