日刊IWJガイド・非会員版「『ノルドストリーム1、2』を爆破したのは誰か!? 岩上安身によるエネルギー・金属鉱物資源機構・調査課長原田大輔氏インタビュー第4弾!」2023.3.24号~No.3844号


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■はじめに~<インタビュー報告>「『ノルドストリーム1、2』を爆破したのは誰か!? 米国に妨害され続けた『ノルドストリーム』の建設の歴史をたどる なぜ爆破されなければならなかったのか!?」 岩上安身によるJOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)調査課長原田大輔氏インタビュー第4回をお送りしました!

■IWJは創業以来、最大の経済的危機です! 3月22日までの22日間でいただいた3月のご寄付は、111万4400円と月間目標の29%でした! ご寄付をお寄せいただいた皆さまありがとうございました! しかし、3月の月間目標までには残り8日で残り71%、278万円以上が必要です! 毎月、累積赤字が増え続けている状況で、第13期の7ヶ月間の累積の不足分は1655万4500円となりました! 3月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、また累積の不足分を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

■【中継番組表】

■旧優生保護法で不妊手術を強制された障害者ら5人が国に損害賠償を求めた裁判で、大阪高裁が違憲と判断し、国に4950万円の賠償命令! 20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用せず、原告逆転勝訴!

■「G7議長国」の面目をかけた岸田総理のウクライナ「電撃」訪問の裏で発表された、中露共同声明のあまりのまっとうさ!「民主主義と自由」を口実に「国際法の普遍的原則や規範」を勝手に独自のルールに置き換えるなと指摘! ノルドストリーム・パイプラインのテロを「客観的で公平かつ専門的な調査を行うべき」だと指摘し、ロシアによる国連安保理決議案「国際的な独立調査委員会の設置」に支持を表明!

■昨年北海道函館市で起きた被害額1億5000万円の特殊詐欺事件で受け子指示役の都内の男を捜査当局が逮捕! 上にはさらに別の指示役が存在!!「ルフィ」事件ではフィリピンの入管施設にいたかけ子の女を捜査当局が逮捕!「ボス」の渡邊容疑者はヤクザへの報酬もちぎって(減らして)いた!! 警察庁は「暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している」と認識しながら、検挙件数6629件のうち、主犯格として検挙した「暴力団構成員等」はたった16人! なぜ警察の捜査は、暴力団に甘いのか!?

■IWJ書店新刊入荷! ジャーナリスト田崎基氏の直筆サイン入り!!『ルポ 特殊詐欺』を10冊限定で、IWJ書店から販売いたします!

■<IWJ取材報告 1><シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!>原子力産業を官民資金で支援し、原発推進を経産省へ白紙委任する「GX推進法案」が国会で審議入り! 24日にも衆院採決か!?~3.22 オンラインセミナー「原発GX関連法、国会へ! 今、私たちにできることは? 第3回」

■<IWJ取材報告 2>イランとサウジの正常化合意に「北京が中東和平の中心地になったのは史上初。中東におけるアメリカの影響力は目に見えて減退した」と佐藤優氏~3.22 東京大地塾 ―登壇:佐藤優氏(作家・元外交官)、鈴木宗男 参院議員
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■はじめに~<インタビュー報告>「『ノルドストリーム1、2』を爆破したのは誰か!? 米国に妨害され続けた『ノルドストリーム』の建設の歴史をたどる なぜ爆破されなければならなかったのか!?」 岩上安身によるJOGMEC(独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構)調査課長原田大輔氏インタビュー第4回をお送りしました!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 岩上安身は23日午後7時から、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)調査課長の原田大輔氏に4回目となるインタビューを行いました。今回は、ノルドストリーム2建設史を軸にお話をうかがいました。

 ロシアはソ連時代から半世紀にわたって、欧州に安定的に天然ガス輸送をしてきました。原田氏は第3回のインタビューで、第2次大戦からの欧州復興に、ソ連・ロシアのガスが貢献したと述べ、2022年の「ノルドストリーム1、2」の爆破事件は、欧露の信頼関係の崩壊を象徴する出来事だったと、指摘されていました。

 1990年代2000年代には、ロシアから欧州に送られる天然ガスの8割から9割はウクライナを経由していました。ソ連崩壊とともに、ウクライナは独立国家となりましたが、ウクライナはパイプラインの中継国家としての立場を利用して、ガス代の不払いや不正な抜き取りを行ってきました。

 ウクライナのガス問題に手を焼いたロシアと欧州は、ウクライナを経由しない「ウクライナ外し」パイプラインを計画、第1弾の「ノルドストリーム1」が2011年から稼働します。

 2019年には、第2弾となる「トルコストリーム」が完成、同時に中国に天然ガスを送るパイプライン「シベリアの力」が完成しています。

 原田氏は、最後の第3弾となる「ノルドストリーム2」も予定では2019年に完成するはずで、そうすればロシアにとっては、天然ガス輸出に関してエポックメイキングな年になるはずだった、と指摘しています。

 しかし、既存の通過国特権の既得権益を持っているウクライナやポーランドが、「ノルドストリーム1、2」に対して強く反対していました。

 さらに、2006年のシェール革命によって膨大な石油・ガスの生産が可能になった米国は、ガスの輸出先を求めていました。ロシア産天然ガスがパイプラインで欧州に供給され続けていれば、米国が欧州市場でシェアを大きく拡大することは困難です。米国もまた、「ノルドストリーム1、2」を阻止したいと考えていました。

 米国は2017年に、「ノルドストリーム2」の着工を阻止すべく第1弾制裁「米国の敵対者に対する制裁法(CAATSA、カッツァ)」を発動しました。

 これに対してドイツをはじめとする「ノルドストリーム2」建設推進派が「対露制裁を米国の経済的利益と結びつけるべきではない」と米国の制裁を押し切って「ノルドストリーム2」の着工にこぎつけます。

 米国は2019年、ロシアにとって天然ガス輸出のエポックとなるはずだった2019年末に、第2弾制裁を発動し「ノルドストリーム2」事業から欧米企業を撤退させ、完成直前の「ノルドストリーム2」の建設阻止に成功します。

