日刊IWJガイド・非会員版「神戸学院大・上脇博之教授が内閣官房内閣総務官を相手取り情報公開請求訴訟!研究者6人を日本学術会議の会員として任命拒否した問題とひとつながり!」2020.10.15号~No.2954号


┏━━【目次】━━━━━━━━━━━━━
■はじめに~国家と情報・知識と民主主義の関係が問われている! 神戸学院大学の上脇博之教授が内閣官房内閣総務官を相手取り情報公開請求訴訟! 情報公開の問題は、菅政権に不都合な研究者6人を日本学術会議の会員として任命拒否した問題とひとつながり!
■【中継番組表】
■コロナ禍による経済悪化のため、9月1か月間のご寄付・カンパは月間目標額の26%にしか届かず! 10月も1日~12日で6%にとどまり、IWJの財政は大ピンチに! 会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、ぜひ、よろしくお願いいたします!
■<昨日の岩上安身によるインタビュー報告>怒涛の連続インタビュー2篇目!! 「敵基地攻撃能力の保有論」を煽る、とにかく武器を持ちたいという「プリミティブで子供のような欲望」! トランプでもバイデンでも対中強硬政策は変わらず! 新型コロナウイルスは米中覇権交代のトリガー!? 岩上安身による東アジア共同体研究所須川清司(すがわきよし)上級研究員にインタビュー!
■岩上安身の日本学術会議任命拒否問題をめぐる4連続インタビュー! 16日の金曜日は立憲デモクラシーの会事務局長の小原隆治早稲田大学教授にインタビュー! 19日の月曜日には横浜大学名誉教授の矢吹晋氏にインタビュー! 一昨日の松宮孝明立命館大学法科大学院教授インタビュー、昨日の東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員インタビューとあわせて、怒涛の1週間4本連続インタビュー!! しかも中身が全部つながっています!!
■菅総理が内閣官房参与に「あの」高橋洋一・嘉悦大教授を起用! 置き引き事件、アベノミクス礼賛、そして、日本学術会議に関する甘利議員のデマ拡散と同会議に対する根も葉もない中傷ツイート!! 菅政権の軍備拡張計画に、国債増発でサポートする危険性!?
■<録画配信告知>本日午後8時から「『都構想』2度目の市民投票へ メディア向け 住民投票―講演:今井一氏(ジャーナリスト)」の録画配信を行います!!
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■はじめに~国家と情報・知識と民主主義の関係が問われている! 神戸学院大学の上脇博之教授が内閣官房内閣総務官を相手取り情報公開請求訴訟! 情報公開の問題は、菅政権に不都合な研究者6人を日本学術会議の会員として任命拒否した問題とひとつながり!

 おはようございます。IWJ編集部です。

 昨日、14日、岩上安身インタビューにたびたびご登場されている神戸学院大学の上脇博之教授が、内閣官房内閣総務官を相手取り、大阪地裁に提訴しました。

 訴状によれば、内閣官房に対して行った、行政文書管理の細則等の内規に関する情報公開請求について、内閣官房が開示決定期限の延期を行ったことが違法であるとの趣旨です。

 上脇教授によると、今回の提訴の目的は、情報公開法で原則、30日以内に開示とあるのに、最近では、さらに、30日の延長が乱発され、事実上、30日以内の開示決定の原則が破られていることを批判する提訴ということです。

 上脇教授は、「訴訟しないと国は改めないのです」と述べ、現在の民主主義国家の原則である法治主義が根本から揺らいでいることに危惧の念を表明しています。

 今回、上脇教授が情報公開請求した行政文書は、行政文書管理の細則等の内規に関する文書で、いわば、内閣官房内の文書管理を統括する内規に関する文書です。内規とは、特定の組織・団体の内部における規定・規則のことで、当の組織・団体の外部には適用されないものです。情報公開されなければ、外部からはうかがい知れない規則なのです。

 これが公開されると、内閣官房の文書管理の全貌が白日の下にさらされることになります。そもそも、情報公開法に則って、内規を運用しているのであれば、即公開しても、なんら、疚しいところはないはずです。

