┏━━【目次】━━━━
┠■はじめに~緊急事態です! 5月のご寄付額は182万円でした! 5月の月間目標額の47%、208万円の不足でした! IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から4月まで9ヶ月間の累積の不足額は、1600万円を超えています! 6月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成し、また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!
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┠■この冬欧州は暖冬だったにも関わらず超過死亡が6万8000人で新型コロナウイルスの死者よりも多かった! この推計の解釈が調査主体の『THE ECONOMIST』と欧州市民で真っ向対立! 対露制裁を続ける欧米権力層と一体化した体制側メディアは「プーチンのエネルギー兵器」のせいだと責任転嫁! 他方、無謀な対露制裁によって、エネルギーの不足・高騰で困窮する欧州の一般庶民感覚では、和平を望まず、対露制裁によって、エネルギー価格を高騰させてしまった欧州の政策に問題があることを指摘! 欧州の権力層とその御用メディアとは、決定的に乖離!
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┠■嬉しい新規会員登録です!「自衛隊の指揮権は米軍司令官が握っているということを、岩上さんが今日の記事で書いていらっしゃることを心強く思いました」 ご寄付をくださった皆さまからの応援・激励メッセージに、岩上安身がご回答いたします!
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┠■【中継番組表】
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┠■「春の大攻勢」やるやる詐欺のゼレンスキー政権、もう本日は6月! ダグラス・マクレガー元米軍大佐は「バフムート後」について新記事を発表! ウクライナ軍が仮に「大反攻」に出ても、ロシアの防衛線を突破することは不可能に近く、むしろ、ウクライナの兵站が尽きた時、ロシア側が「大攻勢」に出る!?
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┠■背後に「暴力団」が関与し、凶悪化する「特殊詐欺」を「高齢者差別」が後押し! ルフィ事件と、高齢者に「集団自決」を求めた成田悠輔氏の発言は同根の大問題!~5月発行の『岩上安身のIWJ特報!』は、3月13日と4月6日収録の「岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビュー」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行します! ぜひ『まぐまぐ』からご登録ください!! バックナンバーの単独購入も可能です! サポート会員になればバックナンバーをすべて読めます! ぜひ、サポート会員にご登録を!!
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┠■【スタッフ募集・事務ハドル班】事務ハドル班は、岩上安身によるインタビューのアポ取りとスケジューリング、各種リサーチ、公共コンテンツの取材のためのアポ取りや、中継スタッフやテキストスタッフと連携して、IWJの活動予定を組み立て、指示を出す、重要な役割を担っています。翌日以降の中継・配信予定と、撮影後に記事化された動画の情報を整理し、翌日の日刊IWJガイドの番組表へ反映する、IWJコンテンツ構成の要となる部署です。
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┠■【スタッフ募集・テキスト(赤反映担当)班】記者として日刊IWJガイドや記事の執筆、エディターとして編集業務を行っていただける方を募集します。特に深夜業務での校正作業を厭わない方は、優遇し、最優先で募集します! 深夜に及んだ場合は、社用車での帰宅が可能です。時給はスタート時は1300円から、能力・実績次第で昇給します。深夜業務は法にのっとった割り増し残業代を支払います。『サビ残』は一切ありません!
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■はじめに~緊急事態です! 5月のご寄付額は182万円でした! 5月の月間目標額の47%、208万円の不足でした! IWJは創業以来、最大の経済的危機に直面しています! 第13期の累積赤字は毎月増え続け、8月から4月まで9ヶ月間の累積の不足額は、1600万円を超えています! 6月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成し、また累積の不足額を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!
おはようございます。IWJ編集部です。
いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。
本日から6月! 5月のご寄付額は、集計が確定した段階で改めてご報告しますが、暫定値で31日までの31日間で182万円でした。月間目標額の47%にあたるご寄付をいただきましたが、残念ながら月間目標額に届かず、月間目標額の53%、208万円の不足となりました!
厳しい経済状況の中、ご寄付をお寄せくださった皆さま、誠にありがとうございました!
ぜひ、皆さま、今月6月こそは、まずは月間目標額を達成できますよう、どうぞ緊急のご支援をお願いいたします!
6月に入り、昨年8月1日から始まったIWJの第13期も、残り2ヶ月となりました。
しかし、今期第13期4月末までの累積の不足額は、1660万5900円となりました。この累積の不足額を少しでも削れるように、引き続き、どうぞご支援をお願いします!
IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、IWJにつなぎ融資をいたしました。
私がこれまでにIWJに貸し付けて、まだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。
私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。
皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。
しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費とご寄付・カンパの両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。
ウクライナ紛争に続き、「台湾有事」を口実とする米国の「代理戦争」が、東アジアで画策されている今、私、岩上安身とIWJは、破滅的な戦争を回避すべく、ウクライナ紛争報道で明らかになった、偏向マスメディアの不誠実な「情報操作」に代わるべく、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるよう走り続けたいと存じます。その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために、今後も全力で頑張ってゆきたいと思います。
2月、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出しました。日本の新聞・テレビなどのメインストリーム・メディアは、一切このスクープを報じませんでした。
IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。
※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5
私は、ロシア軍がウクライナに侵攻して1年となる2月24日の岸田総理会見で、ハーシュ氏のスクープについて岸田総理に直接、質問しました。
私が「日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?」と質問したのに対し、岸田総理は、「米政府は完全なるフィクションであるという評価をしております」「ノルウェー外務省もナンセンスと言っています」「多くの国においてこうした記事に関しては、否定的な評価がされている」とはぐらかし、日本政府・日本国総理としての独自の判断を示しませんでした。
※【IWJ代表:岩上安身質問】ノルドストリーム爆破疑惑について、日本は独自に検証や調査を行なっているのか?岸田内閣総理大臣記者会見-令和5年2月24日(Movie IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=9uUrTxr_Mss
※はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!~(日刊IWJガイド、2023年2月25日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230225#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51926#idx-1
このウクライナ紛争は、ロシアを弱体化させるための米国主導の戦争です。
ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツが多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、ロシア産の格安の天然ガスが入らなくなって窮地に陥った欧州に、米国産の高値の天然ガスと石油を売りつけて市場を奪い取ったということになります。
つまり、米国は「敵国」のロシアだけでなく、米国の重要な同盟国であるはずのドイツにも大損害を与えた疑いがあるのです。これが真実であるならば、同盟国への重大な背信であり、裏切りです。犠牲を払わされたドイツと同じく、同盟国とは言いながら、ジュニア・パートナー(主権のない従属国)扱いされている日本も、同じ目にあわされる可能性があります。
IWJでは、独自のIWJ検証レポートによって、ドイツとロシアを直接結ぶノルドストリームの建設を米国政府・議会が何度も妨害してきた事実、そして、完成はしたもののウクライナ紛争の勃発と対露制裁によって使用できなくなり、さらに爆破テロに見舞われるまでの経緯を、お伝えしています
※IWJ検証レポート!「米国が狙った独露間の天然ガスパイプラインノルドストリームの阻止!!」~2022.4.27
(その1)https://iwj.co.jp/wj/open/archives/505188
(その2)https://iwj.co.jp/wj/open/archives/508187
お読みいただければわかりますが、この経緯を知ると、ウクライナ紛争以前から、米国はノルドストリームの完成と開通を何としても阻みたいと思っていたという事実が明らかになります。
岸田文雄総理は、1月早々、昨年末に閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて鼻高々でした。
国会での議論と承認がなされなくても、米国からの要請があれば、「安保3文書」を閣議決定し、軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が身代わりに犠牲となり、日本はウクライナのように、米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。
上記の4月24日の岸田総理会見で、私は、「米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのか」「有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか」と問いました。
岸田総理は「自衛隊及び米軍は、各々独自の独立した指揮系統に従って行動をする、これはいうまでもないこと」などと、自衛隊の指揮権はあたかも米軍から独立して存在しているかのように述べました。
しかし、この総理の発言は、事実と異なります。従来の幕僚長を事実上廃止し、新たに米軍との「統合司令部」を設置する「安保3文書」の改定は、自衛隊を米軍の司令下におく「2軍」にしてしまうものです。
自衛隊が米軍と司令部を統合してしまい、自身で状況判断するための目と耳(情報衛星他)をもたず、独自に判断する頭(内閣に直結し、米国から独立した司令部)をもたない、そんな日本が、安全保障において、米軍から独立した主権をもつ、といくら岸田総理が口先だけで言っても、自衛隊のおかれたリアルな現実を国民に説明していることにはなりません。
3月28日、「安保3文書」の改定を踏まえ、防衛費を大幅増額した2023年度予算案は、政府案どおり成立しました。
※令和5年度予算(財務省)
https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/fy2023.html
日本は、このまま米国追従を続け、米国の単独一極覇権を支えるために、日本自らは世界最悪の財政危機に直面しているというのに、米国の要請に従って、軍拡という重い財政負担を背負うのはあまりに愚かではないでしょうか!?
そもそも日本が依存している米国は、誠実な、信頼に値する同盟国といえるのでしょうか!?
4月12日の日刊IWJガイドの記事(※)も、ぜひあわせてお読みください。米国は、同盟国に対して、当たり前のように盗聴を仕掛けています。ドイツなどは米国政府に抗議しましたが、日本政府は、まったく抗議していません。
※『ニューヨーク・タイムズ』が報じた、ウクライナ紛争をめぐる米国とNATOの戦争機密文書漏洩事件! 漏洩文書に韓国政府内の議論が含まれていたことから、CIAによる韓国国家安保室盗聴が発覚! 謝罪を求めない尹政権に韓国与党も「卑屈極まりない」と批判! 2013年のスノーデン氏による盗聴暴露問題も再燃し、米国のダブルスタンダード、繰り返される同盟国への盗聴に韓国メディアが猛批判を展開! 日本も盗聴されているはずだが、沈黙し続けるのか!?(日刊IWJガイド、2023年4月12日)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230412#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52117#idx-1
日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として立つべきです。同時に、エネルギーと食料の自給ができず、資源をもつ他の国々からの海上輸送に頼らなければならない「島国」であるという「宿命」を決して忘れず、国外にそもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?
皆さまにはぜひ、マスメディアが真実を伝えない、こうした問題について、IWJが追及を続けてゆくために、どうか、会員登録と緊急のご寄付・カンパによるご支援をどうぞよろしくお願いしたく存じます。
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店番号 022
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岩上安身
■この冬欧州は暖冬だったにも関わらず超過死亡が6万8000人で新型コロナウイルスの死者よりも多かった! この推計の解釈が調査主体の『THE ECONOMIST』と欧州市民で真っ向対立! 対露制裁を続ける欧米権力層と一体化した体制側メディアは「プーチンのエネルギー兵器」のせいだと責任転嫁! 他方、無謀な対露制裁によって、エネルギーの不足・高騰で困窮する欧州の一般庶民感覚では、和平を望まず、対露制裁によって、エネルギー価格を高騰させてしまった欧州の政策に問題があることを指摘! 欧州の権力層とその御用メディアとは、決定的に乖離!
