自治体ごとに弔意強制の対応が異なる状況を「避けるための通知を出せないか?」の要請にも、政府は「国として弔意のお願いはしない」「それぞれご判断いただきたい」と丸投げ!~9.22 第9回 国葬に関する国対ヒアリング 2022.9.22

記事公開日:2022.9.25取材地: テキスト動画
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(取材、文・木原匡康)

 2022年9月22日(木)午後1時より、衆議院本館で、立憲民主党の第9回 国葬に関する国対ヒアリングが行われた。内容は、「日本人・外国人の参列者数、黙とうを行う自治体や教育委員会の数、案内状の送付数、参列者数、総額の公表時期」について。

 省庁の出席者は、内閣府から富永健嗣・内閣府大臣官房故安倍晋三国葬儀事務局参事官、外務省から柿原基男・大臣官房故安倍晋三国葬儀準備事務局次長、警察庁より高橋大作・警備局警備運用部警備第一課理事官、文部科学省より堀野晶三・初等中等教育局初等中等教育企画課長、柳澤好治・大臣官房総務調整官、総務省から西中隆・自治行政地域政策課長である。

 はじめに、事前に通告されていた質問項目に対する回答と事実確認が行われた。

質問1.「日本人と外国人の参列者は、それぞれ何人ですか。合計して何人ですか」

内閣府・富永参事官「日本人の参列者数はご返事をいただけていない方の確認を進めており、人数の確定には至っていない」

外務省・柿原次長「海外参列予定者は、最終数字はまだ確定していないが、全体で700人程度を見込んでいる」

立憲民主党・山井和則衆議院議員「締め切りは過ぎているだろうが、日本人は大体何人ぐらいか。それが確定して発表できるのはいつか?」

富永参事官「参列者数は国葬儀終了後すみやかに公表したい。現時点で確定に至っていない」

質問2.「今、国が把握している範囲で、自治体や教育委員会が、学校に黙祷を求めている事例は、いくつありますか。どの自治体ですか」

文部科学省・堀野初等中等教育企画課長「学校に黙祷を求めている教育委員会があるということは、一つも把握していない」

質問3.「案内状を送付したリストや参列者リストは、いつ公表されますか。黒塗りなく公表されますか。公表してもらうためには、情報公開請求しないと公表されませんか」

富永参事官「国葬儀終了後に、案内状の発送先と参列者の名簿を整理する。開示請求に対応する場合に限らず、公表する場合は、情報公開法のルールにのっとり、対応する」

山井議員「情報開示請求しなくても公表されるということは、私達の国対ヒアリングの場でも、くださいと言えば出してもらえるのか?」

富永参事官「整理が済んで、説明できる段階になれば、その時点で対応については相談したい」

山井議員「公表されるのは、だいたいいつくらいか?」

富永参事官「まだ時期までは言えない」

山井議員「全員黒塗りもあり得るのか?」

富永参事官「情報公開法で不開示情報の定めがある、個人情報などの定め、このルールにのっとり開示する」

山井議員「個人情報ということは、参列者一人一人の名前は公表されないということか?」

富永参事官「情報公開法で個人情報は不開示だが、一部、適用除外があり、公務員等について業務に関係する場合は開示するなど、いくつか定めがあり、それらにのっとる」

質問4.「国葬の総費用は、いつ公表されますか」

山井議員「国葬終了後に総費用は公表されるということだが、これはいつか?」

富永参事官「まだ時期については言えない」

山井議員「予算委員会では出していただくよう要望する」

質問5.「各省庁が今回、案内状を送付した名簿は、過去にどのような名簿を参考に決められたのか。何らかの名簿が元にないと発送できないと考えるが、桜を見る会の名簿ですか。あるいは、他の名簿ですか」

富永参事官「推薦を出していただく場合、名簿というより、たとえばその省庁の所管する分野に関係する団体の代表や、斯界(しかい)の有識者などを推薦する場合が多い」

 以上の回答をもとに、質疑が行われた。

立憲民主党・柚木道義衆議院議員「教委が黙祷を求める事例は把握してないとのことだが、例えば茨城県では、『県は半旗掲揚を求めないのに、笠間市は国葬儀として国が行うことを決定したことを尊重し、各学校に通知を出した』と報じられており、県と市がバラバラだ。同じ県でも、自治体が半旗や黙祷を決めれば弔意の強制になりうる。そういうことがあり得るのか、ないのか?」

文部科学省・堀野初等中等教育企画課長「半旗掲揚は各自治体が適切に判断すべき。そういった意味で、都道府県も市町村もそれぞれ自治体なので、自治体の意思として、必ずしも都道府県と市町村が一致しない可能性はある」

柚木議員「これまでは、自民党内閣合同葬でも半旗掲揚などの協力を求めることもあったが、(国が求めないのは)今回初めてだ。国がやる行事なのに、自治体に丸投げしており、自治体も学校現場も教委も悩んでいる。これから悩むのは児童生徒だ。

 今日は、通知を出すとしたらぎりぎりのタイミングだ。現場は望んでいる、国が(方針を)示してほしいと。同じ県でも通う学校によって黙祷を強制されるなど、バラバラなことが起こる。これを避けるための通知を出してもらえないか?」

内閣府・富永参事官「今回、国民一人一人に喪に服することを求めるものではないことは、縷々説明している。国から弔意についてのお願いもしていないので、それぞれご判断いただきたい」

柚木議員「ということは、国の主催行事なのに、自治体に丸投げして、自治体によりバラバラで、生徒が弔意を強制されることが起こり得ると。そういうことになってしまうことも、自治体が決めることも容認するのか?」

内閣府・富永参事官「そこは国として、弔意のお願いはしない」

 その他、立憲民主党の山岸一生衆議院議員、小西洋之参議院議員、玄葉光一郎衆議院議員、他の各議員が質問を行った。

 ヒアリングについて、詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2022年9月22日(木)13:00~
  • 場所 衆議院本館 2F 第4控室(東京都千代田区)
  • 出席省庁 内閣府、外務省、警察庁、文部科学省

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