 訴状は、「行政機関の長は、『事務処理上の困難その他正当な理由がある』ときは、『30日以内に限り延長することができる』と定めている(同法第10条第2項)が、原告の上記情報公開の本件対象文書は、いわゆる公文書管理法(公文書等の管理に関する法律)や、内閣官房内において、既に定められている内閣官房行政文書管理規則において定められている文書であり、かつそれらにもとづき職員が毎日事務を行っているのであるから、極々短時間で確認できる文書である。

 たとえ多忙であったとしても、あえて何日間もの日数を要して探し出す必要はない」と指摘しています。

 なぜ、民主主義の根幹である市民の知る権利を、内閣官房は姑息に妨害しようとするのでしょうか。

 上脇教授は「私は、内閣官房には、他に幾つかの情報公開請求をしており、上記内規を公開すると、内閣官房内の文書の管理のあり方がわかってしまうので、公開を遅らせたいのでしょう」と推測しています。

 現代の民主主義社会において、情報と知識は非常に重要な意味を持っています。この上脇教授の提訴は、菅政権に不都合な研究者6人を、日本学術会議の会員として任命拒否した問題とひとつながりのものです。

 これまで、上脇教授が、情報公開について問題提起したものに、黒川氏定年延長問題での「閣議決定前文書」があります。これについて、IWJは上脇教授にZoomによるインタビューを行っています。ぜひ、あわせて御覧ください。

※黒川氏定年延長の「閣議決定前」文書、じつは閣議後に法務省等が「作文」!? 安倍内閣が「辻褄合わせ」指示した文書を出せ!! と国を提訴した神戸学院大学・上脇博之教授にIWJ仲川正紀記者がZoomで直撃インタビュー! 2020.6.2
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/475683

 また、上脇教授による情報公開訴訟には、ほかに、使途不明・領収書なしの内閣官房機密費に対する情報公開訴訟で最高裁が一部文書の開示を命じた判決に関するものがあります。ぜひ、こちらも御覧ください。

※政治とカネの闇の中枢に切り込むか!? 使途不明・領収書なしの内閣官房機密費に対する情報公開訴訟で最高裁が一部文書の開示を命じる判決!~原告団の要請書を内閣府は受け取り拒否! 2018.1.19
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/409947

 さらに、加計学園問題に関する情報公開請求訴訟に関して、IWJは記者会見を取材しました。あわせてぜひ御覧ください。

※情報公開制度の崩壊!? 理事会議事録の不開示と黒塗りの設計図面!! ~9.26加計学園問題に関する情報公開請求訴訟を提訴することに関する記者会見 2018.9.26
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/432354
 
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

◆中継番組表◆

**2020.10.15 Thu.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch4】13:00~「第5回『学術会議任命拒否問題 野党合同ヒアリング』―内容:日本学術会議による政府への勧告が10年間ないとの批判および日本学術会議が発表してきた答申・声明・報告・回答・要望などの実績について、日本学術会議 大西隆元会長、内閣府、内閣法制局、防衛省より」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch4

 「学術会議任命拒否問題 野党合同ヒアリング」を中継します。これまでIWJが報じてきた学術会議任命拒否問題関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%ad%a6%e8%a1%93%e4%bc%9a%e8%ad%b0%e4%bb%bb%e5%91%bd%e6%8b%92%e5%90%a6%e5%95%8f%e9%a1%8c
———————-

【IWJ・Ch4】14:00~「野党合同国対ヒアリング ―内容:持続化給付金の千人を超える不正受給問題、経産省による一般社団法人への1兆3千億円の支出、GoToトラベルの事業費の内訳などについて、経済産業省、国土交通省、内閣官房より」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch4

 野党合同国対ヒアリングを中継します。これまでIWJが報じてきた野党合同ヒアリング関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e9%87%8e%e5%85%9a%e5%90%88%e5%90%8c%e3%83%92%e3%82%a2%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%82%b0
———————-

【録画配信・大阪 IWJ_YouTube Live】20:00~「『都構想』2度目の住民投票へ メディア向け 住民投票〈特別セミナー〉―登壇:今井一氏(ジャーナリスト)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 10月3日に収録した、「 [国民投票/住民投票] 情報室」主催のセミナーを録画配信します。これまでIWJが報じてきた大阪都構想関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E9%83%BD%E6%A7%8B%E6%83%B3