 ロシアから欧州に供給されてきた天然ガスについて、原田氏にうかがいました。

 原田氏はロシアからウクライナ経由で西側に流れて行く天然ガスの総容量が142BCM(1BCMは10億m3)であったのに対し、ウクライナ外しの3本のパイプラインは容量を合計すると、141.5BCMとなり、ウクライナ経由とほぼ同量に相当すると指摘しました。

原田氏「2006年、2009年にウクライナ供給途絶問題、これはウクライナがガスを抜き取った問題ですね。このあと作り出したプロジェクトというのが、『ノルドストリーム』の最初の1で、55(BCM)、『トルコストリーム』が31.5(BCM)、『ノルドストリーム2』が55(BCM)を足すと、142(BCM)になるということです。

 これ(ノルドストリーム2)が最後のパズルとして用意されたということで、ここまで出来上がったわけなんですけど、今、この2つ(ノルドストリーム1、2)が破壊されたということですね。

 元々の意図というのは、ウクライナを「なきもの」にするのではなく、「生き殺し」にしていくということですね。

 この(ウクライナが受け取る)トランジット料が、これ(ノルドストリーム1、2)が出来上がってくると下がっていくわけです。ウクライナ経由で流さないといけない量というのは、最高で140(BCM)ぐらいまであったわけなんですけれども、それがどんどん下がっていって、今、40(BCM)まで下がっています。

 そういう状態を生み出すことで、ロシアとしては、ウクライナに言うことを聞かせる、『こっち(ロシア)をちゃんと見ないと駄目だよ』と。

岩上「まあ、そうはいっても、ウクライナの欧米への憧れというのは強かったわけですから、なびくわけではないでしょうけどね。EUに入った途端、EUレベルの生活ができる、みたいな幻想が、そうとう振り撒かれていたと思うんですけれども。

 でも、幻想としてでも、旧ソ連邦の付き合いのところじゃなくて、憧れの、『リッチなヨーロッパの中に入りたい』っていう、そういう気持ちがあったのはまあ分からなくはないんですけど。

 現実問題として、欧州(に入れば)、欧州が払ってるコストを自分たちで払わなきゃいけないよねってなったら、彼ら(ウクライナ側)は文句を言うんですよね。そんなバカな話はないと思うんですけど」

 自由主義経済で動いているEUの一角に入れば、それまで旧ソ連のよしみで欧州の5分の1ほどの破格に安い価格でロシアから天然ガスを買っていたウクライナも、欧州並みのガス代を支払わなければならなくなります。しかし、ウクライナはガスの値上げに頑強に抵抗しました。

岩上「ウクライナは一体どうしたかったんでしょうね」

原田氏「ウクライナは、自分が持ってるアセットをうまく使えば、ロシアと渡り合えたはず。

 これだけ大きい(142BCM)わけです。ロシアの、ある意味、『肝』を握っているような状態だったわけですね。

 ただそれ(ウクライナ外しパイプラインの建設)に追い込んでしまった。2006年、2009年にウクライナが悪さをすることによって、要はドイツとロシアが繋がってしまって、これらのプロジェクトが立ち上がってしまった。

 当時は、ウクライナの混乱期ですね。ティモシェンコ首相が出たりですとか、ヤヌコビッチ大統領が出たり。欧露の中で。まさに、今のウクライナもそうだと思うんですけれども。

 一貫した政策が出ない中で、マフィアのようなオリガルヒも出てきて、一般国民の人たちとは全く別の世界の中で、政治が決まっていく。その揺れを動いているロシアと欧州どっちかを選ぶような動きになってしまった。

 そういう中で、ロシアはウクライナを見限ったわけではなくて、ウクライナをもっと締め付けていく。NATOなんかに入られたら困るわけですから。そうではなくて、『お前たちは俺たちがいないと生きていけないだろう』ということを作り出してきた。この十年」

岩上「逆に言うと、ロシアがそれをできるというのは、ロシアは分かってるんですよね。だから、それがなぜウクライナがわからなかったのかと。

 ウクライナは、142(BCM)というディールをやる時には、『俺たちなしでロシアは運べねえだろう』と思い込まなかったら、そんなディールできないじゃないですか。

 ところがロシアは『いいよ。それだったらウクライナ外しちゃうよ』といい、実際に相手国との了承を得て、建設するところまで来たわけですよ。

 だから、何でウクライナはそこまでアホだったのか。これはウクライナのアホさなのか、それともウクライナを操縦し操り、混乱させてきたアメリカのアホさ加減なのか。僕は、そこは分けて考えるべきだと思います。

 極めて外国の影響力、特に欧米の影響力に、なんていうか、かぶれやすかった状態にあった国ですから。

 ウクライナ人としてロシア人と密接な付き合いをしてきて、ロシアの経済力とか国力、パワーの限界も可能性も知ってると思うんですよ。

 それを知ってたら、自分たちがこれをやったならば、気質から考えても、『まあまあまあ』なんて言わない、『もう、じゃあいい、お前のところ、通らないようにしてやるから』っていうことをロシアもやるだろうし。やるだけの余力があるって、分かんないはずないと思うんですけど。もしかしたらわからなかったのか。

 ウクライナ人に『それでもいいよ、お前、勝負に出ろよ』っていって、非合理的な唆しをやった、欧米諸国の連中がいるのか」

原田「確かにそうですね。ウクライナは、この世界最大の容量142(BCM)というパイプラインを持ってるわけですね。これを使わない手はないわけなんですけれども、当時はそういう動きは全く見られなかったわけです。

 ここまで伸ばして、ロシアがトランジット料をたくさん払ってた時代があるんですけれども、それがどんどん下がっていくようにしか働かなかったと。

 それはなぜかと言うと、カラー革命が2004年に動き始めます。それに対してロシアは警戒する。新欧米政権が成立しようとしていると。そこから締め付けが始まっていくんですけれども、それに対してウクライナは、どうもこれ(パイプライン)を使おうとは思わなかった。

