2023年10月13日(金)午後6時より、東京都八王子市の船森公園において、第439回目の原発反対八王子行動が開催された。
参加者は以下のように、長崎県の対馬市における核燃料最終処分場選定をめぐる動きについて語った。
「今日持ってきたのは、長崎県の対馬市長が、対馬を核のごみ捨て場にしてはならないということで、最終処分場の調査を受け入れないということを表明したが、その辺りを、私の友人がこの対馬の方に旅行して、ずいぶん見聞きしたようで原稿をくれたので、読ませていただきたい」
<以下読み上げ>
「6月の対馬市議会の2023年第2回定例会で、長崎県建設業界、協会、対馬支部など4団体が連名で提出した文献調査受入れを求める請願書や、受入れ賛成派の出した請願書が合わせて2件、反対市民グループの出した文献調査受入れ反対の請願書が7件出されて、全体で9件の請願書が開会中に継続審議になりました。
8月16日の段階で、福島市議会特別委員会は、第1段階の文献調査受入れを求める請願書が、委員長を除く9名の賛成、7名の反対、1名の欠席で採決されました。
9月12日の第3回定例会において、対馬市議会の19名のうち、議長を除く10名が賛成、反対が8名の僅差で採択されてしまいました。
比田勝 尚喜(ひたかつ なおき) 市長は、9月議会の最終日に、市議会本議会で受入れの是非をめぐって、それぞれの主張による市民の分断が起こっていて、合意形成が不十分なことや、市役所などに寄せられる意見を踏まえると、風評被害が少なからず発生すると考えられ、特に観光業は韓国人観光客の減少など多くの影響を受ける恐れがあることを理由に、文献調査受け入れをしないと表明しました。
さらに双方とも、対馬市の将来を考えるような議論であったとも、『私としてはこの見解を以て、この案件に終止符を打ちたい』と述べたということが結末ですが、これからのことを考えると、文献調査を受け入れ派は住民投票実施を要望する動きもあります。
最盛期に7万人を超す人口を有した対馬ですが、最近3万人以下の人口になって過疎化が進行し、その対策がこの指定地域になっています。
最終処分場建設を受け入れることで、多額の交付金が恒久的に津島市に入り、それを地域振興に役立てるというのが、文献調査受け入れ派の主張です。
住民投票で過半数の賛成が得られれば、市長といえども多数の民意を無視できなくなるという意味です。
ひとたび文献調査を受け入れると、文献調査2年程度、概要調査が4年程度、精密調査14年程度と、最終処分場建設まで最短でも20年も先のことになりますが、3段階の各調査受入れで交付金だけもらって、途中で建設反対という方針は、なかなかできるはずがありません。
来年2月25日告示、3月3日投票の津島市長選挙が行われ、比田勝市長は既に立候補の予定です。
文献調査受け入れ派は反対候補を立てるような必死な状況ですから、この市長選が正念場になると思われます」
<以上まで読み上げ>
「特に住民投票というようなことはあるようで、まだまだ市長の表明だけでは終わらない感じがある。
でも市長の言ったことは本当にもっともなことで、確かに20年間の交付金よりも、自分たちが今起こしている観光業などの方、きちんとした地場産業としての構造を守っていかないと、島民の将来、本当に将来的な動きも生活を守れないということは、この市長がよくわかっていらっしゃるなと思いながら、私がいただいた原稿を読ませていただいた。対馬の動きも少し注目していきたい」
- 「交付金では代えられぬ」 核ごみ調査を拒否、対馬市長が語った理由(2023.9.28、朝日新聞)
- アイキャッチ:原子力政策さらに迷走…最終処分場選定に対馬市長が応募否定 それでも原発推進を譲らない岸田政権(2023.9.28、東京新聞)より