========

◆中継番組表◆

**2020.10.16 Fri.**

あくまで予定ですので、変更、中止、追加などがある場合があります。また電波状況によっては、安定した中継ができない場合もございますので、ご了承ください。

【IWJ・Ch5】13:00~「10・15 国士舘大学文学部【石橋教授解雇・津田教授降格】事件 東京地裁判決 記者会見」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_ch5

 「東京中央法律事務所」主催の記者会見を中継します。これまでIWJが報じてきた労働問題関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%8a%b4%e5%83%8d%e5%95%8f%e9%a1%8c
———————-

【IWJ・エリアCh5・東京】18:00~「原発反対八王子行動」
視聴URL: https://twitcasting.tv/iwj_areach5

 「キンパチデモ実行委員会」主催の原発反対八王子行動を中継します。これまでIWJが報じてきたキンパチデモ実行委員会関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/kinpachi-demo-executive-committee
———————-

【IWJ_YouTube Live】19:00~「岩上安身による立憲デモクラシーの会事務局長・小原隆治早稲田大学教授インタビュー」
視聴URL:https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

 岩上安身による立憲デモクラシーの会事務局長・小原隆治早稲田大学教授インタビューを中継します。これまでIWJが報じてきた小原隆治氏関連の記事は以下のURLから御覧いただけます。
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/tag/%e5%b0%8f%e5%8e%9f%e9%9a%86%e6%b2%bb

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

◆昨日アップした記事はこちらです◆

前川喜平・元文部科学事務次官が杉田和博房副長官が学術会議任命拒否の6人の調査を指示した可能性を指摘!~10.13 第4回「学術会議任命拒否問題 野党合同ヒアリング」内閣府、内閣法制局
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/482643

尾崎治夫東京都医師会会長「来夏開催予定の五輪は、今まで通りの開催では医療界の立場としては、難しいと言わざるを得ない!!」他方、コロナ禍の中、今年の6月から自殺者が急増している現状を強く憂慮!!~10.13 東京都医師会記者会見
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/482665

◆昨日テキストアップした記事はこちらです◆

コロナで親子収入減なのに、学費減免対象年収下げられ、支援なくし退学も!! 怒りが支援受ける弱者層に向き「分断」が!! ~10.12 コロナ禍での学費と奨学金への支援の要請に関する記者会見─大内裕和中京大教授と中央労福協会長・事務局長
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/482571

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

■ コロナ禍による経済悪化のため、9月1か月間のご寄付・カンパは月間目標額の26%にしか届かず! 10月も1日~12日で6%にとどまり、IWJの財政は大ピンチに! 会員登録と、ご寄付・カンパによるご支援を、ぜひ、よろしくお願いいたします!

 皆様、いつもIWJへの温かいご支援、本当にありがとうございます。岩上安身とスタッフ一同、心から感謝いたします。

 岩上安身の血中酸素飽和濃度が、通常の人より10%程度低い水準になっていることは、連日この日刊IWJガイドでもお伝えしていますが、このような状態が続くと、脳機能の低下や仕事の作業効率の問題だけでは済まず、狭心症の発作といった致命的な事態にも至りかねません。

 岩上は、狭心症の突然の発症時に用いるため、肌身離さずニトログリセリンを持ち歩いていますが、夜中に睡眠薬が深く効いている状態で、冠攣縮性狭心症の発作に襲われれば、枕元においてあるニトログリセリンに手をのばすことも、携帯電話で119番に電話することもできず、手遅れになる可能性もありえます。

※【検証レポート】2015年1~2月、岩上安身が北の大地で倒れるまでの道程~IWJスタッフあてメールも検証。「心臓の動脈の痙攣」を引き起こしたストレス、過労の実態と、追い打ちをかけた「世界の危機」の正体 2015.3.5
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/237316

※2018年10月30日夜、再び冠攣縮性狭心症の発作に見舞われた岩上安身!~ 発作以降、体調は一進一退が続くものの、療養に専念しつつ必ず復帰することを誓う!
https://iwj.co.jp/wj/open/condition_report

 IWJは現在、未曽有の財政的にピンチにあり、岩上安身は全力投球で仕事に臨みたいと願っています。

 しかし、命にはかえられません。この睡眠障害と、睡眠時無呼吸症候群と、鼻呼吸ができない鼻づまりを起こす肥厚性鼻炎の悪化という三重苦を打開すべく、今月中に本格治療・手術へと臨みます。クリニックから紹介状を書いてもらい本日15日には総合病院の耳鼻科を受診します!