2022年、ロシア産の天然ガスの供給は、供給のメインルートである「ノルドストリーム」パイプラインとそれを補完する「ヤマル―ヨーロッパ」パイプラインの供給が停止し、ウクライナをトランジットする供給量は3分の1に削減され、欧州諸国のロシア産ガス輸入量は50%以上減少の約800億立方メートルになりました。
※ロシア産ガスの完全供給停止に備えよ 州委員会がEU諸国に勧告(SPUTNIK 日本、2023年5月25日)
https://sputniknews.jp/20230525/eu-16080738.html
この結果、冬場の暖房に使用する天然ガスが高騰し、家計を直撃というシナリオが考えられました。しかし、寒い欧州の冬に凍える欧州の庶民にとっては、不幸中の幸いというべきか、2022年から2023年は、欧州は記録的暖冬でした。
天然ガス取引指標のオランダTTFで、終値を2022年12月から2023年5月まで見ると、2022年12月21日から、それまで1メガワット時(MWh)当たり100ユーロから140ユーロだった終値が、100ユーロを割るようになります。2023年1月4日には、65.020ユーロと低水準となります。対前日比の変化率を見ても、2023年3月下旬までマイナスの傾向が続きます。
つまりこの冬中、ガスの価格は下がり続けたのです。
2023年3月31日までの終値を見ると、3月20日の39.325ユーロが底値となっています。2023年5月30日時点の終値は、24.681ユーロです。
※Dutch TTF Natural Gas Futures 過去データ(investing.com、2023年5月31日閲覧)
https://jp.investing.com/commodities/dutch-ttf-gas-c1-futures-historical-data
1月6日付『ロイター』は、「科学者らは気候変動が最近の暖冬に具体的にどのように影響を及ぼしているのかの分析作業をまだ終えていない。ただ1月がこれだけ暖かいという事実は、人類の活動に起因する気候変動がもたらす長期的な温暖化の流れにぴたりと符号する」と報じ、科学者たちのコメントを報じています。
「欧州連合(EU)の気象情報機関、コペルニクス気候変動サービス(C3S)の気候科学者フレジャ・バンボルグ氏は『欧州の冬は、地球全体の気温上昇の結果として年々暖かくなっている』と指摘した。
インペリアル・カレッジ・ロンドンの気候科学者フリーデリケ・オット博士も『新年にかけての欧州全域の記録的な高温は人類の活動に起因する気候変動によって起きた公算がより大きくなった』と述べた」
※アングル:欧州暖冬「まるで夏」、エネルギー危機には救い(ロイター、2023年1月6日)
https://jp.reuters.com/article/europe-warm-winter-idJPKBN2TK09E
欧州は暖冬だったので、ガス価格が下がり、暖房が使えないことで、亡くなった人も少なかったのではないか、と普通は考えます。
しかし、天然ガス価格は、この冬だけの値動きを見ると、暖冬により、下落傾向にありましたが、世界銀行が2023年4月に発表した『Commodity Markets Outlook』は、欧州の天然ガスについて、次のように記しています。
「欧州の天然ガス価格は急激に下落し、2023年には53%下落すると予想されています。しかし、2015年から19年にかけての平均的な水準に比べ、依然としてほぼ3倍の水準で推移するでしょう。欧州は、次の冬に十分な供給を確保するための課題に今も直面しています。この課題の中には、アジアへのLNG輸出による競争激化もあります」
※Commodity Markets Outlook(報告書2頁、世界銀行、2023年5月31日閲覧)
https://openknowledge.worldbank.org/server/api/core/bitstreams/6864d537-d407-4cab-8ef1-868dbf7e07e2/content
2015年から2019年は、パンデミック直前の平均的な水準の天然ガス価格となります。
実際、2015年1月から2019年12月までの天然ガス取引指標のオランダTTFの平均価格を見ると、18.57ユーロなのです。
この冬一番の安値だった3月20日の39.325ユーロも、パンデミック直前の5年平均(2015~19年)の平均と比べると、2.12倍、5月30日時点の24.6でも、パンデミック直前の平均の1.32倍なのです。
※Dutch TTF Natural Gas Futures 過去データ(investing.com、2023年5月31日閲覧)
https://jp.investing.com/commodities/dutch-ttf-gas-c1-futures-historical-data
この結果、何がこの冬の欧州に起きたか。5月10日付『THE ECONOMIST』が注目すべき調査を報じています。
この調査は、『THE ECONOMIST』が独自に行ったもので、エネルギーコストと気温の変化との関係を明らかにする統計モデルを構築しています。このモデルは、その国の人口統計、昨冬以前の新型コロナによる死亡者数、過去の死亡者数の過少報告も考慮に入れています。
この調査でわかったのは、次のことです。
「1kwhあたり約0.10ユーロ(昨冬の平均電気料金の約30%)の値上げが、その国の週間死亡率の約2.2%の上昇に関係していると推定されます。もし、昨冬の電気料金が2020年と同じであったなら、我々のモデルは欧州全体の死亡者数を6万8000人減らし、死亡者数は3.6%減少したことになります」
つまり、火力発電所の中心的な燃料である天然ガスのこの冬の値上げによって、欧州全体で、6万8000人の死者を生んだという推計なのです。この死亡者数は、新型コロナによるこの冬の死亡者数よりも多くなるかもしれないと5月10日付『THE ECONOMIST』は報じています。
※Expensive energy may have killed more Europeans than covid-19 last winter(THE ECONOMIST、2023年5月10日)