 今まさに、岩上先生がおっしゃった通り、『欧州の一員になれるんだったら、それでいいじゃないか』。隣のスロバキアまでもうEUは来てるわけですから。

 (EUの一員に)なれるだったら、こんなパイプライン、こんなロシアにすべてを握られてしまうのであれば、捨ててしまっても構わないという動きに出てきた可能性っていうのはあるかもしれないですね」

岩上「いずれにしても、産油国・産ガス国でもなければ消費国でもなくて、間を通過してるわけじゃないですか。自分のところの消費もあるにしても、産業用でもそんなに使ってるわけじゃないですからね。

 だからそういう意味では、ウクライナが途絶させることで、欧州にも迷惑かかるし、ロシアにも迷惑かかるし、『欧州とロシアがウクライナなしでやろう』っていうふうに話がいって、結局トランジット料も出なくなるっていうことが、なんで計算できなかったのかなっていうのは不可解だというか。

 それだけ愚かだったのかもしれないけど、(中略)ごねてれば、ずっと甘えが続くっていう風に思ってたのかもしれないですが」

原田氏「ソ連解体から、昨日今日に始まったわけではなくて、過去15年以上にわたって、抜き取りもあれば、未払いが続いてたわけですね」

岩上「ごねていれば、なんとかまとまる、と。そういう甘えが国単位であると、これだけ周りを巻き込んだ紛争にまで、結局、到達してしまうんだっていう。

 やっぱり、ウクライナっていう国には理性が欲しかったな、というか。理性ある人いるんですよ。いるんですけど潰されちゃったりしてますからね。

 そういうことを考えると、痛かったなと思わざるを得ないですね」

原田氏「そうですね。ドイツがなぜノルトストリームを作り始めたかと言うと、それはウクライナをやはり迂回したいからですね。

 安全保障のためで、かつ、安いガスがロシアから直接入ってくる。ウクライナを経由してしまうと、いろんな国をまたいで行くので、そこでお金が高くなっていくわけですね。

 そういう意味でも、独露パイプラインに舵を切ってしまった、切らせてしまったということが、一番大きなものかなと。ウクライナにとってはですね」

岩上「逆に、アメリカから見ても、ウクライナを操っている間は、ここを中心に通っているから、ここでごたごたすると、うまくまとまらないんだけど。ここをスコンと抜かれて独露で結びつかれちゃうと、もう、(ウクライナを)操作するっていうのが難しくなると。

 何が何でもノルドストリーム・パイプラインは止めたいって思うのは、地政学的には当然ですよね。この両者(独露)の関係が安定しちゃうなと」

原田氏「あと重要なのは、ここがですね、今回のウクライナ戦争の中ではコロンと落ちてしまっている感があるんですね。

 侵攻がある前から、こういう問題を抱えていたわけですよね。それは誰が悪いという問題ではないんですけれども。

 侵攻だからロシア(が悪い)というところに、今もう移行してしまっていて。私たちが、でも、見ないといけないのは、20年、何が起きたかというところ。

 1つ、ここを見ていただくと、ロシアとウクライナの間には、天然ガス問題というのが長年にわたってあって。そこに、ドイツが加わり、欧州が加わり、今の状態が起きているわけですね」

岩上「おっしゃる通りです」

 2022年2月24日に始まったウクライナ戦争の背景には、天然ガスをめぐる20年以上もの歴史があります。ロシアとウクライナの間のトラブルは、ドイツと欧州に及び、そこに天然ガスの欧州市場を狙う米国が加わっていきます。この歴史を外しては、ウクライナ紛争を理解できません。

 原田氏は、「ウクライナ紛争後」に、ロシアとウクライナと欧州の関係がどうなっていくのかという問題を考える時、まだロシアからウクライナを通って欧州に天然ガスを送るパイプラインはまだ存在しており、ガスが今も流れていること、それがどうなるかということが、ウクライナの戦後復興においても大きなテーマになってくる可能性がある、と指摘しました。

 「戦後ということを考えたときに、ロシア、ウクライナ、欧州3者が、どんなことができるだろうか、ということを考えた時に、もう一回ここ(ウクライナ経由パイプライン)がクローズアップされてくる可能性がある。

 これを使うことで、ウクライナ復興をさせて、ロシアにもお金が落ちて、欧州にはガスが供給されていく。(今後和解が成立した際には、ウクライナ経由パイプラインが)復活してくる可能性があるということです」

 インタビューでは、このあと、米国が繰り返し、2020年、2021年と執拗に「ノルドストリーム2」に制裁を科していき、ロシアが米国の制裁に対抗して、最後は「自前」で「ノルドストリーム2」を完工に導いた歴史をたどりました。

 そしてロシアが「ノルドストリーム2」を2021年9月に完工すると、ウクライナ政府軍が、ウクライナ東部の分離独立派支配地域への攻撃をエスカレートさせます。

 ウクライナ政府軍が10月に、トルコ製の無人機バイラクタルTB2で分離独立派を攻撃した際には、ドイツとフランスがウクライナ政府を批判する声明を出したということを忘れてはならないと、原田氏は指摘しました。

 「ノルドストリーム2」の歴史を辿ると、その節目節目で、米国の制裁やナワリヌイ氏毒殺未遂事件、ウクライナ政府による攻撃の激化、そして「ノルドストリーム1、2」の爆破事件が起こり、ウクライナ紛争と深く関わっていることがわかります。

 詳しくはぜひ、インタビュー全編を御覧ください。

 「ノルドストリーム1、2」爆破事件の真相、「誰が爆破したのか」という大問題について、岩上安身は、原田大輔氏に5回目のインタビューを行う予定です。詳細が決まりましたら、日刊IWJガイドでお知らせします。ぜひ御覧ください。

 また、岩上安身は、3月29日(木)午後3時から、現役経産官僚、経済産業研究所コンサルティングフェロー 藤和彦氏にインタビューを行います。

 藤氏は、「ノルドストリーム爆破事件」は、「自国の国益のためには同盟国の利益をも犠牲にする」という国際政治の厳しい現実を表しているとし、「日本もドイツの苦い教訓を『他山の石』として肝に銘ずるべきだ」と提言されています。

