日刊IWJガイド・特別公開版「米国務省とCDCが日本への渡航中止勧告! なのに米国五輪委は『安全に参加できると確信』と矛盾した発表! 5月もご寄付はピンチ! IWJにぜひご支援を!」2021.05.26号~No.3177号


┏━━【目次】━━━━━━━━━━━━━
■はじめに~米国務省とCDCが日本への渡航中止勧告! なのに米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)はなんと「安全に参加できることを確信」と矛盾した発表!? 日本国民の8割は五輪開催に反対! 各種の反対署名運動も盛り上がる中、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、「コロナ禍は戦時中」という認識を示す!
■東京で現在7割を占めるN501Y変異の変異株は、従来株で行っていた感染拡大予防対策に効き目なし!! 東大の研究グループが発表した恐るべきシミュレーション! 「参加者の安全が深刻に脅かされている場合」は、「大会の返上」可能! 民衆の民衆による民衆のための「草の根民主主義」「草の根言論の自由」とともにあるIWJは、5月もご寄付がピンチ! ぜひご支援を!
■【中継番組表】
■<IWJ取材報告 1>日米豪印のクアッドに英独仏蘭が加わるクアッド+アルファは中国に石油が入らないようにマラッカ海峡封鎖が狙いか!? との質問を茂木大臣はなぜかはぐらかし、自己PRの回答! はぐらかしたのは図星からか!? ~5.25茂木敏充外務大臣 定例記者会見
■<IWJ取材報告 2>「『ARC21』も『クアッド』も特定の国を念頭に置いたものではない」!? 日米首脳会談共同声明で「中国の脅威」と「自衛隊の強化」を明言しながら、クアッドとARC21に関しては「中国包囲網」とは言わない奇妙な不自然さ!~5.25 岸信夫防衛大臣会見
■【緊急シリーズ特集!入管での人権侵害を許すな! 5】本日午後6時から4月22日収録「日本生まれのペルー人高校生が家族を強制送還させられる恐怖を訴え! クルド人青年は入管係官に『勉強しても無駄だ』と侮蔑された苦痛を告白!――4.22入管法改悪反対! 緊急院内集会 ~移民・難民の排除ではなく共生を」を再配信します!
■【緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!今国会での改憲国民投票法強行採決を許すな!! 27】本日午後8時から2019年3月5日収録「米国もイスラエルも中国にすり寄っている!? 米国はファーウェイを排除する気など毛頭ない!? 5Gの実現によって激変するデジタル覇権の行方!~ 3.5 岩上安身によるインタビュー 第927回 ゲスト 中国通エコノミスト・田代秀敏氏 (3)」を再配信します!
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■はじめに~米国務省とCDCが日本への渡航中止勧告! なのに米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)はなんと「安全に参加できることを確信」と矛盾した発表!? 日本国民の8割は五輪開催に反対! 各種の反対署名運動も盛り上がる中、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、「コロナ禍は戦時中」という認識を示す!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 米国務省は、5月24日、日本への渡航中止勧告を出しました。これまで、国務省は日本への渡航は「渡航の再考が必要」というレベル3の勧告でしたが、東京五輪パラリンピック大会まで2か月という段階で、もっとも厳しいレベル4の渡航中止勧告を出しました。

※Japan Travel Advisory(米国務省、2021年5月24日)
https://travel.state.gov/content/travel/en/traveladvisories/traveladvisories/japan-travel-advisory.html?fbclid=IwAR3wuuJRoTKOQkt249ynFwp8bkYAxVBycS8fnRuQkxTuhuQlkoohljuGNMo

 この国務省の勧告は、米予防疾病対策予防センター(CDC)が、日本におけるCovid-19のレベルを最高度のレベル4「非常に高い」に引き上げたことを反映した措置です。

※COVID-19 in Japan(CDC、2021年5月24日)
https://wwwnc.cdc.gov/travel/notices/covid-4/coronavirus-japan

 CDCのレベル4というのは、「旅行者は当該地へのすべての旅行を回避すべきである」という強い勧告です。

※How CDC Determines the Level for COVID-19 Travel Health Notices(CDC、2021年5月25日閲覧)
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/travelers/how-level-is-determined.html

 CDCは、この理由として次の点をあげています。

 「日本の最新状況を踏まえると、ワクチン接種が完了した旅行者であっても、変異株に感染・拡散するリスクがあるため、日本へのすべての旅行は回避すべきである」

 続けて、太字でCDCは「もし日本へ旅行をしなければならない場合には、旅行前にワクチン接種を完了しなければならない」と強調しています。

 さらに、「旅行者は、マスク着用やソーシャル・ディスタンスなど、日本の勧告と要請に従わなければならない」と述べています。

※COVID-19 in Japan(CDC、2021年5月24日)
https://wwwnc.cdc.gov/travel/notices/covid-4/coronavirus-japan

 問題は、米国人旅行者へのこの渡航中止勧告が、米国の五輪選手団と関係者にも適用されるのかどうか、という点です。

 米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は、国務省の勧告を受けて即、次のような声明を出しました。

 「国務省の日本に関する勧告が更新されたことを確認しました。私たちは、USOPCと東京組織委員会の双方がアスリートとスタッフに対して実施している現在の軽減措置と、渡航前、日本到着時、そして大会期間中の検査を組み合わせることで、この夏、米国チームのアスリートが安全に参加できることを確信しています」

※USOPC STATEMENT(USOPC、2021年5月24日)
https://www.usatf.org/news/2021/usopc-statement

 CDCは「ワクチン接種が完了した旅行者であっても、変異株に感染・拡散するリスクがある」と明言しているにもかかわらず、USOPCは、国務省の渡航中止勧告にも逆らって、米国選手団を日本へ送るつもりなのです。矛盾していると言わざるをえません。日米とも五輪関係者らは、「正気」なのかと、疑わざるをえません。

 こうした安全性無視の姿勢を見ていると、変異株の感染拡大は織り込み済みで、ワクチン接種が間に合わない日本国民が大会開催によって払わされる「犠牲」は五輪関係者らにとっても想定内であり、自分たちは責任を負わない「どうでもいいこと」なのでしょう。昨日のIOCバッハ会長の発言といい五輪主催者らの「本音」が日々、わかってくるにつけ、はらわたが煮えくり返る思いをしている人は少なくないはずです。

※はじめに~五輪利権のために日本を食い潰すつもりのIOC! 緊急事態宣言下の開催に「イエス」と断言したコーツ副会長に続き、バッハ会長が「犠牲が必要」と聞き捨てならない発言! 一方JOC山口香理事が「対話を拒否する五輪に意義はない」と批判! 5月も残り1週間! 財政ピンチのIWJに皆さまのご支援をよろしくお願いいたします!(日刊ガイド、5月25日号)
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/guide/48845#more-48845

