「スマホ開発での対中包囲網が築かれつつある」という日本の大マスコミの報道は信用できるのか!? グーグルがファーウェイのスマホに対するソフトウェア・アップデートを6月4日から行うことが明らかに!本件に関し中国通エコノミストの田代秀敏氏にIWJが取材! 2019.6.14

記事公開日:2019.6.14 テキスト
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(文:IWJ編集部)

 中国の大手通信機器企業のファーウェイをめぐる日本の大マスコミの報道は、米中対立を過度に強調するものが多く見受けられる。たとえば、6月8日の日本経済新聞は次のように報じている。

 「米フェイスブックは中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が今後新たにつくるスマートフォンについて、同社アプリの事前搭載を認めない方針だ。米政府の指示に基づいた措置。ファーウェイに対してはグーグルも基本ソフト(OS)の供給を止めるとされており、スマホ開発での対中包囲網が築かれつつある」

▲「HUAWEI P10」(Wikipediaより)

 まず、ファーウェイのスマホに対して、フェイスブックのアプリを事前に搭載しないことは、それほど重大なことなのか、疑問がわく。もともと搭載されているアプリしか、スマホ利用者が使用しないわけではないはず。ダウンロードすればいいだけの話ではないか。また、「グーグルも基本ソフト(OS)の供給を止めると」されている根拠も、上記の日経記事では定かではない。

 にもかかわらず、この記事では「スマホ開発での対中包囲網が築かれつつある」と結論を出してしまっている。違和感を覚えざるをえない。

▲田代秀敏氏(2019年5月31日 IWJ撮影)

 中国通エコノミストの田代秀敏氏は、5月31日の岩上安身によるインタビューの直後、ファーウェイをめぐる6月初めの動向について、情報をお寄せくださった。そこで、6月8日の前掲日経記事を受け、さらに田代氏にこの間の事情をうかがった。それらを以下、紹介していく。

記事目次

世界最大の技術者団体・米電気電子学会はファーウェイを排除を解除! グーグルはファーウェイのスマホに対するソフトウェア・アップデートを6月4日から再開するとの告知!

 6月に入り、ファーウェイをめぐって次のような報道があったことについて、田代氏より情報提供いただいた。

▲米電気電子学会のロゴ(Wikipediaより)

 世界最大の技術者団体・米電気電子学会(IEEE、本部ニューヨーク)は、5月29日にファーウェイとその従業員に対し、発行する学会誌の編集活動などへの参加を禁止することを明らかにしたが、わずか4日後、ニューヨーク時間6月2日に禁止措置を解除すると声明した。この件は、ロイターも中国メディアも報じた。

 他方、日本経済新聞においても、上記の経緯を報じている。にもかかわらず、日経は「スマホ開発での対中包囲網が築かれつつある」と前掲6月8日の記事で述べているのである。一体なぜなのだろう?

▲米国のグーグル本社(Wikipediaより)

 さらに注目すべき報道として田代氏が指摘したのは、グーグルがファーウェイのスマホに対するソフトウェア・アップデートを6月4日から行うとの告知を、ファーウェイ日本法人が発表していることである。こうした事実を見る限り、グーグルとファーウェイのビジネス上の関係は継続しており、グーグルが「対中包囲網」の一角に加わったと断定するのは早計であることがわかる。

 前掲6月8日付日経記事の「対中包囲網」記事への報道に違和感がますます膨らんでくる。

妻が中国人で、自らも中国語がペラペラ、習近平と通訳を交えず対談するフェイスブック創業者のザッカーバーグは、ファーウェイへのアプリ事前搭載を認めないという投稿をしていない!

 まず、日経が報じたように、ファーウェイのスマホに対して、フェイスブックのアプリの事前搭載を認めないという決定が事実と考えられるかどうか、仮にもしそうした決定を実行に移したとして、そのような措置が「対ファーウェイ制裁」として、どれだけの実効性を持ちうるのか、田代氏に質問した。

 田代氏は、IWJ記者の質問に応じ、上記のフェイスブック側の動きについて、「日経記事では『フェイスブックの関係者が7日、明らかにした』と記されているだけで、ニュース・ソースが明記されていない」という点を指摘した。その上で田代氏は、「『関係者』とは誰なのでしょう? 経営者でもない、役員でもない、従業員でもないとしたら、誰なのでしょう? まさか、フェイスブックと係争中の『関係者』がフェイスブックの株価下落を狙って話しているのでしょうか?」と皮肉を込めて回答した。

 田代氏が指摘するように、実際、ファーウェイのスマホへのアプリ搭載に関して、フェイスブックによるプレス・リリースは見当たらない。

▲フェイスブックの創業者でありCEOのマーク・ザッカーバーグ氏(Wikipediaより)

 さらに田代氏はこう語る。「フェイスブックの創業者でありCEOであるマーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)は、中国人と結婚し、自らも中国語を話します。習近平と会った際には、通訳を一切交えず、二人だけで話している光景を自慢気に公開していました。そのザッカーバーグのページには、(ファーウェイのスマホのアプリに)関連する投稿はありません」

(…会員ページにつづく)

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