2022年10月13日(木)午前9時15分より衆議院本館で、立憲民主党の寺田大臣脱税疑惑(野党合同)国対ヒアリングが行われた。
省庁からは、総務省、財務省、厚生労働省、法務省の担当者が出席した。
寺田稔総務大臣は関して、妻が代表を務める政治団体「以正会」が、地元秘書らへの報酬に関し源泉徴収を行わなかったことが、「脱税」状態ではないかとの疑惑を『週刊文春』が報じていた。『文春』によれば、大臣側の税理士は「(以正会が)源泉徴収の事務手続きを懈怠」していたとして、問題があることを認めた。
- 寺田稔総務相の説明に疑義 妻の政治団体“脱税疑惑”を裏付ける「税理士文書」公開(文春オンライン、2022年10月12日)
しかし、寺田大臣は10月7日の会見で、「雇用契約に基づく給与でなく、請負契約に基づく報酬」であり、「源泉徴収を行う必要はない」と説明した。
- 寺田総務大臣閣議後記者会見の概要(総務省ホームページ)
そこで立憲民主党が大臣に「請負契約」の書面か、「請負契約として完成すべき仕事の具体的内容」の提示を求めた。大臣は請負契約に契約書面は不要だとして、仕事の内容を「各人が独立して行う支持拡大の活動や突発的な案件への対応など」と回答した。
ヒアリングでは、立憲民主党の後藤祐一衆議院議員が、「支持拡大」や「突発的な案件への対応」などは「まさに秘書の仕事」だが、「このような漠然とした仕事が、請負契約で可能か」と質問。
厚生労働省の担当者は、「(雇用者が)実態に即して判断する。一般論としてはあり得る」と回答。
法務省は「請負契約は仕事を完成することが特色」だとしつつ、「無形でもよいとされており、数値で評価されるべきか、学説上の議論は不明」と断定を避けた。
これに関して立憲民主党の山井和則衆議院議員は、「請負か雇用かは(労働問題の)本質的な問題で、グレーゾーン」だが、「財務省出身で、税務署長も務め、地方税を管轄する総務大臣は、模範的な納税をすべき」と指摘。「契約書なしは無契約ともいえる。聞かれたら『請負だった』として、税金を払わなくてよいという行為が、日本中の前例となる」と批判した。
また、寺田大臣は、自民党支部と大臣の後援会が、事務所の賃料を、ビルを大臣と共有する妻に支払っていることから、政治資金を身内に還流した疑いももたれていた。
そのため立憲民主党は、大臣に対して、妻の納税関係書類の提出を求めていた。
これに対して大臣は10月12日、公認会計士による確認書という形で、妻が2012年から2021年の間、計2688万円を不動産収入として確定申告した旨を回答。大臣は13日の会見で「全く問題ない。価格は適正」と述べた。
- 寺田稔総務相「価格は適正」 妻に事務所賃料2688万円(毎日新聞、2022年10月13日)
ヒアリングについて詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。