https://www.economist.com/graphic-detail/2023/05/10/expensive-energy-may-have-killed-more-europeans-than-covid-19-last-winter
問題はここから、先です。この統計モデルによる6万8000人の超過死亡を「どう解釈しているか」ということです。
5月10日付『THE ECONOMIST』の解釈は、以下の通りです。
「政府がエネルギー市場に介入していなければ、ヨーロッパでの死亡率はもっと高かったかもしれない(ただし、価格の低下は需要を押し上げ、世界の他の地域で問題を引き起こしている)。私たちは、コンサルタント会社Vaasaettのデータを用いて、価格キャップや消費税の引き下げによる料金の引き下げがなければ、どれだけの超過死亡が発生したかを推定した。
23カ国において、これらの補助金によって2万6600人の命が救われたことがわかった。卸売エネルギー価格が下がり、気温が上昇するにつれ、当面の脅威は去ったかもしれないが、プーチン氏のエネルギー兵器が致命的だったことは明らかである」
要するに、この超過死亡の直接の原因はプーチン大統領だと決めつけているのです。欧米が対露制裁を加えておいて、そのため輸出量が減ったことを、「プーチン氏のエネルギー兵器」と表明するのは、責任転嫁もはなはだしい言い草でしょう。日本のメディアの日々の報道も、ロシアヘイトのバイアスはひどいものですが、欧州も同程度の「民度」だとわかります。欧州の知的水準への長年のリスペクトが、急速に失われていくのを感じます。
他方、この同じ調査を伝えるイランの『PRESS TV』は、この調査に対する欧州市民の反応を具体的に伝えています。
「この統計は驚くべきものですが、私たち(『PRESS TV』)が話を聞いてきた市民は驚いていません」
欧州市民01「エネルギーの貧困は、欧州をはじめ世界中で、新型コロナよりもはるかに大きな問題になっているのです」
欧州市民02「貧しい人々や中流階級の人々がエネルギーに関するこの問題に対処できるように、政府は彼らの政治を変える必要があると思います」
欧州市民は、プーチン大統領ではなく、欧州の政府の政策にこそ、直接の原因があると述べています。
これを受けて、『PRESS TV』は次のように述べています。日本のマスメディアが、ろくに報じない現実です。
「欧州では、抗議行動が絶え間なく続いています。今回、スペインの首都マドリードでは、数千人の教師や医療関係者が、給与や労働条件の改善を求めて街頭に繰り出しました。これは、英国やフランスなど、欧州の他の地域でも見られることです。
『THE ENCONOMIST』の調査は、昨年11月から2月までの期間に焦点を当てたものです。データは、マルタとキプロスを除くEU27カ国すべてから集められました。英国、ノルウェー、スイスも含まれています。要するに、ロシアからの安価なエネルギー供給を断ち切ろうとするEU首脳の動きが、致命的な結果を招いたということです」
さらに、『PRESS TV』は、ジョゼップ・ボレルEU外交政策局長とバルディス・ドムロフスキスEU経済担当委員の発言を引用して、ウクライナ支援の額と対露制裁のインフレへの影響にも言及しています。
「一方、EUのウクライナへの財政支援に関する最新の数字が発表されました。多くの苦境にある国民は、目を覆いたくなるような数字でしょう。
ジョゼップ・ボレルEU外交政策局長『軍事、民間、人道、資金援助、難民支援など、ウクライナへの支援をすべて合計すると、EUとその加盟国は650億ユーロ、650億ユーロを提供したことになります』
木曜日(5月25日)、EU委員会は、ユーロ圏のコアインフレ率が、対ロシア制裁に直接関連しているとアナリストが指摘するように、依然として頑強に高いことを認めました。
バルディス・ドムロフスキスEU経済担当委員『これは、特に低・中所得者層の人々の購買力に打撃を与え、EU企業の競争力を低下させます』」
※Energy crisis in Europe has killed more people than COVID-19(PRESS TV、2023年5月28日)
https://www.presstv.ir/Detail/2023/05/28/704232/EU-Energy-crisis-killed-more-people-that-COVID
このように、欧米の権力層と一体化した、体制側のメディアであるエリートの『THE ECONOMIST』の結論と、一般の欧州市民の実感では、統計モデルの結果の解釈がまったく異なっています。
この解釈の違いを、『PRESS TV』は、「ロシアからの安価なエネルギー供給を断ち切ろうとするEU首脳の動きが、致命的な結果を招いた」と適切に指摘しています。
すなわち、片や体制べったりの御用メディアでは、「プーチンのエネルギー兵器」のせいで、他方では「欧州各国の、異常な反ロシア、ウクライナ偏重の政策」のせいで、この冬、欧州の多くの市民が困窮し、死ななくていい欧州市民が多数死亡したと考えているのです。
どちらが真実であるのか。言うまでもなく、この紛争の経済的な被害者であり、エネルギー貧困によって、超過死亡に追い込まれている欧州市民の主張の方が正しいのは、間違いないでしょう。
5月28日付『PRESS TV』は、最後の次のようなまとめを行っています。
「欧州中央銀行は、インフレを抑制するために金利を引き上げ続けている。統計モデルにもとづくと、天候がそれほど穏やかでなかったなら、エネルギーコスト高に関連する過剰な死亡者数は昨冬よりはるかに多かったと思われる。
EU当局が合理的な価格と信頼性のある供給を確保できず、さらに寒さが厳しくなった場合、次の冬にどれだけの人が死亡する可能性があるのだろうか」
■嬉しい新規会員登録です!「自衛隊の指揮権は米軍司令官が握っているということを、岩上さんが今日の記事で書いていらっしゃることを心強く思いました」 ご寄付をくださった皆さまからの応援・激励メッセージに、岩上安身がご回答いたします!
