【IWJブログ・特別寄稿】『ホッキョクグマが可哀想だなんて、もう泣いたりはしない』(フリーライター・キリエ @KiryeNet) 2015.3.3

記事公開日:2015.3.3 テキスト
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(キリエ @KiryeNet)

 私は、かつて、人為起源(主にCO2)地球温暖化説(人間の活動が二酸化炭素を増やし、地球が温暖化しているとする説)を信じていました。

 ホッキョクグマをポスター・チャイルドにした宣伝に、胸を熱くさせました。人間の身勝手さで、ホッキョクグマの生きる場所が壊されている。「本当にごめんなさい」と心から思いましたし、その「事実に見えること」が、度々、私の頬を濡らしました。

 ツバルという島が海に沈みつつあるという話についても、地球温暖化による海面上昇が原因との日本の主要メディアの報道を鵜呑みにしていました。

 後に、ツバルは戦前のイギリスの記録にも、ほとんど海に沈んだ島であったこと、戦中、アメリカが飛行場などを整備したことにより、人が住めるようになったこと、一年に一度ツバルの一部が水に浸かる時期があること、ツバルの周辺の海の海面上昇が観測によっては確認されないという事実は、現地ではよく知られていることなど、私はのちのち本やデータを見て知りました。

 日本に住む誰もが目にしたことがあるでしょう…南極の氷が崩れるセンセーショナルなあの宣伝。あんな映像を何度も目にしていれば、「普通」は、「私たち人間の所為で地球が温暖化しているんだ!」と素直に思ってしまいます(しかし、それは、温暖化は関係のない、氷河の循環による日常そのものでした。「氷河」という字が示す通りのものでした)。

 「普通」私たちは、ホッキョクグマが、少なく見積もっても11万年ほど前にヒグマから分岐したもので(近年は、60万年ほど前に分岐したと言われています)、1990年代後半まで続いた温暖期以上に暖かい中世温暖期と呼ばれる時期もホッキョクグマが生きていたことなど知りません。

 「普通」私たちは、自分たちの国のメディアが、自国民に対して、極めて良心的でかつ本当のことを報じているものと思ってしまいます。

 「普通」私たちは、国連という名前に、IPCCのその名前に、多大なる威厳を感じます。彼らは極めて客観的に世界の状況を捉え、国境を越えて私たち全員のことを考えてくれているものだととらえてしまいます。その確信に根拠もないのに。

 私も以前は、IPCCの報告と日本の主要メディアの報道を無防備にも信じていました。

「すでにエコだった日本」が年1兆円以上の負担の「なぜ?」

 そんな私が、「あれ?」「ええええええ?!」と目を見開き、驚き、そして、人為起源地球温暖化説について「嘘だ!」と思った(正確には、それだけでなく憤慨しました…)きっかけは、池田清彦先生の本や池田清彦先生と養老孟司先生の共著に書かれていた京都議定書についての記述でした。

 池田清彦先生と養老孟司先生の共著(『ほんとうの環境問題』)でも紹介された、池田清彦先生、伊藤公紀先生、薬師院仁志先生を含む7名の先生方の共著(『暴走する「地球温暖化」論』)の渡辺正先生のページには、「1986年頃から、CO2排出量とGDPがキレイに相関していることを示すグラフ(つまり、その時期から、日本の省エネ技術は太鼓判付きで環境優等生であることが明確です)」が掲載されています。

 ところが、京都議定書のCO2削減について基準にされたのは1990年でした。「1986年に省エネになっているのに、1990年のCO2排出量を基準にして、どうするの?」と私は心で突っ込みを入れました。

 また、7名の先生方のその共著には、長いスパンで見ても、CO2が先立つ場合の気温との相関がないことを明確に表すデータも記載されていました。

 そして、池田清彦先生と養老孟司先生の共著(『ほんとうの環境問題』)には、IPCCの言っていることが仮に正しいとしても、京都議定書が守られた場合、日本の温暖化抑制の貢献度は、『日本のCO2排出量は世界のCO2排出量の5%未満であったから、仮に5%として日本は京都議定書を守って自国のCO2排出量を6%減らすことによって世界のCO2排出量のうち、0.3%を減らすことができる(5%の6%=0.3%)』 『IPCCは地球温暖化の原因の93%が人為的なもので、そのうちの53%がCO2によるものとしているので、日本の温暖化抑制の貢献度は0.3%の半分の0.15%程度である』という内容が示されていました。

