福島第一原発事故による自主避難者への支援を定めた「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針案の撤回と具体的な施策の実現を求め、脱原発を訴える市民団体「脱原発福島県民会議」をはじめとする8つの団体が、24日、復興庁、環境省、文部科学省の担当者に要望書を提出した。
復興庁が8月30日に発表した「基本方針案」は、借上住宅供与の期間延長や就労支援の強化といった支援の対象地域を、福島県内の33市町村に限定している。このような「基本方針案」に対して、福島県外でも年間の累積被曝線量が1ミリシーベルトを超えるすべての地域に支援対象を拡大すべきだという多くの声が寄せられている。復興庁に対するパブリックコメント(意見公募)は23日(月)に締め切られている。
- 11時~12時 被曝労働者の課題について、これまでの継続で交渉 >>厚労省、環境省
- 除染労働者の被ばく線量の速やかな登録を制度保証を求める
- 国の責任で、すべての福島事故被曝労働者の長期健康管理を求める
- 13時~15時 要請書の課題に即して交渉 >>復興庁、環境省、文科省
- 要請書の再提出(8団体と賛同団体の連名で)
- 子ども被災者支援法基本方針の問題点を指摘し、基本方針の撤回と再策定等を求める
- 国の責任ですべての福島原発事故被災者に健康手帳交付、医療費無料化、医療保障を求める
- 損害賠償請求権の消滅時効問題を解決する特別立法措置を求める
被災者への健康手帳交付を
この日、交渉に臨んだ8つの団体は、「原発事故・子ども被災者支援法」による支援対象地域の拡大を求めた他、被災者に対する健康手帳の交付、医療費の無料化などを要請した。これに対して環境省の担当者は、今後も健康手帳の交付について検討する予定はないと回答。参加者からは「この基本方針案は、本当に現地の声を聞いて作ったものなのか」などの声が上がった。
「原発事故・子ども被災者支援法」の基本方針案の施行手続きについて、復興庁の担当者が「パブリックコメントを募集するなど、しっかりとした手続きを踏んでいる」と発言した。これに対して、「納得できない」「公聴会を開くべきだ」などの声が参加者から相次いだ。
除染労働者に対する被曝管理を要請
この日は他にも、除染労働者に対する被曝線量の管理に関するルール作りについて要望が出された。原発作業員とは異なり、除染労働者の被曝管理については、現在のところルールがない状態が続いている。参加者は、原発作業員と同様に、除染労働者に関しても、民間の「放射線業務従事者中央登録センター」への登録と、放射線管理手帳を速やかに発給するよう要請した。これに対して厚労省の担当者は「中央登録センターへの速やかな登録が望ましい」としながらも、「国に民間データベースへの登録義務はない」と述べた。