 3月29日に予定されている岩上安身による藤和彦氏へのインタビューも、ぜひ御覧ください。

 以下は、昨年の藤和彦氏のインタビューと、これまでの藤氏関連のコンテンツです。

※「米国によるウクライナでの『代理戦争』モデルの失敗はアジアに有利」~岩上安身によるインタビュー 第1082回 ゲスト 現役経産官僚、経済産業研究所コンサルティングフェロー 藤和彦氏 2022.7.21
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/508888

※藤和彦氏関連のIWJコンテンツ
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E8%97%A4%E5%92%8C%E5%BD%A6

■IWJは創業以来、最大の経済的危機です! 3月22日までの22日間でいただいた3月のご寄付は、111万4400円と月間目標の29%でした! ご寄付をお寄せいただいた皆さまありがとうございました! しかし、3月の月間目標までには残り8日で残り71%、278万円以上が必要です! 毎月、累積赤字が増え続けている状況で、第13期の7ヶ月間の累積の不足分は1655万4500円となりました! 3月こそは少なくとも月間目標額390万円を達成できますよう、また累積の不足分を少しでも減らせますよう、緊急のご支援・ご寄付・カンパのほど、どうぞよろしくお願いします!

 いつもIWJをご支援いただきまして、誠にありがとうございます。

 IWJの第13期も半期の折り返しを過ぎ、この3月で8ヶ月目に入りました。

 3月の1日から22日までの22日間でいただいたご寄付は、82件、111万4400円となっています。これは月間目標額390万円の29%にあたります。ご寄付をお寄せいただいた皆さま、まことにありがとうございます。

 しかし、3月の月間目標額達成まで、あと71%、278万5600円が必要です! 毎月のように月間目標額を割り込む月が続き、3月の時点では、月間目標額を含め、第13期の累積不足額は1615万4500円となっております! ぜひ、皆さま、今月こそは、まずは月間目標額を達成できますよう、あと278万5600円のご寄付を、どうぞ緊急のご支援をお願いいたします!

 その上でさらに、累積の不足額を少しでも削れるように、引き続き、どうぞご支援をお願いします!

 IWJの内部留保も底を尽き、キャッシュフローが不足したため、私、岩上安身が、個人的な私財から、500万円かつ2回にわたってIWJにつなぎ融資しました。

 私がこれまでにIWJに貸し付けてまだ未返済の残高は約600万円。これにつなぎ融資1000万円と合計すると、IWJへの私の貸し付け残高は約1600万円にのぼります。

 私の貯えなどたかがしれていますから、この先も同様の危機が続けば、私個人の貯えが尽きた時、その時点でIWJは倒れてしまいます。

 皆さまにおかれましても、コロナ禍での経済的な打撃、そしてこのところの物価上昇に悩まされていることとお察しいたします。

 しかし、ご寄付が急減してしまうと、たちまちIWJは活動していけなくなってしまいます。IWJの運営は会員の方々の会費(最近の流行語ではサブスク)とご寄付・カンパ(最近の用語でいえばドネーション)の両輪によって成り立っていますが、それが成り立たなくなってしまいます。

 2023年、「新たな戦争前夜」を迎えて、私、岩上安身とIWJは、少しでも正確な情報を皆さまにお届けできるように、その結果として、日本が戦争突入という悲劇に見舞われないように、無謀な戦争を断固阻止するために全力で頑張ってゆきたいと思います。

 先月、2月における、最も特筆すべきエポックメイキングな出来事は、ピューリッツァー賞を受賞した経歴をもつ、米国屈指の独立調査報道ジャーナリストであるシーモア・ハーシュ氏が、米国が、ノルウェーと協力し、ドイツとロシアを直接つなぐ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したという驚愕のスクープを出したことでしょう。日本の新聞・テレビなどのメインストリームメディアは、一切このスクープを報じませんでした。

 IWJは、全文の仮訳を進め、全4回を号外でお送りしました。

※【IWJ号外】ドイツとロシアを結ぶ天然ガスパイプライン・ノルドストリームを爆破したのは、米国だった! ピューリッツァー賞を受賞した米国の最も著名な独立調査報道ジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏が大スクープ!(その1~4)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%82%a2%e3%83%bb%e3%83%8f%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a5

 私は、ロシア軍がウクライナに侵攻して1年となる2月24日の岸田総理会見で、ハーシュ氏のスクープについて岸田総理に直接、質問しました。

 私が「日本政府は、このノルドストリーム爆破疑惑について、独自に検証や調査を行なっているのでしょうか?」と質問したのに対し、岸田総理は、「米政府は完全なるフィクションであるという評価をしております」「ノルウェー外務省もナンセンスと言っています」「多くの国においてこうした記事に関しては、否定的な評価がされている」とはぐらかし、日本政府・日本国総理としての判断を示しませんでした。

※【IWJ代表:岩上安身質問】ノルドストリーム爆破疑惑について、日本は独自に検証や調査を行なっているのか?岸田内閣総理大臣記者会見ー令和5年2月24日(Movie IWJ)
https://www.youtube.com/watch?v=9uUrTxr_Mss

※はじめに~岩上安身が岸田総理に対して会見で質問!~(日刊IWJガイド、2023年2月25日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51926#idx-1

 このウクライナ紛争は、米国主導の戦争です。

 ハーシュ氏のスクープが事実であれば、米国は、同盟国のドイツも多額の出資をしたノルドストリーム・パイプラインを爆破し、ドイツとロシアの仲を引き裂き、ウクライナを戦場にして、欧州とロシアの友好的な関係を完全に破壊し、欧州に天然ガスと石油を高値で売りつけて市場を奪い取ったということになります。

 IWJでは、独自のIWJ検証レポートで、ノルドストリームの建設の経緯から、完成したもののウクライナ紛争の勃発と制裁によって使用できなくなり、さらに爆破に至るまで、断続的に連載してお伝えしています。この経緯を知ると、ウクライナ紛争以前から、米国はノルドストリームの完成と開通を何としても阻みたいと思っていたという事実が明らかになります。

