2022年2月24日(木)、千代田区の衆議院第二議員会館にて、2.24院内集会「サイバー警察局・サイバー特別捜査隊の新設は何をもたらすか?」が開催された。
1月28日に閣議決定され、今国会に提出されている警察法改正案では、警察庁で組織改正を行ない、同庁初の捜査機関となる「サイバー特別捜査隊」を新設することと、複数の局に分散していた関連部門を統合した「サイバー警察局」を設置することなどが示されている。
本集会では、その内容を検証し、大きな問題を孕む法案の成立への反対を呼びかけた。
集会では、日本共産党・塩川鉄也衆議院議員、立憲民主党・山岸一生衆議院議員、立憲民主党・真山勇一参議院議員、日弁連刑事法制委員会事務局長・山下幸夫弁護士の挨拶に続いて、法学者・関東学院大学名誉教授の足立昌勝氏の問題提起とレクチャーが行われた。
足立昌勝氏は、「『サイバー警察局』を設置し、重大サイバー事案での警察庁と各都道府県警察の共同処理を認めることは、戦後の改革で国家公安委員会および警察庁の犯罪捜査を認めず、地方警察が警察活動を行なうこととしたのを覆す、国家警察の復活となる」と指摘した。
また、足立氏は、「サイバーセキュリティ政策会議報告書」および河原淳平 警察庁長官官房サイバーセキュリティ・情報化審議官の発言を引用、分析し、「この警察法改正の主眼は、国境を越えるサイバー事案への対処を口実に、国際共同オペレーションに参加することだ。これは日本における警察制度を根本から変えるもの。警察力、警察活動の海外での活動を認めること」だと訴えた。
登壇した「共通番号いらないネット」の宮崎俊郎氏は、連帯の挨拶として、「サイバー領域は、SNSであったり、メールであったりという、私達の日常のコミュニケーションの場。ここに警察が介入してくるというのは、私達の日常が徹底的に監視され、通信の自由、表現の自由が管理されていくことに他ならない」と述べた。
終盤に集会に参加した、れいわ新選組代表・山本太郎衆議院議員は、次のように語った。
「今回のサイバー関連の法改正の問題は、市民の皆さんのロビーイングによって認識できた。まず、このきっかけをいただいたことにお礼を言いたい。
大変な法改正が、コロナ禍の今、災害便乗型とでもいうのか、シレッと通されることが許せない。
国家に逮捕権を含む捜査権を与えることの悲惨さを、我々は戦前、戦中と経てきた。それが生んだのは、国家に不都合な意見を持つ者への弾圧だった。
その反省にもとづくのが昭和22年の警察法。これが戦後日本のスタンダードだったのに、これが変えられようとしている。それに抗っていきたい」。
本集会に続いて、3月1日には衆議院議員会館にて、「サイバー警察局を新設する警察法改悪案を廃案に! 3・1院内集会」も開催される。
現在、足立氏を世話人代表とする署名活動「サイバー警察局・サイバー特別捜査隊の創設に反対する学者・弁護士共同声明」が、学者、研究者、弁護士を対象として呼びかけられており、3月2日には第一次集約がなされて両院の法務委員会と内閣委員会に提出される予定である。
詳しくは、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。