 体調はともかく、岩上安身の気力は横溢しており、闘病へも前向きです! 手術や酸素吸入療法も苦しいかもしれませんが「必ず復活して酸素飽和濃度を99%に戻す!」と毎日周囲に、そして自分自身への励ましを込めて喝を入れてます!

 どうぞ岩上安身のこの窮地をご理解賜り、ご支援いただけたら幸いです。

 IWJの第11期は8月1日からスタートして2か月が過ぎました。しかしながら、8月のカンパ総額は月間目標額の36%にしか届かず、9月は月間目標額の26%の達成率にとどまっています。

 この結果、10月の月間目標額は9月の不足分が加算された995万3340円となりました。10月も3分の1以上が経過しましたが、10月1日から12日までのカンパ総額は約57万9861円であり、約6%の達成率です。

 9月は8月よりも達成率が大きく低下してしまいましたが、10月もこのままではさらに低い達成率となってしまいます。今月はキャッシュフローが足りず、借り入れが必要になりそうです。これでは、もはやIWJは秋以降、これまでのような活動を継続することはできそうにありません。

 岩上安身は、必ずこの危機を乗り越えて復活する!と周囲に宣言していますし、我々スタッフも治療を終えて、血中の酸素飽和濃度99%の身体に戻って、フル回転するようになると信じています!

 私たちは、岩上安身がフル回転して最前線に戻ってくるまで、何としても活動を継続していきたいと強く願っています。そのためには、市民の皆様のお支えがぜひとも必要です! このコロナ危機によるピンチに際し、ぜひ、会員登録と、ご寄付・カンパによる緊急のご支援を、ぜひ、よろしくお願いいたします!

 また、ご友人や知人にぜひ、IWJの活動をお知らせいただき、ご支援の輪を広げていただけるようお願いいたします! ぜひ、みなさまのお力で、SNS等を使って、IWJの良い点、優れた点を、口コミでお知らせいただければと思います。10月13日時点で会員登録いただいている会員様の総数は、4256名です。この数を皆様とともに、ぜひ伸ばしていきたいと考えております! 

 コロナ禍の状況で皆様にご寄付・カンパのお願いを続けることは心苦しいことではありますが、特定のスポンサーに頼らない独立メディアであるIWJが、活動を継続していくためには、市民の皆様の会費とご寄付・カンパによるご支援が欠かせません! 皆様と一緒に私たちもコロナ危機を何としても乗りきりたいと思います!

 下記URLに、ご寄付・カンパくださった皆様のお名前を記して感謝の意を捧げております。ぜひ御覧いただければと存じます。

※いつもIWJをご支援いただき、ありがとうございます。取材・報道活動にお力添えいただきましたみなさまへ心より御礼を申し上げ、お名前を掲載させていただきます<ご寄付・カンパのお礼とご報告>
https://iwj.co.jp/info/whatsnew/category/information/donation

※ご寄付・カンパのご支援はこちらからよろしくお願いいたします! 1000円からクレジットカードの使用も可能です。ぜひご検討ください。
https://iwj.co.jp/join/pleasehelpus.html

■<昨日の岩上安身によるインタビュー報告>怒涛の連続インタビュー2本目!! 「敵基地攻撃能力の保有論」を煽る、とにかく武器を持ちたいという「プリミティブで子供のような欲望」! トランプでもバイデンでも対中強硬政策は変わらず! 新型コロナウイルスは米中覇権交代のトリガー!? 岩上安身による東アジア共同体研究所須川清司(すがわきよし)上級研究員にインタビュー!