 岸田文雄総理は、1月早々に昨年末閣議決定した「改定版安保3文書」を携えて訪米、バイデン大統領と会談し、日本の軍拡をバイデン大統領から賞賛されて岸田総理は鼻高々でした。

 しかし国会での議論と承認がなされなくても、閣議決定し、米国からの承認があれば軍拡のアクセルを踏んでしまう岸田政権は、日本の主権を米国に丸投げしたも同然です。米国を守るために日本が代わりに犠牲となり、日本は米中の「代理戦争」の戦場とされてしまいます。

 上記の24日の岸田総理会見で、私は、「米国は誠実な同盟国なのかどうか、疑いの出ている中、日本の安全保障を米国に丸ごと委ねていていいのか」、「有事の際の自衛隊の指揮権まで米国に渡してしまっていいのか」と問いました。

 岸田総理は「自衛隊及び米軍は、各々独自の独立した指揮系統に従って行動をする、これはいうまでもないこと」などと、自衛隊の指揮権はあたかも米軍から独立して存在しているかのように述べました。

 しかし、この総理の発言は、事実と異なります。従来の幕僚長を事実上廃止し、新たに米軍との「統合司令部」を設置する「安保3文書」の改定は、自衛隊を米軍の司令下におく「2軍」にしてしまうものです。

 自衛隊が米軍と司令部を統合してしまい、自身で状況判断するための目と耳(情報衛星他)をもたず、独自に判断する頭(内閣に直結し、米国から独立した司令部)をもたない、そんな日本が、安全保障において、米軍から独立した主権をもつ、といくら岸田総理が口先だけで言っても、自衛隊のおかれたリアルな現実を国民に説明していることにはなりません。

 2月28日、衆議院本会議は与党の賛成多数で、「安保3文書」の改定を踏まえ、防衛費を大幅増額した2023年度予算案を可決しました。過去最大の114兆3812億円に上る2023年予算案は、参議院が仮に可決せずとも、3月中に自動成立してしまいます。

 日本は、このまま米国追従を続け、米国の単独一極覇権を支えるために、日本自らは世界最悪の財政危機に直面しているというのに、米国の要請に従って、軍拡という重い財政支出を重ねてゆくのはあまりに愚かではないでしょうか!?

 そもそも日本が依存している米国は、誠実な、信頼に値する同盟国といえるのでしょうか!?

 日本は、米国への依存から脱却をはかり、独立した主権国家として、そもそも「敵」を作らない、多極的な外交姿勢をめざすべきではないでしょうか?

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岩上安身

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◆中継番組表◆

**2023.3.24 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ_YouTube Live】15:30~「種子法廃止等に関する違憲確認訴訟 判決後の記者会見と報告集会」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」主催の集会を中継します。これまでIWJが報じてきた種子法関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%a8%ae%e5%ad%90%e6%b3%95
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【IWJ・Ch5】16:55メド~「林芳正 外務大臣 定例会見」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 林芳正外務大臣による記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた外務大臣関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%a4%96%e5%8b%99%e5%a4%a7%e8%87%a3
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【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL:https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee

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◆中継番組表◆

**2023.3.25 Sat.**

調整中

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

<シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! ~岸田政権の新たな原発推進政策反対!フクシマを忘れない!再稼働を許さない!3.21さようなら原発全国集会
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514842

「種子法廃止、種苗法改定などの政策は日本の食料安全保障上の大きなマイナスでは?」IWJ記者の質問に「現在、食料・農業・農村基本法の見直し・改正に向けた議論をおこなっている」と野村大臣!~3.22野村哲郎 農林水産大臣記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514836

袴田弁護団・村崎(崎は山へんに竒)弁護士「『特別抗告』というのは憲法違反であり、最高裁判例であり、私としては、これは、再審請求が認められた人に対して、検察にできるはずがない!! 」~3.20「袴田事件」の再審開始に対して検察庁が特別抗告をしないように求めるアピール行動
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514825

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■旧優生保護法で不妊手術を強制された障害者ら5人が国に損害賠償を求めた裁判で、大阪高裁が違憲と判断し、国に4950万円の賠償命令! 20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用せず、原告逆転勝訴!

 23日付け『共同通信』は、「旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強いられたのは憲法違反として、兵庫県の障害者らが国に計1億6500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(中垣内健治裁判長)は23日、旧法を違憲と判断し、国に総額4950万円の賠償を命じた」と報じました。

 この『共同通信』の記事によると「同種訴訟は全国11地裁・支部に起こされた。国に賠償を命じた判決は、高裁では今月16日の札幌に続き4件目。地裁を含めると7件目となった」とのことです。

※強制不妊で国に賠償命令 兵庫の障害者、逆転勝訴(共同通信、2023年3月23日)
https://nordot.app/1011515935142658048

 昭和23年(1948年)に制定された旧優生保護法では、多くの人が特定の疾病や障害を理由に、優生手術(不妊手術)を強いられました。

 政府は平成31年(2019年)に「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」を成立・施行させ、平成8年(1996年)に旧優生保護法から優生手術の規定が削除されるまでの期間に手術を受けた人たちに対し、一時金を支給しています。

 この一時金の支給に関する法律の前文には、次のように書かれています。

 「昭和23年制定の旧優生保護法に基づき、あるいは旧優生保護法の存在を背景として、多くの方々が、特定の疾病や障害を有すること等を理由に、平成8年に旧優生保護法に定められていた優生手術に関する規定が削除されるまでの間において生殖を不能にする手術又は放射線の照射を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてきた。

 このことに対して、我々は、それぞれの立場において、真摯に反省し、心から深くおわびする。

 今後、これらの方々の名誉と尊厳が重んぜられるとともに、このような事態を二度と繰り返すことのないよう、全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、努力を尽くす決意を新たにするものである。