IWJにご寄付をいただいた皆さまから、応援・激励のメッセージをいただきました。ありがとうございます!
本日ご紹介するのは、新規で会員になってくださった方からのメールです! ここに感謝を込めてご紹介させていただき、岩上安身がご回答させていただきます!
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岩上さまの貴重な記事は、大変参考になります。
私は末浪靖司(※)さんとメール交換する機会を得られましたが、『日米指揮権密約の研究』自衛隊はなぜ海外派兵されるのかで明らかにされた自衛隊の指揮権は米軍司令官が握っている(有事で運用するには平時の訓練からしていないとできませんし)ということを、岩上さんが今日の記事で書いていらっしゃることを心強く思いました。
自衛隊とはnearly米軍であると思います。
そんな自衛隊を日本国憲法に書き込んでいいはずはないと考えます。
ジャーナリストでオピニオンリーダーである岩上さま、末浪靖司さんに、そのことをどんどん突いていただきたくお願い致します。(京都 島津 様)
※末浪靖司氏へのIWJの記事は以下から御覧いただけます。
※「日本の政権はアメリカに認められないと存続できない。そのために岸田政権はアメリカを守るためにアメリカ製武器を買いあさる」末浪氏~5.3生かそう憲法 守ろう9条 5・3憲法集会 in 京都 ―講演:「アメリカの世界戦略を担う岸田大軍拡―いま輝く憲法9条―」末浪靖司氏(ジャーナリスト) 2023.5.3
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515833
※【広告連動企画!!】 新刊『「日米指揮権密約」の研究』自衛隊はなぜ、海外へ派兵されるのか~岩上安身によるインタビュー 第802回 ゲスト ジャーナリスト末浪靖司氏 2017.10.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/400203
また、日米関係に関するIWJの記事は次のURLから御覧いただけます。
※日米関係
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E6%97%A5%E7%B1%B3%E9%96%A2%E4%BF%82
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島津 様
新規の会員登録、ありがとうございます!
末浪さんには、単独インタビューもさせていただいています。
日米関係は、主権国家同士の平等で、水平的な関係ではありません。現在の日米安保条約、そして日米地位協定は、幕末に結んだ不平等条約の比ではない、支配―服従の関係になっていることを、私たち日本人は、全国民が知る必要があります。
末浪さんは、そうしたテーマについての調査や取材、研究に取り組んできたジャーナリスト、研究者のうちのお一人であり、貴重な研究をされています。私も大変勉強になりました。
日本が経済成長を果たし、その富の再分配も国内に行き渡っていた時代、米国に安全保障を任せ、日本は経済だけ、専念していればいいという、「商人国家」論が支配的であり、実際、政治もそうした「軽武装・経済優先」路線を歩みました。
しかし、日本は米国の不当な介入もあって、国力を落とし、また自ら次世代を生み育てることへの真摯な関心を忘れて、今日の少子高齢化を招いてしまいました。
財政規律もゆるみ、空前の財政危機にも直面しています。
さらに「寄らば大樹」で依存してきた米国が、すっかりもはや「頼れない国」となってしまっていること、そしてその事実を日本人自身が直視しようとしない、という問題があります。ネオコンと、行き過ぎた新自由主義に支配されてしまった米国は、覇権国としての責任感を失い、世界中で絶えず紛争の火種を煽って、「代理戦争」ビジネスによって、国内の軍産複合体ばかりが儲ける国となっています。
そのような米国国内の「見当違いな権力」である軍産複合体は、表向きの米国のリベラル・デモクラシーの理念や倫理などに縛られず、同盟国を犠牲にする「代理戦争」を次々と繰り出していきます。
そのひとつが「ウクライナ紛争」という「代理戦争」です。それと同時並行で準備を進めてきた、東アジアでの「台湾有事」というキーワードでの「代理戦争」です。
「ウクライナ・モデル」が成功すれば、米国の「見当違いな権力」は確実に、東アジアで「ウクライナモデル・東アジア版」を現実に実行するでしょう。
ウクライナの惨状の責任は、ロシアにすべて責任を負わせるべきであるとは思いません。一番の責任は、米国の「見当違いな権力」です。
「ウクライナモデル」には、失敗してもらわなければなりません。そうでないと、その成功体験をもとに、東アジアで「代理戦争」が繰り返されてしまいます。台湾や日本が「第2のウクライナ」になってしまう可能性が十分あります。
親ウクライナ・反ロシアに偏向し、米国政府の見込み通りに動く、日本のマスメディアの「情報操作」は、ですから二重の意味で本当に危険です。ウクライナ紛争の本質を見誤り、次に東アジアの「代理戦争」を招いてしまうからです。
そうしたことが現実にならないよう我々IWJは、ウクライナ紛争、その背後の米国の「見当違いな権力」の思惑や動きについて真実をお伝えしていくと同時に、「情報操作」を行っているマスメディアの不誠実さや、悪質な操作について、指摘し続けていきたいと思います。
どうぞ、今後とも末長くご支援のほど、よろしくお願いします。
岩上安身拝
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◆中継番組表◆
**2023.6.1 Thu.**
調整中
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◆中継番組表◆
**2023.6.2 Fri.**
あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。
【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_areach5
「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee
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◆昨日アップした記事はこちらです◆
「世界の経済成長の半分は中国プラスインドで支えている、G7サミットはもはや世界経済について議論する場所ではなくなった」~岩上安身によるインタビュー第1121回 ゲスト エコノミスト・田代秀敏氏
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/516159
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■「春の大攻勢」やるやる詐欺のゼレンスキー政権、もう本日は6月! ダグラス・マクレガー元米軍大佐は「バフムート後」について新記事を発表! ウクライナ軍が仮に「大反攻」に出ても、ロシアの防衛線を突破することは不可能に近く、むしろ、ウクライナの兵站が尽きた時、ロシア側が「大攻勢」に出る!?
