2014年5月2日10時30分より、2014年度第6回原子力規制委員会が開催された。今後の工事計画認可審査及び使用前検査では、事業者に品質管理の責任を求め、違反が発見された場合には、使用停止命令を発令する方針が示された。
2014年5月2日10時30分より、2014年度第6回原子力規制委員会が開催された。今後の工事計画認可審査及び使用前検査では、事業者に品質管理の責任を求め、違反が発見された場合には、使用停止命令を発令する方針が示された。
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国内外のトラブル等の情報収集や取捨選択、審議、検討については、従来、JNES(原子力安全基盤機構)で行っていた。2014年3月のJNES統合により、JNESが行っていた業務を規制庁で行うことになった。また、2014年2月5日の規制委員会では、審議会(炉安審/燃安審)が調査、審議、助言を行うことが指示されていた。これら2項目を盛り込んだ取組みの進め方について、事務方が検討した案を示し、委員会にて了承された。
大島賢三委員より、情報収集や審議会はいつから行うことができるのか、と質問が出た。事務方より、日常的に情報収集は行っており、5月12日を目途に、審議会の第一回を開催するよう調整中であることが発表された。
新規制基準適合性審査について、3月13日の委員会で川内原発を優先審査とすることが決められたが、その後の審査状況について整理し、事務局から委員会に報告があった。
大きなトピックスとして、4月30日に”九州電力川内原発1、2号機の申請の補正書の提出”があったことが挙げられた。補正書は7000ページを超えるものだが、審査を行う情報に不足があると、櫻田道夫・規制庁原子力規制部長は、現状を説明した。5月8日の審査会合で事業者にこれを指摘し、再々補正を申請することになる見込み。
情報の不足とは、これまでの審査会合で説明を受けている内容だが、「公式に書いてもらわないと申請したことにならない」と更田豊志委員は厳しくコメントした。
地震・津波・火山関係の審査について、おおむね審議を終えた川内1、2号に続いて、大飯3、4号と高浜3、4号の審査が進んでいることが示された。地盤地下構造や震源深さなどの地震動について、審議会で説明を受け、解決しているという。今後、これまでの審議内容を基に、基準地震動の設定についての審議、議論を行う予定だと櫻田原子力規制部長は説明した。
一方、泊3号については、岩手・宮城内陸地震による影響が新たな課題として追加されたことを説明。このように、プラントによって、進捗に大きな違いがでてきていることが確認された。
再処理施設や燃料加工工場、リサイクル施設、廃棄物管理施設といった、発電用原子炉ではない核燃料施設の審査状況について、前回報告した2月3日以降の状況について取りまとめ、委員会に報告された。
現在、6事業者10施設から、申請を受理している。万が一の事故の場合の影響の違いにより、委員が出席する審議会で審査するものが2施設、審議官が出席して審査するものが5施設、事務方のヒアリングのより審査するものが3施設となっている。
更田委員は、新基準への適合だけでなく、新たな申請もあるなど、「個々の審査ごとに特徴がある」とコメント。田中俊一委員長は、「審査基準が難しいが、随時委員に相談などして効率的に進めてほしい」とコメントした。
新規制基準適合性審査は、原子炉設置変更許可審査、工事計画認可審査、保安規定変更認可に係る審査の3項目の審査を行わねばならない。
これまでは、主に原子炉変更設置許可審査を行ってきたが、今後、他の2つの審査の具体的な確認および使用前検査を行う段階に進んできた。今回の委員会では、今後の対応方針について、検討された。
事業者においては、品質管理を事業者が自らの責任で行う事が示された。また、認可後に違反が発見された場合には、使用停止命令を発令するといった、強い規制方針が打ち出された。
田中委員長は、「従来と異なり、事業者の責任を求めていく。安全の確保に必要なことは、規制委の責任で行う」と大きくそれぞれの役割を分けたことを強調。この考えを進めて、より安全な方向に向かうことを期待し、事業者にも努力を求める考えを示した。
更田委員は、「従来のアプローチを大きく変え、規制のあり方を、国際的な考え方に沿わせていくものだ」「事業者-規制当局の役割、責任を明確化することで、それぞれの安全文化の向上につながる」とコメント。従来は、規制当局が全数チェックをし、事業者は規制のみを守ればいいと考えられていたが、「それではいけない」ということを明示した。
島﨑邦彦委員は、「規制の当然のことがこれから始まるが、逆にそれが不思議だ」、大島賢三委員は、「規制者側が実力を持つことが大事だ。そうでなかった従来は、事業者のいいなりになっていた」とコメントした。
コメントは多く出たものの、特に異論はなく承認された。
東京電力福島第一原発の汚染水タンクなど、溶接により製作した設備の検査方針について提案、議論された。
検査対象が多数におよぶこと、現場で検査することで被曝することなどの課題がある。そのため、工場溶接か現場溶接か、溶接方法の違いなど、条件を見極めてサンプリング検査をすることや、立会検査、記録確認による検査が示された。ただし、安全上重要なものは、全数検査になるという。
特に意見はなく、承認された。
4月28日から30日にかけて、ドイツ・ベルリンで開催された国際原子力規制者会議(INRA)について、参加した安井正也・対策監から報告があった。同会議に参加した田中俊一委員長は、「福島第一原発の状況について関心が非常に高い。これにきちんと始末をつけ、その状況を的確に報告していくことが日本の重要な義務だ」とコメントした。