 本来、商業化された五輪の利権よりも、日本国民の命と健康と安全を守る義務のある菅義偉総理はどっちのサイドに立っているかの彼の立場は明白です。自ら、東京五輪開催強行の旗を振り続けています。

 本来、こうした事態を批判すべき大手メディアはそろいもそろって五輪スポンサーとなって五輪利権メディアと化しており、主だったところを見る限り、気骨のある地方紙として知られる信濃毎日新聞を除いて明快な中止論を展開しているメディアは皆無です。

 医療サービス提供の面から、本来、中止を政府に強く進言すべき日本医師会は、先月の会見で中川俊男会長が「外国人観光客の受け入れは可能ではない」と発言し、その後は沈黙を守ったままです。

※五輪で訪日の外国人向け病床「確保困難」 日本医師会長(朝日新聞デジタル、2021年1月22日)
https://digital.asahi.com/articles/ASP1Q6309P1QUTFL005.html?iref=pc_ss_date_article

※〈社説〉東京五輪・パラ大会 政府は中止を決断せよ(信濃毎日新聞、2021年5月23日)
https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2021052300093?fbclid=IwAR3OoyTywiemUdsKFV1ILLD6dxkXrv-8rdBj9WLA19DYy1vKJ1krFU_XwlQ

 それだけではありません。子どもたちに東京五輪の競技を観戦させる「学校連携観戦」が計画通り進んでいます。現在、都内の幼稚園、小中高校、特別支援学校などの子どもの約8割(81万人)、全国では約128万人を「動員」させ参加させる見込みです。

※しんぶん赤旗日曜版の4月28日のツイート
https://twitter.com/nitiyoutwitt/status/1387328443801427968?s=20

※「五輪 子ども“動員”」スクープに反響 都内の園児・生徒81万人 日曜版紹介動画40万回再生(しんぶん赤旗、2021年5月2日)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik21/2021-05-02/2021050201_07_1.html

 子どもの「動員」を企画しているということ自体、政府も五輪組織委員会らは表向き「有観客か無観客かはまだ未定」としながら、観客を入れての開催を強行と決めているのだろうと透けて見えてきます。

 子どもたちをワクチン接種も間に合わない「ノーガード」な状態で、前売りチケットが完売しており、満員観客が入って最も「密」な状態になりうる環境に子どもたちを集団で連れていくという発想自体が「愚挙」という他ありません。

 いくら観客がマスクをしていても興奮した観客は歓声をついあげてしまい、飛沫が飛びかうのを完全に防げるはずがありません。

 しかし、変異株は、若年層への感染率が高いことがすでに知られています。

 子どもたちが集団で変異株に感染し、その子どもたちから家庭内感染が急拡大していくかもしれません。五輪後の「第5波」を爆発的なものにしようとわざわざ仕込んでいるのではないかと言いたくなるほど愚かな「動員」です。

 この「子どもの動員」に対しては、25日現在、1万2000人を超える反対署名が集まっています。

※子どもたちの「東京五輪観戦」の 計画中止を求めます(change.org、2021年5月25日閲覧)
https://bit.ly/3hRTL0E

 「狂気」はこれだけにとどまりません。

 「東京2020ライブサイト計画」によって、東京五輪のパブリックビューイング会場の建設計画が多くの反対を押し切って進行中なのです。

 この計画によれば、東京五輪のパブリックビューイング会場は、代々木公園や井の頭恩賜公園、日比谷公園、上野恩賜公園、東京都立大学南大沢キャンパス周辺、調布駅前広場周辺、都庁など、全部で都内に9か所も建設・設営するのです。

 このうち、代々木公園では、高さ8メートル以下の樹木の枝を剪定し会場の建設が進められており、3万人近い反対署名が集まっています。

※東京2020ライブサイト等の実施について(オリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会、2020年12月15日)
https://www.2020games.metro.tokyo.lg.jp/1876511360500769003669f8181c6234_2.pdf

※代々木公園の自然を破壊する、東京五輪2020ライブサイト計画の中止を求めます #代々木公園の木々をオリンピックから守りましょう(change.org、2021年5月25日閲覧)
https://bit.ly/3oP5oas

 パブリック・ビューイングをやれば、当然、大勢の人々が集まってきます。ソーシャルディスタンスを守って、誰も声を出さずに観戦など、現実にできるでしょうか?「3密」の熱狂の場所、クラスター発生のリスクが高い空間わざわざ作り出そうとしているのです。

 よく考えていただきたいと思います。現在猛威をふるっているN501Y変異の変異株の感染力の強さは、従来株の1.7倍、重症化リスクは1.4倍、さらに、40~64才の重症化リスクは、1.66倍などの特徴があります。鳥取県のデータによれば、N501Y変異の変異株の全陽性者の3人に1人が、数十人に感染させる能力を持ったスーパースプレッダーでした。

※変異ウイルス 重症化リスク1.40倍 報告書まとめる 国立感染研(5/13)(NHK、2021年5月13日)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/newvariant/#mokuji5

 そんなスーパースプレッダーを、大規模なPCR検査の網によって捕捉する、といった対策はまったく取らずに人をパブリックビューイングで集めてしまうのです。その群衆の中に無自覚無症状のスーパースプレッダーがまじらないと考える方がどうかしています。

 さらに電通やスポンサーなど、五輪で利益を上げたい五輪利権業者らなど、五輪が近づくにつれ、政府も都も、五輪組織委らも、あらゆる五輪関係者らが「理性」を日々欠けつつあるように見えてきます。

 本来であれば、人々がスーパースプレッダーなどに集まるのを行政指導で判断して「3密」を作らず、「おうちでテレビ観戦」を1人でも増やすことをやるべきではないでしょうか。もう感染拡大抑止など、どうでもいいと開き直っているとしか思われません。

■東京で現在7割を占めるN501Y変異の変異株は、従来株で行っていた感染拡大予防対策に効き目なし!! 東大の研究グループが発表した恐るべきシミュレーション! 「参加者の安全が深刻に脅かされている場合」は、「大会の返上」可能! 民衆の民衆による民衆のための「草の根民主主義」「草の根言論の自由」とともにあるIWJは、5月もご寄付がピンチ! ぜひご支援を!