ロシアのショイグ国防相は5月30日、5月だけでウクライナ軍の戦車400両以上と460機以上の無人機(ドローン)を破壊し、1万6千人以上の兵員を殺害したと述べた、と共同通信が報じました。
※5月に戦車400両破壊とロシア国防相(共同通信、2023年5月30日)
https://nordot.app/1036250050559165005
ロシア国防省の発表は、『テレグラム』に掲載されています。冒頭で、ショイグ国防相は、以下のように5月の戦果を発表しています。
「ロシア軍のグループは、敵に効果的なダメージを与え続けている。
今月(5月)だけで、(敵であるウクライナ軍の)損失は、兵士1万6000人以上、航空機16機、ヘリコプター5機、無人航空機466台、戦車などの装甲戦闘車両400台以上、野砲および迫撃砲238門を超えた。
さらに196発のハイマースロケット、16発のハームミサイル、29発のストームシャドウ長距離巡航ミサイルが迎撃・破壊された」
※Вступительное слово Министра обороны РФ на тематическом селекторном совещании(テーマ別電話会議におけるロシア連邦国防大臣の開会の挨拶)(ロシア国防省、2023年5月30日)
https://telegra.ph/Vstupitelnoe-slovo-Ministra-oborony-RF-na-tematicheskom-selektornom-soveshchanii-05-30
ロシア国防省は5月20日、東部ドネツク州北東部の要衝都市、バフムートの完全解放を発表しました。バフムートは天下分け目の「スターリングラードの戦い」となるかもしれない、とIWJも28日の日刊IWJガイドでお知らせしました。
※ワグネル「バフムート完全支配」、ロシア国防省も「解放」を宣言(朝日新聞、2023年5月21日)
https://digital.asahi.com/articles/ASR5P5RM9R5PUHBI00C.html
※はじめに~バフムートは「スターリングラードの戦い」となる?~日刊IWJガイド(2023.5.28号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230528#idx-1
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52333#idx-1
ウクライナ側は、あわただしい動きを見せています。新しいニュースを4連続でお伝えします。
その1。ゼレンスキー大統領は韓国に対して防空システムの供与を要請しました。もちろん、極超音速ミサイルを迎撃できる保証はありません。
その2。ウクライナの国会では、ロシアにドローンを提供したとして、イランに50年にわたって追加的な経済制裁を科す法案が可決されました。ウクライナに制裁されたところで、果たしてイランにダメージがあるでしょうか?
その3。行方不明か、負傷したのか、と取り沙汰されていたウクライナ軍のザルジニー総司令官が27日、「我々の領土を取り返す時が来た」という1分あまりの動画を投稿しました。もっとも、ザルジニー総司令官自身が投稿したか、動画にライブで出演したのか、定かではありません。また、今まで、どこで、何をしていたのでしょうか? その説明はありませんでした。
その4。ウクライナ陸軍トップのシルスキー司令官が、30日「ロシア軍に対する反転攻勢を実行する時期は間もなく訪れる」と述べるなど、しきりと反転攻勢をアピールしています。しかしウクライナはこれまで、「春の大攻勢」をやる、やると言っておいて、欧米から武器支援をふんだくりました。しかし、春には大攻勢が始まらないまま、6月を迎えることになりました。もう夏です。
※ゼレンシキー宇大統領、韓国に防空システム供与を要請(ウクルインフォルム、2023年5月31日)
https://www.ukrinform.jp/rubric-defense/3716302-zerenshiki-yu-da-tong-ling-han-guoni-fang-kongshisutemu-gong-yuwo-yao-qing.html
※ウクライナ、イランに50年間の経済制裁へ ロシアにドローン提供で(朝日新聞デジタル、2023年5月30日)
https://digital.asahi.com/articles/ASR5Z2JQ2R5ZUHBI00D.html
※ウクライナ陸軍トップ、東部前線を視察 「その時は間もなく」(CNN、2023年5月30日)
https://www.cnn.co.jp/world/35204489.html
西側の(特に日本はひどい)一般のマスメディアで偏向報道される「ウクライナ軍大健闘」合唱に与せず、これまでウクライナ紛争の戦局分析において、冷静で客観的な見解を示してきた、米国の軍人がダグラス・マクレガー元米軍大佐です。このマクレガー元大佐は、2024年に行われる米大統領選に出馬表明したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏との対談も5月7日に行っています。
※米国大統領選挙の民主党候補の一人であるロバート・F・ケネディ・ジュニア氏が自らのポッドキャストで、保守派の論客・米陸軍の退役軍人であるダグラス・アボット・マクレガー元大佐とのウクライナ紛争に関する議論を公開!(その1)~(日刊IWJガイド、2023.5.15号)
会員版 https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230515#idx-5
非会員版 https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52279#idx-5
そのダグラス・マクレガー元米軍大佐が、23日、『アメリカン・コンサーバティブ』に「バフムートの後――ロシアはバフムートをウクライナ軍事力の墓場と化した。その次に来るものは?」と題する新記事を発表しました。
マクレガー元大佐は、ロシア側はバフムートでウクライナの兵力を損耗させる作戦を成功させ、防衛線を固めており、ウクライナ軍が仮に「大反攻」に出ても、多方面でロシア側の防衛戦を突破することは不可能に近く、むしろ、ウクライナの兵站が尽きた時、ロシア側が「大反攻」に出るであろう、との見解を示しています。
ウクライナ軍に現実離れした期待をかけ、戦況の予想がまったく当たらない日本のマスメディアの記事を読んだり、ニュース番組を視聴したりするくらいなら、このレポートを読んだ方が、ウクライナ紛争の戦況を正しく知る上で、はるかに有益であろうと思います。
詳しくは以下の全文仮訳をお読みください。
※After Bakhmut(Douglas Macgregor、American Conservative、2023年5月23日)
https://www.theamericanconservative.com/after-bakhmut/
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バフムートの後
――ロシアはバフムートをウクライナ軍事力の墓場と化した。その次に来るものは?