 ここに、国がこの問題に誠実に対応していく立場にあることを深く自覚し、この法律を制定する」

※旧優生保護法による優生手術等を受けた方へ(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/kyuuyuuseiichijikin_04351.html

 前述の『共同通信』によると「神戸訴訟は、聴覚障害のある小林宝二さん(90)と妻、80代の夫妻、脳性まひのある鈴木由美さん(67)の計5人が提訴した」とのこと。

 この提訴に対して神戸地裁は2021年8月、5人が不妊手術を受けてから提訴するまでに、賠償請求権が消滅する20年の「除斥期間」が経過していたとして、賠償請求を退けていました。

 23日の大阪高裁判決は、この「除斥期間」を適用しませんでした。この判決が確定判決となることを望みたいと思います。

■「G7議長国」の面目をかけた岸田総理のウクライナ「電撃」訪問の裏で発表された、中露共同声明のあまりのまっとうさ!「民主主義と自由」を口実に「国際法の普遍的原則や規範」を勝手に独自のルールに置き換えるなと指摘! ノルドストリーム・パイプラインのテロを「客観的で公平かつ専門的な調査を行うべき」だと指摘し、ロシアによる国連安保理決議案「国際的な独立調査委員会の設置」に支持を表明!

 インドを訪問していた岸田文雄総理が、同行の記者団をまいてウクライナを「電撃」訪問し、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行って「特別なグローバル・パートナーシップに関する共同声明」を発表した3月21日同日、お隣のロシアではプーチン大統領と中国の習近平主席が首脳会談を行い、共同声明を発表しました。

※岸田総理がウクライナを訪問! ゼレンスキー大統領との首脳会談で「ウクライナへの連帯と揺るぎない支援」を表明!!(日刊IWJガイド、2023年3月22日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/52034#idx-5

※日・ウクライナ首脳会談(外務省、2023年3月22日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/c_see/ua/page4_005820.html

※(仮訳)日本とウクライナとの間の特別なグローバル・パートナーシップに関する共同声明(外務省、2023年3月22日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100478708.pdf

 中国外交部は22日、「新時代の協力のための包括的戦略的パートナーシップの深化に関する中華人民共和国とロシア連邦の共同声明」の全文を発表しました。

※新時代の協力のための包括的戦略的パートナーシップの深化に関する中華人民共和国とロシア連邦の共同声明(中華人民共和国外交部、2023年3月22日)
https://www.fmprc.gov.cn/zyxw/202303/t20230322_11046188.shtml

 この共同声明の重要部分を、中国の新華社が発表された直後の21日に、『新華網NEWS』で、以下のように報じています。

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■昨年北海道函館市で起きた被害額1億5000万円の特殊詐欺事件で受け子指示役の都内の男を捜査当局が逮捕! 上にはさらに別の指示役が存在!!「ルフィ」事件ではフィリピンの入管施設にいたかけ子の女を捜査当局が逮捕!「ボス」の渡邊容疑者はヤクザへの報酬もちぎって(減らして)いた!! 警察庁は「暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している」と認識しながら、検挙件数6629件のうち、主犯格として検挙した「暴力団構成員等」はたった16人! なぜ警察の捜査は、暴力団に甘いのか!?

 昨年10月19日、『北海道新聞』が「函館市内の70代女性が、不動産会社の社員を名乗る男らに現金計約1億5000万円をだまし取られたことが19日、わかった。函館西署は架空請求詐欺事件とみて調べている」と報じました。

※函館の70代女性、1億5千万円だまし取られる(北海道新聞、2022年10月19日)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/747775

 この女性は、不動産会社を名乗る人物から「老人ホームに入りたい客がいるが入居枠を貸してもらえないか」と持ちかけられ、同意すると今度は弁護士を名乗る人物から、「名義貸しは違法。あなたの資産を裁判所に預けるので私に送って」と電話で言われ、信用して11回にわたって、計およそ1億5000万円を、東京都内のマンションに宅配便で送ったとのことです。

 この事件で今月20日、「受け子」の指示役とみられる男、松縄将容疑者(28)が逮捕されました。

 21日付け『日テレNEWS』は、「松縄容疑者は詐欺グループで現金を回収する、『受け子』の指示役だったとみられています。この事件での逮捕者は、松縄容疑者が3人目です」と報じています。

※【逮捕】70代女性から1億5000万円だまし取ったか…受け子の“指示役”を逮捕(日テレNEWS、2023年3月21日)
https://youtu.be/58wzgEg8Lcc

 北海道の地方局STV(札幌テレビ放送)は、22日の『STVニュース』で、この松縄容疑者のさらに上に指示役がいることがわかったとして、次のように報じています。

 「警察によりますと、松縄容疑者は現金を回収する受け子のリクルーター役で、その上に指示役がいることがわかりました。

 松縄容疑者は指示役と受け子の連絡調整役も担っていて、警察は余罪やほかの共犯者についても捜査を進めています」

※さらに指示役が…リクルーター役の男を送検 共犯者を捜査 1億5000万円被害の詐欺事件(STV、2023年3月22日)
https://www.stv.jp/news/stvnews/mkuhs400000035cz.html

 特殊詐欺グループのリクルート役や指示役について、3月7日の岩上安身によるインタビューに答えて、『ルポ特殊詐欺』(ちくま新書、2022年11月10日)の著者で、神奈川新聞報道部デスクの田崎基(たさきもとい)氏は次のように指摘しています。

 「ネットで闇バイトの募集をかけてリクルートするわけですが、リクルート役というのが別に存在して、リクルートはリクルートでやる人間が、指示役とは別にいるんです」

 このような細分化したシステムを作ることによって、現在の特殊詐欺グループは、末端が逮捕されても捜査当局が指示命令系統の幹部クラスを割り出していく「突き上げ捜査」が非常に難しくなっていると、田崎氏は取材経験にもとづいて語っています。

 「有象無象、樹形図的に広がっていくような構図になっている」「通底して言えるのは、そこに人間関係のリアルなものは存在しないので、どこを逮捕してもどこにも(捜査が)伸びないというのが、まさにこのSNSと闇バイトの構図」だと指摘した田崎氏は、次のように語っています。