 東京で現在7割を占めるN501Y変異の変異株に対しては、3密回避や飛沫感染・接触感染防止、殺菌・消毒の徹底などの従来株の知識で対策を立てても感染拡大は防げないでしょう。

 東京五輪2020ライブサイト計画に関連して、東京大学の経済学者のグループが、東京五輪の開催による新型コロナウイルスの感染拡大への影響についてシミュレーションを行いました。

※五輪で人流10%増なら都内の感染者数3倍か 東大グループ試算(NHK、2021年5月24日)
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/tokyo-oly_para/detail/detail_19.html

 この研究では、現在出ている緊急事態宣言が6月中旬まで延長され、国内のワクチンの接種は1日に60万本のペースで進むと仮定しました。また、大会期間中、海外から選手や関係者など10万5000人が入国し、このうち半数がワクチンの接種を終えていると想定しました。

 このシミュレーションの結果は、恐るべきものです。

 海外からの選手や関係者などが直接の原因となって増える都内の1日の感染者の数は平均で15人程度にとどまる一方、大会期間中に、観戦や応援に出かけたり、経済活動が活発になったりして、人流が10%増えたとすると、9月には都内の1日当たりの感染者数は2024人となり、大会が開催されなかった場合と比べて1407人増える結果となったのです。

 前出の、東京五輪2020ライブサイト計画がいかに無謀なものか、はっきりとこのシミュレーションは示しています。しかも、このシミュレーションでは、大会が開催されなかったとしても、10月には、一日の感染者数は820人となり、現在よりも、増加すると試算しているのです。

 もう一度、書きます。大会が中止になったとしても、感染者は増えるのです! まして、そこに五輪の有観客での開催を強行したら、破滅的な結果を招くでしょう!

 弁護士の宇都宮健児さんが始めた東京五輪開催中止署名は、25日現在、39万人に迫っています。

※人々の命と暮らしを守るために、東京五輪の開催中止を求めます Cancel the Tokyo Olympics to protect our lives(change.org)
https://bit.ly/2RLSXQv

 他方、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、24日に行われた世界保健総会の開会式で、新型コロナ禍を「戦時中」だとの見解を表明しました。この発言は、聞き逃してはいけません。

※【東京五輪】賠償金なしでの開催中止に後押しか 国連事務総長がコロナ禍”戦時見解”(Yahooニュース、2021年5月24日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/66bc297e1a046fc30578a4c00c2a6245840b6964?fbclid=IwAR33dHnXGZ7UaojmAuenQeGfEc33bofSuefsnproCSIlz0NFXSXPlvs3m0I

 日本の現在のコロナ禍が「戦時中」と世界的に認められれば、1940年に開催が決まっていた東京五輪を日中戦争のため日本側が開催を返上したときのように、「参加者の安全が深刻に脅かされている場合」には開催都市がIOCに対して開催を返上できる規定があるのです。この場合、日本側から開催を中止する権利があり、賠償金も生じません。

 有観客での開催をあきらめずに、強硬に準備が押し進められている東京五輪ですが、自らも大会スポンサーとなっているマスコミが連日、五輪各競技への興味・関心をかきたてる番組や記事を発信し、五輪前景気を煽り続けていますが、にもかかわらず、8割を超える国民が開催に反対しているのです! 政府も五輪翼賛マスコミも、広告代理店も、世論操作や煽動に失敗したことをいいかげん受け入れるべきでしょう。

※今夏の五輪開催、反対が8割超 最新世論調査(AFP、2021年5月17日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3347057

 IWJの報道・論評のベースは、常に、こうした署名運動や世論調査に現れるような、民衆の民衆による民衆のための「草の根民主主義」「草の根言論の自由」です。スポンサーや広告代理店の思惑に左右されながら活動しているのではありません。

 IWJを支えてくださっている皆さまは、実は、憲法12条における「国民の不断の努力」を重ねられている方々であり、しかも「公共の福祉のために利用する責任」を果たされている方々なのです。

 そうした方々に、自発的に支えられて、私たちIWJが、日々、権力に忖度しない報道・言論のために活動できています。皆さまに支えられて、私たちもまた憲法12条に定められている「国民の不断の努力」の一部を担えていることを誇りに思います。そしてそれと同じく責任、そして使命感をひしひしと感じています。

 しかしながら、5月のご寄付・カンパはピンチです!! 5月20日時点で85件、151万8300円です。

 この金額は、5月以降の新たな月間目標額である467万5000円に対して33.7%にとどまっています。5月もすでに残り1週間となりましたが、月間目標額の3分の1という状況です! これはもはや赤信号であり、IWJの財政はまたピンチに直面しているといっても過言ではありません! このままでは5月は月を越せません! 人件費などの固定費の、必要な支払いのためのお金のやりくりをどうすべきか、真剣に考えなくてはなりません!

 IWJにご期待いただける方は、少額でもけっこうですので、ぜひ緊急のご支援をお願いいたします! 1人でも多くの方々からご支援いただき、1歩でも2歩でも月間目標額に近づきたいと思っています!

 この調子でいきますと、7月末の期末を大幅な赤字で迎えることになってしまうかもしれません!

 赤字が重なれば、これまでのようにIWJを存続させ、何ものにも忖度しない、権力にもスポンサーにもこびない、独立したジャーナリズム活動を貫き続けていくことは困難になってしまいます。

 現在、IWJ代表の岩上安身は自身の報酬を100%カットし、今期末まで「ただ働き」のまま、「手弁当」どころか「持ち出し」で、日々の激務に取り組んでいます。しかし、岩上安身個人にしわ寄せをする「異常」な状況が続いては、この先、IWJが存続し、活動し続けることはできません。

 IWJは、岩上安身個人からこれまで993万5000円借り入れており、まったく返済できておりません。

 他方、岩上安身が、IWJの危機に直面しても、これ以上私財を投入できないのは、すでに1000万円近い金額をIWJに貸しており、しかもIWJから報酬を得ることなく「ただ働き」で働き続けているので、貯金は増えることなく、日々減り続けており、これ以上IWJに私財を投じれば、貯金が本当に底を尽いてしまうからです。

 つまり、岩上安身が「無報酬」を余儀なくされるような「異常」な状態が続くと、岩上安身がつなぎ資金を貸すこともできなくなり、IWJは行き詰ってしまうのです。

 多くの方々からご寄付・カンパをいただきましたが、今年に入ってから、現状、すべてIWJの運営にあて、岩上安身への返済には1円も回しておりません。この点は、ぜひ誤解のないよう、ご理解ください。

 岩上安身も一人の人間であり、生活者であり、扶養しなければならない家族もいます。老後の貯えを削ることにも限界があります。

 今期、IWJが赤字転落した場合、岩上安身がこれ以上個人でIWJを支えるのは不可能です。

 会費収入については、コロナ禍による会員の減少に伴い、前期比20%減の予想となっています。この現実は大変重くのしかかっています。

 前期の会費収入は8322万円でしたが、今期の予想はマイナス1672万円の6650万円になるだろうと予測しています。これは、あくまで現状で会員数が下げ止まり、維持されると仮定した予測です。会員数がさらに減れば、もっと状況は厳しくなるでしょう。

 会員数の減少に伴う会費の減少により、なおさら、ご寄付・カンパでのご支援が本当に重要になってきています。

 前述の通り、IWJが特定のスポンサーや権力に対して、顔色をうかがうことなく、独立した自由な報道と言論をこれまで展開できてきたのは、市民の皆さまのご支援があってのことです。

 私たちは、ご寄付や会費という形で、市民の皆さまから託された期待に、独立メディアとして使命を果たすことで、こたえたいと思っています。

 日本を破滅へと導く、改憲による緊急事態条項の導入にも徹底して反対し、その後に起こりえるであろう、米中の覇権闘争の「捨て駒」として日本がいいように使われ、戦場とされてしまうことにも、断固として反対し、抵抗を貫きます!