ダグラス・マクレガー
戦闘が始まるまでは、平時の国家軍事戦略が、戦争とその目的についての考え方を形成する。しかし、戦闘が始まると、それ自体が新たな論理を生み出す。戦略は調整される。目的も変わる。バフムートの戦いは、この点を非常によく表している。
昨年、ロシア航空宇宙軍司令官のセルゲイ・ウラジミロビッチ・スロヴィキン将軍(※IWJ注)が、ウクライナ戦線でロシア軍の指揮を執ったとき、プーチン大統領とその上級軍事顧問は、戦争に関する当初の想定が誤っていたと結論付けた。
(※IWJ注)セルゲイ・ウラジミロビッチ・スロヴィキン将軍:ロシアとクリミア半島をつなぐクリミア大橋が爆破された数時間後、航空宇宙軍のスロヴィキン将軍が、ウクライナでの軍事作戦を統括する総司令官に任命された。
1966年、シベリアのノヴォシビルスク生まれ、1980年代後半、ソヴィエト連邦が負けている厳しい状況下にあったアフガニスタンで現役軍人としてのキャリアをスタートした。
1990年代のタジキスタンやチェチェンでの紛争、2015年にはシリア内戦に参加した。
「敵に対して絶対的に容赦ない態度」という評判があり、「アルマゲドン将軍(最終戦争将軍)」の異名をとる。
・あだなは「アルマゲドン将軍」 ウクライナ侵攻の新総司令官、スロヴィキン将軍とはどんな人物か(BBC、2022年10月13日)
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-63238056
ワシントンは、モスクワの交渉の申し出に対して断固として敵対し、モスクワがキエフに交渉を迫るために投入した地上部隊は、あまりにも小さいことが判明した。
スロヴィキン将軍は、指揮官関係の合理化と戦域の再編成のために大きな自由裁量権を与えられた。
最も重要なことは、ロシアの地上軍が規模と打撃力を拡大する一方で、スタンドオフ攻撃や攻撃システムを最大限に活用する防衛戦略を実行する自由も与えられたことである。その結果生まれたのが、バフムート「ミートグラインダー(meat grinder、肉引き器)」である。
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■背後に「暴力団」が関与し、凶悪化する「特殊詐欺」を「高齢者差別」が後押し! ルフィ事件と、高齢者に「集団自決」を求めた成田悠輔氏の発言は同根の大問題!~5月発行の『岩上安身のIWJ特報!』は、3月13日と4月6日収録の「岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビュー」をテキスト化し、詳細な注釈をつけて発行します! ぜひ『まぐまぐ』からご登録ください!! バックナンバーの単独購入も可能です! サポート会員になればバックナンバーをすべて読めます! ぜひ、サポート会員にご登録を!!
IWJではメルマガサイト『まぐまぐ』で、『岩上安身によるインタビュー』をテキスト化し、詳細な注釈をつけて「岩上安身のIWJ特報!」として、毎月発行しています。
5月は4月に引き続き、今年3月から4月にかけて行なった「岩上安身による『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏インタビュー」の全4回から抜粋してテキスト化し、詳細な注釈をつけて、第601号から第604号まで4本の記事を発行します!
