2023年10月6日(金)午後6時より、東京都八王子市の船森公園において、第438回目の原発反対八王子行動が開催された。
今回の最初の話題は、熊本県の水俣市議会における、福島原発事故汚染水に対する「言葉狩り」についてだった。
「水俣市 市議会9月定例会・本会議において、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出に対する水俣市の受け止め方についての質問で、検証みたいなものを書こうと考えた市議会の人たちが討論したところ、途中で代表者の方が『汚染水』という言葉を使ったら、地元議員から『汚染水という言葉は不適当』という言葉狩りがあり、発言の削除が提案され、それが通ってしまった。
この提案によって、その発言がないことになってしまった。
それに対して10月4日、『放射能汚染水の海洋放出に反対するくまもと市民の会』共同代表の方が、水俣市議会答弁削除に関しての抗議文を提出した。
『処理水という言葉を使わなかったから、市議会での発言をなくす(削除)』という大変ファッショ的なことが行われてしまった。
しかもこの水俣で、”あの水俣病”があった水俣で、このように発言を封じることはおかしいということで、出された抗議文をちょっと読ませていただきたい」
<以下抗議文の読み上げ>
【汚染水という言葉を用いた発言の削除に対して】汚染水という言葉は『風評被害を助長する』との可能性があるというのが理由でした。
政府・東電は8月24日、トリチウム以外の放射能汚染物質を除去した処理水を基準以下に薄めて放出するから、環境や人体には影響はないとして、海洋放出を開始しました。
処理水とされているものは、ALPS(多核種除去装置)でトリチウム以外の放射性物質を除去したものと言っています。
しかし今回の処理水が他の原発の処理水と決定的に違うのは、福島原発事故の燃料デブリに触れた汚染水であるということです。
このことに関して、福島原発のデブリの総量は880トンと言われています。遠距離操作ロボットで仮に1年間に1トン、これは全くありえない数字ですが、もし取り出されたとしても880年の歳月がかかる。途方もない数字なんだってことを言っています。
実際には処理水とされているもののうち、約7割でヨウ素129ストロンチウム・・・(参加者自身により中略)
トリチウムの影響については、専門家でも意見が分かれていますが、食物連鎖の中で濃縮が生じること、内部被曝でDNAが破損する恐れも指摘されています。
処理水として本当に安全と言える科学的根拠が示されておりません。放出時の濃度だけで安全と言われても信じ難いものです。
IAEAは安全であるとは断言しておりません。濃度規制のみで、放射能の総量規制はない。
風評被害が出るから処理水と名前を変えたとしても、国民の健康や環境に影響を与えないと断言することができるでしょうか?
水俣市は水俣病という特異な体験と歴史を持つところです。だからこそ多様な意見を大事にした建設的で活発な議論が求められるのではないでしょうか?
国に追随し、汚染水を処理水と言い換えることにより、二度と過ちを繰り返さないという反省と多様な議論が封じ込められてしまうことに、危機感を覚えます。
議員の発言を削除するのではなく、汚染水という言葉の持つ意味を議論していただきたいと思う次第です。(後略)
- 日本の水俣病被害者らが、処理水放出に反対(2023.9.5、parstoday(Iran))
- 汚染水発言の削除に抗議 熊本市民ら 水俣市議会(2023.10.4、熊本日日新聞)
- アイキャッチ:「汚染水」発言、水俣市議会の一般質問で共産議員 保守系議員が削除要請(2023.9.12、熊本日日新聞)