 権力とスポンサーに日和り、保身に走る数多の既存メディアのような無様な背信は絶対にいたしません!

 改憲による緊急事態条項によって、自滅に至る戦争への突入を阻止すべく、徹底的に戦い抜くためには、IWJの姿勢に共感し、IWJを支えてくださる市民の皆さまのご支援、ご協力が、どうしても必要です!

 ぜひ、ご支援、応援をよろしくお願いいたします!

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◆中継番組表◆

**2021.5.26 Wed.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】16:00~「ヘイトスピーチ解消法の成立から5年 『人種差別撤廃基本法を求める議員連盟』集会」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」主催の集会を中継します。これまでIWJが報じてきたヘイトスピーチ関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/hate-speech
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【IWJ・Ch5】17:30~「ヘイトスピーチ解消法執行5年 記者会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「人種差別撤廃基本法を求める議員連盟」主催の記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた人種差別関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E4%BA%BA%E7%A8%AE%E5%B7%AE%E5%88%A5
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【緊急シリーズ特集!入管での人権侵害を許すな! 5・IWJ_YouTube Live】18:00~「日本生まれのペルー人高校生が家族を強制送還させられる恐怖を訴え! クルド人青年は入管係官に『勉強しても無駄だ』と侮蔑された苦痛を告白!――4.22入管法改悪反対! 緊急院内集会 ~移民・難民の排除ではなく共生を」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 4月22日に収録した院内集会を再配信します。主催は「入管法改悪反対!緊急院内集会」実行委員会。これまでIWJが報じてきた入管法関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%85%a5%e7%ae%a1%e6%b3%95

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/491225
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【緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!今国会での改憲国民投票法強行採決を許すな!! 27・IWJ_YouTube Live】20:00~「米国もイスラエルも中国にすり寄っている!? 米国はファーウェイを排除する気など毛頭ない!? 5Gの実現によって激変するデジタル覇権の行方!~ 3.5 岩上安身によるインタビュー 第927回 ゲスト 中国通エコノミスト・田代秀敏氏 (3)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 2019年3月に収録した、岩上安身による田代秀敏氏インタビューを再配信します。これまでIWJが報じてきた米中関係に関する記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e7%b1%b3%e4%b8%ad%e9%96%a2%e4%bf%82

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/444064

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◆中継番組表◆

**2021.5.27 Thu.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【緊急シリーズ特集!入管での人権侵害を許すな! 6・IWJ_YouTube Live】18:30~「『入管で餓死』!! 採決迫る入管法『改悪』案は『あまりに酷い』!~5.5入管法改悪NO!! 緊急アクション@大阪」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 5月5日に収録した「入管事件を闘う大阪弁護士有志の会」主催の抗議行動を再配信します。これまでIWJが報じてきた人権問題関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e4%ba%ba%e6%a8%a9%e5%95%8f%e9%a1%8c

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/491731
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【タイムリー再配信 933・IWJ_YouTube Live】 20:00~「『ひとりでもやる!みんなでやるからできる!― 水俣から原発 今までとこれからの課題』―講演:アイリーン・美緒子・スミス氏(グリーン・アクション代表)」
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 2019年11月に収録した、「アジェンダ・プロジェクト」主催、「京都大学社会科学研究会ピース・ナビ」共催の講演を再配信します。これまでIWJが報じてきたアイリーン・美緒子・スミス氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/eileen-mioko-smith

[記事URL] https://iwj.co.jp/wj/open/archives/460603

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◆昨日アップした記事はこちらです◆

3月25日に始まった聖火リレーは折り返し地点、19都道府県がコロナ緊急事態宣言とまん延防止等重点措置を受ける中での強行開催はどこまで続く!? 鳥取県の平井伸治知事が聖火リレーの運営について苦言を呈し、セレモニーの挨拶を返上!
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492405

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■<IWJ取材報告 1>日米豪印のクアッドに英独仏蘭が加わるクアッド+アルファは中国に石油が入らないようにマラッカ海峡封鎖が狙いか!? との質問を茂木大臣はなぜかはぐらかし、自己PRの回答! はぐらかしたのは図星からか!? ~5.25茂木敏充外務大臣 定例記者会見

 5月25日、外務省で茂木敏充外務大臣定例記者会見が行われ、IWJ記者は中国包囲網「クアッド」に、英仏独蘭のEU諸国が参加していることについて、質問しました。

※米日豪印のクアッドによる中国包囲網に英独仏が加わり「インド太平洋」で大演習!! 中国対米国の覇権争いは「世界大戦規模」に拡大するのか!? 2021.5.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492120

※「クアッド」への英仏独蘭の関与と軍事演習への説明不足を指摘したIWJに、茂木大臣は「『自由で開かれたインド太平洋』は包摂概念で安全保障はその一部、説明は何度もした」とはぐらかし!~5.18茂木敏充外務大臣 定例会見 2021.5.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492113

※日米豪印のクワッドに加えて、英国、フランス、ドイツ、オランダまで8カ国が東シナ海に集結! 風雲急を告げる東アジア・インド太平洋情勢と日本で進む改憲への動き、再び「戦争が廊下の奥に立つてゐた」となるのか!~5.11岸信夫防衛大臣会見 2021.5.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492241

※茂木大臣と外務省は、急速にきな臭くなる「自由で開かれたインド太平洋」戦略についてのIWJ記者の質問を「騙し討ち」で回避! 米中対立が発火すれば日本列島が主戦場に! ~5.21茂木敏充外務大臣 定例記者会見 2021.5.21
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492235

 以下が、IWJ記者の質問です。

IWJ記者「日本政府は、安倍晋三前総理が提唱した『自由で開かれたインド太平洋戦略』を踏襲し、米、豪、印と組んで、中国包囲クアッドを形成しています。ここに英独仏蘭の欧州4カ国も加わるとのことですが、クアッド+アルファによる中国包囲網とは、具体的に何をされるのでしょうか?