5月に発行する、3月13日収録の第2回インタビューの後半と4月6日収録の第3回インタビューでは、変化を繰り返す特殊詐欺の複雑な仕組みの中で、なかなか浮かび上がってこない核心部分、「誰がこの仕組みに投資して、リターンを得ているのか」について、岩上安身と田崎氏が考察を重ねました。
岩上安身が、「特殊詐欺の報道では実行犯と被害者しか見えないが、これは『闇の資本主義』の中の経済活動だ。上層部は逮捕されずにコスパ良く現金を騙し取り、収益の一部は出資者に還元されているのでは」ときくと、田崎氏は、実行犯の背後に「金主」と呼ばれる存在がいることは聞いているが、「実態はわからない」と答えて、こう続けました。
「ただ、(お金の持ち逃げなど)何か変なことをすると『さらっちゃうよ』と言うんです。そういう時に、出て来る方々はいる。(警察は)何らかのかたちで、暴力団等を追及していかないといけないでしょう」
そして、暴力団対策法や少子化の影響で暴力団構成員も減っていること、かつての任侠の世界では一般人に詐欺を働くのは恥であったが、一方で伝統的なシノギでは収益が上がらない現実もあること、非合法に荒稼ぎできる新しい分野があれば暴力団が入り込んでくることなどを紹介し、法整備の重要性にも言及しました。
田崎氏は、「特殊詐欺という犯罪が、社会に与える害悪はとんでもない」と強調しました。ギャンブル依存などで借金を作った人が、返済のために闇バイトに応募、一度だけのつもりで「受け子」や「出し子」をやったら、辞めたくても抜けられない仕組み。高齢者から奪ったお金は、暗号資産や闇カジノに流して追跡不可能に。反社会的な構造の中で、お金と人間が高速回転しているのだと、田崎氏は言います。
以下、5月に発行する、『岩上安身のIWJ特報』の目次です。IWJ会員ではない方も、ぜひご購読ください。
(第601号の目次)
◆ミイラ取りがミイラに!? 現職警察官が特殊詐欺に加担! 首謀者は『俺たちは警察とつながってる。チクった奴はすぐわかる」と受け子たちを脅す!
◆犯罪収益のあるところに必ずいる「強い組織」、闇の資本主義の世界で犯罪に出資する「金主」の存在!「そういう人たち、表面には出てきません」
(第602号の目次)
◆特殊詐欺の現場を仕切る「番頭」は「金主」を守って絶対に口を割らない! 一方、使用者責任の追及など犯罪への投資を抑制する法整備は不十分!
◆「黒幕は反社」!? 暴対法ができて伝統的なシノギで稼げなくなった暴力団。トクサギやドラッグが最後の資金源になっている!?
◆任侠の世界では詐欺をやるのは恥! 使用者責任を問われた暴力団が被害者との和解に応じたケースも。被害に遭ったら恐れずに被害届を出すことが大事!
(第603号の目次)
◆稲川会最高幹部は「老人を狙い撃ちにする特殊詐欺への関与は厳禁」と通達! だが、その後も暴力団関係者が絡む詐欺事案は続出! ねじれ合う本音と建前!
◆非合法的に荒稼ぎできるところには暴力団が入り込む! 始まりは訪問型のリフォーム詐欺。ターゲットは在宅の高齢者。訪問から電話、電話からネットへと形態を変えていく!
◆トクサギが社会に与える害悪は計り知れない! 奪われた金は闇カジノ資金に! ギャンブルで借金を負った人間は闇バイトに手を出す!「反社会的な構造の中で人と金がグルグル回る」
(第604号の目次)
◆被害者の9割が60代以上! 加害者の7割は10~30代! 若年層の貧困化が凄まじく、普通のお年寄りが金持ちに見える。「だから、取ってもいいだろ」と罪の意識も薄い!?
◆今日からできるトクサギ対策! 電話は常に留守電に、親族間の連絡を密にして、タンス預金はしない。ダミーの防犯カメラは逆効果。もし被害に遭ったら泣き寝入りせず警察へ!
◆騙されて加害者になる若者たち! ネットを見て「お年寄りの家に物を取りに行く高収入バイト」に応募した14歳の中学生、詐欺未遂で逮捕!
◆6000億円を超える被害総額にもかかわらず、特殊詐欺を焦点化した法改正と厳罰化が行われない不思議!?
『岩上安身のIWJ特報!』は、まぐまぐ大賞2022のジャーナリズム部門で1位になりました!
まぐまぐ大賞2022は、2022年にもっとも輝いたメルマガを読者投票とまぐまぐ審査で選出するものです。
『岩上安身のIWJ特報!』は、2021年の「まぐまぐ大賞2021」のジャーナリズム部門でも第2位に選ばれており、昨年ついに1位を獲得しました。
※まぐまぐ大賞2022部門別賞
https://www.mag2.com/events/mag2year/2022/list.html?cid=journalism&aid=77
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岩上安身による田崎基氏インタビュー全4回の動画は、以下のURLから御覧ください。
※「今の特殊詐欺グループは、自転車の車輪がいくつも存在していて、そのハブのスポークが、また別の車輪のハブになっているみたいな円環構造」~岩上安身によるインタビュー第1111回 ゲスト 神奈川新聞報道部デスク・田崎基氏 第1回 2023.3.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514596
※背後に「暴力団」が関与し凶悪化する「特殊詐欺」を「高齢者差別」が後押し! ルフィ事件と、高齢者に「集団自決」を求めた成田悠輔氏の発言は同根の大問題! 岩上安身によるインタビュー第1112回 ゲスト『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏 第2回 2023.3.13
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※「1日1億円、年間360億円以上の被害」「グルグルグルグル、反社会的な構造の中で、お金と人が回り続けている」~岩上安身によるインタビュー第1117回 ゲスト 神奈川新聞報道部デスク・田崎基氏 第3回 2023.4.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/515232
※「特殊詐欺の背景と経緯、それを盤石とさせている者の言説が浮かび上がった」! ~岩上安身によるインタビュー第1119回 ゲスト 神奈川新聞報道部デスク・田崎基氏 第4回 2023.4.11
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