 岩上安身は14日午後7時過ぎより、東アジア共同体研究所須川清司(すがわきよし)上級研究員にインタビューを行いました。怒涛の連続インタビュー2本目になります。

 2020年6月15日、河野太郎防衛大臣が突如発表した、新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備撤回以後、その代替案として自民党内から急浮上してきた「敵基地攻撃能力の保有」論、そして「洋上イージス案」。東アジアにおける安全保障環境の大きな変化の実態、米中覇権争いと、どのような関係にあるのでしょうか。東アジア共同体研究所の上級研究員である須川清司氏におうかがいしました。

 須川氏は、岩上安身と同年齢で、早稲田大学政治経済学部卒。住友銀行を経て、シカゴ大学大学院で修士号を取得、1996年からは民主党に勤務し、政策調査会及び役員室部長代理として、外交安全保障、金融、地方分権等を担当してきました。

 その間、1999年から2000年にかけて米国シンクタンクのブルッキングス研究所客員研究員を務め、2009年から2012年まで内閣官房専門調査員、2013年から2020年までは民主党などで政策調査会部長をつとめ、2020年4月より東アジア共同体研究所の上級研究員となりました。

 須川氏はワシントンDCにあるブルッキングス研究所での衝撃の体験を語りました。2000年5月、日本の外交防衛関係の与党大物議員団が、ブルッキングス研究所を訪問。須川氏は米側の一員として日本からの日本の議員団を出迎えたといいます。

 そのとき、団長格の国会議員は開口一番、「日米防衛協力ガイドラインにもとづき、日本は昨年、周辺事態安全確保法を成立させました。次にわれわれが何をすればよいか、今日は教えを請いに参りました」と述べたといいます。自発的対米隷従国家・日本の「指示待ち」発言に、米国人同僚の前で「穴があったら入りたいというのはこういうことだと思った」と振り返りました。

 岩上は、かつては日本の独立と周辺諸国との共存にむけて「自由民主党」を創立した石橋湛山や鳩山一郎と、米国に従属しようとする岸信介の両極が自民党の中にあったが、今の自民党からは湛山の極がなくなってしまったと嘆きました。

 敵基地攻撃論に関して、岩上が自民党は中露北をまとめて敵に回す可能性について考えているのかと問うと、須川氏は、従来の日米関係の「盾と矛」の関係が変わっていくのではないかという見通しと、核保有国に対して懲罰的抑止力になるほどの抑止力を持てるのか、抑止力を持つとすればどれだけになるのかといった大きな視野を欠いた自民党の議論は、日本も核保有したいだとか、とにかく武器を持ちたいという「プリミティブで子供のような欲望に見える」と評しました。

 そして、須川氏は、日本の思考の「日本は相手国民のナショナリズムを理解していないのではないか。攻撃という時には、相手国民のナショナリズムについても考えておく必要がある」と指摘しました。

 また、米国の対中政策との関係について、須川氏は、トランプ大統領だから強硬な対応をしていると見ている向きもあるが、アメリカ・ファーストのトランプ政権よりも、民主党のバイデン氏が大統領になった方がさらに強硬になる可能性が高いと指摘しました。

 そして、米軍側としては、在日米軍基地などに中距離弾道ミサイルを配備することができるか否かが戦略の肝になると指摘し、海外のジャーナリストに聞いた話として、インタビューした米軍人は「日本は敵基地攻撃論で中国やいろいろな国に攻撃をかけると言っている。在日米軍がミサイルを配備しても嫌とは言わないだろう」と言ったというエピソードを紹介しました。須川氏は、「両者が連動してくるのではないか」と指摘しました。

 つまり、自民党がさかんに進めようとしている「敵基地攻撃能力の保有」論は、米国側から見れば日本を米国の「コマ」として利用するのに好都合ということに他なりません。

 インタビュー後半では、須川氏が現在、東アジア共同体研究所のメルマガ『Alternative Viewpoint 』で連載中の「米中対立時代の安全保障論議」で、「敵基地攻撃能力の保有」を中心にお話をうかがいました。

 オバマ政権、トランプ政権における米国の安全保障政策の変化、そして、米国が変化せざるを得ない大きな脅威となった中国の2000発とも言われるミサイルをはじめとする近代的な軍事力、コロナが及ぼした米中の覇権争いへの影響と覇権の行方、「第一列島」線周辺諸国における米軍の戦略、などについて語っていただきました!

 一部オープン【10/14 19時~ライブ配信】詳しくは、ぜひ動画をご視聴ください。
URL: https://www.youtube.com/watch?v=6p-Xpud-xK0

 また、須川氏には次回、続編となるインタビューを行う予定です。ぜひ、続けてご視聴ください!