 海上自衛隊幹部学校の戦略研究論文を見ると、マラッカ海峡を封鎖し中国への中東からの石油の輸入ルートを遮断する戦略がしばしば出てきます。米海軍大学のトーマスハメス博士の提唱するオフショアコントロール戦略にもとづくものです。クアッドの戦略は、このオフショアコントロール戦略をベースに、マラッカ海峡封鎖し、中国に石油が入らないようにして、兵糧攻めにするのが、狙いと考えてよろしいでしょうか?

 一方で、中国と日本は、他の東アジア諸国とともに、RCEPという包括的経済連携協定を結んでいます。中国は日本にとって最大の貿易相手国でもあります。RCEPという経済の枠組みと中国包囲網であるクアッドとは、相反し矛盾すると思われますが、今後、クアッドが深まれば、RCEPは放棄し、中国という巨大マーケットも捨てる決断をするのでしょうか? その時の日本経済のダメージはどうお考えですか?

 大臣のお考えをお聞かせください」

茂木外務大臣「『自由で開かれたインド・太平洋』、これは今から5年前、2016年のですね、TICAD VI(アフリカ開発会議)の際、まあ、当時は安倍総理でありましたが、日本として提唱したビジョン、考え方でありまして、基本的にはこの『自由で開かれたインド太平洋』、これはインド太平洋、まさに世界の成長センターという地域でありますが、一方でパワーバランスの変化も激しい。この地域においてですね、法の支配をはじめとする共通の価値や原則、これにもとづく自由で開かれた秩序を実現することによって、地域全体、ひいては世界全体の平和と安定を確保していくと、こう言った考え方にもとづく構想であります。

※アフリカ開発会議(TICAD)(外務省、2016年8月27日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/afr/af2/page4_002268.html

※自由で開かれたインド太平洋(外務省、外交政策)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/page25_001766.html

 まあ、これ、あの、特定の国を念頭に置いたものではなく、考え方を共有するですね、幅広い国々と協力していく包括的かつですね、開かれたビジョンであると考えております。

 まあ、実際にこのですね、『自由で開かれたインド太平洋』と、ご案内の通りですね、日米豪印、この間ではですね、すでにこれは、インドネシア沖の地震の時の協力から2004年始まったものでありますが、2019年、わたくしは外務大臣に就任してすぐにですね、国連総会の際に外相会談、これを行いまして、そのあと、毎年外相会談、今年は2月に外相会談、さらには3月にですね初の首脳会談、これも行っているところであります。

 これは安全保障だけではなくてですね、地域の連結性を強化するためのですね、4か国の取り組みであったりとか、4か国のそれぞれの強みであったりとか、また関係を生かした様々な取り組み協力の分野というのがですね、様々な分野に広がっていると考えております。

 この日米豪印、クアッドもありますし、さらには一昨年ASEAN、これはAOIP(ASEAN・アウトルック)というですね、独自のビジョン、これを発表したところでありまして、日ASEAN首脳会議におきましてもですね、FOIP(自由で開かれたインド太平洋)と、様々な共通の要素、考え方をもって、したがって、協力関係と言いますか、ASEANとの協力関係も広げていきたい。

※第23回日・ASEAN首脳会議「インド太平洋に関するASEAN・アウトルック(AOIP)協力についての第23回日アセアン首脳会議共同首脳声明」の発出(外務省、2020年11月12日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/rp/page3_002923.html

 そして、まあEUとの関係におきましては、今年の1月にですね、私がEUのですね、外務理事会、日本の外務大臣として初めて参加をいたしまして、FOIPの考え方を詳しく説明いたしまして、EUの各国外相からもこれを支持すると、協力したいと、こういう意見表明も多かったところでありまして、そういったものも踏まえてですね、4月にはEUとしてですね、このインド太平洋の戦略、発表したところであります。

 また、それぞれフランスであったり、オランダさらには英国独自の戦略を発表し、また、独自のイニシアティブを打ち出していると、このように考えているところでありまして、こういった開かれたビジョンのもとでですね、様々な国と協力が今広がってきていると考えております。

 同時に今、世界を見てみますと、このコロナ以前もそうでありますが、特にコロナ以降、自国第一主義でありますとか、保護主義というものが台頭する。こういった中で日本としてですね、自由貿易の旗手としてTPP11をまとめ、さらには日EU・EPAこれが発行し、さらにはTPPから離脱した米国との間ではですね、日米貿易協定、さらにはEUから離脱した英国との間では、日英EPAも結んできまして、昨年RCEPにつきましてもですね、署名という事に至ったわけでありまして、これはまさに自由貿易、さらにこれはサービスから、そしてデータであったりとか、様々なルール分野、こういった事について共通の基盤を作っていこうと、こういう取り組みであります。

 RCEPにつきましては、当初16か国で交渉を進めておりましたが、最終的にインドが合意に至らず、15か国の署名、という事になりまして、そこの中には、中国、韓国が含まれておりますが、同時にすでにTPP等に参加しているASEANの国々や、オーストラリア、ニュージーランド、こういった国々も含まれているわけでありまして、まあこういったRCEPにつきましてもですね、しっかりと進めていくという事がですね、今必要とされる自由貿易の維持、強化にとっては極めて重要であると思っておりまして、そういったところで、日本として主導的な役割を果たしていきたい、こういう意味におきましても、『自由で開かれたインド太平洋』、さらには様々な経済連携協定、まあ日本としてですね、各国が受け入れられる、できるだけ多くの国が参加できる、こういう立場から進めている、協力であったり連携という、こういうものの一環だと考えております」

 御覧の通り、RCEPには、中国が含まれているのに、その中国を包囲するクアッドとの矛盾についての質問には、まったく答えていません。質問の趣旨から、ひたすら逃げた、逃げざるをえなかった、という印象です。クアッドが単に言葉通りに「自由で開かれたインド太平洋」を実現するための構想であるならば、ここに中国を引き込めば問題はあっという間に解決するはずです。中国も安全で安定的なシーレーンの継続を望んでいるのは間違いないでしょうから。なぜ、域外のヨーロッパ諸国かがタンカーでも、貨物船でも、旅客船でもなく、空母や軍艦で集まり込んでこの海域にやってきて、クアッドに加わる、というのか。戦争を始める可能性がまったくないなら、軍艦はまったくお呼びではありません。戦争が始まれば、インド太平洋地域は安全な航行が脅かされ、「自由でもなく」「開かれてもいない」海域となります。この「自由で開かれたインド太平洋」という構想と真逆の状況になるのです。