 「私が最初取材したときは、特殊詐欺というのは、最高幹部のボスがいて、それが樹形図のように構築されているグループがいくつかあるんじゃないかということを想定していたわけです。

 ところが、取材をすればするほど、実はそうじゃないと。ここのこいつが、別の組織をすでに組織していてとか…、ピラミッド構造ではなくて円環構造なんじゃないかと。要は自転車の車輪がいくつもいくつも存在していて、そのハブのスポークが、また別の車輪のハブになっているみたいな構造が、円環構造状になっているんじゃないかなと思うんですね」

※「今の特殊詐欺グループは、自転車の車輪がいくつも存在していて、そのハブのスポークが、また別の車輪のハブになっているみたいな円環構造」~岩上安身によるインタビュー第1111回 ゲスト 神奈川新聞報道部デスク・田崎基氏 2023.3.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514596

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■IWJ書店新刊入荷! ジャーナリスト田崎基氏の直筆サイン入り!!『ルポ 特殊詐欺』を10冊限定で、IWJ書店から販売いたします!

 今月の3月7日および13日に、岩上安身による連続インタビューに出演された、神奈川新聞報道部デスクの田崎基(たさきもとい)氏の直筆サイン入りの本を、限定10冊で、IWJ書店から販売いたします。

 世間を震撼させている連続広域強盗事件(「ルフィ」事件)発覚の3ヶ月も前に上梓された『ルポ 特殊詐欺』(ちくま新書、2022年11月10日)は、新聞社の報道部に身を置く著者の田崎氏が、綿密な取材にもとづいて書かれたルポルタージュです。

 こちらは、会員限定の商品になります!

『ルポ 特殊詐欺』(田崎基氏直筆サイン入り)
https://iwj.co.jp/ec/products/detail.php?product_id=471

 この機会に、会員でない方は、ぜひとも、会員登録していただいて、ご購入ください!

 下記のURLから会員登録いただけます。

https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

 岩上安身による田崎氏へのインタビューは、下記から閲覧・ご視聴いただけます!

※「今の特殊詐欺グループは、自転車の車輪がいくつも存在していて、そのハブのスポークが、また別の車輪のハブになっているみたいな円環構造」~岩上安身によるインタビュー第1111回 ゲスト 神奈川新聞報道部デスク・田崎基氏 2023.3.7
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514596

※背後に「暴力団」が関与し凶悪化する「特殊詐欺」を「高齢者差別」が後押し! 岩上安身によるインタビュー第1112回 ゲスト『ルポ特殊詐欺』著者・神奈川新聞報道部デスク田崎基氏 第2回 2023.3.13
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514705

■<IWJ取材報告 1><シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!>原子力産業を官民資金で支援し、原発推進を経産省へ白紙委任する「GX推進法案」が国会で審議入り! 24日にも衆院採決か!?~3.22 オンラインセミナー「原発GX関連法、国会へ! 今、私たちにできることは? 第3回」

 3月15日、衆議院経済産業委員会で「GX推進法案」の審議が開始されました。同法案は、原発の再稼働や運転期間延長、新増設や建て替えを含む「GX推進戦略」実現のため、「GX経済移行債」発行(20兆円規模)や「GX推進機構」設立を謳っています。同法案は、早ければ24日にも衆議院で採決される可能性があるとされ、切迫した状況にあります。

 さらに3月末には、「GX脱炭素電源法案」(原子力基本法など5つの法律の改正案を束ねた「束ね法案」)の衆議院での審議入りが予想されています。この法案では、原発の運転期間延長の方法や、その決定権を原発推進側である経産省に移すことを規定しています。

 原発回帰が猛然と進む、緊迫した状況を前に、国際環境NGO FoE Japanが、これら法案を市民の力で廃案にするためにオンラインセミナーを開催しました。当日使用資料は、下記で閲覧できます。

※【オンラインセミナー】原発GX関連法案、国会へ! 私たちにできることは?(第3回)(FoE Japan、2023年3月22日)
https://foejapan.org/issue/20230315/11917/

 セミナーでは、初めにFoE Japanの満田夏花(かんな)氏が、採決が迫る「GX推進法案」を取り上げ、「GX推進法案を通してはいけない5つの理由」として、以下をあげました。

 1. 原子力産業を長期にわたり官民資金で支援
 2. 経済産業省への白紙委任
 3. 脱炭素基準、環境・人権配慮基準の不在
 4. 将来世代を含めた国民が負担し、排出者を利する
 5. 資金の流れが不透明、監視、検証ができない

※GX推進法案を通してはならない5つの理由(FoE Japan、2023年3月22日)
https://foejapan.org/issue/20230322/12011/

 続いて、原子力資料情報室の松久保肇氏が、まず日本の原発の現状を説明しました。

 原発が日本の発電量に占める割合は再エネより圧倒的に低いことや、稼働期間を延長しても、放射性廃棄物の保存容量が数年で一杯になり停止せざるを得ないこと。原発で電気代が安くなるという主張の欺瞞。原発推進に費やされる膨大な税金。稼働がままならない原発は電力需給逼迫の解決策にならないこと。さらに、発電コストが再エネと原発で逆転し、CO2削減コストも跳ね上がっていることなどです。

 その上で松久保氏は、政府のGX推進方針の問題点を、逐一指摘していきました。

 その後、FoE Japanが市民から国会議員への働きかけを訴え、質疑応答を経て、参加者間のグループディスカッションが行なわれました。

 満田氏と松久保氏の説明部分は、追ってYouTubeチャンネルにアップされる予定とのことです。

※FoEJapan
https://www.youtube.com/@FoEJapan/videos

 なお、IWJは、「GX脱炭素電源法案」(束ね法案)をはじめとする原発の問題を、シリーズで取り上げています。

※はじめに~<特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発×戦争リスク!>原発の60年超の運転延長を含む法改正案を閣議決定! この法改正で最悪の部分は経産省が安全規制権限を強奪したところ! IWJは河合弘之弁護士と原子力規制庁に直接取材!(日刊IWJガイド、2023年3月5日)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51961#idx-1

 下記記事では、運転期間延長に関する国会での論戦を、詳細に分析しています。ぜひ御覧ください!