 これを気温に換算しなおすと、日本の貢献度は、たった0.004℃程度の抑制効果です。

 「チーム6%」について、それまでの私は不覚にも、「私たちが頑張れば、大気中のCO2を減らせる」と間違った思い込みをしていましたので、目から鱗とはこの事でした。

 そればかりか、CO2温暖化説を言い出した人たちの国であると同時に、CO2の排出量が多いアメリカは京都議定書に批准しませんでしたし、CO2排出量の多い中国も発展途上国であったことを理由に批准していません。

 EUは「ドイツ統一」で排出権を支払う必要が生じなかったどころか、それによるマネー・ゲームで利益を上げました。ロシアも1990年、省エネが進んでいなかったために、排出権を支払う必要がありませんでした。カナダは自国の利益を考慮し、途中で離脱しました。

 かくして、群を抜いた「省エネ優等生」で「すでにエコだった日本だけ」が、日本より省エネ化が進んでいない人々へ、年に1兆円以上のお金を払わされることになったという道筋を知りました。

「キーリング・グラフ」を見た時の驚き

 その後、「1959年3月に原子力潜水艦が北極点で浮上している」写真付きの記事が残っていること、「温暖化ガスの9割が水蒸気」である事実、「中世温暖期」「小氷期」の存在、「温度計は周囲の環境に影響を受けていて(例えば、百葉箱一つにしても塗る塗料が違うだけで測定気温が大きく変わる)、東京の気温上昇は明らかにヒートアイランド現象によるもの、世の中の人はヒートアイランド現象と地球温暖化をごっちゃまぜにしている」こと、温暖化説の騒動が始まる以前は、主流が「寒冷化の危機」であったことなど、池田清彦先生の本を皮切りに読書を通じて知ることになりました。

 槌田敦先生の著書(『CO2温暖化説は間違っている』)からは、CO2による温暖仮説を世に出した・気象科学者キーリング博士について知りました。それは、『1957年から南極、1958年からハワイで観測を始め、一定期間、気温の上昇とCO2の上昇が同調しているように見られ、また、それが、人為的に排出されるCO2が原因であるかのように見られたために、キーリング博士は1960年にCO2による温暖仮説を提唱し始めた』が、『その後、続けた観測で「気温がCO2の上昇より先行する」ことが明らかになった』というものでした。

 キーリング博士自身は「気温が先行することもある」といった程度の内容のコメントしか出していません。現在は多くの気候学者はCO2より気温が先行することを認めています。

 専門家の間では有名なキーリング・グラフは、よく見ると気温がCO2より先行して動いていることが分かるグラフです。私は、愕然としました。「こんなもので始まってしまったなんて!」。

▲キーリング・グラフ

 同書は、ヒートアイランド現象についても詳細な記述があり、「単に冷暖房や自動車の排熱などがヒートアイランド現象を起こしているわけではなく、都市大気のほこり(黒いほこりと赤茶色のほこり)による汚染が地表に届くはずの太陽光を吸収・加熱し、上空大気を昇温させている」ことや、「ほこりや化学物質は地表の熱放射を吸収するため『放射冷却』という冷却機能を失う。水蒸気とCO2は無色透明なのでこの効果はない」とか、「都市上空の大気の加熱で上昇気流は抑えられ、それによる”空冷”と、水の蒸発による”水冷”…この地球の大気が持つ冷却機能が失われる」といった内容が、丁寧に書かれてありました。

それでも動かない国会議員

 その後に読んだ丸山茂徳先生の著書(『科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと知っている』、『今そこに迫る「地球寒冷化」人類の危機』)とスベンスマルク博士の「雲が気温を支配する」という主張に私の心は揺り動かされました。

 また、イギリス気象庁がイーストアングリア大学・気候研究ユニットとの調査から「1997年に地球温暖化傾向は終結している」と発表したこと、日本の気象衛星・ひのでが「第24太陽サイクルの極大期は、2013年秋で、その時の平均相対黒点数は69と予想される。これは、過去100年で最低の極大期黒点数であり、当面、太陽活動は低調に推移するものと思われる」との観測結果に基づく発表を受けて、私は自ら国会議員の方々に、この件について耳を傾けてくださるように、考えてくださるようにお願いすることを始めました。

 なぜ、太陽の黒点の数に留意する必要があるのかというと、黒点の数が減少した時期は小氷期という寒い時期に共通するからです。そして、その期間、私たちの先祖は飢餓と争いに苦しみました。