 重要なことは、この海域の沿岸国でもないのに、欧州諸国が軍艦をもって乗り込んできたことです。彼ら自身の意思でこのようなことをゴリ押ししてきたら平和な海を望むクアッド各国は拒むべきだったはずです。それを歓迎して受け入れていたのはクアッド側だったことはごまかしようがありません。茂木大臣は会見のたびごとに「インド太平洋」構想やクアッドについて十分に国民に説明している、と強弁しますが、クアッド+アルファが現実に行っているこういう剣呑な側面については、ひたすらはぐらかすのみで、何も説明していません。

 説明できないやましさ、矛盾、危うさがこれらの構想や演習にはひそんでいるのだろうと疑わざるをえません。

 会見の全編動画は、以下のURLで御覧いただけます。

※日米豪印のクアッドに英独仏蘭が加わるクアッド+アルファは中国に石油が入らないようにマラッカ海峡封鎖が狙いか!? との質問を茂木大臣はなぜかはぐらかし、自己PRの回答! はぐらかしたのは図星からか!? ~5.25茂木敏充外務大臣 定例記者会見(2021年5月26日)
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492395

■<IWJ取材報告 2>「『ARC21』も『クアッド』も特定の国を念頭に置いたものではない」!? 日米首脳会談共同声明で「中国の脅威」と「自衛隊の強化」を明言しながら、クアッドとARC21に関しては「中国包囲網」とは言わない奇妙な不自然さ!~5.25 岸信夫防衛大臣会見

 5月25日、防衛省で行われた岸信夫防衛大臣記者会見に参加したIWJ記者は、日米豪仏共同訓練「ARC21」と、日米豪印の中国包囲網「クアッド」に英仏独蘭のEU4カ国が実質的に参加することについて、以下のように質問しました。

※米日豪印のクアッドによる中国包囲網に英独仏が加わり「インド太平洋」で大演習!! 中国対米国の覇権争いは「世界大戦規模」に拡大するのか!? 2021.5.17
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492120

※「クアッド」への英仏独蘭の関与と軍事演習への説明不足を指摘したIWJに、茂木大臣は「『自由で開かれたインド太平洋』は包摂概念で安全保障はその一部、説明は何度もした」とはぐらかし!~5.18茂木敏充外務大臣 定例会見 2021.5.18
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492113

※日米豪印のクワッドに加えて、英国、フランス、ドイツ、オランダまで8カ国が東シナ海に集結! 風雲急を告げる東アジア・インド太平洋情勢と日本で進む改憲への動き、再び「戦争が廊下の奥に立つてゐた」となるのか!~5.11岸信夫防衛大臣会見 2021.5.11
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492241

※茂木大臣と外務省は、急速にきな臭くなる「自由で開かれたインド太平洋」戦略についてのIWJ記者の質問を「騙し討ち」で回避! 米中対立が発火すれば日本列島が主戦場に! ~5.21茂木敏充外務大臣 定例記者会見 2021.5.21
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492235

 以下が、IWJ記者の質問です。

IWJ記者「『ARC21』ならびに『クアッド』についてうかがいます。

 この5月11日から17日まで、自衛隊は、日米豪仏共同訓練『ARC21』を行いました。今後、フランスの他、ドイツ、英国、オランダ各国も軍艦派遣を表明しており、日米豪印の中国包囲網『クアッド』に英仏独オランダが加わったかたちです。

 岸大臣は5月11日の記者会見で、この『ARC21』について、『特定の国を念頭に置いたものではない』とお答えになりました。しかし、日米首脳会談の共同声明でも、中国の脅威を名指しで指摘し、自衛隊の強化まで約束しているのですから、そのような弁明はかえって不自然に聞こえます。中国を念頭に演習を行ったことは明らかであり、その前提に立って質問いたします。

 端的にうかがいますけども、中国包囲網『クアッド』とは、いったい何を行うものなのでしょうか? 何を目的として、欧州諸国の軍隊まで集結し、合同演習を行うのでしょうか?

 海上自衛隊幹部学校のホームページには、海幹校戦略研究という論文が多数掲げられています。その中には、米国防大学のトーマス・ハメス博士や、米海軍大学トシ・ヨシハラ教授らが提唱するオフショア・コントロール戦略の話がたびたび出てきます。ハメス博士とヨシハラ教授は2014年には海上自衛隊幹部学校に来校されてもいます。

 そのオフショア・コントロール論では、チョークポイントと呼ばれるマラッカ海峡を封鎖して、中東のペルシャ湾岸から中国に至る石油ルートを遮断する戦略が語られています。

 『インド太平洋』を一体として中国包囲網を形成する構想を最初に主導したのは安倍晋三総理ですが、現在のクアッドの目的と戦略は、このオフショア・コントロール論と重なり、中国への石油を遮断する海上封鎖網を形成することにあるのでしょうか? そのためインド洋において海外領土をもつフランスが熱心に参加し、インド洋のシーレーンも制圧するということになるのでしょうか?」

岸防衛大臣「私も繰り返し申し上げているわけですけれども、この、『ARC21』等々、お話ございました、こういったものは、中国を念頭に置いたもの、あるいは中国包囲網というものは考えておりません。あくまでも、我が国の防衛に資するこうした共同訓練ですね、自衛隊の練度を向上させるため、また、国際関係、国際協力、まあ、こうしたことを深めていくために行なっているということであります。

 あの、『クアッド』についてもですね、地域の平和と安定のために、4カ国の間で、様々な意見が密に交換されると、こういう状況であります。ですから、どこの国、具体的な国を念頭に置いて行われているものではないというふうに解釈して欲しいと思います」

 岸防衛大臣のはぐらかしは、いくらなんでも度が過ぎます。どこの国の防衛大臣もこんなに「仮想敵国」について口を濁すことはしないはずです。

 最新の2020(令和2)年度の防衛白書にも、中国を分析した節の中で、中国の軍事動向を「わが国を含む地域と国際社会の安全保障上の強い懸念」(p.58)と呼び、一方、米国を分析した節の「インド太平洋地域への関与」の中では「日米豪印4か国の協力」(p.48)が記されており、各国の軍と、合同演習まで行っているのです。「具体的な国を念頭に置いて行われているものではない」とは、どういう意味なのでしょうか。

 本当に、どこの国かも念頭にない、ぼんやりとした合同演習をやっているならば、国防に資すこともなく、単にカネの無駄遣いだから、即刻、やめるべきでしょう。

 そうではない、中国包囲網として、ここまで大々的に軍事演習までしておきながら、「中国包囲網」です、と言い出せないとしたら、これは、中国政府からの反発を恐れている、ということになります。