※<シリーズ特集! 福島第一原発事故から12年、進む事故への危機感と恐怖の記憶の風化! 他方、急激に高まる原発への武力攻撃リスク!>GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案は、「第2の安全神話」の始まり!(日刊IWJガイド、2023.3.7号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/51973#idx-6

 また、「束ね法案」の問題点については、以下の記事も、ぜひ御覧ください。

※科学・技術の進歩なしに原発政策を大転換する岸田政権! 骨抜きにされる規制委!!「5つの束ね法案を認めれば再び原発過酷事故が起きる!」~3.17 原発政策の大転換・運転期間延長を許すな!院内集会(学習会+記者会見) 2023.3.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514763

■<IWJ取材報告 2>イランとサウジの正常化合意に「北京が中東和平の中心地になったのは史上初。中東におけるアメリカの影響力は目に見えて減退した」と佐藤優氏~3.22 東京大地塾 ―登壇:佐藤優氏(作家・元外交官)、鈴木宗男 参院議員

 3月22日午後4時より、東京都千代田区の参議院議員会館にて、作家で元外交官の佐藤優氏と鈴木宗男参議院議員による「東京大地塾」が開催されました。

 テーマである「サウジアラビアとイランの外交正常化合意」と、「ICC(国際刑事裁判所)によるロシアのプーチン大統領への逮捕状発行」などについて、佐藤氏が講演を行い、その後、質疑応答が行われました。

 冒頭、鈴木宗男氏は、岸田文雄総理のウクライナ訪問に触れ、次のように述べました。

 「タイミングのいい大地塾になったなと。岸田総理がウクライナを電撃訪問されたということですね。また、その前にはインドにも行っておりますね。

 ただ私は、せっかくインドに行って、ウクライナに行くならば、停戦についての話があんまり出てきませんね。岸田総理が、停戦に向けて大きなリーダーシップ、イニシアチブを、私は、発揮すべきだと思っていますし、してほしい。そう考える上で停戦の言葉があまり出てきていない。

 バイデンの会談で、停戦について触れているとは思うんですけれども、しかし、もっと世界に向けてアピールした方がですね、私は、日本の国益にかなう、こう思っているんです。けれども、この点が聞こえてこないんですね」

 佐藤氏は、講演の中で、「今年、私が一番驚いたニュースって、実は、習近平・プーチン会談とか、岸田さんのウクライナ訪問とかじゃないんだよね」と前置きすると、「ついこの前、3月10日、中国などの仲介で、イランとサウジアラビアが外交関係を正常化することに合意したというニュースを聞いて、私は、本当に飛び跳ねた。え、こんなことが起きるのか!? と」と述べて、手元に用意したニュースを読み上げました。

 「2016年から断交していたイランとサウジアラビアは10日、外交関係を正常化することで合意した。両国の国営通信は報じた。両国の代表はこの日、北京で外交再開を盛り込んだ共同声明に署名したという。中東で、米国の影響力が低下する中、対立してきた地域大国の仲介を成功させた中国の存在感が大きくなることは確実だ。

 両国の国営通信が報じた共同声明によると、声明には、イラン、サウジ、中国が署名。冒頭に、中国の習近平国家主席の崇高なイニシアチブに応え、と記し、中国側が仲介したことをうたっている」

 その上で佐藤氏は、次のように語りました。

 「サウジアラビアはイスラム教スンニ派、イランはシーア派の大国だよね。イエメンの内戦をめぐって、フーシ派、これはイランが支援していた。これをめぐって対立してるよね。

 また、2016年、サウジ国内で大規模な反政府デモが起きたんですよ。このデモの首謀者だったシーア派の指導者を死刑にしちゃったんだよね。サウジアラビアが。それでイランが怒って、外交関係の断絶に到った。

 これは、宗教的な根っこがあるから、けっこう根深いのよ。

 でも、今回、中国が大きな役割を果たして、2ヶ月以内に国交正常化することで合意した。しかもね、中国が向こうに出向いて行ったんじゃないんだよ。3月6日から10日、中国の首都、北京で、イランとサウジアラビアの代表者が協議した結果、外交関係正常化に至ったので、北京が中東和平の中心地になったというのは史上初。それだけ、中東におけるアメリカの影響力は目に見えて減退したということだよね」。

 佐藤氏の分析の通り、イランとサウジアラビアの国交正常化についての合意により、中東への覇権的影響力が、従来の米国から中国へ移行しました。これは何を意味するのでしょうか。

 日本は中東に石油を9割以上、依存しています。この先、中国と中東の産油国との関係が密になり、同盟関係で結ばれるまでになる可能性も否定できません。

 米国一国に依存、従属している日本が、たとえば『台湾有事』などをきっかけとして、中国と戦争状態に陥ったとすれば、中東の石油が手に入らず、戦争遂行はおろか、産業活動も、民間の暮らしの営みもすべてストップする事態に至ることは十分現実的です。

 岸田政権は、米国に追従して、中国とロシアをわざわざ敵視することに前のめりになっているように見えます。自国の限界をわきまえ、「対米従属」一本やりの外交姿勢の修正が必要なのではないか、その点を、質疑応答で佐藤氏に意見を伺おうと考えましたが、残念ながら、時間切れでかないませんでした。

 次回の「東京大地塾」は4月26日の午後4時からの開催です。

※イランとサウジの正常化合意に「北京が中東和平の中心地になったのは史上初。中東におけるアメリカの影響力は目に見えて減退した」と佐藤優氏~3.22 東京大地塾 ―登壇:佐藤優氏(作家・元外交官)、鈴木宗男 参院議員
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/514868

 それでは、本日も1日、よろしくお願いします。

※日刊IWJガイドのフルバージョン(会員版)は下記URLより御覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20230324

IWJ編集部(岩上安身、六反田千恵、尾内達也、木原匡康、浜本信貴、前田啓)

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