【特別寄稿】北海道知事選は沖縄県知事選と同じ「国策追随型(官邸言いなり)候補 対 地方自立型候補」の戦いに! 争点は原発、カジノ、JR! 2019.2.15

記事公開日:2019.2.15 テキスト
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(取材・文:フリージャーナリスト横田一)

 4期16年の高橋はるみ・北海道知事が今年夏の参院選に北海道選挙区から鞍替え出馬することに伴い、後任を決める北海道知事選が、4月7日投開票で行われる。

 2月6日に旧民主党の石川知裕・元衆院議員が出馬を表明、8日に、立憲民主党や国民民主党、共産党、社民党が支援する野党統一候補として、札幌市内のホテルで出馬会見を行った。

▲石川知裕・元衆議院議員(2019年2月8日、横田一氏提供)

 この1週間前の2月1日には、夕張市長の鈴木直道氏が、出馬表明の記者会見を札幌市内のホテルで開いた。自民党、公明党公は鈴木氏の推薦を決めたため、これで与野党激突の構図となった。

▲鈴木直道・夕張市長(2019年2月1日、横田一氏提供)

 両者の政策の違いは、この2月1日と8日の両者の記者会見を比べることにより、明確になった。北海道知事選は「中央依存 対 地方分権」、「国策追随型(官邸言いなり)候補 対 地方自立型候補」という、沖縄県知事選とよく似た構図を呈してきた。

 北海道知事選の大きな争点は、JR北海道の廃線問題、泊原発再稼動、カジノ(IR)誘致。この三大争点について、鈴木氏が安倍政権の路線と基本的に足並みを揃えるのに対し、石川氏は官邸主導の国策とは異なる北海道独自路線を目指している。

記事目次

原発問題を全く語らない鈴木直道氏、脱原発・再生可能エネルギー拡大の道を目指す石川知裕氏

 2月1日の出馬会見で、原発問題について全く語らなかった鈴木氏に対して、石川氏は2月8日の出馬会見で、脱原発と再生可能エネルギー拡大への意気込みを述べた。

 「昨年のブラックアウト(※1)は北海道のエネルギー政策を見直す契機となりました。私は、脱原発の立場で原子力に頼らない北海道を目指します。そして、ブラックアウトを二度と起こさないために、『北海道エネルギー革命』と題して自然再生エネルギーと従来のエネルギーのハイブリット技術である『デジタルグリッド』を活用し、地域分散型で再生可能エネルギーによる産業を育成し雇用を増やしていきます」

 原発再稼動に邁進する安倍政権に追随することなく、再生可能エネルギー拡大の道を目指す立場を明らかにしたのだ。原発再稼動の影響で再生可能エネルギーの出力制限が頻発し始めた「九州の二の舞にならない」(※2)と北海道独自路線を宣言したともいえる。

カジノを含めたIRを「経済的にプラス」「観光客増加の大きな推進力」ととらえる鈴木直道氏に対し、石川知裕氏は「(カジノを含むIRの)経済効果は疑問」

 安倍政権の肝入り政策であるカジノ(IR)についても、両候補の立場の違いは歴然としていた。鈴木氏はカジノを含むIR誘致について、ギャンブル依存症のマイナス面にも触れながらも「経済的にプラス」と、2月1日の出馬記者会見で次のように明言していた。

 「IR、総合型リゾートはカジノをはじめ大規模会議場やエンターメントの施設、大規模な宿泊施設などを含む施設群でありまして、国内外から多様なお客様が北海道にお越しいただくきっかけになるものだと思います。現在も、多くの外国人観光客の方が北海道に訪れて来ている中での観光客の増加に向けた大きな推進力になると理解をしております。

 一方で、カジノによるギャンブル依存症など社会的影響を懸念する声もありまして、IRの誘致に関する様々な意見があることも承知しています。IRの誘致に関しては主に、いま申し上げた経済的な面でのプラス面、そして社会的な影響を考慮したマイナス面、そこを総合的に勘案して判断することが必要だろうと思います。

 現在、北海道の有識者の中でも様々な議論が行われて来ている。それを叩き台にしながら、私が徹底的にこだわりたいのは、それを皆様にしっかりとおうかがいした上で『道民目線』で判断することが最も必要なことだと思います」

 「経済的にプラス」「観光客増加の大きな推進力」ととらえる鈴木氏に対して、石川氏は8日の会見で「経済効果は疑問」と正反対の見方をした。

 「IR問題は北海道有識者会議で議論をされ、そしていま、北海道の各地で説明会や意見交換会を開いております。私、個人としては、北海道は観光資源も豊かですし、経済成長としてはやはり観光を中心とした経済成長、一次産業、農林水産業を中心とした六次産業化で経済を押し上げていくのが適当だと思っております。

 IRに関しては、果たして経済成長に資するものなのかどうかというところで疑問点がつきますし、またギャンブル依存症の問題も解決しておりません。私としては、推進という立場ではありません」

夕張市長としてJRを「攻めの廃線」を決断したことをアピールする鈴木直道氏、鉄路を残すことを目指す石川知裕氏

 JR北海道の廃線問題でも、両候補の訴えは対照的だった。鈴木氏は1日の会見で、夕張市長として自らが「攻めの廃線」を決断したことをアピールした。

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「【特別寄稿】北海道知事選は沖縄県知事選と同じ「国策追随型(官邸言いなり)候補 対 地方自立型候補」の戦いに! 争点は原発、カジノ、JR!」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    【特別寄稿】北海道知事選は沖縄県知事選と同じ「国策追随型(官邸言いなり)候補 対 地方自立型候補」の戦いに! 争点は原発、カジノ、JR! https://iwj.co.jp/wj/open/archives/442433 … @iwakamiyasumi
    沖縄県民に出来て北海道民に出来ないはずがない。「道民よ、大志を抱け」。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/1096547337285976064

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