 言葉で「中国を包囲している」ともいえない程、中国の反発に脅えていて、実際に中国が軍事に一足飛びに行かなくても、経済的制裁を発動するだけで、日本経済は大きな影響が出るはずです。日本最大の貿易相手国なのですから。日本製品は購入しない、とされるだけで、日本経済は瀕死の状態に陥るでしょう。

 クアッド・他の面々も同様です。フランスの輸出を支えている数々のハイブランド製品を世界一購入しているのは中国人。ドイツ車を世界一購入しているのも中国人。両方とも中国は今後買わない、と言ったらどうなるのでしょう。その中国市場に、中国と正面から敵対しない国々の商品が売られ、マーケットを奪われるでしょう。

 そんな経済的なマイナスを考えて、「中国包囲」と口にできないのならば、最初から「勝負」あった、というべき腰抜けぶり、ということになるのではないでしょうか。いったい何のための軍事デモンストレーションだったのか、効果はあったのか、さっぱりわかりません。少なくともこの中国への気のつかい方から、中国がひるみはしなかったであろうことだけはわかります。

 中国外しの「インド太平洋」ではなく、むしろRCEPのように中国を入れた安定した「インド太平洋」を構築した方が、安全保障にも合理的で安上がりではないでしょうか。安定し、平和な東アジア・太平洋・インド洋の実現は、各国の兵器産業が、商売のタネがなくなるとして、地団太を踏むかもしれませんが、それ以上に大きなメリットがあるはずです。

 記者会見の全編動画は、以下のURLで御覧いただけます。

※「『ARC21』も『クアッド』も特定の国を念頭に置いたものではない」!? 日米首脳会談共同声明で「中国の脅威」と「自衛隊の強化」を明言しながら、クアッドとARC21に関しては「中国包囲網」とは言わない奇妙な不自然さ!~5.25 岸信夫防衛大臣会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/492400

■【緊急シリーズ特集!入管での人権侵害を許すな! 5】本日午後6時から4月22日収録「日本生まれのペルー人高校生が家族を強制送還させられる恐怖を訴え! クルド人青年は入管係官に『勉強しても無駄だ』と侮蔑された苦痛を告白!――4.22入管法改悪反対! 緊急院内集会 ~移民・難民の排除ではなく共生を」を再配信します!

 政府・与党は5月18日、入管難民法改正案の今国会での成立を見送る方針を決めました。改正案は廃案となる見通しです。

※出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を
離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案(出入国在留管理庁)
http://www.moj.go.jp/isa/laws/bill/index.html

※入管法改正案が廃案へ、「人権侵害」と野党や国内外から批判(ロイター、2021年5月18日)
https://jp.reuters.com/article/law-immigration-idJPKCN2CZ0FS

 この改正案は、難民申請をしている外国人でも強制的に母国に送還する、退去命令に従わない人に罰則を設けるといった厳罰化をうながすものであり、難民条約違反、人権侵害であることから、野党や弁護士、多くの市民らが反対の声をあげました。世論が国会を動かしたと言えます。

 しかし、法案が廃案となるからといって、問題が終わったわけではありません。長期収容や、毎年のように死者が出る収容者への不当な待遇など、日本の入管行政の過酷な人権侵害は何も変わっていません。

 入管の問題は、外国人の問題というだけではありません。入管問題は、自由と人権に関する根本的な問題であり、命と個人の尊厳を大事にしない日本という国のありかたと同根なのです。

 蹂躙されているのは外国人の人権だけではありません。徹底的に国民をPCR検査から遠ざけてきたために被害が拡大しているコロナ禍、福島第一原発事故の被災者に、広島・長崎の被爆者、水俣病患者、と考えていけば、この国を支配してきた自民党の本音が見えてきます。

 そこで本日は、今年4月22日に参議院議員会館にて開催された「入管法改悪反対! 緊急院内集会 ~移民・難民の排除ではなく共生を~」を再配信します。

 集会を主催する「入管法改悪反対!緊急院内集会」実行委員会は、「長期収容の原因に対処することなく、難民申請者の送還を可能にするなど、日本で共に暮らす移民・難民の 排除につながるこの法案に対して、市民社会から多くの反対や懸念の声が寄せられています。この入管法『改悪』に反対し、移民・難民とともに暮らす社会に向けて訴えるため、院内集会を開催します」と呼びかけ、「出入国管理及び難民認定法を一部改正する法律案」への反対を表明しました。

 掲げられた「改正入管法案に対する共同声明」には「NPO移住者と連帯する全国ネットワーク」「全国難民弁護団連絡会議」「日本カトリック難民移住移動者委員会」「入管問題調査会」「全件収容主義と闘う弁護士の会 ハマースミスの誓い」「NPOヒューマンライツ・ナウ」が名を連ねます。

 集会では、まず、弁護士の児玉晃一氏が入管法改正の背景と課題について解説。その後、イラン、ミャンマー、ペルー出身の方々、幼少期より日本で暮らすクルド難民の青年、長崎県の大村入国管理センターで被収容者のために活動する長崎インターナショナル教会の柚之原寛史牧師から、日本における入国管理の実態報告と訴えが続きます。

 日本生まれ日本育ちのペルー人高校生は、かつて父親を強制送還されており、現在は母親が同様の措置を受けることを明らかにし、家族が引き裂かれることに怯えていると訴えます。

 また、クルド人青年は入管の係官に、「君がいくら努力し、勉強しても無駄だ」と告げられたことを明らかにしました。これも心ない言葉の虐待です。

 その他、集会では、安藤真起子氏(NPO移住者と連帯する全国ネットワーク)、赤阪むつみ氏(なんみんフォーラム)、丸山由紀氏(日本弁護士連合会)、樋口利紀氏(アムネスティ・インターナショナル日本)、瀬戸大作氏(反貧困ネットワーク)が、それぞれの活動団体の観点から、この改正の問題点を明らかにします。そこでは、この入管法改正に人権面から違法性があり、国際的にも非難されるものであることが説明されます。

 集会の最後には、「移民・難民の排除でなく共生を」と題して、大橋毅氏(全国難民弁護団連絡会議)と鳥井一平氏(移住連 代表理事)が講演を行います。

 鳥井氏は、「このタイミングでこの法改正が行われようとすることは、オリンピック関連の建設なども過ぎての外国人労働者切り捨てではないだろうか。80年代、入管法の力が弱かった時代こそが日本に活気があり、外国人との共生が進んだ時代であった。現在はそれに逆行している。日本は世界に恥ずべき社会になりつつある」と訴えます。

 詳しくはぜひ、午後6時からの再配信をご視聴ください。

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【緊急シリーズ特集!入管での人権侵害を許すな! 5・IWJ_YouTube Live】18:00~
日本生まれのペルー人高校生が家族を強制送還させられる恐怖を訴え! クルド人青年は入管係官に「勉強しても無駄だ」と侮蔑された苦痛を告白!――4.22入管法改悪反対! 緊急院内集会 ~移民・難民の排除ではなく共生を
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

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■【緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!今国会での改憲国民投票法強行採決を許すな!! 27】本日午後8時から2019年3月5日収録「米国もイスラエルも中国にすり寄っている!? 米国はファーウェイを排除する気など毛頭ない!? 5Gの実現によって激変するデジタル覇権の行方!~ 3.5 岩上安身によるインタビュー 第927回 ゲスト 中国通エコノミスト・田代秀敏氏 (3)」を再配信します!