 その後、インターネットで見つけた国立天文台の常田佐久氏の『「ひので」による今回の観測の意義と最近の太陽活動について』も是非、ご覧になって下さい。

 私が話した国会議員の方は、大概「分かりました」と安請け合いするか、軽く受け流すかのどちらかでした。中には、「懐疑論者は昔からいました」と反論する方もいましたので、そうした議員の方には、『 IPCCの予測が外れている事実=CO2の上昇にも拘わらず、今世紀に入って気温は横ばい 』という事実を示すグラフを突き付け、南極の氷が増大していると口頭でお伝えしましたが、「国際的な機関まで作ったのだから、それに従う」と頑なに言うだけでした。ちなみに、その方は、現在ある政党のリーダーの一人です。

 私は、この方のボランティアをたまにしますが、それでも冷淡な扱いでした。私の主張を、大勢の人の前で言うと、普通の人たちから野次が飛びました。

 自分の自由意思でお願いしていたことなのに、私は、ほとほと疲れてしまい、政治家に失望しました。自分だって、つい最近まで、地球温暖化説を鵜呑みにしていたわけですが、それでも彼らの無知を腹立たしく思いました。

 ちょうど、その頃、丸山茂徳先生やスベンスマルク博士は、2014年3月31日に横浜開港記念会館で行われた「横浜シンポジウム」でお話をうかがう機会がありました。

 スベンスマルク博士は、普段着で、ナチュラルで、とても気さくそうな方でしたが、そのような博士が「雲の説」を世に示したとき、酷いバッシングにあったことを知り、私は、微々たることで落ち込んだ自分が情けなく思いました。スベンスマルク博士の説は、人工衛星からのデータによって、裏づけられていました。

 丸山茂徳博士の主張は、簡潔で明確でした。スベンスマルク博士の「雲が気温を支配する」という説に基づき、木の年輪と氷床コアから知ることのできる所謂「プロシキ」から、過去1000‐2000年間を調べた丸山茂徳先生は、スベンスマルク博士の衛星データ以上に強い相関を示していることを明らかにしました。

 そして、1950‐1980年までの30年間、大気中のCO2濃度は290ppm~345ppmに増加したにも拘わらず、気温の方は上昇しないどころか僅かに低下した観察事実をグラフで示してくれたのです。

 これらは丸山茂徳先生がテレビの出演時にもお話しになっていましたが、地球の歴史を遡ると、昔ほどCO2濃度が高いこと、例えば、赤道まで含めた「全球凍結」の起こった6億年前(地球の平均気温は”-40℃”)の大気中のCO2濃度は、現在の50倍だったそうです(丸山先生の本にも書かれてありますが、この為、CO2は一時期寒冷化の原因に疑われたことさえあります。その後の研究で有り得ないことが分かっています)。このような話を、丸山先生から直接うかがうことができ、私は――私だけでなくそこにいた全ての人がきっと――幸福でした。

 質問をすることが可能だったため、「国会議員に直接聞いたが取り合ってくれない」ことや、「この件について、真剣に取り込もうという政治家は日本にいないのでしょうか」という丸山先生あての質問を、質問用紙へ書き込み、提出していました。

 その回答から、丸山先生ご自身も、私と同様――私だけでなく、この件の真相を知る人はどなたでもそう思うでしょう――「政治家がリードしていかなければならない」と考えていることが分かりました。

 シンポジウムの終わりにいらしていた広瀬隆氏(私は彼の本も読みます)が、「皆でそれは間違っていると言っていきましょう」という趣旨のことを話されました。

 私の、それまでの「単なる事実を述べている科学者が冷遇されるなんて許せない」という正義感と寒冷化を懸念しての行動は、その時から信念になりました。

予測を大きく外したIPCCの気候モデル

(…会員ページにつづく)

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「【IWJブログ・特別寄稿】『ホッキョクグマが可哀想だなんて、もう泣いたりはしない』(フリーライター・キリエ @KiryeNet)」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    【IWJブログ・特別寄稿】『ホッキョクグマが可哀想だなんて、もう泣いたりはしない』(フリーライター・キリエ @KiryeNet) http://iwj.co.jp/wj/open/archives/236742 … @iwakamiyasumi
    温暖化論者も、寒冷化論者にも読んでほしい。判断は個人個人で。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/572732737217421313

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