■岩上安身の日本学術会議任命拒否問題をめぐる4連続インタビュー! 16日の金曜日は立憲デモクラシーの会事務局長の小原隆治早稲田大学教授にインタビュー! 19日の月曜日には横浜大学名誉教授の矢吹晋氏にインタビュー!一昨日の松宮孝明立命館大学法科大学院教授インタビュー、昨日の東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員インタビューとあわせて、怒涛の1週間4本連続インタビュー!! しかも中身が全部つながっています!!

 16日金曜日には、小原隆治(こはらたかはる)早稲田大学教授にインタビューを行います。小原教授は政治学・行政学が専門で、立憲デモクラシーの会事務局長です。10月2日に日本学術会議問題について、いち早く官邸前抗議を呼びかけ、3日の抗議行動には300人が集まりました。

 また、6日には立憲デモクラシーの会として声明を発表し、記者会見を行いました。

※立憲デモクラシーの会が「『菅義偉首相による日本学術会議会員の任命に関する声明』記者会見」を衆議院会館で開催!IWJ記者が菅総理の軍事研究を進めたいという意図について直撃質問!! 2020.10.6
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/482178

 小原教授は、この記者会見の中で、次のように述べました。

 「菅総理は『ふるさと納税』という筋の通らない税制を作ったので、『またやったな』と思いました。しかし、その後の菅総理や加藤官房長官の対応を見ておかしいと思いました。前例踏襲は当然。なのに説明をきちんとしない。官房長官の時は『ご指摘は当たらない』で済んだかもしれないが、総理になってもこれでは、とカチンときています」

 日本学術会議問題についていち早く抗議行動を呼びかけた小原教授が、岩上安身のインタビューの中で、専門の行政学の視点から、国家と学問・科学と民主主義との関係や、日本の学界の軍事研究への傾斜といった問題をどう分析し、どういう発言をするのか、注目されます。

 さらに、岩上安身は来週月曜日19日、横浜市立大学名誉教授の矢吹晋氏にインタビューを行います。

 矢吹氏は1958年東京大学教養学部入学。駒場寮中国研究会の1年先輩に60年安保闘争で死亡した樺美智子氏、同期に西部邁氏がいたそうです。矢吹氏は樺美智子氏が亡くなった1960年6月15日の国会南門でも樺氏の前列でスクラムを組んでいたといいます。

 また、矢吹氏は1962年に東京大学を卒業すると、東洋経済新報社に入社しました。当時、日中・日韓問題に強かった東洋経済で、矢吹氏は、大原万平論説主観にかわいがられ、石橋湛山邸や別荘に連れて行ってもらったそうです。矢吹氏は生前の石橋湛山を知る数少ないひとりであり、石橋湛山の訪中と毛沢東との会見なくして、のちの田中角栄による訪中、日中国交回復はなかったと述べます。

 石橋湛山は、戦中は朝鮮や台湾などの植民地を放棄すべし、大日本主義を捨てて小日本主義に立つべし、と堂々と論じ、帝国主義の非経済性と戦争の反対を訴えた、大ジャーナリスト・大言論人です。

 自民党の創設者であると同時に、こんにちのアベ・スガ的自民党の政治家たちが失ってしまった美質をことごとく備えていた偉大な政治家でした。

 1955年保守合同によって自由民主党が結成された際、第1回目の党総裁選で、岸信介を破って初代の自民党総裁、そして第55代内閣総理大臣の座につきました。

 19日のインタビューでは、日中の戦後史を振り返るとともに、60年安保、石橋湛山の構想は今なお有効であるといった話などもおうかがいます。

 岩上安身は一昨日の松宮孝明立命館大学法科大学院教授、昨日の東アジア共同体研究所・須川清司上級研究員インタビューとあわせて怒涛の1週間4本連続インタビューとなります!

 これらのテーマは、別々の話のようで、国家と学問・科学と民主主義の関係を問い、日本の再軍事化を批判するという点で、実は全部つながっています。 ぜひ、応援をよろしくお願いいたします!

■菅総理が内閣官房参与に「あの」高橋洋一・嘉悦大教授を起用! 置き引き事件、アベノミクス礼賛、そして、日本学術会議に関する甘利議員のデマ拡散と同会議に対する根も葉もない中傷ツイート!! 菅政権の軍備拡張計画に、国債増発でサポートする危険性!?

