2027年にJR東海によって開通が目指されている、リニア中央新幹線。大手メディアでは「夢の超特急」として喧伝され続けてきたこのリニア新幹線だが、環境への悪影響や電磁波など、様々な問題が指摘されている。
JR東海はこれまで、リニアが通る地元住民に対して説明会を開催してきたが、いずれの場合でも合理的な説明がなされることはなく、住民の理解を得られているとは到底言えないのが現状だ。
2015年4月4日に開かれた学習会では、『”悪夢の超特急”リニア中央新幹線』(2014年9月、旬報社)の著者でジャーナリストの樫田秀樹氏が講演。川の水枯れや工事により出される残土、さらには原発との関係などについて説明した。
- 日時 2015年4月4日(土)14:00〜16:30
- 場所 千代田区立日比谷図書文化館(東京・日比谷公園)
- 主催 国鉄分割民営化にはじまる労働者攻撃に抵抗し、人民の生活と生命を守る会
山梨県、静岡県で深刻化する河川の水枯れ
樫田秀樹氏(以下、樫田・敬称略)「私は一度、JR東海に真冬のトンネルでリニアが緊急停止した時、どうやって脱出するのか、と質問したことがあります。その時、JR東海の回答は『お客様同士助けあっていただく』というもの。もし事故があった場合、責任を取れる体制になっているのか疑問です。
リニアは50年前から実験が始まりました。1989年8月、山梨県への誘致が決まりました。最後まで競ったのが、北海道。それまで20くらいの自治体が競っていたのですが、金丸信さんの力で山梨への誘致が決まりました。
まず、農業をやっている方が問題を提起しました。トンネル工事が始まってから、川の水が枯れたんですね。山梨ですと、ブドウ農家などの果物の農家が多いので、大変困ったのです。一応、JR東海による補償は行われているのですが、期間は30年だけです。
先日、住民の方と話をしました。最初、『水を返せ!』と訴えて闘っていたのですが、今はもう諦めてしまった、と。そのような状況です。もう一つ見逃せないのが、残土の問題です。V字の谷に残土を入れて行ったのですが、その谷が平坦になってしまいました。
今、一番考えなければいけないのは、5700万立方メートルの残土をどこに持っていくのか、ということ。JR東海は2割しか発表していません。残り8割は分かっていないのです。建設残土は廃棄物ではなく、法律上は資材です。
リニアは東京、神奈川、山梨、静岡、岐阜、長野、愛知を通ります。環境アセスを見て、各自治体、特に静岡の首長が驚きました。大井川の水量が1秒あたり2トン減る、という評価が出ました。水源を大井川に頼っている自治体は焦りました。
大井川の水がなくなると、農業用水や工業用水が失われることになります。7市2町がタッグを組んで、静岡県知事と静岡市長に対し、JR東海に対してものを申せ、と訴えています。
JR東海がすごいプランを出してきました。2トン減った水を、増水管を使って戻すんだ、と。しかし、水というものは、いったん汲み上げると水質が変わります。どうして、そういうことが可能なのか、と思います。
JR東海のリニア計画に一番熱心なのは、自民党です。しかし、静岡市では、自民党議連がリニア計画に反対しています。『こんな大事なことが、議会でも話し合われないまま進められてしまうのは変だ』と主張しています」
リニア中央新幹線の構図は原発と同じ
川の水枯れ、大量の残土、電磁波、そして原発との関係…問題山積みのリニア中央新幹線計画について、ジャーナリスト・樫田秀樹氏が講演 ~「リニア新幹線を問う」4.4学習会 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/241467 … @iwakamiyasumi
リニアには原発3~5基分の電力が必要。
https://twitter.com/55kurosuke/status/584669435518062592
知人のミカン山はトンネルを掘られた結果、水が絞られ、ミカンの木が枯れてきてしまいました。
交渉し、相手方の負担でスプリンクラーを設置したものの、その後のメンテナンス、水代、機械でミカン畑を耕せないなど、非常な迷惑をこうむっています。
年に一度ミカン狩りを楽しませてもらっているのですが、被害は改善する兆しはありません。
リニアの実験線でも、既に問題が起こっているのに工事を進め、
日本の山から保水力を奪ってしまったら、国土はどれほど荒廃するでしょう。
一部の人間の目先の利益のために、国土を荒廃させる技を使ってはいけないと思います。
貴重なレポートをありがとうございました。