「再稼働を承認したのは地元の薩摩川内市だけ。原発30キロ圏内では住民説明会を要求している自治体も多い。姶良市市議会は、再稼働反対、廃炉の決議をした。県民の6~7割が反対する中、強引に再稼働を進める九州電力の手口は、政治家、官僚を抱き込み、住民を騙すマフィア企業と同じだ」――。
住民の不安をよそに、九州電力は2015年8月11日、川内原発1号機を再稼働した。新規制基準のもとで適合審査に合格し、稼働した原発はこれが初となる。2013年9月に大飯原発3、4号機が停止し、国内で稼働する原発がゼロになっていたが、今回約2年ぶりにそれが解消された。
再稼働予定日が近づいていた8月9日、鹿児島県薩摩川内市の久見崎海岸では、「川内原発再稼働阻止!ゲート前大行動・起動日前集会」が行われ、ストップ再稼働 3.11鹿児島集会実行委員会のメンバーは冒頭のように語り、九州電力を批判した。集会後は、主催者発表で2000人を超える人々が、再稼働阻止を訴えながら、川内原発ゲート前までデモ行進をした。会場には、広瀬隆氏、元宇宙飛行士の秋山豊寛氏、田村貴昭衆議院議員の姿もあった。
ジャーナリストの鎌田慧氏は、「(川内原発では)免震重要棟もまだ土台しかない。ベント施設も完成していない。住民の避難計画もない。さらに、鹿児島県は今回の集会を許可しなかった。表現の自由を奪おうとしている。これが原子力社会、核社会の本質。脱原発運動は自由を守る、命を守るための行動だ」と声を上げた。
「原発なくそう!九州川内訴訟弁護団」団長の森雅美弁護士は、「国民の6~7割は再稼働反対を表明している。それでも再稼働するのは、九電は赤字経営を避けるため、政府は利権を守るため。集団的自衛権と同根だ」と批判。基準地震動について、「この10年の間に、全国で基準地震動を超える地震が5回起こっている。基準が、基準になっていない」と指摘した。
久見崎海岸の集会ののち、200人ずつ10梯団(グループ)に分かれて、川内原発の正面ゲートへ向かった。ゲート前では、各グループごとに抗議スピーチを行った。
地元で反対運動をする青年は、IWJの取材に、「川内原発が再稼働すれば、全国の再稼働を控える原発がドミノ倒しのように動き出してしまう。だから、鹿児島だけの問題ではない。県の内外関係なく、反対運動に参加してほしい」と訴えた。
- 登壇 鎌田慧氏(ルポライター、さようなら原発1000万人アクション呼びかけ人)/森雅美氏(弁護士、原発なくそう!九州川内訴訟弁護団団長)/鳥原良子氏(川内原発建設反対連絡協議会会長)/三宅洋平氏(ミュージシャン)/岡本正彰氏(山口・宇部から)/永野隆文氏(熊本・水俣から)/青木幸雄氏(宮崎から)/深尾氏(福岡から)ほか
再稼働阻止は、憲法で保障された生存権を懸けた闘い
川内原発から800メートルほど離れた久見崎海岸の集会会場。IWJの柏原亮資記者が、「この集会について、鹿児島県が開催を不許可としたとの報道が流れているにもかかわらず、取り締まりもない上、警察官も機動隊も見かけない。地元での衝突は極力避けつつ、『(許可されていない場所で)わがままに集会を強行する反対派』というネガティブな印象を拡げようという意図が感じられる」と報告した。
仮設ステージでは、ミュージシャンの三宅洋平氏のライブ、デモコール『川内原発再稼働反対』の練習に続いて、主催者が次のようにあいさつした。
「川内原発は(老朽化で)ボロボロなことがわかった。火山、活断層、地震などで過酷事故が起きた場合、どうするのか。多くの専門家がそれらの問題点を指摘し、法律違反とも言う。また、原発から10キロ以上の避難計画は作っていない。そして、使用済み燃料は溜まり続ける。30年稼働した原発の場合は再検査が必要だが、それもやっておらず、先日、あわてて検査を実施した。
また、再稼働を承認したのは地元の薩摩川内市だけ。原発30キロ圏内で、住民説明会を要求している自治体も多い。姶良市市議会は、再稼働反対、廃炉の決議をした。県民の6~7割が反対する中、強引に再稼働を進める九州電力の手口は、政治家、官僚を抱き込み、住民を騙すマフィア企業と同じだ。
昨年(2014年)、鹿児島県知事が再稼働を受け入れたため、住民に説明をして同意を得るように要請する署名活動を開始。たった1ヵ月で11万5000筆が集まった。今でも10の自治体が、住民説明会を要求している。私たちは、事なかれ主義者でも、権力の脅しに簡単に屈服するような臆病者でもない。明日、明後日、再稼働をするなら、徹底的に闘いを繰り広げよう。これは、憲法で保障された生存権を懸けた闘いだ。私たちのうしろには、何千、何百万人の再稼働を望まない国民がいる」
鎌田慧氏「自由、希望、行動を抑圧するのが原子力社会」
リレートークに移り、まず、鎌田慧氏が登壇し、「8月は終戦の年、鎮魂と平和を噛みしめる月だ」と切り出すと、このように続けた。
「私たちはさらに平和を求める。原発が安い、安全、安定しているというのは、すべてウソだった。金儲けのためだけに原発をやる、アンチモラル。福島では故郷や仕事が奪われ、家庭が破壊され、未来もどうなるかわからない。にもかかわらず、誰も罰せられていない。
(川内原発では)免震重要棟も、まだ土台しかない。ベント施設も完成していない。住民の避難計画もない。さらに、鹿児島県は、今回の集会を許可しなかった。命を守る集会を、なぜ禁止するのか。表現の自由を奪おうとしている。これが原子力社会、核社会の本質だ。自由、希望、行動すべてを抑圧する。脱原発運動は自由を守る、命を守るための行動だ」
再稼働はカネのため「集団的自衛権と同根だ」
再稼動反対の抗議そのことも大事であるが、何か基本的なより重要なことがあるのではないでしょうか。要するに、電力会社は事故があっても国家が何とかしてくれるとたかをくくっているのですから、事故があった場合は電力会社、そして経営者に事故への無限責任を負わせる法体系を形成する運動が必要ではないでしょうか?そうすれば私企業では稼動させることは無いでしょう。そうなれば国家が原発を税金で動かすしかないはずです。
2015/08/09 【鹿児島】川内原発再稼働阻止!ゲート前大行動・起動日前集会(動画) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/257111 … @iwakamiyasumi 現地に集まり声を上げてくれた方々に感謝します。こんな愚行、許せるわけがない。
https://twitter.com/55kurosuke/status/630357054532620289
11日朝からスイス公共放送のマーティン・フリッツ東京特派員の報告が繰り返し放送されています。
リンクでラジオの音声報道も聞かれます。ヒロシマ、ナガサキ、フクシマ、地震・火山噴火・台風が頻発する日本で、それでも原発再稼働をする日本。民意は反対でも原発ロビーの力で押し通す、と。
http://www.srf.ch/news/international/japan-bei-unsicherheit-entscheiden-gerichte-fuers-establishment
4年前から世界では「フクシマ」は原発大事故の枕詞になっています。
日本人としては甚だ肩身が狭い思い。