 IWJがお届けしている【緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!今国会での改憲国民投票法強行採決を許すな!!】。本日は午後8時から、昨日に引き続き、2019年3月5日に収録した「米国もイスラエルも中国にすり寄っている!? 米国はファーウェイを排除する気など毛頭ない!? 5Gの実現によって激変するデジタル覇権の行方!~ 3.5 岩上安身によるインタビュー 第927回 ゲスト 中国通エコノミスト・田代秀敏氏(3)」を再配信します。

 トランプ政権での米中貿易摩擦では、5Gなどの通信技術をめぐり、先行する中国の通信機器メーカー、中でも「ファーウェイ」が狙い撃ちにされたように話題となりました。

 本日お送りするインタビューでは、中国通のエコノミストである田代氏が、ファーウェイという会社や、その創業者である任正非(レンジョンフェイ)総裁の人物像などを紹介して、ファーウェイの「強さ」を分析しました。

 ファーウェイに関する文章を『経済界』に依頼された田代氏が、「正月すべて返上してファーウェイ関係の研究書や任正非氏の文章にだいたい目を通した中で非常に印象に残った」と語るのが、任氏が2002年に来日した際、居酒屋で聴いた千昌夫の「北国の春」に感銘を受けて社内報に書いた「北国之春」と題した文章だとのこと。

 「1987年創業、1988年から営業開始。で、1992年に一度日本に来ているんです。それから10年ぶりに来日した。

 彼の印象に残ったのは、『失われた10年』を経た日本が、こんな経済的苦境の中で、10年前と同じく平和で、清潔で、人々は礼儀正しくて、素晴らしいと。

 『忍耐、楽観、勤勉そして奮闘。日本は現在困難に直面しているが、天はきっと見捨てない。寒い冬を乗り切れると信じる』とはっきり書いている。

 あの歌は、1977年ごろの歌で、歌っている内容は高度成長期の日本。故郷に残した年老いた両親と兄、故郷の風景や思い出が都会で働く原動力だというもの。

 『私もそうだ』と。『貴州省の山奥の少数民族地区に貧しい両親を残したまま奮闘努力してここまできた』と。『この歌を何百回聴いても目頭が熱くなる』と。

 中国の高度成長期を、彼は走り抜いてきたわけです。

 でも、大事なのは、ビル・ゲイツもスティーブ・ジョブズも、日本にそこまで思い入れがない。この人は、日本人の生き方に共鳴しちゃった」

 田代氏は貧しい中から身を立てた任氏が中国共産党とのコネもない中でファーウェイを創業し、世界シェアトップの通信企業に成長させた歴史を紹介しました。

 田代氏によると、ファーウェイは2018年売上高前年比21%増の1085億米ドル(約12兆円)で、従業員は2017年に世界全体で18万人以上、従業員の出身国は170カ国以上、約70%が現地採用とのことです。

 田代氏は「すでにグローバル企業、多国籍企業。はたしてこんな状態で、人民解放軍の代わりに情報収集活動ができるんでしょうか? 現地採用7割ですよ。たちまち通報されるでしょう」と語り、「ファーウェイスパイ企業説」を否定しました。

 田代氏は「世界人口の約3分の1、24億人分の通信環境のどこかには、ファーウェイが関与しています。日本でももちろん。

 たとえば、福島第一原発事故が起きた時に、あのあたりは携帯電話網が途絶しました。ところが、ファーウェイの日本法人が真っ先に入って、放射能防護服を技術者に着させて、基地局を復旧させた。

 先日タイで起きた、洞窟に子どもたちが取り残された事故。あれもすぐに映像が流れたのは、タイの政府だったか軍だったかがファーウェイに頼んで、ケーブルを引かせたんです。驚くべき技術ですよね。

 あと、北京オリンピックの時に、チョモランマを聖火が通ってきたのを、実況中継しましたよね。あれもファーウェイ。

 ああいうことをやることで、例えばアフリカなり、中南米、中央アジアでも、過酷な環境にあるところの人が、どこに頼むかですよ」

 そして、世界全体でスマートフォンの出荷数が減っている中、ファーウェイは2018年に前年比30.7%増の2億台を突破し、サムソン、アップルに次いで世界第3位になりました。

 インタビューはこのあと、5G通信技術でファーウェイが世界をリードしていることについて触れ、同業他社が半導体メーカーからチップセットを購入している中、ファーウェイはチップセットも自社開発していることなどについてうかがいました。

 田代氏によると、ファーウェイは2017年に日本企業80社以上から約4916億円分の部品・材料を調達しました。その額は2018年には6700億円(前年比36%増)と、日本最大の輸出相手国である中国への輸出額の4%に達する見込みです。

 米国の言いなりにファーウェイを日本から完全に排除したら日本の経済には大打撃となります。

 田代氏は「技術というのは作ってしまった方の勝ち。ファーウェイが10年以上かけて新技術を磨き上げていた間、日本は中央研究所を閉鎖し、技術をいじめていた」と語り、博士号取得者を採用しない日本企業を批判しました。

 詳しくはぜひ、本日の再配信をご視聴ください。

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【緊急シリーズ特集!コロナ禍の陰で着々と進む戦時独裁体制樹立の改憲!今国会での改憲国民投票法強行採決を許すな!! 27・IWJ_YouTube Live】20:00~
米国もイスラエルも中国にすり寄っている!? 米国はファーウェイを排除する気など毛頭ない!? 5Gの実現によって激変するデジタル覇権の行方!~ 3.5 岩上安身によるインタビュー 第927回 ゲスト 中国通エコノミスト・田代秀敏氏 (3)
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

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 それでは、本日も1日よろしくお願いします。

IWJ編集部(岩上安身、尾内達也、城石裕幸、木原匡康、仲川正紀、中村尚貴、浜本信貴、渡会裕)

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