福島原発告訴団の武藤類子団長と弁護団の海渡雄一弁護士が2014年12月12日、司法記者クラブで会見し、福島原発事故について、新たな資料、証拠を踏まえて事故の経緯を解説。東電経営陣らが、内外から寄せられていた具体的な指摘を何度も「握り潰し」、大事故を起こしていた事実を明らかにした。
「ここで立ち止まっていれば、あの大事故、今の苦しみもなかったのに、という機会が何度もあったのに…」
福島原発事故からまもなく4年。この日の会見で武藤氏は、こう述懐した。
さらに、東電経営陣らが、事故の「危険性を予見できなかった」「想定外」であり、「自分たちは充分な対策をとっており、責任はない」などと、言い逃れを繰り返していることを指摘。今後、検察が起訴し、事故の責任の追及がなされるのか、注目される。
原発政策のこれからについて、現政権の姿勢はどうか――。現在でも多くの不備、危険性を指摘・警告されながら、国民の声を押し切り、再び、原発依存、安全神話に「逆戻り」するような態度を、安倍政権はとり続けている。福島原発事故を教訓として再稼働を踏みとどまれるかどうか、主権者である国民ひとりひとりが、「最後の審判」を問われている。
- 院内集会
対談 古川元晴氏(元京都地検検事正、元内閣法制局参事官)×船山泰範氏(日本大学法学部教授)「検察は、起訴すべきである」
告訴人スピーチ
- 東京地検包囲行動
- 東京電力前抗議・要請書提出
- 日時 2014年12月12日(金)12:00~
- 場所 参議院議員会館(東京・永田町)/東京地方検察庁前(東京・霞が関)/東京電力本店前(東京・内幸町)
- 主催 福島原発告訴団(詳細)
福島原発事故、一連の経過
福島原発事故の加害者である東京電力は「地域独占」下、私たちの電気料金や税金などで収束・廃炉作業、損害賠償などを行なっている。事故の当の「責任者」である経営陣らは、これまで、多くの警告、抗議を無視し、危険なまま稼働させていたとされているが、自分たちの責任を否定。起訴にも踏み切られていない状況から、被災者たちが刑事告発に踏み切った。
しかし2013年9月9日、東京地方検察庁が不起訴としたため、同年10月から検察審査会に申し立てると、2014年7月31日、東京第5検察審査会が、勝俣恒久元会長ら3名を「起訴相当」、残る1名を「不起訴不当」とし、改めて東京地検が起訴するか否かを2015年2月に決定することになった。
この日の会見では、東京地検の「不起訴」の理由が間違いだと断じた、添田孝史氏の『原発と大津波 警告を葬った人々』(岩波新書、2014年11月)や『吉田調書』など、新たに明らかにされた証拠や資料を紹介、引用しながら、改めて、東電経営陣らの責任を追及した。
※以下、発言要旨を掲載します
「ここで立ち止まっていたら、あの悲劇はなかったのに」
武藤類子氏「原発事故から4年近く経ちますが、やっぱり隠されていたことが、まだまだこんなにあったんだなと。
今回は津波に関し、危険性、対策が指摘されながら、握りつぶされていき、ついに事故に至った経過が明らかにされました。
その結果、人生を根こそぎひっくり返された人々が何十万人もいるんだということを改めて踏まえ、しっかり調べ直し、起訴してほしいと思います。
検事さんたちも(上申書の説明を)非常に熱心に聴いていて、今日、院内集会の録画もみたいと」
「報道されない事実は、なかったことにされてしまう」