 政府が10月13日、内閣官房参与の新人事を発表しました。内閣官房参与とは、「内閣官房に参与を置く規則(昭和62年11月7日内閣総理大臣決定)」にもとづき、内閣官房に置かれる非常勤の一般国家公務員職のひとつ。総理大臣の諮問に応じ、専門的な立場から総理に直接情報提供や助言などを行う役目です。

 つまりは総理大臣の「ブレーン」的存在であり、実際、総理大臣が直接任命するのですが、この「内閣官房参与」に、このたび以下の6人が任命されました。

・岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長(感染症対策)
・熊谷亮丸・大和総研専務取締役(経済・金融)
・高橋洋一・嘉悦大学教授(経済・財政政策)
・中村芳夫・日本経済団体連合会顧問(産業政策)
・宮家邦彦・立命館大学客員教授(外交)
・村井純・慶應義塾大学教授(デジタル政策)

※令和2年10月13日(火)午前 内閣官房長官記者会見(首相官邸)
https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202010/13_a.html

※報道発表 内閣総理大臣辞令(内閣官房)
https://www.kantei.go.jp/jp/content/20201013_houdou.pdf

 終息の兆しも見えない新型コロナ・パンデミックの真っ只中にあって、このたびの人事で目を引くのは、まずは岡部信彦氏の就任でしょう。

 感染症対策を担うことになった岡部氏は、元感染研感染症情報センター長。ワクチンメーカーが潤うことが社会防衛につながるという身も蓋もないロジックで2007年から推進された、「ワクチン産業ビジョン」の検討会のメンバーでもありました。

 日本における新型コロナ感染症のアウトブレイク後は、政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」(2020年7月3日に「新型コロナウイルス感染症対策分科会」に改組)のメンバーを務めています。

 しかし、「致死率1%前後で若い人までが死んでしまうような感染症ではないから重大ではない」といった趣旨の発言をしたり、PCR検査の必要性を否定したりと、コロナの徹底的な封じ込めに積極的とは逆立ちしても言えない人物です。

※【IWJ検証レポート!】新型コロナ対策の政府専門家会議を牛耳り、検査過少路線へとミスリードする「国立感染症研究所」の闇を切る!731幹部の生き残りは米軍とともに戦後も人体実験を行っていた!(後編:戦後) 2020.3.29
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/471195

※北半球で日本だけコロナ終息せず…世界と真逆の対策で第二波招いた“感染症ムラ”の病巣(上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長)(Business Journal、2020年8月9日)
https://biz-journal.jp/2020/08/post_172532.html?

 「GoToトラベル」や「GoToイート」といった、コロナ封じ込めとは逆行するキャンペーンが張られる中、そんな人物を政府のコロナ対策のブレーンに据えて果たして国民の健康と生命はしかるべく守られるのか、不安の一言しかありませんが、不安を通り越して唖然とさせられるのは、高橋洋一・嘉悦大教授の登用ではないでしょうか。

※ここから先は【会員版】となります。会員へのご登録はこちらからお願いいたします。ぜひ、新規の会員となって、あるいは休会している方は再開して、御覧になってください!
https://iwj.co.jp/ec/entry/kiyaku.php

——–

■<録画配信告知>本日午後8時から「『都構想』2度目の市民投票へ メディア向け 住民投票―講演:今井一氏(ジャーナリスト)」の録画配信を行います!!

 先日の日刊IWJガイドでもお知らせしたように、11月1日投開票となる「大阪市廃止・特別区設置住民投票」いわゆる「大阪都構想」の賛否を問う住民投票が、10月12日に告示となりました。

※大阪市廃止・特別区設置住民投票(大阪市選挙管理委員会)
https://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu240/jumin/index.html

 「大阪都構想」は、2025年に大阪市を廃止し、北区、淀川区、中央区、天王寺区の4つの特別区に再編しようとする構想。市町村復興や高校に加えて、成長戦略や観光、水道などといった広域行政は大阪府が、一方、保健福祉や小中学校などといった基礎行政は特別区が行うことで、二重行政を解消するという大阪維新の会の看板政策です。

