2014年6月25日10時30分より、2014年度第14回原子力規制委員会が開催された。議題終了後、委員から事業者の審査に臨む姿勢について苦言があり、田中俊一委員長からも「審査の値踏みをするような、申請の仕方は絶対に避けていただきたい」と念を押す場面がみられた。
2014年6月25日10時30分より、2014年度第14回原子力規制委員会が開催された。議題終了後、委員から事業者の審査に臨む姿勢について苦言があり、田中俊一委員長からも「審査の値踏みをするような、申請の仕方は絶対に避けていただきたい」と念を押す場面がみられた。
記事目次
■全編動画
先月5月に、人材育成の基本方針を作成するという議論を開始し、事務方の規制庁にて案がまとまったため、委員会で議論された。
原子力規制委員会の組織理念「原子力に対する確かな規制を通じて、人と環境を守る」に基づく使命と活動原則を実践する職員の育成を目標とし、研修やOJTも活用して体系的かつ将来を見つめた人材育成の方針(案)が示された。
更田豊志委員は、「研究職は他分野との交流や議論の場も必要。今の庁舎の環境がいいのか」と疑問を口にした。その上で、研究職の育成方針は、「もう一歩踏み込んで考えるように」と注文をつけた。
敷地境界線量を年間1mSv以下に抑えることを新たな規制要求としたことに基づき、目標達成の明確化、制限対象の排水の明確化などの実施計画変更を指示した。東電からこの指示に基づく変更申請があり、認可してよいか否かが委員会で議論された。
福島第一原発の敷地境界線量は、2013年12月18日の実施計画では年間約8mSvだったが、2014年2月に年間約9mSvに引き上げられ、今月2014年6月にはさらに10mSvに引き上げられた。これを2015年3月末には2mSv未満、2016年3月末には1mSv未満まで下げる目標を東電は示している。それまでの間、放射線や放射性廃棄物の管理、線量の評価、発電所内の除染計画の明確化を規制委員会は要求している。
今回の実施計画の変更では、規制委員会の要求に適合していると判断され、認可された。
更田委員は、「年間10mSvを1mSvに引き下げるのは、東電のコミットメントだ。そのための具体的な対策を、速やかに実施計画に反映することを要求すべきだ」とコメント。
田中委員長は、「この目標はALPSの稼働が前提だが、福島第一原発は水だけでなく諸々のリスク、課題がある」という認識を改めて示した。その上で、「課題は何か、どういう取組みが必要か、代替策は何か、と言った面について、事業者と規制当局とで共通認識を持たなければいけない」とし、もう一度整理することを要請した。
6月11日の委員会で了承された、国際規制物資の使用等に関する規則の改正案に対するパブコメの結果について、4件の報告漏れが見つかった。改めて、この4件の意見を紹介し、検討の結果を報告、規則の改正案がこれでいいかどうか、改めて審議された。
規則やパブコメについて特に異論はなく承認され、今後のスケジュールも前回と変わらないという。日トルコ協定の国内担保については6月27日に公布し、6月29日に施行、日アラブ協定の国内担保については、7月9日の公布、7月10日に施行である。
新規制基準の適合性審査に臨む事業者の姿勢に対して、委員から苦情の声が上がった。
更田委員は、審査の場が「申請者が自らの検討を終了させ確定させた方針、考え方、評価結果を持込み、それに対して議論、確認を進める場」だとし、「申請者と規制委員会や規制庁で見解の相違があるのは、一向に構わない」という考えを示した。
しかしながら、「申請者自身がまだ決定していない、決めていない”案”を持ってきて、規制委員会、規制庁の見解を求めたり、反応をみたりするような姿勢で臨まれると、これは審査とは言えませんので、これを審査として進めることは難しい」と苦言を呈した。
島崎邦彦委員も、「審査は全て公開されており、残っている課題や議論は明らかになっているにも関わらず、それを反映せず、前と同じ申請で審査に臨む事業者がある。これは審査の効率化、迅速化を妨げている要因だ」と事業者側の姿勢を問題視した。
田中委員長は、「規制委員会に打診、うかがいをたてるのは、単に規制要求を満たせばOKだとなり、安全向上につながらない。これは旧保安院時代に止めることが決まったはずだ」と述べ、「改めて今日最後に委員会として私のほうからも事業者に対してはそういうことを求めていきたい」と発言。「審査の値踏みをするような、申請の仕方は絶対に避けていただきたい」と念を押した。
■jaikoman氏によるツイート