※なんで!? 都構想が必要なん?(大阪維新の会)
https://oneosaka.jp/tokoso/question.php

※大阪住民投票(NHK NEWS WEB, 閲覧日:2020年10月14日)
https://www.nhk.or.jp/senkyo2/osaka/16878/skh49484.html?utm_int=detail_contents_news-link_001

 「都構想」をめぐっては、5年前の2015年の5月に住民投票が行われましたが、自民、公明、民主、共産各党の地方組織はこれに反対を表明しました。結果的に、「都構想」は反対70万5585票、賛成69万4844票の僅差で否決されました。これにより、橋下徹元市長は政界を引退すると表明しました。

※大阪都構想の住民投票、僅差で否決 野党再編の行方にも影響(日本経済新聞、2015年5月18日)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG17H4S_X10C15A5MM8000/

 一方、11月1日投開票となる今回の住民投票では、大阪維新の会に加えて公明党が賛成にまわっています。ABCテレビとJX通信が共同で10日と11日に行われた共同世論調査では、賛成が45.4%、反対42.3%となっており、賛成が優勢となっています。

※大阪都構想2020 住民投票(ABCテレビ、閲覧日:2020年10月14日
https://www.asahi.co.jp/abc-jx-tokoso/

 先述したように、大阪維新の会は、府市の二重行政の解消が必要だとして「都構想」を提唱してきました。しかし、これまで大阪市に入っていた財源が大阪府に入り、府が特別区に予算を振り分けることになることから、「住民サービスの低下は必至」との批判が絶えません。

 大阪維新の会は「改革効果」として、市民プール、スポーツセンター、老人福祉センター、子育てプラザなどの大幅な削減を掲げた財政シミュレーションを示しています。一方、特別区を設置することで、15年間で1300億円もかかるとされています。これまでの住民サービスを維持したくても財政的な制約は避けられないと言います。

※大阪市をなくす「都」構想――ここが問題 Q&A(しんぶん赤旗、2020年10月11日)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-10-11/2020101101_04_0.html

※【大阪都構想】市の財源が4分の1に減少、暮らしは不自由になり、府が吸い上げた財源は無駄な公共事業へ!?「都構想は、百害あって一利なし」日本共産党・清水忠史衆院議員が警鐘(聞き手:柏原資亮記者) 2015.5.1
https://iwj.co.jp/wj/open/archives/244266

 本日午後8時から、10月3日に収録した、ジャーナリストの今井一氏による大阪都構想に関する講演を録画配信します。

 今井氏は、新潟県巻町、岐阜県御嵩町、沖縄県名護市、徳島市、三重県海山町、滋賀県米原町など、各地でまき起こった住民投票の現地取材を積極的に進めると同時に、「住民投票全国ネットワーク」の結成に尽力してきました。

 今回の講演で今井氏は、(1)5年前の住民投票で、メディアが果たしたこと、(2)今回考えるべきこと、(3)住民投票の制度と事例の3つの観点から、今回の「大阪都構想」に関する住民投票について語っています。

 今井氏は5年前の住民投票の際に、投票に行った1000人に大規模なアンケート調査を示しています。今井氏は、今回大阪市が行っている説明会が基本的に賛同者しか質問できない状況である上に、周知化のために配布しているパンフレットが、都構想推進というのが大阪府議会・市議会の意思であるとしてあからさまに賛同を求めるものであるとして批判しています。今井氏は、自らが取材を行ってきた住民投票の事例を引き合いに出しながら、「主権者である市民とマスコミが大阪府と大阪市の姿勢を正すべき」と主張しています。

 詳しくは、本日午後8時からの配信を御覧ください。

———————————

【録画配信・大阪 IWJ_YouTube Live】20:00~「『都構想』2度目の市民投票へ メディア向け 住民投票―講演:今井一氏(ジャーナリスト)」
視聴URL: https://www.youtube.com/user/IWJMovie/featured

———————————

———–

———–

 それでは、本日も1日よろしくお願いします。

IWJ編集部(岩上安身、國府田響、六反田千恵、辻部亮子、塩澤由子、尾内達也、木原匡康)

※日刊IWJガイドのフルバージョンは下記URLよりご覧ください。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20201015

IWJ 株式会社インディペンデント・ウェブ・ジャーナル
岩上安身サポーターズクラブ事務局
公式サイト 【 https://iwj.co.jp/